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ヒュプノスの陰謀②
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ここはどこだろうか。目が覚めたら、私はここにいた。ちゃんとベッドで寝てたはずなのに、目が覚めたら、ここにいた。
ベッドの上にいることにはいるが、なんでだろう、天蓋付きになっている。どうやら私は寝室にいるらしい。朱色の絨毯に淡く赤い光。それから鮮やかな紅の壁全てが赤系統で統一されている。
「私は…」そう独り言を呟いた。もう、驚きを通り越して、ただただ呆然としていた。
二日前に切った髪で弄び、何も考えずにぼーっとしばらくベッドの上にいたが、冷静に考えると、誘拐されたのかもしれない、そう思うと全身身の毛がよだち、今すぐ部屋を出たくなった。部屋に一つだけある唯一のドアへと駆け出し、ドアノブを捻ったが、施錠されているらしく、ドアは開かなかった。ならばと思い窓へ向かった私が見た光景は異様なものだった。
窓の外は緑色の靄が立ちこめ、尋常でない不気味さを放っていた。全身が縮こまるように感じ、一気に恐怖の念が降り注いだ。
恐怖のあまり感覚が麻痺し、失禁寸前まで追い詰められている私の前に、紺色の光が不意に現れた。
「恐れることはありません」紺色の光は人のなりを形成して収まったと思うと、私に話しかけてきた。男とも女とも言えない声だ。でも口調は女の子よりかな。
私は私で震え声で訊いた。
「あなたは…」
「私の名前はイリアス。この世界では神と呼ばれています」
「えぇ!?神様ですか??」普通だったら疑うとこだけど、見た目が見た目だから信じられなくもない。
「なんで神様がこんなところに…」
「それは、この地球が危機だからですよ」
とりあえず私は話を聞くことにした。
「説明してください。お願いします。」
「勿論です。まずあなたは私に選ばれた人間。特別な存在なのです。まず、これを話すにはまず神について話す必要がありそうです。この世に存在するあらゆる星は神がバランスを保ち、管理しているんです。そして、この星の担当は私だった。だけど、生命体のいる星を欲しがった奴がこの星の管理権を奪いに来たの」
「ちょっ…ちょっと待ってください。話のスケールが壮大すぎます」
イリアスはとりあえず聞いてください。と言うと話を続けた。
「奴と私が争っていては、この星は長くは持たない。だから神は一人である必要がある。そこで私はあなたに取り憑き、このあなたの夢の世界で奴を倒すことにしたのよ」
「えっ…それならどうして自分で戦わないんですか」
「ごめんなさい。この世界では神はこういった形でしか存在できないの」
この部屋を出て、通路を先に行ったところにその奴がいるらしい。
「すみません。ちょっと考えさせてください」
イリアスはまあ、いいわ。と、言うとどこか虚空を見つめていた。瞳はないのに、どこか真剣なまなざしがそこにあるように見えた。
ベッドの上にいることにはいるが、なんでだろう、天蓋付きになっている。どうやら私は寝室にいるらしい。朱色の絨毯に淡く赤い光。それから鮮やかな紅の壁全てが赤系統で統一されている。
「私は…」そう独り言を呟いた。もう、驚きを通り越して、ただただ呆然としていた。
二日前に切った髪で弄び、何も考えずにぼーっとしばらくベッドの上にいたが、冷静に考えると、誘拐されたのかもしれない、そう思うと全身身の毛がよだち、今すぐ部屋を出たくなった。部屋に一つだけある唯一のドアへと駆け出し、ドアノブを捻ったが、施錠されているらしく、ドアは開かなかった。ならばと思い窓へ向かった私が見た光景は異様なものだった。
窓の外は緑色の靄が立ちこめ、尋常でない不気味さを放っていた。全身が縮こまるように感じ、一気に恐怖の念が降り注いだ。
恐怖のあまり感覚が麻痺し、失禁寸前まで追い詰められている私の前に、紺色の光が不意に現れた。
「恐れることはありません」紺色の光は人のなりを形成して収まったと思うと、私に話しかけてきた。男とも女とも言えない声だ。でも口調は女の子よりかな。
私は私で震え声で訊いた。
「あなたは…」
「私の名前はイリアス。この世界では神と呼ばれています」
「えぇ!?神様ですか??」普通だったら疑うとこだけど、見た目が見た目だから信じられなくもない。
「なんで神様がこんなところに…」
「それは、この地球が危機だからですよ」
とりあえず私は話を聞くことにした。
「説明してください。お願いします。」
「勿論です。まずあなたは私に選ばれた人間。特別な存在なのです。まず、これを話すにはまず神について話す必要がありそうです。この世に存在するあらゆる星は神がバランスを保ち、管理しているんです。そして、この星の担当は私だった。だけど、生命体のいる星を欲しがった奴がこの星の管理権を奪いに来たの」
「ちょっ…ちょっと待ってください。話のスケールが壮大すぎます」
イリアスはとりあえず聞いてください。と言うと話を続けた。
「奴と私が争っていては、この星は長くは持たない。だから神は一人である必要がある。そこで私はあなたに取り憑き、このあなたの夢の世界で奴を倒すことにしたのよ」
「えっ…それならどうして自分で戦わないんですか」
「ごめんなさい。この世界では神はこういった形でしか存在できないの」
この部屋を出て、通路を先に行ったところにその奴がいるらしい。
「すみません。ちょっと考えさせてください」
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