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01.ノスタルジアから
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よりによってこんな日に、こんなに空が青い事を、その少年は誰にでもなく文句を言いたかった。
眩しくて、手を翳して空を仰ぐ。
空、青。雲、白。
そして、手の甲の赤。
「こんなに、良い天気なのにーー」
身体中に血の色。辺り一面には狼の屍。
少年は汗が一雫流れたのを感じながら、虚ろな目で見回した。
出来れば目の当たりにしたくはないが、討伐数を確認しなければ帰れない。
いち、に、さん……全部で11。
よし、依頼通り。
数えるなり指をパチンと鳴らす。すると狼は一匹残らず消え去った。
まるで、蒸発するように。
浄化という魔術の一つで、魂を浄化し天国へと導く。同時にその屍もあるべき場所へと還してくれる。
魔物討伐にあたって、なくてはならない術である。
「…そうだ」
依頼を終えたら連絡するように、と通達が入っていた。
漸く、ゆっくりとした動作で携帯電話を取り出した少年は、それを耳に当てた。
『はいは~い。ギルド“ノスタルジア”です』
数回のコール音の後、どこか気の抜けたような話し方の女性が応答する。
少年はその喋りに一瞬だけ顔を顰めるが、直ぐに表情を戻して話しを切り出した。
「絢音さん、俺です。任務完了しました」
『俺俺詐欺なら間に合ってるわ。
出直しなさ「瑞稀です!」
電話の相手……絢音が受話器を置こうとしたのが目に見えて、瑞稀は慌てて名乗る事によりそれを制した。
「任務、完了しました」
そしてもう一度確かめるように言う。
小さな町の片隅にあるギルド“ノスタルジア”。
政府には属しておらず、危険な魔物の討伐依頼や、政府の対応しきれない“こぼれ依頼”を請け負う。
今回の依頼は“こぼれ依頼”だ。
瑞稀は辺りを見渡し、もう一度指をパチンと鳴らした。
今度は、身体のあちこちに付着していた返り血が蒸発するように消えた。
眩しくて、手を翳して空を仰ぐ。
空、青。雲、白。
そして、手の甲の赤。
「こんなに、良い天気なのにーー」
身体中に血の色。辺り一面には狼の屍。
少年は汗が一雫流れたのを感じながら、虚ろな目で見回した。
出来れば目の当たりにしたくはないが、討伐数を確認しなければ帰れない。
いち、に、さん……全部で11。
よし、依頼通り。
数えるなり指をパチンと鳴らす。すると狼は一匹残らず消え去った。
まるで、蒸発するように。
浄化という魔術の一つで、魂を浄化し天国へと導く。同時にその屍もあるべき場所へと還してくれる。
魔物討伐にあたって、なくてはならない術である。
「…そうだ」
依頼を終えたら連絡するように、と通達が入っていた。
漸く、ゆっくりとした動作で携帯電話を取り出した少年は、それを耳に当てた。
『はいは~い。ギルド“ノスタルジア”です』
数回のコール音の後、どこか気の抜けたような話し方の女性が応答する。
少年はその喋りに一瞬だけ顔を顰めるが、直ぐに表情を戻して話しを切り出した。
「絢音さん、俺です。任務完了しました」
『俺俺詐欺なら間に合ってるわ。
出直しなさ「瑞稀です!」
電話の相手……絢音が受話器を置こうとしたのが目に見えて、瑞稀は慌てて名乗る事によりそれを制した。
「任務、完了しました」
そしてもう一度確かめるように言う。
小さな町の片隅にあるギルド“ノスタルジア”。
政府には属しておらず、危険な魔物の討伐依頼や、政府の対応しきれない“こぼれ依頼”を請け負う。
今回の依頼は“こぼれ依頼”だ。
瑞稀は辺りを見渡し、もう一度指をパチンと鳴らした。
今度は、身体のあちこちに付着していた返り血が蒸発するように消えた。
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