24 / 132
04.秘密
2
しおりを挟む
「でも、相打ちだったんだろ?」
瑞稀は問う。少数の反乱軍ならなおさら、一人の人員を失うことは、痛手なのではないかと。
だが慎也は首を振った。
「それが…リュストルの奴らは“禁忌”を犯してるんだ」
禁忌とは言葉そのままであるが、人体や環境に悪影響があるため、使用する事を禁止された魔術の総称だ。
「彼奴らは、“不老不死”だ」
外はいつの間にか日が落ちかけていた。
慎也は絞り出すように言葉を発し、俯いた。大きく息を吸って、平常心を保とうとしているのが分かる。
瑞稀も顔には出さずとも、内心は穏やかではなかった。
一般に公開されている文献には、禁忌についての記述はない。誰も真似してはいけない術だから。
街の図書館の大半を読み尽くした瑞稀でも、知り得ない術だった。
「…瑞稀、お前は強いのか?」
「え?」
「もう、誰も死なせたくないんだ」
不意にされた質問に瑞稀はキョトンとするが、すぐにその意味が分かった。
「人はいつか死ぬ。俺だっていつ死ぬかなんて分からないよ」
在り来たりで優しくない答えだが、これが一番正しい。慎也は机の上の、何もない所を見つめた。
この、魔術が力の絶対値の世界では、強ければ生き長らえるとも言い難いのだ。
「でもまだ死ぬ予定は、今の所ないから。元白虎の事、教えてくれてありがとうな」
瑞稀が冗談交じりに続けた時、2人の顔は少し歪んだ。そして目を合わせる。
頭にキーンとノイズが走る。これは“精神感応”。簡単に言うとテレパシーのようなものだ。
『WGの諸君、急ではあるが今週の金曜日に集会を開く』
もう名乗らなくても分かる。それは総帥の声だった。
『大切な集会じゃ。皆の者、くれぐれも欠席せぬよう』
そう言って、声はぷつりと途切れた。
この様子だと一度に大勢の団員に精神感応を送ったのか…瑞稀でも総帥の魔力は計り知れない。
「瑞稀、多分お前の事だよ」
「俺?」
「ああ、次の集会の内容」
総帥は白虎を決めるのに時間がかかったと言っていた。襲名にしても集会にしても、当の本人に知らせが来るのはいつもギリギリらしい。
瑞稀は問う。少数の反乱軍ならなおさら、一人の人員を失うことは、痛手なのではないかと。
だが慎也は首を振った。
「それが…リュストルの奴らは“禁忌”を犯してるんだ」
禁忌とは言葉そのままであるが、人体や環境に悪影響があるため、使用する事を禁止された魔術の総称だ。
「彼奴らは、“不老不死”だ」
外はいつの間にか日が落ちかけていた。
慎也は絞り出すように言葉を発し、俯いた。大きく息を吸って、平常心を保とうとしているのが分かる。
瑞稀も顔には出さずとも、内心は穏やかではなかった。
一般に公開されている文献には、禁忌についての記述はない。誰も真似してはいけない術だから。
街の図書館の大半を読み尽くした瑞稀でも、知り得ない術だった。
「…瑞稀、お前は強いのか?」
「え?」
「もう、誰も死なせたくないんだ」
不意にされた質問に瑞稀はキョトンとするが、すぐにその意味が分かった。
「人はいつか死ぬ。俺だっていつ死ぬかなんて分からないよ」
在り来たりで優しくない答えだが、これが一番正しい。慎也は机の上の、何もない所を見つめた。
この、魔術が力の絶対値の世界では、強ければ生き長らえるとも言い難いのだ。
「でもまだ死ぬ予定は、今の所ないから。元白虎の事、教えてくれてありがとうな」
瑞稀が冗談交じりに続けた時、2人の顔は少し歪んだ。そして目を合わせる。
頭にキーンとノイズが走る。これは“精神感応”。簡単に言うとテレパシーのようなものだ。
『WGの諸君、急ではあるが今週の金曜日に集会を開く』
もう名乗らなくても分かる。それは総帥の声だった。
『大切な集会じゃ。皆の者、くれぐれも欠席せぬよう』
そう言って、声はぷつりと途切れた。
この様子だと一度に大勢の団員に精神感応を送ったのか…瑞稀でも総帥の魔力は計り知れない。
「瑞稀、多分お前の事だよ」
「俺?」
「ああ、次の集会の内容」
総帥は白虎を決めるのに時間がかかったと言っていた。襲名にしても集会にしても、当の本人に知らせが来るのはいつもギリギリらしい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる