* 闇の白虎

jiu

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06.夜の帳が下りる町 1

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白虎は小さく息を吐き、その後目を瞑って大きく息を吸い込んだ。

セントラルとは違った、草木の香りがする。


「自然が気持ちいいね、椿」

腰にたずさえる漆黒の刀、椿に目をやると、それはカタカタと小刻みに震えた。

薫風に髪を煽られ、森の中を見た。


「…狐?」

一瞬のことだったので輪郭がぼやけていたが、狐の姿が見えた。
認識するとともに、その影は消えてしまったが。


「狐の目…」

ボソリと白虎は呟いて、狐の見えた方角を見詰めた。そして、少し口角を上げ、踵を返す。

確認しなければいけない箇所は、町の中にもあった。


「…もうそろそろ2時間経つな。千里達ももう何か掴んでるだろうね」

根拠はないが、インスピレーションに似たものかも知れない。
少し足早に、時計塔に向かった。

その最中さなか、チラチラと町のあちこちを見渡して、自分の考えを整理する。


確信に近付く中、一方で不安要素も捨て切れなかった。

ククリに来た理由。
この不可解な現象について。
WG団員としての仕事。


胸騒ぎがするが、まずはこの町の住民が安心して眠れるよう、意識を戻すので精一杯だった。
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