* 闇の白虎

慈雨

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07.夜の帳が下りる町 2

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「変性意識状態?」

「ああ、催眠状態って言えば分かりやすいかな」

素っ頓狂な声をあげた錦に、千里が説明を加える。
先ほど千里班と白虎が落ち合い、お互いの調査を報告し合ったところである。


「あくまで、まだ可能性の域を超えないけどね。でも条件は揃ってる」

「俺はそこまで詳しくないけど…白虎は?」

「うん、専門書は一通り読んでるよ」

淡々と白虎は話す。


「俺が森での調査で狐を見て気付いたけど、この町の至るところに“狐の目”のようなシミや木目、葉脈の模様などが確認出来た。
無意識に、脳に模様がインプットされる。恐らく、この模様がトリガーだろう」

まるでそこに専門書があるようだった。

話を聞きながら、千里はそっと錦に目配せをして、半分呆れたような笑いを見せた。


「そしてきっと、住民は夜中に、狐の目を見てる筈。視覚に集中すると、その他のものに意識がいかなくなる。それが、無意識の状態…千里と拓真が調べて来た、住民の“意識がない瞬間”だよ」

白虎は胸の位置で掌を上に向け、青っぽい幻影を出した。それはいつか千里に時刻を見せたものと同等で、今度は狐の目の模様をした葉っぱが映し出されていた。


「そして、無意識の状態の時に、住民の魔力を封じ、灯りを消したんだ。多分、初めは新月の、ほぼ月明かりのない日に。
一度“真夜中になると視界が見えなくなる”と認識させれば、変性意識状態に入りやすくなるからね」

「なるほど…じゃあ、その催眠状態を解けば、視界異常はなくなるってわけだな」

やっと錦も納得して、頷いた。


「うん、多分」

「催眠状態を解くなんて、出来るのか?」

そこで千里が疑問を投げかける。
催眠術に関してはあまり知られていないし、どちらかというと、得体の知れない恐ろしい術であるように感じるのだ。


「解けない術なんて、この世にはないよ」

そんな中、白虎はあえて明るく言い切った。
穏やかな声で、何故か信頼してしまうような言い方で。

「やらなきゃいけない事は、2つだ。
住民の催眠をとくことと、術をかけた人物を特定すること」

「狐の仕業じゃ?」

「その可能性もあるけど、狐は賢いから、無意味に人間を揶揄からかうような事はしないと思う」

「それは俺も聞いた事があるぞ。狐が人間に干渉するのは、余程恨みがある時だって」

ここでは千里も同意見のようだ。
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