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10.とある闇の事端
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酷い頭痛で瑞稀は目を覚ました。
何も考えられず、顔を顰める。ぐるぐると頭の中にあるのは、例えるなら沢山の本のページだった。
どの本の、どのページかも解らない、身に覚えのない知識だけが、終わりのない大きな海のように波打っている。
目を開け、身体を起こして、自分の掌を見る。そして、辺りを見渡す。
子ども騙しみたいな、カラフルな部屋だった。
「気が付いたかい? 自分の名前は言えるかな」
部屋に入って来た青い目の研究員を、瑞稀はじっと見た。
「…にのみや みずき」
「他には何か言える?」
「…ここはどこ? お母さんは?」
瑞稀は言いながら、更に襲いくる頭痛で額に手を当てる。呼吸を荒くして、頭を駆けずり回る“知らない言葉”に、ただ意識を持っていかれないよう努めた。
「ごめんね、暫くはお母さんとは会えないんだ。でも それ以外だったら、出来る限り君の希望を叶えよう」
「…じゃあ教えて。何のために僕をここへつれて来たのか。
ここはとても嫌なかんじがする」
知っている言葉と知らない言葉がごちゃ混ぜになって、口から出て来る。
まるで自分の身体ではないように感じた。
「手を出してごらん」
研究員は言う。瑞稀は素直に従う。
その瑞稀の掌に向けて、研究員は魔力を込めた小さい球体を放った。
球体は瑞稀の方へ飛んで行き、その掌に吸い込まれるようにして消えた。
すると、瑞稀の身体に異変が起きた。
ドクンと心臓が跳ね上がったように痛み、同時に脳にも衝撃が加えられた感覚に、肩を抱いて必死に堪える。
「それは君の“奪う能力”だ。まさに未知の魔力。
君は世界でたった一人、“闇属性”の魔力を持っているんだよ」
「闇属性…?」
「君はきっと、見ず知らずの知識に苦しんでいるだろう。寝ている間に、研究員の魔力を少しばかり君に入れておいたからね」
「そんな事が…」
「出来るんだよ」
青い目の研究員はきっぱり言い切った。
「人間の身体には、+と-の超微弱電流が流れている。
外的損傷など、何らかの要因で-に電流が傾いた時、身体の内側で+を補おうとするのが自然治癒力だ。
他人の魔力を+に近い電力に変換して、君の身体に取り込ませた。実験は見事成功したよ」
酷い頭痛で瑞稀は目を覚ました。
何も考えられず、顔を顰める。ぐるぐると頭の中にあるのは、例えるなら沢山の本のページだった。
どの本の、どのページかも解らない、身に覚えのない知識だけが、終わりのない大きな海のように波打っている。
目を開け、身体を起こして、自分の掌を見る。そして、辺りを見渡す。
子ども騙しみたいな、カラフルな部屋だった。
「気が付いたかい? 自分の名前は言えるかな」
部屋に入って来た青い目の研究員を、瑞稀はじっと見た。
「…にのみや みずき」
「他には何か言える?」
「…ここはどこ? お母さんは?」
瑞稀は言いながら、更に襲いくる頭痛で額に手を当てる。呼吸を荒くして、頭を駆けずり回る“知らない言葉”に、ただ意識を持っていかれないよう努めた。
「ごめんね、暫くはお母さんとは会えないんだ。でも それ以外だったら、出来る限り君の希望を叶えよう」
「…じゃあ教えて。何のために僕をここへつれて来たのか。
ここはとても嫌なかんじがする」
知っている言葉と知らない言葉がごちゃ混ぜになって、口から出て来る。
まるで自分の身体ではないように感じた。
「手を出してごらん」
研究員は言う。瑞稀は素直に従う。
その瑞稀の掌に向けて、研究員は魔力を込めた小さい球体を放った。
球体は瑞稀の方へ飛んで行き、その掌に吸い込まれるようにして消えた。
すると、瑞稀の身体に異変が起きた。
ドクンと心臓が跳ね上がったように痛み、同時に脳にも衝撃が加えられた感覚に、肩を抱いて必死に堪える。
「それは君の“奪う能力”だ。まさに未知の魔力。
君は世界でたった一人、“闇属性”の魔力を持っているんだよ」
「闇属性…?」
「君はきっと、見ず知らずの知識に苦しんでいるだろう。寝ている間に、研究員の魔力を少しばかり君に入れておいたからね」
「そんな事が…」
「出来るんだよ」
青い目の研究員はきっぱり言い切った。
「人間の身体には、+と-の超微弱電流が流れている。
外的損傷など、何らかの要因で-に電流が傾いた時、身体の内側で+を補おうとするのが自然治癒力だ。
他人の魔力を+に近い電力に変換して、君の身体に取り込ませた。実験は見事成功したよ」
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