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手土産ですよ
1-2 紀子の家
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血だらけの部屋で、気がつくと呆然と座り込んでいた紀子の母親は、ぬめっとした手の感覚ではっとする。
「あれ?私は…」
手が赤い?部屋の畳もこんなにたくさん赤く濡れている。
そう思った瞬間、紀子と同じ学生服を着た男女3人が血だらけで倒れているのを見て「きゃっ」と思わず悲鳴をあげる。
「なななななな…わわわわわたしっ…」
横たわる死体のうちの1人の女は顔がわからないくらい顔から血が流れ、上半身も血で染まり、制服が何色なのか検討もつかないくらい赤くべっとりとしていた。そんな彼女の瞳がまだ開いたままでこちらを見ているように見えて、それが少しだけぞっとした。そう……本当に少しだけ、ぞっとしたのだった。
一瞬の出来事に自分の心臓の鼓動は確かに高鳴っているが、この鉄臭い部屋と、絶命している紀子をいじめた奴らを見ても、まったく罪悪感は感じなかった。
ただのホラー映画の映像の1つのようだった。
ゆっくりと立ち上がり、紀子の仏壇の前にいる死体を足で転がし、自分が座布団に座る。
そして紀子に言った。
「紀子、お母さんが、殺してあげたからね。もう大丈夫。でも、まだやり残したことがあるよね?」
紀子が返事をして「うん」と言ったように聞こえた。
ううん、優しい紀子は「そんなに無理をしないで?」と言ったのかもしれないけど、紀子の母親にとってはどちらの返事だとしてもやることは決まっていた。
「1番許せないやつは、まだ生きているものね」
昔から知っている幼馴染なだけに、あの娘の顔を思い出すとその母親の顔も同時に思い浮かぶくらいの関係ではあった。
それなのに、それなのに…
うちの紀子をまったく助けてくれなかった。
ーーーーーその日の夜、紀子の父親が家に帰ってきて腰を抜かし、泣いて紀子の母親を責めた。
「こんなことをして……どうするんだっ!今から警察にいって自首しよう!それから俺も、もう死ぬから…!」
おかしいな?「よくやった!死んで当然の奴らだ!」と喜ぶ可能性も想定していたのに、こちらの反応だったのか。
警察に言う?それは、困るなぁとぼんやりと紀子の母は思った。
警察に自分が行ってしまったら、やり残したことができない。
この人が邪魔をするならできなくなる。
仕方がないので、紀子の母親は紀子の父親を包丁で脅して、両手と口をガムテープで頑丈に固定しクローゼットに入れた。
死ぬことはきっとないだろうから、終わるまでここにいてもらうしかない。
時刻は19時だった。
あの不良のような3人のことをよく知らないけれど、あいつらの親が「家に帰ってこない」と捜索するのはまだ先だと想定して、急いで舞の家へ電話をかけた。
耳にスマホをつけると自分の手についた奴らの血の香りがして、せめて手くらい洗ってから電話すればよかったなぁと思った。
舞の母親からは、紀子が死んでから何度も電話をもらっていたし、うちに来て土下座をされたことがある。
あのときは絶対に許せなかったから菓子折りももらわなかったし、すぐに家から追い出したけど、今回は歩み寄るふりをした。
「えぇ。私もようやく整理がついたの。それに最近紀子のクラスで不幸が続くでしょう?舞ちゃんも心配になってね。よかったら、お線香あげにきてくれないかしら?きっと紀子、舞ちゃんに会いたがっているから。私もよかったら舞ちゃんと私で、冷静に1度紀子の学校生活の話を聞きたいのよ。あなたもいると舞ちゃんなかなか打ち明けられないこともきっとあるだろうから、琴乃ちゃんていうお友達と来てくれないかしら?」
ーーーー明日は土曜日だから、明日の10時に待ってるわね。
そう言って電話を切った。
さすがに夜なのでこれから学生を呼び出すことは不躾だとおもったので明日にした。
明日まで死体はこのままだし、縛り付けた夫のことも気になったが、とりあえず飛び散った血を流したかったのでお風呂に入ってから眠ることにした。
「あれ?私は…」
手が赤い?部屋の畳もこんなにたくさん赤く濡れている。
そう思った瞬間、紀子と同じ学生服を着た男女3人が血だらけで倒れているのを見て「きゃっ」と思わず悲鳴をあげる。
「なななななな…わわわわわたしっ…」
横たわる死体のうちの1人の女は顔がわからないくらい顔から血が流れ、上半身も血で染まり、制服が何色なのか検討もつかないくらい赤くべっとりとしていた。そんな彼女の瞳がまだ開いたままでこちらを見ているように見えて、それが少しだけぞっとした。そう……本当に少しだけ、ぞっとしたのだった。
一瞬の出来事に自分の心臓の鼓動は確かに高鳴っているが、この鉄臭い部屋と、絶命している紀子をいじめた奴らを見ても、まったく罪悪感は感じなかった。
ただのホラー映画の映像の1つのようだった。
ゆっくりと立ち上がり、紀子の仏壇の前にいる死体を足で転がし、自分が座布団に座る。
そして紀子に言った。
「紀子、お母さんが、殺してあげたからね。もう大丈夫。でも、まだやり残したことがあるよね?」
紀子が返事をして「うん」と言ったように聞こえた。
ううん、優しい紀子は「そんなに無理をしないで?」と言ったのかもしれないけど、紀子の母親にとってはどちらの返事だとしてもやることは決まっていた。
「1番許せないやつは、まだ生きているものね」
昔から知っている幼馴染なだけに、あの娘の顔を思い出すとその母親の顔も同時に思い浮かぶくらいの関係ではあった。
それなのに、それなのに…
うちの紀子をまったく助けてくれなかった。
ーーーーーその日の夜、紀子の父親が家に帰ってきて腰を抜かし、泣いて紀子の母親を責めた。
「こんなことをして……どうするんだっ!今から警察にいって自首しよう!それから俺も、もう死ぬから…!」
おかしいな?「よくやった!死んで当然の奴らだ!」と喜ぶ可能性も想定していたのに、こちらの反応だったのか。
警察に言う?それは、困るなぁとぼんやりと紀子の母は思った。
警察に自分が行ってしまったら、やり残したことができない。
この人が邪魔をするならできなくなる。
仕方がないので、紀子の母親は紀子の父親を包丁で脅して、両手と口をガムテープで頑丈に固定しクローゼットに入れた。
死ぬことはきっとないだろうから、終わるまでここにいてもらうしかない。
時刻は19時だった。
あの不良のような3人のことをよく知らないけれど、あいつらの親が「家に帰ってこない」と捜索するのはまだ先だと想定して、急いで舞の家へ電話をかけた。
耳にスマホをつけると自分の手についた奴らの血の香りがして、せめて手くらい洗ってから電話すればよかったなぁと思った。
舞の母親からは、紀子が死んでから何度も電話をもらっていたし、うちに来て土下座をされたことがある。
あのときは絶対に許せなかったから菓子折りももらわなかったし、すぐに家から追い出したけど、今回は歩み寄るふりをした。
「えぇ。私もようやく整理がついたの。それに最近紀子のクラスで不幸が続くでしょう?舞ちゃんも心配になってね。よかったら、お線香あげにきてくれないかしら?きっと紀子、舞ちゃんに会いたがっているから。私もよかったら舞ちゃんと私で、冷静に1度紀子の学校生活の話を聞きたいのよ。あなたもいると舞ちゃんなかなか打ち明けられないこともきっとあるだろうから、琴乃ちゃんていうお友達と来てくれないかしら?」
ーーーー明日は土曜日だから、明日の10時に待ってるわね。
そう言って電話を切った。
さすがに夜なのでこれから学生を呼び出すことは不躾だとおもったので明日にした。
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