Please Say That

国沢柊青

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act.07

 羽柴は少々難しそうな顔つきで、その朝フロントに降りた。
 カードキーを返して、精算手続きをお願いする。
 パソコンのキーボードを叩いているシラーに、羽柴は声を掛けた。
「ミスター・スミスは、随分早くに発ったようだな」
 シラーは、ふいに手を休めて羽柴を見た。
「そのようです。私もまだ出勤していない内に行かれたようで、きちんとお見送りもできませんでした。・・・それより、羽柴様もお別れできなかったので?」
 探るように見つめられる。
 これは友人としての視線だ。
「いや・・・そういう訳でもないのだが・・・」
 羽柴は大きく息を吸い込んだ。
 ウールコートのポケットには、ショーンの置き手紙が入っていた。
『ちゃんと顔を見てお礼も言わずに出て行ってごめん。昨夜は、凄く幸せな気分で眠れました。顔を見ると、あなたが言ってた我が儘な有名人に成り下がりそうなので、先に出ます。親切にしてくれて本当にありがとう。あなたの心遣いのお陰で、また頑張れそうです。朝食や夕食代は、いつか必ず返すから。名刺、ありがとう。俺のお守りになるかも。ショーン・クーパー』
 ホテルの便せんにびっしりと書かれた手紙だった。何度も書き直して、ペンで黒く塗りつぶした箇所が大分ある。
 最後の名前のサインは、いかにもロックスターらしい少し形の崩れて書き慣れた感のある筆跡で。
 ── つくづく俺は、手紙だけを残されて、置いて行かれるタイプの男らしい・・・。
 心の中で羽柴はぼやいたが、胸元のペンダントがチリチリと揺れて、素直に反省することにした。
 確かに、そんなことを思うのは冗談でもよくない。
 羽柴は、意外とめげている自分を誤魔化すように、「煙草吸っていい?」とシラーに断りを入れた。
 シラーは片眉を引き上げて周囲を見回すと、「今朝は他のお客様も少ないですので、どうぞ」と許してくれた。
 最近は、益々パブリックスペースでの喫煙はダブー視されていて、愛煙家の羽柴としては些か辛い状況だ。ホテルのロビーでも、喫煙場所になっているソファーの周辺でしか本当は吸えない。
 羽柴は、渋い顔つきで煙草を銜えると、小さく吹かして、銜え煙草のまま精算を済ませた。
 シラーは、何となく笑いが堪えられないのか、いつものポーカーフェイス代わりの穏やかな微笑みに少し人間味を感じさせる表情を浮かべている。
「何だ? 君がそんな顔をするのは珍しいな、ケイブ」
 羽柴も何かを感じて、シラーのファーストネームを敢えて口にする。
 シラーは肩を竦めて見せた。
「あなたのお気持ちは十分分かりますよ。あの方と過ごさせていただいた一時は、私にとっても夢のような時間でした。できるなら、覚めて欲しくない。そう思われて当然です」
 羽柴はバツが悪くなって、こめかみをカリカリと掻く。
 シラーは言葉を続けた。
「それにしても、信じられないくらい魅力的なお方でしたね。ぜひまた当ホテルをご利用いただきたいところですが、彼ほどのスターなら、本来もっと高級なホテルを利用されていることでしょう。私共のホテルは、ニューヨークの中でも随分と質素なホテルですから」
「驚いた。君がそんなことを言い出すなんて」
 羽柴が大げさに目を剥くと、今度はシラーがバツが悪そうな顔つきをする。
「あんな人が目の前に現れたら、誰だって惑ってしまいますよ。同性だと分かっていても。美しさに性別はないですからね」
 それを聞いて、羽柴はニッコリと笑った。
「君のそんな表情が見られて、益々このホテルが気に入ったよ、俺は。建物は確かに質素だが、この中にある人の気持ちはどんな高級ホテルにも負けないぐらい大きくて温かい。だからこそ、リピーター率がニューヨークのホテルの中でナンバーワンなんだ」
「ご存じなんですか?」
「侮ってもらったら困る。俺は、経済アナリストなんだぜ?」
「・・・お見それ致しました」
 シラーが頭を下げると、羽柴はフロントのカウンターを拳でコンコンとノックして、「また来る」と言い残し、フロントを後にした。
「またのお越しを心からお待ち申しております。いってらっしゃいませ」
 シラーの見送りに、羽柴は背を向けたまま、一回だけ手を振ってロビーを出て行った。
 シラーは人間くさい微笑みを浮かべ、軽く溜息をつく。
 ── まったく・・・。ご自身も人が惑うほどとても魅力的であることを、彼はもっと自覚した方がいい。いつも何の気なしに、人の心を鷲掴みにするような殺し文句を惜しげもなくポロポロと言うのだから・・・。
 シラーはそう思いながら、また新たにホテルを訪れた客にいつもの穏やかな笑顔を向けた。

 
 朝早く、ショーンが事務所に駆け込むと、会社の一階フロアはまだ始業前の時間だったので、暗く閑散としていた。
 それでも、三階の『バルーン』専用のフロアに上がると、一気に人の活気が満ちた空間に投げ出されたようだった。
 早朝だというのに、エレベーターホールから続く廊下は、バルーン専属のスタッフが駆けずり回っている。おまけに電話も数台ベルを鳴らしていて、朝でこれだけ電話がなっているのなら、昼間はもっと凄いことになっているのだろうと想像ができた。
 ショーンはどこか殺気だった事務室の様子に後込みしてしまい、事務室の受付代わりになっているカウンター越しに無言で突っ立っていた。
「ショーン!」
 バルーン専属のこの課で、一番の下っ端であるグレッグ・パターソンが一番にショーンの姿に気が付いて叫び声を上げた。その声を聞いて、フロア中のざわめきがピタリと止まる。
 ショーンは皆の視線を一気に浴びて、ゴクリと喉を鳴らした。
「今までどこで何をしてたの?!」
 アシュレーが一番奥の席から飛んできて、また時間が動き始める。
 皆一様に安堵したような表情を浮かべていた。
「ごめん、アシュレー。昨夜夜遅くまでパパラッチに張られていたんだよ」
「そうなの。昨日、突然電話が切れたものだから、本当に驚いたわ。何かあったんじゃないかと思って」
 ── 何かは、あった。
 イアンの発言に深く傷つけられ、とても普通の精神状態ではなくなった。
 そんな彼をつかの間でも癒してくれたのは、羽柴の残り香で包まれたホテルのベッドだったなんて、事務所の中の誰に説明しても、理解してもらえないだろう。
「イアンのインタビューされている映像を見て、少しびっくりしたんだよ」
 ショーンが今でも沸き起こってくる胸の苦しさを押し殺しつつ、コミカルに肩を竦めるとアシュレーも頬を綻ばせた。
「うちの王様は、うまく受け流すことが本当に得意だからね。こっちはその頃、マスコミ対応をどうしようかと四苦八苦してたところなんだけど、彼が取り敢えず最初の波を被ってくれたお陰で、こっちも助かったわ」
 アシュレーのそんな言葉を聞きながら、ショーンは小さく笑みを浮かべる。
「彼はそういうの、慣れてるからね」
 ショーンがそう返すと、「ええ、ホント。流石キングだわ」とアシュレーは呟き、ショーンの腰に手をやって、奥の部屋にショーンを誘った。
 ショーンはチラリとその手を見下ろす。
 その場所は、今朝羽柴の大きな手に包まれていたところだった。
 羽柴の痕跡がひとつ、またひとつと自分の身体から消え去っていくような気がして、ショーンは堪らなくなった。
「ショーン、大丈夫? 凄く疲れているみたい」
 ショーンの顔に浮かんだ悲しみを、アシュレーは『疲れ』と取ったらしい。
 それを聞いて、ショーンは確かに自分が酷く疲れていることに気が付いた。
 悲しいかなそれは、この事務所に帰ってきてから一気に降り積もったものなのだが、彼らはそう思わないだろう。
 現にショーンとアシュレーの後に金魚の糞のようについてきたグレッグが、「そうだろう。何せ、どこの誰かも分からない人間と一晩過ごすことになったんだもんな。心中穏やかじゃないよ」と同情の声を上げる。
 グレッグは、一番ショーンと年齢が近く、この業界の人間にしてはお人好しで、どこか故郷の友人のポールを思い起こさせる。
 彼はこの事務所の中で一番ショーンに対して素直な感性で接してくれるので、ショーンもほっとできる相手なのだが、如何せん彼には自分の意見というものがない。
 他人の意見に惑わされて、時折ショーンの思っていることと全く逆のことを言い出したりする。それでも悪気はなく、ショーンの為を思って言ってくれていることだから、何ともしようがない。
 ショーンは答えるのもだるく感じて、そのまま何も言わず、このフロアの一番奥にある部屋に連れて行かれた。
 その部屋は、バルーンのメンバーがこのフロアを訪れた時に過ごす控室になっていて、キング・イアンが過ごしやすいようにと細心の注意を注がれて作られている部屋だ。
 完璧な室温と湿度に整えられ、冬場でもTシャツ一枚で過ごせるようになっている。
 インテリアは、三ヶ月前までビクトリア王朝のクラシカルで豪華なイメージだったが、現在はイアンが填っているバリの高級ホテル調で、三ヶ月前に比べると、今の方がショーンにとっては落ちつけるインテリアだった。
 ショーンはホッと胸を撫で下ろす。
 濃いブラウンとナチュラルホワイト、そして南国植物のグリーンという色彩に彩られた室内は、ショーンの緊張を少し解いてくれた。
 ── でも、今朝までいたあのホテルの部屋のリラックス感には程遠けど・・・。
 ショーンがそう思いながら三人掛けの籐製のソファーに腰掛けると、薄手のブランケットを手渡された。
 ショーンはトレーナーを脱ぎ、大きく伸びをする。
「取り敢えず、ここで少し休むといいわ。今後の対応は、イアンがバカンス先から戻ってき次第、詳しく検討するって。今のところは、社長の命令であなたには何も言わせるなということになってる。とにかく、無事にここまで帰ってきてくれて、心底ほっとしたわ。社長に電話しておくから」
 アシュレーが早口に捲し立てる言葉を聞き流しながら、ショーンは溜息をついた。
 それを見て、グレッグが部屋の隅にあるコーヒーメーカーから、厚手の白いカップにコーヒーを入れてくる。ショーンがいつも使っているマグカップだ。
 他のメンバーが使っている高価なコーヒーカップと比べ、巷の雑貨店で売っているような、何の変哲もないカップである。
 ショーンにとっては、その方が数段落ちつく。別に貧乏性ではないと思うが、「これを割ったら、一体いくら飛んでいく」なんてことを考えずともいいからだ。
 グレッグは、ショーンの好みのミルクたっぷりのコーヒーを差し出した。
 両手で顔を擦っていたショーンは、「ありがとう」と言ってカップを受け取る。グレッグは、零れんばかりの素朴な笑顔を浮かべた。
 グレッグにとってショーンは、憧れのスター以外の何者でもない。わざわざ下っ端の人間にも「ありがとう」と言ってくれるショーンの存在が嬉しくて仕方がないのだ。
「今後のスケジュールについては、現在調整中だから少し待って。多分、イアンが新譜のことをマスコミに言っちゃったんで、レコーディングするのが最優先になると思うけれど」
 アシュレーは窓の向こうで動くスタッフに視線をやり、気が付いたアシスタントの女性社員に『社長に電話するように』とジェスチャーをする。ショーンはコーヒーを煤って一息つくと、「少し眠りたい。いいかな?」と小さく呟いた。
「ええ、もちろんよ。ホント、お疲れさま。社長が来るまでの間は、ゆっくり休めると思うから」
 アシュレーは、事務室に面した窓のブラインドを下ろすと、グレッグを引っ張って出て行った。
 ショーンは、ゴロリと大きいソファーに寝転がると、身体の力を抜くように大きく息を吐き出した。
 本当のところ、眠たくはなかった。
 昨夜、久方ぶりに味わう熟睡を堪能するだけ堪能したからだ。
 ただ一人になって、『余韻』を味わいたかった。
 羽柴耕造という男の余韻を。
 人が、恋に落ちる瞬間に理屈はないというけれど、ショーンには分かり過ぎるほど分かっていた。
 自分が、あの人に堪らなく惹かれている理由。
 自分の髪を掻き乱す大きな手。大人の落ち着き払った光を湛えたセクシーで濁りのない漆黒の瞳。ショーンのタックルにも動じなかった逞しい身体。ショーンの身体をくるりと包んでしまう長い腕。すっきりとしながらも少し甘いグリーンノートの香り。笑うと驚くほど人なつっこくなるあの顔。低くてよく響く聞いていて安心できる声。ゆったりとした仕草。そして・・・彼のハート。
 たった一日の間で、忘れがたい台詞をあんなに強烈に、その言葉に一番適した最強のシチュエーションで言われ続けたことなど、これまでなかった経験だ。
 しかも、彼は突然の邪魔者であるショーンに対していつの時も誠実で、表裏もなく、一般人がショーンに対してするような過剰なまでの特別扱いを一切してこなかった。それなのに、与えてくれる優しさは極上のもので。
 きっと彼は、生まれついてあれほどの優しさをその心に宿した人間なのだろう。
 とにかく、今上げた項目だけでも分かるように、つまりショーンは、彼の『全て』に参ってしまっていた。
 そう、これは『恋』だ。
 それも、超がいくつもつくほど劇的で深い、恋。
 元々、初恋は自分を育ててくれた養父に対してだったので、自分は同性に対して普通に恋心を抱ける人間だと自覚はしている。
 それでも、その初恋が成就しなかった後、この世界に入って、信じられないほどの美女達と逢瀬を重ねることになって、魅力的な女の子との恋愛も一通り経験してきた。
 それでも、こんな想いに深く捕らわれたことなど、一度もなかった。
 スコットに恋心を抱いたのも、長い時間をかけてじんわりと募っていった感情だったし、他の女の子達とはもっとライトな気持ちの付き合いだった。
 それがどうだ。一瞬でこれほどまでの感情に揺さぶられることになるなんて。
 どこかの映画で、たった一日の間に恋に落ちた想い人を、死ぬまで思い続ける主婦の話があったが、一日というこんなにも僅かな時間の間に、本当に恋に落ちるなんてことがあるなんて、思いもしなかった。
 ましてや、高校時代は『クール』と言われ続けてきた自分が、一目惚れ、だなんて。
 その想いをはっきりと自覚したのは、あのジャパニーズレストランで羽柴が自分を励ましてくれた時だ。
『君は、凄く素直でいい子だ。君の周りで、君を傷つけるような人間がいるとすれば、きっとそれはやがて彼ら自身に返っていく。君の感じた苦しみは、君の中をただ通り抜けて行くだけだ・・・』
 だなんて。しかも、しっかりと手を握られて、そう言われたのだ。
 ああ、この人はなんてことを言うのだろう・・・と思ったら、涙が込み上げてきた。
 見も知らない自分に、これほどの優しさをくれるこの人は、一体何なんだろうと思うと、魂が激しく震えた。
 いくら目立たない席だったとはいえ、公衆の面前であんなに大泣きするとは思わなかった。
 しかも彼は、そんな自分にすら気を使ってくれて、ショーンがすぐに笑顔を浮かべられるような話をしてくれた。
 その存在全てが、こんなにも自分を癒してくれる。
 パパラッチに追われ、偶然飛び込んだ光の先に、これほどのハートの持ち主がいてくれただなんて、奇跡以外の何物でもない。ショーンはそう思った。
 ホテルの部屋に帰って、同じベッドで寝ていいと言われた時にはもう、一気に盛り上がった自分の感情を抑えることに自信がないほど追いつめられてしまっていた。
 彼はおそらく自分の息子に接するような感覚で接していたのだろうから・・・それは彼の仕草の片隅にいつも感じていたことだ・・・、ショーンのこの気持ちはまるでお門違いもいいところだろう。
 今の彼に、自分のこの気持ちを押しつけるのは迷惑にしかならない、と思った。
 いくらショーンが地位も名声も手に入れた大スターだったとしても、会って間もない人間に熱烈に迫られるだなんて、およそ正気の沙汰とは言えない。からかっているとしか取られないだろう。しかも同性同士だ。
 いくらショーンが一目惚れしたんだよと主張してみても、あの時の彼は信じてくれなかったに違いない。
 彼は、女性を愛するストレートな男で。
 しかも、日本にいる別れた恋人のことを今でも思っているらしい。
 それだからこそ、余計に辛かった。
 同じベッドに寝れば、絶対に彼に甘えてしまうと思った。
 そればかりか、あわよくば彼にマウス・ツー・マウスのキスをねだってしまいそうで、怖かった。
 ソファーで寝ると言ってきかなかったのは、最後の抵抗だった。
 自分の理性と羽柴に対しての自分なりの優しさをかけた最後の抵抗。
 翌朝、それをあっさり破っていたことにショーンは愕然として・・・おまけに身体までもショーンを裏切ってしまった訳で・・・、彼は酷く後悔した。けれど一方で、甘くじんわりとした喜びに身体が打ち震えるのも感じて、複雑だった。
 ショーンは、ブランケットの下から左手を目の前に挙げた。
 リストバンドをそっと外す。
 ひらりと白い小さな紙が舞い降りてきた。
 少し跳ねたような彼の筆跡。
 ショーンはそれを胸に当てると、ハァと息を吐き出した。
 世界的に一番有名だと言われるロックバンドのギタリストだって、人並みに一目惚れしたりするんだってこと、どうやってあの人に伝えたらいいんだろう。
 それとも、もうそんなチャンスなどなくなって、あれは本当に夢だと思う日々が訪れるようになるのか。
 そう思ったら、堪らなく悲しくなって、そうなるのならせめてもの思い出として、無理矢理にでもキスしてもらえばよかったかな・・・と思った。
 羽柴に触れられた、背中と腰の際がズキリと痛んだような気がした。
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