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act.51
ホスピスを出て、隼人と別れてから、羽柴は渋谷を目指した。
日本にいた頃から、渋谷なんて個人的にあまり訪れることのない地だったが、今夜こそは絶対に行かねばならないと、羽柴は思った。
昼間、ショーンの歌声が入ったCDを聴いて、その後隼人と二人切りで話す時間を得た。
そこで隼人が新たな恋に目覚めていることを知って、逆に勇気づけられた感じがした。
隼人も今、新しい一歩を踏み出そうとしている。
真一が最期を過ごした、あの地で。
そして羽柴は、自分がCDを聴いていた時に座っていたベンチが、とても意味合いの深いベンチだと言うことも知った。
あのベンチは、真一がよく腰掛けていたベンチだったそうだ。
あの真一に包まれたように感じた感覚は、ウソではなかった。
あの場所に、今でも真一の魂が宿っているような気がした。
きっと今回あの地を訪れることになったのも、今というタイミングで導かれたとしか思えなかった。
人はそれを「都合がいい考えだ」と言うかもしれない。「そんなのは気のせいで、思いこみだ」と。
けれど、その思いこみこそが大切なんだと思えた。
正直今でも迷っていたが、真一のお骨を返すつもりだということを隼人に話した。
隼人が少し不安げな表情を浮かべたので、自分の気持ちが確定する前にそんなことを言ってしまったことをちょっと後悔してしまったが、それでも言ってよかったと思う。
── 薄情かな・・・。
ふいに零れた羽柴の本音に、隼人はこう言ってくれた。
「アンタは絶対に薄情なんかじゃない。俺には、真一さんがそう言ってるのが聞こえる」
隼人は、泣きそうな顔つきをしていた。
それでも、そう言ってくれた。
それは羽柴にとって、とても大切な言葉となった。
羽柴は隼人の頭を撫で、「ありがとうな」と言った。そしてそれを何度も繰り返した。
例え、真一への想いが形を変えても、絶対に消えることはない。
それは、隼人に対する思いや、千帆に対する思いも同じ。
すべてが愛おしい記憶であり、自分がこの世に存在する限り、残っていく力。
本当に日本に帰ってきてよかった。
一月の時点でなく、今、このタイミングに帰ってきて。
随分遠回りしたけど、でも・・・。やっとトンネルの出口が見えてきたみたいだ。
5年間ずっと走り続けてきたトンネルの出口が。
羽柴は、車窓の外を眺めた。
カタンカタンと電車が揺れる。
ゆっくりと電車がカーブし、羽柴の目線の先に渋谷の華々しい街の明かりが見えてきた。
あの光の下に、ショーンがいる。
ショーンが果たして今でも自分のことを待ってくれているか、分からなかったけれど。
でも、それでもよかった。
ただ、ショーンの傍に行きたかった。
無性に。ただ、無性に。
例えライブ会場に入れなかったとしても、それでもいい。
純粋にショーンに逢いたかった。
あの茜色の萌えるような夕焼け色した瞳に。
今度は、自分が彼を追いかける番だ。
ここまで来るのにバカみたいに時間をかけ過ぎたが、これが俺の出した答え。
── いいよな、真一。
羽柴は、心の中で胸元の遺骨にそう話しかけた。
── 俺はまた、自分の人生を懸命に生きていけそうだよ・・・。
ふいに羽柴の瞳から、涙が零れた。
でもそれは、羽柴自身の涙ではないような気がした。
ライブハウスの前まで辿り着くと、中の音が少しだけ外に漏れてきていた。だが、それはドラムのバスドラや、やたらアグレッシブに聞こえるベースの音だけで、ショーンの歌声までは聞こえてこなかった。
もちろん、ライブハウスの入口には関係スタッフが見張り番のように立っており、部外者の侵入を阻んでいた。
驚くことに、今回ライブハウスに入る権利を得られなかった人達が、建物の周りに溢れていた。到底中に入ることもできないし、見ることも聴くこともできないはずだったが、誰もが必死な顔をして建物の中の様子を窺っていた。
目の前では、如何にもロック小僧っぽい若者が万札を数枚出して、入口のスタッフと交渉しているのが見えた。けれどそスタッフの顔つきを見ていると、そんな努力も無駄であることが見て取れる。
当然、羽柴とて交渉したところで、通してもらえそうにない。いくらショーンの知り合いだと主張しても、気がおかしいただのオジサンとして扱われるのがオチだ。
── う~ん・・・どうするかな。強行突破とかすると、きっと周囲の彼らも真似をするだろうから、大変なことになりそうだな・・・。
けれど腕力にも脚力にも破壊力にも自信があったので、一番それが現実的な手段に思える。今回は、前回と違ってホテル・アストライヤの車もないし、運転手の制服もないのだから。
羽柴は大きく息を吐き出すと、正面入口をジッと睨み付けた状態でゴクリと喉を鳴らした。
そして記念すべき第一歩を踏み出した、その時。
「まさか、強行突破でもしようっていうんじゃないでしょうね」
ふいに背後から、日本語でそう言われた。
聞き覚えのある声に羽柴が思わず振り返ると、呆れ顔の理沙がそこに立っていた。
「理沙・・・」
「もう! 来るのが遅い! お陰でショーンのライブ、殆ど聴けてないのよ」
理沙は腕組みをして、口を尖らせた。
「まったく、どこで何をしてたのよ。散々ショーンを苦しめて。もう、大変だったんだからね・・・。バカ」
理沙はそう言って、笑顔を浮かべた。
そこまで聞いて、羽柴は自分がどれほどショーンから待たれていたことを理解した。
何だか今まで臨戦態勢を取っていた身体の力が、全部抜けてしまった。
「理沙、俺は・・・」
「逢いに来てくれたのよね、ショーンに」
理沙はさっきとは違って、必死な顔つきで羽柴を見た。
「今度こそ間違いなく、ショーンのメッセージが伝わったのよね」
羽柴は怪訝そうに顔を顰めた。
「理沙、君は一体どこまで知ってるんだ・・・・」
「何から、何までよ」
理沙はそう言って羽柴の腕をガシッと掴むと、ズンズンと歩き出した。
「まったく、こっちは愛する夫をアメリカにホッポリ出して来てるっていうのに、散々苦労かけて・・・」
理沙は、ブツブツとそんな愚痴を呟いている。
何だか羽柴が知らない間に、ショーン側では相当な騒動が起こっていたらしい。
ライブハウスの入口を、外野の痛い視線を一身に受けながら理沙の顔パスですんなり通り抜けて、ロビーを歩く。
「もう会場の中いっぱいだから、一番後ろしかスペースがないけど」
理沙がそう言いながら、会場への二重扉を開いた。
瞬間、ワッと会場中が揺れ動くような歓声が飛び出してきた。
丁度曲が終わったところだったらしく、そこで局地的な地震でも起きたかのような地響きが沸き上がっていた。
その熱気に、羽柴は面食らう。
“箱”の中は異様な熱気に支配されており、多国籍な観客がどの人間も顔を真っ赤に興奮させ、まるで酒に酔ったかのような顔つきで、ステージを見つめていた。
幸い羽柴は長身だったために、ステージのショーンの姿が見えた。
白いTシャツに鮮やかなグリーンのTシャツを重ね着していて、その下は黒の革パンツだった。ネックレスなどはしていなかったが、腕には初めて羽柴と出会った時にしていた革製のリストバンドをしていた。Tシャツの袖は両方とも短くて、意外に逞しい腕がむき出しになっている。本当にロックスターっぽい格好。
スポットライトを浴びたショーンは、汗だくの顔に微笑みを浮かべ、ファンの熱狂に応えていた。
── ああ・・・。
羽柴は、思わず溜息を零す。
いつもと変わらない、生き生きとした花のような笑顔だ。
バルーン時代には隠し通されて抑圧されてきた、本当のショーン・クーパーの表情。
皆、そんなショーンに釘付けになっていて、酔いしれている。
ショーンの本当の魅力が今、正当に評価されている。
そう思うと、羽柴の胸は熱くなった。
「ありがとう。残念だけど、次が最後の曲なんだ」
ショーンが英語でそう言う。英語が分かるファンから、それを惜しむ声が次々と上がった。
「よかった・・・。最後の曲には間に合ったわね」
羽柴の横で理沙が呟く。
理沙が、羽柴の横っ腹を突っついた。
羽柴が理沙を見ると、理沙は背伸びして羽柴の耳元で囁いた。
「今日は、あなたのことだけを考えて歌うって、彼言ってたわ。だから、ちゃんと聴いてあげて」
「ショーンが、そんなことを・・・?」
思わず羽柴がステージ上のショーンを見る。
理沙はムニュと羽柴の頬を抓った。
「あのショーン・クーパーにそんなこと言わせるのは、世界中で羽柴耕造ただ一人よ。いまだに私だって信じ切れないんだから」
羽柴が頬を抓られたまま、マヌケな顔つきで理沙を見た時、理沙がスタッフに呼ばれた。
「ああ、理沙さん、こんなところにいたんですか・・・! 川西が捜してるんです」
「た、大変・・・!!」
理沙は顔を青くして、「羽柴君、ごめんね」と小さく断って人混みの向こうに消えていった。
きっと自分の大切な仕事を放り出して、外で羽柴が来るのをずっと待っていてくれたのだろう。いつも仕事優先でバリバリと何でもこなしている、あの理沙が、だ。
── すまん、理沙。本当に、恩に着る。
羽柴は、理沙が消えた方向に両手を併せて頭を下げた。
それと同時に、最後の曲の演奏が始まる。
羽柴は、弾かれるようにステージを見た。
まずは、ショーンの歌声から唐突に曲は始まる。
『欲しかった家だけど
住所が間違ってたみたいで
一度、頭を調べてもらうべきだ
最近やっとキスと細菌戦争の違いがわかった
ガソリンをサイフォンにかけてしまったし
君の瞳、耳、口、鼻、腕、足、心、魂
触れて、俺に触れて欲しい
身体が君の感覚を求めてるんだ』
※
次第に跳ね上がっていくショーンの歌声。
それと共に、彼が弾くギターの弦も、たまらなく切ない音を紡いでいく。
それは男の子っぽい恋の歌。
生活がちぐはぐになってしまうほど、好きな人に溺れてしまった少年の恋心。
最初は少し惚けたような幼い歌声から始まり、次第にワイルドでグループ感のある曲調へと変わっていく。
『君のスナップ写真を
縦に丸めて靴にいれてるぐらい
二人の距離は近いけど、あまりにも遠い
バスの一番後ろの席に座り
君が運転してる姿をイメージする
バックミラーを覗く君の視線も
君の瞳、耳、口、鼻、腕、足、心、魂
触れて、俺に触れて欲しい
身体が君の感覚を求めてるんだ
君がいなくちゃ駄目なんだ』
※(最後に作者注釈あり)
ギターソロが始まった。
ショーンは汗を飛び散らせ、髪の毛を振り乱しながらギターの弦を弾く。
ワッと歓声が更に盛り上がった。
信じられないような指捌きで、背筋がゾクゾクするほどの快楽を生む音を紡ぎ出す。
CDの曲とは全く違う、ロック臭いラブソング。
ステージ上で声を嗄らしてストイックに歌い上げるショーンはロックスターのオーラに包まれていて、男っぽく、そして恐ろしく格好よかった。
最後は印象的なサビのフレーズが、会場中で大合唱になった。
客は初めてこの曲を聴いたはずだが、キャッチーなそのラインを皆すぐに覚え、何度も何度も最後のフレーズを繰り返した。
やがてショーンがギターを弾くことを止め、マイクを握りしめる。
数回皆で合唱した後、そしてすべての音が鳴りやんだ。
「── Thank you」
ショーンの言葉に、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
あちらこちらで、ショーンの名前を呼ぶ絶叫が沸き上がった。
拍手は永遠に終わらないかのように思え、観客の中には感極まって泣いている女の子もいた。
そして、羽柴は・・・・。
ただ、呆然とそこに突っ立っていた。
ただただ圧倒されて、声も、溜息さえも出なかった。
だって、こんなに強烈な愛の告白があるだろうか。
これほど大勢の人達を前にして、誰もがショーンに対して手を伸ばしているというのに、その彼がたった一人、自分のためだけにその歌を歌っているだなんて。
圧倒されずに、どうしろというのだ。
ポカンと口が開いて、閉じられなかった。
自分がマヌケな反応をしているとは十分分かっていたが、これほどまで熱っぽくショーンがまだ自分のことを想っていてくれているなんて、想像もしていなかったからだ。
鳴りやまない拍手にショーンははにかんだ笑顔で答え、少し掠れ気味の声で「Thank you so much」とマイクに囁いた。
ショーンの顔は充足感で満たされており、キラキラと輝いていた。
ふいに客電の明かりがつく。
急に観客が立つフロアが明るくなって、羽柴は眩しそうに瞬きをした。
他の客もそれに反応して、やっと拍手が鳴りやむ。
舞台袖から、理沙と同世代と思しき女性が出てきて、「皆さん、ライブは如何でしたか?」と日本語で言った。
どうやら、司会の女性らしい。
彼女の呼び掛けに、再び歓声が上がった。
誰もが汗だくで、興奮がなお抑えられないといった表情を浮かべていた。
司会の女性は、ショーンがドラムの側に置いていたボトルの水を飲み干すのを見ながら、言った。
「では、今回はプレライブということで、特別にファンの皆さんからの質問をショーンにぶつけてもらおうと思います。この先、きっとこんなチャンスはないと思いますよ。三人ぐらいステージに上がってもらって、間近でショーンとお話をしてみてください」
キャーッという女性の悲鳴とオォーという男の呻き声のような異様な声が同時に上がった。
ショーンがその奇妙な声に目を剥いて、次には笑顔を浮かべながらタオルで顔の汗を拭いた。バンドのメンバーと顔を見合わせて笑うショーンに、会場の女の子達は目をハートマークにしている。
「じゃ、一人ずつステージに上がってもらいましょうか。じゃ、我こそはと思う人! 手を挙げて!!」
ほぼ全員と思える人数が一気に手を挙げた。日本語が分からないと思しき外国人の観客も、周囲の様子を見て、素早く手を挙げる。
「おっと・・・」
羽柴は、前の客の勢いに押され、後ずさった。
「じゃ、そこの彼女」
司会の女性が、ステージ近くの女の子を指さす。
指名された女の子はキャーキャーと絶叫して、すぐにステージに上がれないほどの有様だった。
ようやくステージに上がった女の子は・・・といっても二十歳そこそこぐらいの女性だが・・・、渡されたマイクをブルブルと震わせ、それでもきちんとショーンに極上の笑顔を向けながら、「今日のライブは本当に素敵でした」と言った。
司会の女性が、ショーンに通訳する。
通訳し終わった後、ショーンがニッコリと笑顔を浮かべ、女の子に「Thank you」と言った。たったそれだけのことなのに、女の子はもう失神寸前だ。
その後の女の子の質問は、「好きな食べ物はなんですか」とか「日本の女性はどう思いますか」とか「日本でショッピングは楽しみましたか」とか、当たり障りのないものが続いた。きっと舞い上がり過ぎて、ろくな質問が考えられなかったのだろう。
それは次に指名されたロック小僧も同じで、「好きなギタリストは誰ですか」とか「どうやったらそんな風に上手くギターが弾けるのですか」とか「今後アルバムを出す予定はありますか」とか、そういう質問が続いた。だが、彼自身バンドをしている少年は、何を思ったか後ろに置いてあったギターを手に取り、いきなり弾き始めたので、会場中の笑いを誘った。
これにはショーンもおかしかったのだろう。
大きな口を開けて笑う。
少年臭い、チャーミングな笑顔。
見ているだけでこっちが幸せになりそうな。
「君は、最高」
ショーンが英語で言う。少年は意味が分からず、戸惑った表情をショーンに向けたが、ショーンが親指を立てる仕草を見せると、たちまち笑顔を浮かべた。
そして彼も、ショーンと握手をしてステージを降りた。
「もう絶対に手ぇ洗わねぇ!」
と絶叫している少年は、再び会場内の笑いを誘った。
「ハイ!!」
一瞬静まり返った隙をついて、大きな声を上げて手を挙げる人物がいた。
羽柴だった。
羽柴は会場中央の後ろの端に立っていたが、幸い身体が大きかったために、ステージからも羽柴の姿を確認することができたようだ。
「あら、後ろに元気のいい人が一人いますね」
司会の女性も笑っている。
大きな手を真っ直ぐ上に挙げたのが、自分とそう変わらない年代の男性だったことが妙におかしく感じたのだろう。その男の、少年臭い仕草を微笑ましく思ったようだ。
だが、それとは対照的に、ショーンは驚きを隠せない表情で、スポットを当てられた男の姿を見つめていた。
あまりに驚いて、まともに声すら出せない様子だった。
「じゃ、最後は元気のいいそこの男性にしましょうか。皆さん、道を開けてくださる?」
まるでモーゼの呪文で海が二つに割れるかのように、客の絡まりが中央から二つに別れた。
羽柴が、真っ直ぐショーンを見つめたまま、歩いてくる。
そして彼はステージに上がり、マイクを持たされると、ショーンに向き合ってあの穏やかな微笑みを浮かべた。
そう、その笑顔はショーンを惹き付けてやまない、最初に虜になったあの優しげな笑顔と同じだった。
「Hi」
羽柴が、マイクに向かってそう囁く。
「・・・・・Hi」
ショーンも震える声でそう答えた。
*********************
※作者注釈
※『Crave』Written by Nuno 対訳:hutz fujibayashi from albam『SCHIZOPHONIC』1996
今回も歌詞の引用をしています。
上記は、その出典先です。
元エクストリームのギタリスト・ヌーノ・ベッテンコートの初ソロアルバムに収録された曲。
前回の『answer』とはまるで違う曲ですが、この曲もまた『やんちゃ坊主の恋』みたいで素敵なので、興味のある方はぜひどうぞ。
日本にいた頃から、渋谷なんて個人的にあまり訪れることのない地だったが、今夜こそは絶対に行かねばならないと、羽柴は思った。
昼間、ショーンの歌声が入ったCDを聴いて、その後隼人と二人切りで話す時間を得た。
そこで隼人が新たな恋に目覚めていることを知って、逆に勇気づけられた感じがした。
隼人も今、新しい一歩を踏み出そうとしている。
真一が最期を過ごした、あの地で。
そして羽柴は、自分がCDを聴いていた時に座っていたベンチが、とても意味合いの深いベンチだと言うことも知った。
あのベンチは、真一がよく腰掛けていたベンチだったそうだ。
あの真一に包まれたように感じた感覚は、ウソではなかった。
あの場所に、今でも真一の魂が宿っているような気がした。
きっと今回あの地を訪れることになったのも、今というタイミングで導かれたとしか思えなかった。
人はそれを「都合がいい考えだ」と言うかもしれない。「そんなのは気のせいで、思いこみだ」と。
けれど、その思いこみこそが大切なんだと思えた。
正直今でも迷っていたが、真一のお骨を返すつもりだということを隼人に話した。
隼人が少し不安げな表情を浮かべたので、自分の気持ちが確定する前にそんなことを言ってしまったことをちょっと後悔してしまったが、それでも言ってよかったと思う。
── 薄情かな・・・。
ふいに零れた羽柴の本音に、隼人はこう言ってくれた。
「アンタは絶対に薄情なんかじゃない。俺には、真一さんがそう言ってるのが聞こえる」
隼人は、泣きそうな顔つきをしていた。
それでも、そう言ってくれた。
それは羽柴にとって、とても大切な言葉となった。
羽柴は隼人の頭を撫で、「ありがとうな」と言った。そしてそれを何度も繰り返した。
例え、真一への想いが形を変えても、絶対に消えることはない。
それは、隼人に対する思いや、千帆に対する思いも同じ。
すべてが愛おしい記憶であり、自分がこの世に存在する限り、残っていく力。
本当に日本に帰ってきてよかった。
一月の時点でなく、今、このタイミングに帰ってきて。
随分遠回りしたけど、でも・・・。やっとトンネルの出口が見えてきたみたいだ。
5年間ずっと走り続けてきたトンネルの出口が。
羽柴は、車窓の外を眺めた。
カタンカタンと電車が揺れる。
ゆっくりと電車がカーブし、羽柴の目線の先に渋谷の華々しい街の明かりが見えてきた。
あの光の下に、ショーンがいる。
ショーンが果たして今でも自分のことを待ってくれているか、分からなかったけれど。
でも、それでもよかった。
ただ、ショーンの傍に行きたかった。
無性に。ただ、無性に。
例えライブ会場に入れなかったとしても、それでもいい。
純粋にショーンに逢いたかった。
あの茜色の萌えるような夕焼け色した瞳に。
今度は、自分が彼を追いかける番だ。
ここまで来るのにバカみたいに時間をかけ過ぎたが、これが俺の出した答え。
── いいよな、真一。
羽柴は、心の中で胸元の遺骨にそう話しかけた。
── 俺はまた、自分の人生を懸命に生きていけそうだよ・・・。
ふいに羽柴の瞳から、涙が零れた。
でもそれは、羽柴自身の涙ではないような気がした。
ライブハウスの前まで辿り着くと、中の音が少しだけ外に漏れてきていた。だが、それはドラムのバスドラや、やたらアグレッシブに聞こえるベースの音だけで、ショーンの歌声までは聞こえてこなかった。
もちろん、ライブハウスの入口には関係スタッフが見張り番のように立っており、部外者の侵入を阻んでいた。
驚くことに、今回ライブハウスに入る権利を得られなかった人達が、建物の周りに溢れていた。到底中に入ることもできないし、見ることも聴くこともできないはずだったが、誰もが必死な顔をして建物の中の様子を窺っていた。
目の前では、如何にもロック小僧っぽい若者が万札を数枚出して、入口のスタッフと交渉しているのが見えた。けれどそスタッフの顔つきを見ていると、そんな努力も無駄であることが見て取れる。
当然、羽柴とて交渉したところで、通してもらえそうにない。いくらショーンの知り合いだと主張しても、気がおかしいただのオジサンとして扱われるのがオチだ。
── う~ん・・・どうするかな。強行突破とかすると、きっと周囲の彼らも真似をするだろうから、大変なことになりそうだな・・・。
けれど腕力にも脚力にも破壊力にも自信があったので、一番それが現実的な手段に思える。今回は、前回と違ってホテル・アストライヤの車もないし、運転手の制服もないのだから。
羽柴は大きく息を吐き出すと、正面入口をジッと睨み付けた状態でゴクリと喉を鳴らした。
そして記念すべき第一歩を踏み出した、その時。
「まさか、強行突破でもしようっていうんじゃないでしょうね」
ふいに背後から、日本語でそう言われた。
聞き覚えのある声に羽柴が思わず振り返ると、呆れ顔の理沙がそこに立っていた。
「理沙・・・」
「もう! 来るのが遅い! お陰でショーンのライブ、殆ど聴けてないのよ」
理沙は腕組みをして、口を尖らせた。
「まったく、どこで何をしてたのよ。散々ショーンを苦しめて。もう、大変だったんだからね・・・。バカ」
理沙はそう言って、笑顔を浮かべた。
そこまで聞いて、羽柴は自分がどれほどショーンから待たれていたことを理解した。
何だか今まで臨戦態勢を取っていた身体の力が、全部抜けてしまった。
「理沙、俺は・・・」
「逢いに来てくれたのよね、ショーンに」
理沙はさっきとは違って、必死な顔つきで羽柴を見た。
「今度こそ間違いなく、ショーンのメッセージが伝わったのよね」
羽柴は怪訝そうに顔を顰めた。
「理沙、君は一体どこまで知ってるんだ・・・・」
「何から、何までよ」
理沙はそう言って羽柴の腕をガシッと掴むと、ズンズンと歩き出した。
「まったく、こっちは愛する夫をアメリカにホッポリ出して来てるっていうのに、散々苦労かけて・・・」
理沙は、ブツブツとそんな愚痴を呟いている。
何だか羽柴が知らない間に、ショーン側では相当な騒動が起こっていたらしい。
ライブハウスの入口を、外野の痛い視線を一身に受けながら理沙の顔パスですんなり通り抜けて、ロビーを歩く。
「もう会場の中いっぱいだから、一番後ろしかスペースがないけど」
理沙がそう言いながら、会場への二重扉を開いた。
瞬間、ワッと会場中が揺れ動くような歓声が飛び出してきた。
丁度曲が終わったところだったらしく、そこで局地的な地震でも起きたかのような地響きが沸き上がっていた。
その熱気に、羽柴は面食らう。
“箱”の中は異様な熱気に支配されており、多国籍な観客がどの人間も顔を真っ赤に興奮させ、まるで酒に酔ったかのような顔つきで、ステージを見つめていた。
幸い羽柴は長身だったために、ステージのショーンの姿が見えた。
白いTシャツに鮮やかなグリーンのTシャツを重ね着していて、その下は黒の革パンツだった。ネックレスなどはしていなかったが、腕には初めて羽柴と出会った時にしていた革製のリストバンドをしていた。Tシャツの袖は両方とも短くて、意外に逞しい腕がむき出しになっている。本当にロックスターっぽい格好。
スポットライトを浴びたショーンは、汗だくの顔に微笑みを浮かべ、ファンの熱狂に応えていた。
── ああ・・・。
羽柴は、思わず溜息を零す。
いつもと変わらない、生き生きとした花のような笑顔だ。
バルーン時代には隠し通されて抑圧されてきた、本当のショーン・クーパーの表情。
皆、そんなショーンに釘付けになっていて、酔いしれている。
ショーンの本当の魅力が今、正当に評価されている。
そう思うと、羽柴の胸は熱くなった。
「ありがとう。残念だけど、次が最後の曲なんだ」
ショーンが英語でそう言う。英語が分かるファンから、それを惜しむ声が次々と上がった。
「よかった・・・。最後の曲には間に合ったわね」
羽柴の横で理沙が呟く。
理沙が、羽柴の横っ腹を突っついた。
羽柴が理沙を見ると、理沙は背伸びして羽柴の耳元で囁いた。
「今日は、あなたのことだけを考えて歌うって、彼言ってたわ。だから、ちゃんと聴いてあげて」
「ショーンが、そんなことを・・・?」
思わず羽柴がステージ上のショーンを見る。
理沙はムニュと羽柴の頬を抓った。
「あのショーン・クーパーにそんなこと言わせるのは、世界中で羽柴耕造ただ一人よ。いまだに私だって信じ切れないんだから」
羽柴が頬を抓られたまま、マヌケな顔つきで理沙を見た時、理沙がスタッフに呼ばれた。
「ああ、理沙さん、こんなところにいたんですか・・・! 川西が捜してるんです」
「た、大変・・・!!」
理沙は顔を青くして、「羽柴君、ごめんね」と小さく断って人混みの向こうに消えていった。
きっと自分の大切な仕事を放り出して、外で羽柴が来るのをずっと待っていてくれたのだろう。いつも仕事優先でバリバリと何でもこなしている、あの理沙が、だ。
── すまん、理沙。本当に、恩に着る。
羽柴は、理沙が消えた方向に両手を併せて頭を下げた。
それと同時に、最後の曲の演奏が始まる。
羽柴は、弾かれるようにステージを見た。
まずは、ショーンの歌声から唐突に曲は始まる。
『欲しかった家だけど
住所が間違ってたみたいで
一度、頭を調べてもらうべきだ
最近やっとキスと細菌戦争の違いがわかった
ガソリンをサイフォンにかけてしまったし
君の瞳、耳、口、鼻、腕、足、心、魂
触れて、俺に触れて欲しい
身体が君の感覚を求めてるんだ』
※
次第に跳ね上がっていくショーンの歌声。
それと共に、彼が弾くギターの弦も、たまらなく切ない音を紡いでいく。
それは男の子っぽい恋の歌。
生活がちぐはぐになってしまうほど、好きな人に溺れてしまった少年の恋心。
最初は少し惚けたような幼い歌声から始まり、次第にワイルドでグループ感のある曲調へと変わっていく。
『君のスナップ写真を
縦に丸めて靴にいれてるぐらい
二人の距離は近いけど、あまりにも遠い
バスの一番後ろの席に座り
君が運転してる姿をイメージする
バックミラーを覗く君の視線も
君の瞳、耳、口、鼻、腕、足、心、魂
触れて、俺に触れて欲しい
身体が君の感覚を求めてるんだ
君がいなくちゃ駄目なんだ』
※(最後に作者注釈あり)
ギターソロが始まった。
ショーンは汗を飛び散らせ、髪の毛を振り乱しながらギターの弦を弾く。
ワッと歓声が更に盛り上がった。
信じられないような指捌きで、背筋がゾクゾクするほどの快楽を生む音を紡ぎ出す。
CDの曲とは全く違う、ロック臭いラブソング。
ステージ上で声を嗄らしてストイックに歌い上げるショーンはロックスターのオーラに包まれていて、男っぽく、そして恐ろしく格好よかった。
最後は印象的なサビのフレーズが、会場中で大合唱になった。
客は初めてこの曲を聴いたはずだが、キャッチーなそのラインを皆すぐに覚え、何度も何度も最後のフレーズを繰り返した。
やがてショーンがギターを弾くことを止め、マイクを握りしめる。
数回皆で合唱した後、そしてすべての音が鳴りやんだ。
「── Thank you」
ショーンの言葉に、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
あちらこちらで、ショーンの名前を呼ぶ絶叫が沸き上がった。
拍手は永遠に終わらないかのように思え、観客の中には感極まって泣いている女の子もいた。
そして、羽柴は・・・・。
ただ、呆然とそこに突っ立っていた。
ただただ圧倒されて、声も、溜息さえも出なかった。
だって、こんなに強烈な愛の告白があるだろうか。
これほど大勢の人達を前にして、誰もがショーンに対して手を伸ばしているというのに、その彼がたった一人、自分のためだけにその歌を歌っているだなんて。
圧倒されずに、どうしろというのだ。
ポカンと口が開いて、閉じられなかった。
自分がマヌケな反応をしているとは十分分かっていたが、これほどまで熱っぽくショーンがまだ自分のことを想っていてくれているなんて、想像もしていなかったからだ。
鳴りやまない拍手にショーンははにかんだ笑顔で答え、少し掠れ気味の声で「Thank you so much」とマイクに囁いた。
ショーンの顔は充足感で満たされており、キラキラと輝いていた。
ふいに客電の明かりがつく。
急に観客が立つフロアが明るくなって、羽柴は眩しそうに瞬きをした。
他の客もそれに反応して、やっと拍手が鳴りやむ。
舞台袖から、理沙と同世代と思しき女性が出てきて、「皆さん、ライブは如何でしたか?」と日本語で言った。
どうやら、司会の女性らしい。
彼女の呼び掛けに、再び歓声が上がった。
誰もが汗だくで、興奮がなお抑えられないといった表情を浮かべていた。
司会の女性は、ショーンがドラムの側に置いていたボトルの水を飲み干すのを見ながら、言った。
「では、今回はプレライブということで、特別にファンの皆さんからの質問をショーンにぶつけてもらおうと思います。この先、きっとこんなチャンスはないと思いますよ。三人ぐらいステージに上がってもらって、間近でショーンとお話をしてみてください」
キャーッという女性の悲鳴とオォーという男の呻き声のような異様な声が同時に上がった。
ショーンがその奇妙な声に目を剥いて、次には笑顔を浮かべながらタオルで顔の汗を拭いた。バンドのメンバーと顔を見合わせて笑うショーンに、会場の女の子達は目をハートマークにしている。
「じゃ、一人ずつステージに上がってもらいましょうか。じゃ、我こそはと思う人! 手を挙げて!!」
ほぼ全員と思える人数が一気に手を挙げた。日本語が分からないと思しき外国人の観客も、周囲の様子を見て、素早く手を挙げる。
「おっと・・・」
羽柴は、前の客の勢いに押され、後ずさった。
「じゃ、そこの彼女」
司会の女性が、ステージ近くの女の子を指さす。
指名された女の子はキャーキャーと絶叫して、すぐにステージに上がれないほどの有様だった。
ようやくステージに上がった女の子は・・・といっても二十歳そこそこぐらいの女性だが・・・、渡されたマイクをブルブルと震わせ、それでもきちんとショーンに極上の笑顔を向けながら、「今日のライブは本当に素敵でした」と言った。
司会の女性が、ショーンに通訳する。
通訳し終わった後、ショーンがニッコリと笑顔を浮かべ、女の子に「Thank you」と言った。たったそれだけのことなのに、女の子はもう失神寸前だ。
その後の女の子の質問は、「好きな食べ物はなんですか」とか「日本の女性はどう思いますか」とか「日本でショッピングは楽しみましたか」とか、当たり障りのないものが続いた。きっと舞い上がり過ぎて、ろくな質問が考えられなかったのだろう。
それは次に指名されたロック小僧も同じで、「好きなギタリストは誰ですか」とか「どうやったらそんな風に上手くギターが弾けるのですか」とか「今後アルバムを出す予定はありますか」とか、そういう質問が続いた。だが、彼自身バンドをしている少年は、何を思ったか後ろに置いてあったギターを手に取り、いきなり弾き始めたので、会場中の笑いを誘った。
これにはショーンもおかしかったのだろう。
大きな口を開けて笑う。
少年臭い、チャーミングな笑顔。
見ているだけでこっちが幸せになりそうな。
「君は、最高」
ショーンが英語で言う。少年は意味が分からず、戸惑った表情をショーンに向けたが、ショーンが親指を立てる仕草を見せると、たちまち笑顔を浮かべた。
そして彼も、ショーンと握手をしてステージを降りた。
「もう絶対に手ぇ洗わねぇ!」
と絶叫している少年は、再び会場内の笑いを誘った。
「ハイ!!」
一瞬静まり返った隙をついて、大きな声を上げて手を挙げる人物がいた。
羽柴だった。
羽柴は会場中央の後ろの端に立っていたが、幸い身体が大きかったために、ステージからも羽柴の姿を確認することができたようだ。
「あら、後ろに元気のいい人が一人いますね」
司会の女性も笑っている。
大きな手を真っ直ぐ上に挙げたのが、自分とそう変わらない年代の男性だったことが妙におかしく感じたのだろう。その男の、少年臭い仕草を微笑ましく思ったようだ。
だが、それとは対照的に、ショーンは驚きを隠せない表情で、スポットを当てられた男の姿を見つめていた。
あまりに驚いて、まともに声すら出せない様子だった。
「じゃ、最後は元気のいいそこの男性にしましょうか。皆さん、道を開けてくださる?」
まるでモーゼの呪文で海が二つに割れるかのように、客の絡まりが中央から二つに別れた。
羽柴が、真っ直ぐショーンを見つめたまま、歩いてくる。
そして彼はステージに上がり、マイクを持たされると、ショーンに向き合ってあの穏やかな微笑みを浮かべた。
そう、その笑顔はショーンを惹き付けてやまない、最初に虜になったあの優しげな笑顔と同じだった。
「Hi」
羽柴が、マイクに向かってそう囁く。
「・・・・・Hi」
ショーンも震える声でそう答えた。
*********************
※作者注釈
※『Crave』Written by Nuno 対訳:hutz fujibayashi from albam『SCHIZOPHONIC』1996
今回も歌詞の引用をしています。
上記は、その出典先です。
元エクストリームのギタリスト・ヌーノ・ベッテンコートの初ソロアルバムに収録された曲。
前回の『answer』とはまるで違う曲ですが、この曲もまた『やんちゃ坊主の恋』みたいで素敵なので、興味のある方はぜひどうぞ。
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