ー竜の民ー

70年後

また今日もあのお爺さんの所へ行こう。

コンコン♪

｢シャルド爺さん、いますか？｣

｢よく来たなレイ、また昔の話を聞きたいのかい？｣

｢はい！｣

なんでも昔、天空の人びとは竜の民と戦っていたみたいなんだ。今はこんなに仲良しなのにね。

シャルド爺さんは昔、サニーって人が好きだったらしいんだ。戦いが終わってすぐ病気で亡くなってしまったらしいんだけど。亡くなった時の顔が微笑んでいたように見えたらしいんだ。

僕はその話を聞いてなぜだかちょっと切なくなった。生まれ変わって幸せになれるといいな…

皆はシャルド爺さんの話を嘘だと思っていて、
シャルド爺さんを｢ホラ吹き爺さん｣て呼んでる。

でも僕は、シャルド爺さんの話は真実だって思ってる。不思議と、それは真実だって確信しているんだ。

皆は昔あった戦いの事を忘れてる。戦いがあったって知らない人だっている。

昔の人がどんな思いで戦って、そして負けてしまったのか僕はもっと皆に知って欲しい。

｢おーーい、レイ！｣

｢あ、サン‼今いくね！｣

｢まったく…お前たちほど仲の良い双子は見たこと無いわい…｣

｢シャルド爺さん、おじゃましました！｣

｢また来てな、サンちゃんにもよろしく！｣



僕は今日も、この平和な世界で生きていく。



　　　　　　ー竜の民ー　完