葬送士

りふる

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白い雲

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帰り道。


「…………」 


不安と期待が入り混じる中、或は今朝の場所に向かっていた


彼女にもう一度会うために。


「…………そりゃそうか」 


だが、彼女の姿はなかった 


「霊だって動くだろうし、いなくても当然か…。ってかそもそも幽霊って決まったわけじゃないし…人間なら尚更……」


そんな事を考えていると
あることに気づく


「…(あれ……そう言えば今日は彼女以外、一度も奴らを見てない………)」 


朝から今に至るまで、今日は霊体を見ていない 


「…昨日の祈りが通じた…?」 


何だか少し、心が軽くなったように思えた


「早く帰ろう」


夕陽を背にして家へと向かう


「今日はちゃんと布団で寝よう…」


安堵する或。


そんな彼の背後の夕陽が


血のように赤く染まっているとも知らずに











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