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白い雲
五
しおりを挟む帰り道。
「…………」
不安と期待が入り混じる中、或は今朝の場所に向かっていた
彼女にもう一度会うために。
「…………そりゃそうか」
だが、彼女の姿はなかった
「霊だって動くだろうし、いなくても当然か…。ってかそもそも幽霊って決まったわけじゃないし…人間なら尚更……」
そんな事を考えていると
あることに気づく
「…(あれ……そう言えば今日は彼女以外、一度も奴らを見てない………)」
朝から今に至るまで、今日は霊体を見ていない
「…昨日の祈りが通じた…?」
何だか少し、心が軽くなったように思えた
「早く帰ろう」
夕陽を背にして家へと向かう
「今日はちゃんと布団で寝よう…」
安堵する或。
そんな彼の背後の夕陽が
血のように赤く染まっているとも知らずに
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