オレがαでアイツはΩ ~いつかご主人様と呼ばせてやる!~

尾和 ハボレ

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『ネクタイ』

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『ネクタイ』

家が隣ってのは、家族ぐるみの付き合いでもある。

オレの両親は仕事で海外にちょくちょく出張する。

今回は確か月曜まで帰ってこないばすだ。

金曜の放課後。

学校帰りにメシを作ってくれるってんで、アイツを家に上げたら……いつも通りに流された。

悔しいが、コイツの作るメシは美味いんだよ。

「食べたばかりなのに、またお腹減ったね?」
「……別に」

ベッドから降りてシャツを着る。

くそ、背中が痛ぇ。

思い切り引っかきやがって。

「あーあ、痛そー」
「誰のせいだよ、クソ!」

クスクス笑うアイツは裸体のままオレの横を通り過ぎ、オレが床に投げ捨てたアイツの下着をつけたあと、イスにかけてあった制服を着る。

オレとアイツのブレザーが一緒くたになって混ざっている中、自分の制服を身に着けていくが、その時。

「おい、そのネクタイ、オレんだろ?」
「あれ、そうだっけ?」

しわくちゃになっていたネクタイを締めながらアイツが笑う。

イスの背もたれには、アイロンでもかけられたようにいつもシワひとつないネクタイが残っている。

「別にどちらも同じものだよ。制服はヒビキの方が大きいけどね? ネクタイにサイズはないし」
「……お前がいいならいいけどよ」
「ヒビキは寝てなよ。帰りがけ、夜食も作っといてあげるから」

正直、ありがたい。

「……わりぃな」
「どういたしまして」

そうしてオレの部屋から出ていくキョウは、もう一度オレ見て笑いながら。

「ふふ?」

締めていたしわくちゃのネクタイを持ち上げ、それに見せつけるようなキスをしてから出ていった。

……なんなんだよ、アイツは。
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