339 / 437
『高嶺の花にはトゲがある(4)』
しおりを挟む
『高嶺の花にはトゲがある(4)』
私は取り乱している事を悟られないように、つとめて平静を装う。
「いえ、何でもないわ。うん、それで、その条件というのはどういうもの?」
「前提として、彼には絶対服従です」
「……ええと、それは金銭的な話かしら?」
今回の話は、いわゆる姉活的な話だろうか。
であれば話は早い。
その彼自身を紹介してもらえるのか、またはその彼を介して別の子を紹介してもらうための紹介料なのかはともかく、金銭で始まる関係なら交渉による条件もつけやすいし、ご破算となった時も女性側が一方的に迫ったなど、えん罪に問われることも少ないから。
けれど春日井さんは首を横に振る。
「お金の話はきっと出ません。彼とうまくいくかどうかは、すべて会長自身の努力によります」
「……どういう事?」
「例えばですが」
春日井さんはスマホを取り出して、何度かフリック操作した後、私にその画面を見せる。
そこに映っているのはデジタルデータのマンガだ。
ただし、青年向けのけっこうエグい内容。
少し読み進めただけで内容が把握できる、というか思い出した。
オラオラ気質だけど淫乱なイケメンが何人ものセフレを囲って、それをペットのように扱うエッチなマンガ。
コンビニで少しだけ、ほんとの少しだけ立ち読みした事のあるマンガだった。
「え、ええと、これは?」
「こちらは『鬼畜天使』というマンガで、天使のようなイケメンが実はサド気質で、女をモノのように扱い、ペットと称して連れましたりする作品です」
「そ、そうなの。春日井さん、こういったものが好きなのね?」
「そうですね。商業誌の中では」
「商業誌?」
「さて。会長」
春日井さんが居住まいを正して、私に向きあう。
「ここからは仮定の話、あくまで仮のお話として聞いてください」
「え、ええ」
つまり、本当の話だけれど他言はするな、という意味かしらね。
けれど男性が関係する話だし、慎重になるのは当然か。
「もしこんなマンガに出てくるような男性が本当にいたらどうしますか?」
「え?」
こんな男性? こんな特殊な性癖の女の欲望を煮詰めたような趣味の?
「そんな男の人、いるわけ……」
「ですから、あくまで仮の話です。もしこんな男性がいて。何でも言う事を聞けばセフレにしてやる、孕ませてやる、と言われたとしたら、会長はどう返事をしますか?」
「そ、そんな事……」
ずい、と春日井さんが机に手をついて、私の顔を正面からのぞきこむ。
「誤解しないでくださいね。私は会長の趣味嗜好をお聞きしているわけではないんです」
春日井さんの目は、私を値踏みするようなものに変わっている。
「私も紹介する立場である以上、彼の機嫌を損ねるような方を紹介するわけにはいきません。それを踏まえて、改めてお伺いします。もし、そういう男性がいて、体を求められる状況になった時、会長は彼からの欲望を受け入れ、女のプライドを捨てて、男性の下になる事を許容できますか??」
春日井さんの言葉や態度にからかっているような気配はない。
まさか本当にそんな男性がいるんだろうか。
いや、いるんだろう。
春日井さんのさきほどのセフレという言葉も聞き間違いではなかった。
ただ、普段の彼女からは想像もできない話や言葉に、私の脳が追い付いていないだけだ。
けれど、もしこれが全て本当の話だったら?
私はゴクリとノドをならした。
祖母や母が求めるような交際ではないかもしれないけれど……肉体関係、さらには妊活への交渉も期待できる相手とこの先、何度出会える?
相手の年や素性はわからない。
けれど、まるで天から降ってきたようなチャンスには違いない。
私は春日井さんに対して、ハッキリと告げた。
「ええ。私は何を求められてもそれを受け入れるわ」
と、そう言ったものの。
例のエッチなマンガを思い出すと少しだけ腰が引けてしまって言葉を付けたした。
「け、けどね? あまり痛いものとか、ケガをしそうな危ない事は、その、ね? そのあたり、どうかしら? 春日井さんは、そういうおつきあいをしているのよね?」
私はそう、春日井さんにたずねかける。
この真面目で誠実だと思っていた後輩は、果たして私よりどれほど先にいるのだろうか。
私は取り乱している事を悟られないように、つとめて平静を装う。
「いえ、何でもないわ。うん、それで、その条件というのはどういうもの?」
「前提として、彼には絶対服従です」
「……ええと、それは金銭的な話かしら?」
今回の話は、いわゆる姉活的な話だろうか。
であれば話は早い。
その彼自身を紹介してもらえるのか、またはその彼を介して別の子を紹介してもらうための紹介料なのかはともかく、金銭で始まる関係なら交渉による条件もつけやすいし、ご破算となった時も女性側が一方的に迫ったなど、えん罪に問われることも少ないから。
けれど春日井さんは首を横に振る。
「お金の話はきっと出ません。彼とうまくいくかどうかは、すべて会長自身の努力によります」
「……どういう事?」
「例えばですが」
春日井さんはスマホを取り出して、何度かフリック操作した後、私にその画面を見せる。
そこに映っているのはデジタルデータのマンガだ。
ただし、青年向けのけっこうエグい内容。
少し読み進めただけで内容が把握できる、というか思い出した。
オラオラ気質だけど淫乱なイケメンが何人ものセフレを囲って、それをペットのように扱うエッチなマンガ。
コンビニで少しだけ、ほんとの少しだけ立ち読みした事のあるマンガだった。
「え、ええと、これは?」
「こちらは『鬼畜天使』というマンガで、天使のようなイケメンが実はサド気質で、女をモノのように扱い、ペットと称して連れましたりする作品です」
「そ、そうなの。春日井さん、こういったものが好きなのね?」
「そうですね。商業誌の中では」
「商業誌?」
「さて。会長」
春日井さんが居住まいを正して、私に向きあう。
「ここからは仮定の話、あくまで仮のお話として聞いてください」
「え、ええ」
つまり、本当の話だけれど他言はするな、という意味かしらね。
けれど男性が関係する話だし、慎重になるのは当然か。
「もしこんなマンガに出てくるような男性が本当にいたらどうしますか?」
「え?」
こんな男性? こんな特殊な性癖の女の欲望を煮詰めたような趣味の?
「そんな男の人、いるわけ……」
「ですから、あくまで仮の話です。もしこんな男性がいて。何でも言う事を聞けばセフレにしてやる、孕ませてやる、と言われたとしたら、会長はどう返事をしますか?」
「そ、そんな事……」
ずい、と春日井さんが机に手をついて、私の顔を正面からのぞきこむ。
「誤解しないでくださいね。私は会長の趣味嗜好をお聞きしているわけではないんです」
春日井さんの目は、私を値踏みするようなものに変わっている。
「私も紹介する立場である以上、彼の機嫌を損ねるような方を紹介するわけにはいきません。それを踏まえて、改めてお伺いします。もし、そういう男性がいて、体を求められる状況になった時、会長は彼からの欲望を受け入れ、女のプライドを捨てて、男性の下になる事を許容できますか??」
春日井さんの言葉や態度にからかっているような気配はない。
まさか本当にそんな男性がいるんだろうか。
いや、いるんだろう。
春日井さんのさきほどのセフレという言葉も聞き間違いではなかった。
ただ、普段の彼女からは想像もできない話や言葉に、私の脳が追い付いていないだけだ。
けれど、もしこれが全て本当の話だったら?
私はゴクリとノドをならした。
祖母や母が求めるような交際ではないかもしれないけれど……肉体関係、さらには妊活への交渉も期待できる相手とこの先、何度出会える?
相手の年や素性はわからない。
けれど、まるで天から降ってきたようなチャンスには違いない。
私は春日井さんに対して、ハッキリと告げた。
「ええ。私は何を求められてもそれを受け入れるわ」
と、そう言ったものの。
例のエッチなマンガを思い出すと少しだけ腰が引けてしまって言葉を付けたした。
「け、けどね? あまり痛いものとか、ケガをしそうな危ない事は、その、ね? そのあたり、どうかしら? 春日井さんは、そういうおつきあいをしているのよね?」
私はそう、春日井さんにたずねかける。
この真面目で誠実だと思っていた後輩は、果たして私よりどれほど先にいるのだろうか。
35
あなたにおすすめの小説
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる