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1. わたし達の関係性
1.2-1
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今日は疲れた。自分の部屋に入ると、制服のままベッドの上にダイブした。体育があったとか抜き打ちテストがあったわけでもない。むしろ考えごとができるだけの時間がたっぷりあった。
不運にも数学で午前中の授業は終了だった為、昼休み中はずっと岩本さんの質問攻めに遭っていた。だいたい女子は小さかれ大きかれどこかのグループに所属しているものだけれども、岩本さんは自由人であり、周りもそれを受け入れており、毎日色々なグループを渡り歩いている。だから今日の昼休みはわたしがいるグループの番だった、ただそれだけのこと。岩本さんが遥のことを根掘り葉掘り聞くものだから、同じグループの他のメンバにも遥の存在を知られてしまい、昼休み中ずっと拘束されてしまった。元凶となったあさはただ第三者として聞いているだけで、一度も救いの手を差し伸べてはくれなかった。
隣の家の窓から明かりが漏れる。わたしの部屋から見える窓は、遥のお兄ちゃんの部屋だ。数年前に彼が上京してからは滅多に電気が点くことはなかったのに。帰省しているのだろうか。あるいは遥のおばちゃんが掃除でもしているのだろうか。遥のことを思い出したせいか、無性に誰がいるのか気になった。もしかして遥かも。そんなことを考え、窓から頭を出して隣の家を見つめる。中からカーテンが引いてある為、誰がいるかどころか人影さえも見えない。
「こっ、ケコッコー」
“コケコッコー”ってなんだ。思わず口に出してしまった言葉に赤面する。慌ててカーテンを閉めて隠れようとした時に、向かい側の窓が開く音がした。恐る恐る確認すると、見覚えのある男の子が目の前にいた。
「久しぶり」
声をかけると相手は一瞬驚いた顔をした後に、「コケコッコーってさ」と訊いてきた。わたしは自ら「わたしだよ」と返事をしたが、内心はかなり恥ずかしかった。
「今度文化祭でモノマネするんだけどさ。ニワトリのモノマネ。似てたでしょ?」
モノマネなんて真っ赤な嘘だ。文化祭ではわたしのクラスは一番楽な休憩所をやる。机と椅子を並べて、ただ生徒や来場者にご自由に使ってくださいと教室を開放するだけだ。そもそもわたしはモノマネなんてするキャラでもないし、ニワトリのモノマネなんて生まれて初めてしたのだ。そんな嘘を遥は信じたのか、「似てたと言うか」と言葉を濁し、なにか考え始めた。
不運にも数学で午前中の授業は終了だった為、昼休み中はずっと岩本さんの質問攻めに遭っていた。だいたい女子は小さかれ大きかれどこかのグループに所属しているものだけれども、岩本さんは自由人であり、周りもそれを受け入れており、毎日色々なグループを渡り歩いている。だから今日の昼休みはわたしがいるグループの番だった、ただそれだけのこと。岩本さんが遥のことを根掘り葉掘り聞くものだから、同じグループの他のメンバにも遥の存在を知られてしまい、昼休み中ずっと拘束されてしまった。元凶となったあさはただ第三者として聞いているだけで、一度も救いの手を差し伸べてはくれなかった。
隣の家の窓から明かりが漏れる。わたしの部屋から見える窓は、遥のお兄ちゃんの部屋だ。数年前に彼が上京してからは滅多に電気が点くことはなかったのに。帰省しているのだろうか。あるいは遥のおばちゃんが掃除でもしているのだろうか。遥のことを思い出したせいか、無性に誰がいるのか気になった。もしかして遥かも。そんなことを考え、窓から頭を出して隣の家を見つめる。中からカーテンが引いてある為、誰がいるかどころか人影さえも見えない。
「こっ、ケコッコー」
“コケコッコー”ってなんだ。思わず口に出してしまった言葉に赤面する。慌ててカーテンを閉めて隠れようとした時に、向かい側の窓が開く音がした。恐る恐る確認すると、見覚えのある男の子が目の前にいた。
「久しぶり」
声をかけると相手は一瞬驚いた顔をした後に、「コケコッコーってさ」と訊いてきた。わたしは自ら「わたしだよ」と返事をしたが、内心はかなり恥ずかしかった。
「今度文化祭でモノマネするんだけどさ。ニワトリのモノマネ。似てたでしょ?」
モノマネなんて真っ赤な嘘だ。文化祭ではわたしのクラスは一番楽な休憩所をやる。机と椅子を並べて、ただ生徒や来場者にご自由に使ってくださいと教室を開放するだけだ。そもそもわたしはモノマネなんてするキャラでもないし、ニワトリのモノマネなんて生まれて初めてしたのだ。そんな嘘を遥は信じたのか、「似てたと言うか」と言葉を濁し、なにか考え始めた。
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