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本編
Casablanca~甘く切ない思い出~
Casablanca~甘く切ない思い出~
ドイツ・ミュンヘン国際空港。一人の日本人青年がトランジットルームでタブレットを操作しながら搭乗時間を待っている。
イタリア製の高級スーツに身を包んだその青年は日本人にしては珍しい190㎝近い長身にモデル顔負けの甘いマスク。鼻筋も通っていて、その切れ長の目に見惚れる女性は後を絶たない。すれ違いざまに女性に振り替えられることは日常茶飯事だ。
彼の名は一之瀬潤。
一之瀬キャピタル専務・一之瀬智の長男で一之瀬家の後継者候補である御曹司。だが、潤は『一之瀬家の御曹司』という呼び方が好きではない。何故なら、本来自分は一之瀬家を継ぐ立場にはなかったのだからだ。
潤の父・智は祖父・一之瀬源三郎の三男で末っ子である。本来ならサブのサブ。それが一変したのは長男である伯父・和也の出奔だ。ラグビーをやっていた上に護身術として格闘技を体得していた和也は『自身の体力の限界を知りたい』という理由でフランスに渡り、所謂『外国人部隊』に入隊してしまった。
だが、祖父・源一郎は『そのうち帰ってくるだろう』と暢気に構えていた。実際、和也は初期契約の5年を終えると外国人部隊を除隊した。この時点で誰もが【帰国するだろう】と思っていたのだが、そこは突拍子もない行動に出る和也。
イギリスのアスコット競馬場で知り合ったという日本人女性と結婚し、ルクセンブルグで『I.N.ファンド』という投資会社を設立し独立してしまう。
流石の源三郎もこれには慌てふためいたが、後の祭り。全く戻る気配のない長男・和也を諦めるよりほかなかった。結果、次男・翔を後継者とし、三男の智にはその補佐役を言い渡した。そして時は流れ、翔の一人娘・雫と智の長男である潤が次期後継者候補として名が上がることとなったのである。
とはいえ、あくまでも『後継者候補』でしかない潤は従兄の雅紀の誘いもあって経営学や金融界を渡り歩くためのスキルを身に着けるためにその『I.N.ファンド』に身を置いている。それには過去のつらい別れにも原因があるのだが……。
潤はタブレットの電源を落とし窓の外を見る。外は晩秋の気配を漂わせていた。
「そういえば、真央とは秋を楽しんだことはなかったな……」
不意に別れた恋人のことを思い出して、潤はハッとなる。何故今になって彼女のことを思い出したのかわからず混乱する。だが、先日届いたメールを思い出し一人納得したのだった。
潤の元に届いたメール。それは元恋人と親友である従妹の雫が婚約したことを知らせるものだった。身内だけで婚約披露パーティーをするから帰国出来ないかとも記載されており、それに参加するために一時帰国を決めた。潤は心のどこかで元恋人に再会出来ると思ったのかもしれない。そう思うと苦笑せざるを得なかった。
別れた恋人、望月真央と出会ったのは高校の入学式。女子たちからの黄色い歓声に嫌気がさして一人になろうと歩いていたときのことだ。体育館脇にある桜を見上げる一人の女子生徒。その視線の先には一枚のハンカチが枝に引っかかっていた。彼女は必死に手を伸ばすが、どうやっても手が届かない。
(俺なら届きそうだな)
潤は彼女の後ろから近づきそっと手を伸ばす。長身の潤にとってハンカチの引っかかった枝は手の届く範囲だった。手に取ったそれはシンプルだが滑らかな手触りで上質なシルクを使われているのがわかる。赤い糸で【M】と刺繍がされていた。
「大切なもの?」
「はい。母が入学祝いにって買ってくれたもので……」
「そうだったんだ」
手渡すと嬉しそうにはにかんだ笑みを向ける少女。潤はその笑顔にドキリとする。少女は顔を赤らめて俯いてしまう。今まで自分の側に寄ってきた女性たちとは全く違う反応示す少女に潤はどう接して良いのかわからずドギマギする。なんとかして会話のきっかけを作ろうと口を開きかけたところで友人の呼ぶ声が耳に届く。
「一之瀬。何やってるんだよ!!」
「悪い、今行く!!」
潤は友人たちに返事をしてからもう一度少女に向き直る。彼女は何か言いたげにしていた。
「じゃ、俺、もう行くから……」
潤は後ろ髪を引かれる思いだったが、敢えて笑顔で少女に別れを告げる。そのときは軽く考えていた。同じ学校で同学年ならすぐに再会出来ると思っていたから。
まさか彼女との再会までそれから二年もかかろうとは思いも寄らなかった。
トランジットルームに搭乗時刻を知らせるアナウンスが流れる。視線を戻した潤は遠い記憶の彼方から現実へと意識を戻す。するとポケットに入れていたスマホがメッセージの着信を告げる。それは雅紀からのものだった。
『チャンスの女神は前髪しかないから、目を懲らして見逃すな!』
この言葉で従兄が何を言いたいのかわかった。潤はスマホの電源を落とし再びポケットにしまう。確固たる決意と共に……。
十三時間後、成田に降り立った潤は妹・明日香に電話をかける。だが、電話口の明日香はどういうわけか慌てている。
「明日香?」
『あぁ、もう!!』
「どうした?」
『お兄ちゃんってどうして……』
「何かあったのか?」
『ごめん!!』
「いきなりなんだ」
『今、トルコから大事なお客さんきてて席を外せないの』
「だから?」
『申し訳ない。今夜はホテルに泊まって!!』
「はぁ?」
『成田の近くに定宿にしてるホテルがあるでしょ?あそこなら宿泊代はウチに回してくれるから』
「お、おい!!」
『佳織さんが呼んでるからもう切るね』
「明日香!!」
『ツーッ、ツーッ、ツーッ……』
潤は信じられない気持ちで画面を呆然と見つめる。最早ため息しか出てこない。だが、【捨てる神あれば拾う神あり】という諺にある通り悪いことばかりではない。それは新たに届いたメッセージのおかげだった。
差出人は高校時代の先輩・雨水顕政。潤にとってこれほど心強い人はいない。すぐに連絡を取ると【東京駅で会おう】と返事を貰い、キャリーバッグを引きながら駅に向かうのだった。
東京駅・丸の内北口。レンガ駅舎が開業当時の姿を取り戻したこの場所は観光客で賑わっている。
(随分と変わったものだな……)
潤は様変わりした駅のロータリーを見回す。その変わりように自分が離れていた時の長さを思い知らされる。胸を締め付けられるような感覚に襲われ思わず拳を握りしめる。
「潤!!」
自分の名を呼ばれ、顔を上げる。そこには懐かしい先輩の姿があった。
雨水顕政。高校・大学と常に自分を導いてくれた先輩で様々な相談に乗って貰った相手。どんなときも手を差し伸べてくれた顕政は今回も快く自分を迎え入れてくれる。車を出してくれた上に自宅に泊めてくれてくれるというのだ。
「急なことで申し訳ありません」
「そんなかしこまることもないだろ」
「先輩……」
「らしくない」
「そうですか?」
「まぁいい。乗れ」
荷物をトランクに収めた顕政に促されて車に乗る。
「しかし、【一之瀬家の御曹司】が随分雑な扱いを受けたものだな」
その言葉に潤は眉根を寄せる。その顔をからかうように笑う顕政。ひとしきり笑ったあとは優しい目で自分を見ていることに肩をすくめるのだった。
「相変わらずその呼び名が嫌いか?」
「ええ、嫌いですよ」
「はっきり言うじゃないか」
「事実、後継者としては雫の方が一歩リードしてます。それに比べて俺は……」
「潤……」
「知ってますか? あいつ、この夏婚約したんですよ」
「香港の貿易会社の専務だったか。先日連絡を貰ったよ」
「しかも、今回日本支社を立ち上げてそこの支社長になるそうです」
「それはまた……」
「俺は漸く一人で営業で回るようになったばかりのひよっこですよ」
潤は肩をすくめ自嘲気味に笑う。それを少し悲しげに見つめる顕政はどう声をかけるべきか迷う。
「元々、一之瀬は俺が継ぐべきものじゃない。だから、後継者候補だと言われても迷惑なだけです」
「潤……」
「そのせいで、真央は俺の前からいなくなった」
潤の声が悲しみを含み小さくなっていく。そして、窓の外の夕闇に沈む東京の街並みを何とはなしに見ている。顕政はチラリと見える潤の瞳に後悔の色を見て取り、話題を切り替える。勿論、明るく話しかけることも忘れない。
「潤、酒は飲めるようになったのか?」
「何ですか、藪から棒に……」
「お前が回ってるのはドイツだろう?ドイツといえばビールじゃないか」
「そうですね」
「で、どうなんだ?」
「嗜む程度には飲めるようになれましたよ」
「そうか。なら今夜は飲みに行くか」
「え?」
「勿論俺の奢りだ」
「そういうことなら……」
潤は顕政の優しさを感じる。過去にとらわれている自分を励まそうとしてくれている。その心遣いを無視出来るほど非情ではない。だから、この提案に二つ返事で答えたのだった。その先に止まった歯車が再び動き始めるとは知らずに……。
ドイツ・ミュンヘン国際空港。一人の日本人青年がトランジットルームでタブレットを操作しながら搭乗時間を待っている。
イタリア製の高級スーツに身を包んだその青年は日本人にしては珍しい190㎝近い長身にモデル顔負けの甘いマスク。鼻筋も通っていて、その切れ長の目に見惚れる女性は後を絶たない。すれ違いざまに女性に振り替えられることは日常茶飯事だ。
彼の名は一之瀬潤。
一之瀬キャピタル専務・一之瀬智の長男で一之瀬家の後継者候補である御曹司。だが、潤は『一之瀬家の御曹司』という呼び方が好きではない。何故なら、本来自分は一之瀬家を継ぐ立場にはなかったのだからだ。
潤の父・智は祖父・一之瀬源三郎の三男で末っ子である。本来ならサブのサブ。それが一変したのは長男である伯父・和也の出奔だ。ラグビーをやっていた上に護身術として格闘技を体得していた和也は『自身の体力の限界を知りたい』という理由でフランスに渡り、所謂『外国人部隊』に入隊してしまった。
だが、祖父・源一郎は『そのうち帰ってくるだろう』と暢気に構えていた。実際、和也は初期契約の5年を終えると外国人部隊を除隊した。この時点で誰もが【帰国するだろう】と思っていたのだが、そこは突拍子もない行動に出る和也。
イギリスのアスコット競馬場で知り合ったという日本人女性と結婚し、ルクセンブルグで『I.N.ファンド』という投資会社を設立し独立してしまう。
流石の源三郎もこれには慌てふためいたが、後の祭り。全く戻る気配のない長男・和也を諦めるよりほかなかった。結果、次男・翔を後継者とし、三男の智にはその補佐役を言い渡した。そして時は流れ、翔の一人娘・雫と智の長男である潤が次期後継者候補として名が上がることとなったのである。
とはいえ、あくまでも『後継者候補』でしかない潤は従兄の雅紀の誘いもあって経営学や金融界を渡り歩くためのスキルを身に着けるためにその『I.N.ファンド』に身を置いている。それには過去のつらい別れにも原因があるのだが……。
潤はタブレットの電源を落とし窓の外を見る。外は晩秋の気配を漂わせていた。
「そういえば、真央とは秋を楽しんだことはなかったな……」
不意に別れた恋人のことを思い出して、潤はハッとなる。何故今になって彼女のことを思い出したのかわからず混乱する。だが、先日届いたメールを思い出し一人納得したのだった。
潤の元に届いたメール。それは元恋人と親友である従妹の雫が婚約したことを知らせるものだった。身内だけで婚約披露パーティーをするから帰国出来ないかとも記載されており、それに参加するために一時帰国を決めた。潤は心のどこかで元恋人に再会出来ると思ったのかもしれない。そう思うと苦笑せざるを得なかった。
別れた恋人、望月真央と出会ったのは高校の入学式。女子たちからの黄色い歓声に嫌気がさして一人になろうと歩いていたときのことだ。体育館脇にある桜を見上げる一人の女子生徒。その視線の先には一枚のハンカチが枝に引っかかっていた。彼女は必死に手を伸ばすが、どうやっても手が届かない。
(俺なら届きそうだな)
潤は彼女の後ろから近づきそっと手を伸ばす。長身の潤にとってハンカチの引っかかった枝は手の届く範囲だった。手に取ったそれはシンプルだが滑らかな手触りで上質なシルクを使われているのがわかる。赤い糸で【M】と刺繍がされていた。
「大切なもの?」
「はい。母が入学祝いにって買ってくれたもので……」
「そうだったんだ」
手渡すと嬉しそうにはにかんだ笑みを向ける少女。潤はその笑顔にドキリとする。少女は顔を赤らめて俯いてしまう。今まで自分の側に寄ってきた女性たちとは全く違う反応示す少女に潤はどう接して良いのかわからずドギマギする。なんとかして会話のきっかけを作ろうと口を開きかけたところで友人の呼ぶ声が耳に届く。
「一之瀬。何やってるんだよ!!」
「悪い、今行く!!」
潤は友人たちに返事をしてからもう一度少女に向き直る。彼女は何か言いたげにしていた。
「じゃ、俺、もう行くから……」
潤は後ろ髪を引かれる思いだったが、敢えて笑顔で少女に別れを告げる。そのときは軽く考えていた。同じ学校で同学年ならすぐに再会出来ると思っていたから。
まさか彼女との再会までそれから二年もかかろうとは思いも寄らなかった。
トランジットルームに搭乗時刻を知らせるアナウンスが流れる。視線を戻した潤は遠い記憶の彼方から現実へと意識を戻す。するとポケットに入れていたスマホがメッセージの着信を告げる。それは雅紀からのものだった。
『チャンスの女神は前髪しかないから、目を懲らして見逃すな!』
この言葉で従兄が何を言いたいのかわかった。潤はスマホの電源を落とし再びポケットにしまう。確固たる決意と共に……。
十三時間後、成田に降り立った潤は妹・明日香に電話をかける。だが、電話口の明日香はどういうわけか慌てている。
「明日香?」
『あぁ、もう!!』
「どうした?」
『お兄ちゃんってどうして……』
「何かあったのか?」
『ごめん!!』
「いきなりなんだ」
『今、トルコから大事なお客さんきてて席を外せないの』
「だから?」
『申し訳ない。今夜はホテルに泊まって!!』
「はぁ?」
『成田の近くに定宿にしてるホテルがあるでしょ?あそこなら宿泊代はウチに回してくれるから』
「お、おい!!」
『佳織さんが呼んでるからもう切るね』
「明日香!!」
『ツーッ、ツーッ、ツーッ……』
潤は信じられない気持ちで画面を呆然と見つめる。最早ため息しか出てこない。だが、【捨てる神あれば拾う神あり】という諺にある通り悪いことばかりではない。それは新たに届いたメッセージのおかげだった。
差出人は高校時代の先輩・雨水顕政。潤にとってこれほど心強い人はいない。すぐに連絡を取ると【東京駅で会おう】と返事を貰い、キャリーバッグを引きながら駅に向かうのだった。
東京駅・丸の内北口。レンガ駅舎が開業当時の姿を取り戻したこの場所は観光客で賑わっている。
(随分と変わったものだな……)
潤は様変わりした駅のロータリーを見回す。その変わりように自分が離れていた時の長さを思い知らされる。胸を締め付けられるような感覚に襲われ思わず拳を握りしめる。
「潤!!」
自分の名を呼ばれ、顔を上げる。そこには懐かしい先輩の姿があった。
雨水顕政。高校・大学と常に自分を導いてくれた先輩で様々な相談に乗って貰った相手。どんなときも手を差し伸べてくれた顕政は今回も快く自分を迎え入れてくれる。車を出してくれた上に自宅に泊めてくれてくれるというのだ。
「急なことで申し訳ありません」
「そんなかしこまることもないだろ」
「先輩……」
「らしくない」
「そうですか?」
「まぁいい。乗れ」
荷物をトランクに収めた顕政に促されて車に乗る。
「しかし、【一之瀬家の御曹司】が随分雑な扱いを受けたものだな」
その言葉に潤は眉根を寄せる。その顔をからかうように笑う顕政。ひとしきり笑ったあとは優しい目で自分を見ていることに肩をすくめるのだった。
「相変わらずその呼び名が嫌いか?」
「ええ、嫌いですよ」
「はっきり言うじゃないか」
「事実、後継者としては雫の方が一歩リードしてます。それに比べて俺は……」
「潤……」
「知ってますか? あいつ、この夏婚約したんですよ」
「香港の貿易会社の専務だったか。先日連絡を貰ったよ」
「しかも、今回日本支社を立ち上げてそこの支社長になるそうです」
「それはまた……」
「俺は漸く一人で営業で回るようになったばかりのひよっこですよ」
潤は肩をすくめ自嘲気味に笑う。それを少し悲しげに見つめる顕政はどう声をかけるべきか迷う。
「元々、一之瀬は俺が継ぐべきものじゃない。だから、後継者候補だと言われても迷惑なだけです」
「潤……」
「そのせいで、真央は俺の前からいなくなった」
潤の声が悲しみを含み小さくなっていく。そして、窓の外の夕闇に沈む東京の街並みを何とはなしに見ている。顕政はチラリと見える潤の瞳に後悔の色を見て取り、話題を切り替える。勿論、明るく話しかけることも忘れない。
「潤、酒は飲めるようになったのか?」
「何ですか、藪から棒に……」
「お前が回ってるのはドイツだろう?ドイツといえばビールじゃないか」
「そうですね」
「で、どうなんだ?」
「嗜む程度には飲めるようになれましたよ」
「そうか。なら今夜は飲みに行くか」
「え?」
「勿論俺の奢りだ」
「そういうことなら……」
潤は顕政の優しさを感じる。過去にとらわれている自分を励まそうとしてくれている。その心遣いを無視出来るほど非情ではない。だから、この提案に二つ返事で答えたのだった。その先に止まった歯車が再び動き始めるとは知らずに……。
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