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日常編
第4話
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オークを倒すと言う無謀な依頼を奇跡的に達成した数日後。
その戦闘で負った怪我も完全に回復した俺は、その事をレミィたんに報告するためにふらっとギルドに寄った。
「レミィたん。おはよう」
「おはよう」
レミィたんは相変わらずその無表情に近い顔で俺に返事を返す。
初対面の人から見ればそっけない感じに写ってしまうレベルの表情だが俺にはわかる。
微かに緩んでいる口元、半開で一見やる気ない感じだがしっかりと俺の事を見据えているその栗目。
その表情から見て、レミィたんは今機嫌が良い事が垣間見れる。
うん、やっぱり俺はレミィたんのこの表情がレミィたんランキングの中でもかなり上位の方に入ってくる。
ちなみに、レミィたんランキング、略してレミラン。
これは日常の生活の中において、レミィたんがみせるあらゆる事をランキング化したものである。
表情、ちょっとした仕草、言動といったことある前に俺は毎回ランキングを付けてきた。
この五年間でランキングは既に三桁まで達している。
キモイとか言うなよ?
俺も結構自覚してるとこあるから。
俺がニンマリとレミィたんの事を見ていると、レミィたんは不機嫌そうな表情をする。
「なによ」
「いいや、別に。なんでもない。ただ、一週間ぶりのレミィたんはサイコーだなと思ってね」
「はぁ?いきなりなによ。バカじゃないの?病み上がりで頭おかしくなっちゃったみたいね」
レミィたんはため息を吐いた。
あぁ、いつものレミィたんだ。
数日いないだけでこんなにも新鮮に感じるのか。
「やだなぁレミィたん。俺の頭はいたって正常だよ?」
「‥‥‥うるさいわよ。それで?体の方は大丈夫なの?」
「全然平気。もう何ともない」
俺はその場で跳ねて見せた。
ドスンッと重みのある音がして、少し離れた場所にあるテーブルの上に置いてある食器がカシャンッと少しずれた。
「此処で跳ねるのやめて。あなたの重さだと床が抜けちゃうかもしれないわ。もう少し自分がデブだと言う事に自覚を持つ事ね」
「ひ、否定はしない。でもレミィたん。俺はデブはデブでも動けるデブなんだ!!」
「‥‥‥でもまぁ、元気そうね。まったく。あの時はビックリしたわ。オーク討伐の依頼達成で喜んだのも束の間、ギルドから出る直前に倒れるんだから。よくあんな大怪我で帰って来れたわね。貴方が飄々としてるから気付くのが遅れたわ。」
「さっきから間が気になるけど。でも本当、俺も何で此処まで来れたのか不思議だよ。ギルドに来るまでは痛みとか無かったのにレミィたん見て話してたら痛みが出てきて、気付いたら倒れてた。多分オークを初めて倒して気分が高揚してたのかな?」
本当に何でギルドまで歩いて来れたんだろうね。
オークを倒した(正攻法ではなかったけど)ことがよほど嬉しくたってあそこまで歩けるほど足の状態は良くなかったはずだ。
倒れる前に感じた右足首の猛烈な痛みは骨折していたのに無理に歩いて来たのが原因だったし、その痛みは最初からあったんだろうけど結局は倒れる直前まできずかなかった。
痛みに鈍感なお陰で今回は人がいる場所まで歩いてこれたわけだが。
あれ以上骨折した状態で歩いてたら、右足首の骨がボロボロになってた上にもう歩けなくなってしまっていたと医療施設の人に言われたときには背筋に嫌な汗が伝った。
「本当にレミィたんの回復魔法助かったよ」
「凄く危なかったわ。私が魔法を使わなかったら全身の痛みに耐えきれずにショック死してたかも知れないのよ」
憶測だが俺が倒れてから医療所につれていくまでに、ある程度時間がかかったと思う。
何せこの図体なんで。
当然重いし意識がないのだ。
脱力した状態のデブを運ぶとなるとかなりの人手が必要だったのではないだろうか。
当然その間に何か治療行為を受けてなければ、痛みに耐えきれずにショック死するだろう。
俺が気絶したのは死ぬ前段階だろうから、痛みに耐えきれなくなり意識がなくなった。
レミィたんの回復魔法がなかったら今頃どうなっていたのか分からない。
「やっぱりレミィたんの回復魔法は凄いね。あれだけ痛かった足も元通りだし、身体中の傷もすっかり無くなったよ」
「別に、これぐらい普通よ」
「そういえば回復魔法って扱える人が少ないんだよね?」
「そうみたいね」
俺もあまり詳しくは知らないが例の、ジジィから薦められて買った魔法書にもそんな事が書いてあった。
なんでも回復魔法は他の魔法と違い才能の部類に入る為、努力じゃどうにもならないんだと。
だから回復魔法を使える人はごく僅かで、初級でも使えればギルドでパーティを作るにあたって困る心配はない。
そのぐらい回復魔法と言うやつは非常に珍しい。
だからふと思うんだよな。
その貴重な回復魔法を使える人がなんでこんな小さい町でギルドの受付嬢なんかしてるのか。
何か理由がありそうだから昔からちょくちょく話題に出すが、レミィたん本人があまり言いたくなさそうだし、無理に聞こうとは思ってないからその話には極力触れないようにしている。
「凄いわレミィたんは、才能があって」
「別に。才能があったって何も変わらないわよ。全然凄くないし」
そうかな?
少なくとも仕事の幅は増えるし、こんな田舎で受付嬢なんかするよりも絶対良いと思うけどな。
俺がその旨を伝えると、レミィたんは『そういう事じゃなわよ』と言った。
どういう事なんだ?
まぁ、才能を持った事がない俺にはわからない事かもしれないな。
「それで?今日はギルドに何しに来たの?」
「いや、別に。病み上がりだからリハビリがてら外を散歩してたらレミィたんの顔が見たくなったからそれで来ただけだよ」
流石に今日は依頼を受ける気にはならない。
まぁ、オークを倒して懐もあったまったとこだし今日は行きつけの酒場にでも行こうかな。
「じゃあ、それだけだから、レミィたんも仕事頑張って」
「えぇ、あなたも完治したからってあまりはしゃぎすぎないでね。じゃあ、またね」
半眼で俺の事を見据えるレミィたんはそう言うと自分の仕事に戻る。
昼時で多くの冒険者が行き来するギルドを出ると、俺は行きつけの酒場に向かった。
◆◇◆◇◆◇
街の中央にある噴水のある広場から路地裏を進んで、少し行った所にあるのが俺がちょくちょく行く酒場だ。
当然だけどこんな所に建ってるから人の入りは少ないし、街の中央通りに建ってる酒場より全然活気がない。
だけど俺にとって逆にいい。
この場所を知ってるのが少ないせいか来る人は決まって顔見知りだ。
俺がこの場所を知って数ヶ月経つと、常連の人と顔見知りになって、五年も通ってると来る人全員が顔馴染みだ。
今じゃあすっかり此処は俺の隠れ家的な場所になっている。
「おぉ!フドルじゃないか。久しぶりだな!」
俺が酒場の扉を開けるとカウンター席に見慣れた顔が一つ、俺が入るやいなや大声を上げた。
「シエラか。元気にしてたか?」
声を上げたのは赤く艶のある髪の毛が腰まで伸びていて、凛とした顔立ちをした人物だ。
彼女はシエラ・ビビッドと言って、王国の騎士団に所属している。
彼女は遠征の帰りにこの街に立ち寄り、偶々この場所を見つけて以来、暇を見つけると度々この場所に来ている。
俺が彼女と出会ってからは騎士団の話もとい愚痴を俺に語るようになった。
だが最近は俺の懐事情で来れない日が続いてたため彼女に会うのは実に数週間ぶりか。
「あぁ、元気だ。最近は騎士団が出る場面が減ってるからな、私も暇でしょうがない」
「まぁ、騎士団が動かないってのは平和の証拠だしいい事だろ」
「それもそうだ。それより聞いてくれよぉ、この前私の部下がなぁーーーー」
はい、出た。
シエラの幼女モード。
凛とした顔立ちや口調のせいか凄いちゃんとしてるイメージあるけどこうなったらただの子供となんら変わりはない。
俺に愚痴る時はすぐこうなるから手が付けられねぇ。
「それでなぁ、私が仕事をサボっている部下に注意したんだ。そしたらなぁ、女のくせにって言って凄い見下して来るんだぞ。ビドイと思わないかぁ?」
「そうだな。ひどいなそれは」
相変わらずスライムメンタルだなシエラは。
本当にメンタルが弱すぎる。
これ、大丈夫なのか?
騎士団で機能してるのかが心配になって来るレベルだ。
「なんで私が部下にモノを言われなくてはならんのだ。私の方がお前らより偉いんだぞ!」
「あー、そうだな。えらいえらい」
俺はいつもの様に流しながらシエラの話を聞く。
バタバタさせる足が俺の脛に当たって凄く痛いんだけど、シエラは気付いてやってるの?
まぁ、百歩譲ってそれはいいとして。
腹減った。
何か注文しよう。
「そろそろ、話を一旦切り上げて何か注文しない?」
「あぁ、いいぞ。マスター、注文いいか?」
シエラがそう呼ぶと、奥の厨房から白髪の優しそうなおじいさんが出て来た。
彼はこの店の店主で、内装がバーみたいになってるためいつしか店主じゃこの店の雰囲気に合わないという事でマスターになった。
「フドルくんじゃないですか。久しぶりですね。最近パタリと来なくなったので心配しましたよ」
「実はボッタクリに遭いまして。金欠になっちゃったんですよね。それで最近まで金がなかったので来れなかったんですよ」
「そうですか、それは災難でしたね。でもここに来たという事は収入があったんですね」
「まぁ、ちょっとオークを数体程屠りましてこの通り、結構な収入が入りました」
俺はそこそこ膨れた巾着袋をマスターに見せた。
そしたら向かいのシエラが微笑んで『今日はフドルの奢りだな』と世迷言を述べていたが取り敢えず無視。
「今日はこのお腹に容量ギリギリまで食べ物を詰め込もうと思うのでよろしくお願いします」
「お前、これ以上太ったら家畜になるぞ?」
「フレデさん。俺は人なので家畜にはなりませんよ。それと傷つくのでそういう事言うのやめましょうね」
「フ、フドル。なんか怖い」
と、まぁそんなやり取りを経てそれぞれ注文し終わった俺はまたフレデの愚痴を聞く。
今日は長くなりそうだと、フレデの様子から察した俺はフレデの愚痴に耳を傾けながら笑みを浮かべる。
フレデは一層激しく幼児化していくのであった。
その戦闘で負った怪我も完全に回復した俺は、その事をレミィたんに報告するためにふらっとギルドに寄った。
「レミィたん。おはよう」
「おはよう」
レミィたんは相変わらずその無表情に近い顔で俺に返事を返す。
初対面の人から見ればそっけない感じに写ってしまうレベルの表情だが俺にはわかる。
微かに緩んでいる口元、半開で一見やる気ない感じだがしっかりと俺の事を見据えているその栗目。
その表情から見て、レミィたんは今機嫌が良い事が垣間見れる。
うん、やっぱり俺はレミィたんのこの表情がレミィたんランキングの中でもかなり上位の方に入ってくる。
ちなみに、レミィたんランキング、略してレミラン。
これは日常の生活の中において、レミィたんがみせるあらゆる事をランキング化したものである。
表情、ちょっとした仕草、言動といったことある前に俺は毎回ランキングを付けてきた。
この五年間でランキングは既に三桁まで達している。
キモイとか言うなよ?
俺も結構自覚してるとこあるから。
俺がニンマリとレミィたんの事を見ていると、レミィたんは不機嫌そうな表情をする。
「なによ」
「いいや、別に。なんでもない。ただ、一週間ぶりのレミィたんはサイコーだなと思ってね」
「はぁ?いきなりなによ。バカじゃないの?病み上がりで頭おかしくなっちゃったみたいね」
レミィたんはため息を吐いた。
あぁ、いつものレミィたんだ。
数日いないだけでこんなにも新鮮に感じるのか。
「やだなぁレミィたん。俺の頭はいたって正常だよ?」
「‥‥‥うるさいわよ。それで?体の方は大丈夫なの?」
「全然平気。もう何ともない」
俺はその場で跳ねて見せた。
ドスンッと重みのある音がして、少し離れた場所にあるテーブルの上に置いてある食器がカシャンッと少しずれた。
「此処で跳ねるのやめて。あなたの重さだと床が抜けちゃうかもしれないわ。もう少し自分がデブだと言う事に自覚を持つ事ね」
「ひ、否定はしない。でもレミィたん。俺はデブはデブでも動けるデブなんだ!!」
「‥‥‥でもまぁ、元気そうね。まったく。あの時はビックリしたわ。オーク討伐の依頼達成で喜んだのも束の間、ギルドから出る直前に倒れるんだから。よくあんな大怪我で帰って来れたわね。貴方が飄々としてるから気付くのが遅れたわ。」
「さっきから間が気になるけど。でも本当、俺も何で此処まで来れたのか不思議だよ。ギルドに来るまでは痛みとか無かったのにレミィたん見て話してたら痛みが出てきて、気付いたら倒れてた。多分オークを初めて倒して気分が高揚してたのかな?」
本当に何でギルドまで歩いて来れたんだろうね。
オークを倒した(正攻法ではなかったけど)ことがよほど嬉しくたってあそこまで歩けるほど足の状態は良くなかったはずだ。
倒れる前に感じた右足首の猛烈な痛みは骨折していたのに無理に歩いて来たのが原因だったし、その痛みは最初からあったんだろうけど結局は倒れる直前まできずかなかった。
痛みに鈍感なお陰で今回は人がいる場所まで歩いてこれたわけだが。
あれ以上骨折した状態で歩いてたら、右足首の骨がボロボロになってた上にもう歩けなくなってしまっていたと医療施設の人に言われたときには背筋に嫌な汗が伝った。
「本当にレミィたんの回復魔法助かったよ」
「凄く危なかったわ。私が魔法を使わなかったら全身の痛みに耐えきれずにショック死してたかも知れないのよ」
憶測だが俺が倒れてから医療所につれていくまでに、ある程度時間がかかったと思う。
何せこの図体なんで。
当然重いし意識がないのだ。
脱力した状態のデブを運ぶとなるとかなりの人手が必要だったのではないだろうか。
当然その間に何か治療行為を受けてなければ、痛みに耐えきれずにショック死するだろう。
俺が気絶したのは死ぬ前段階だろうから、痛みに耐えきれなくなり意識がなくなった。
レミィたんの回復魔法がなかったら今頃どうなっていたのか分からない。
「やっぱりレミィたんの回復魔法は凄いね。あれだけ痛かった足も元通りだし、身体中の傷もすっかり無くなったよ」
「別に、これぐらい普通よ」
「そういえば回復魔法って扱える人が少ないんだよね?」
「そうみたいね」
俺もあまり詳しくは知らないが例の、ジジィから薦められて買った魔法書にもそんな事が書いてあった。
なんでも回復魔法は他の魔法と違い才能の部類に入る為、努力じゃどうにもならないんだと。
だから回復魔法を使える人はごく僅かで、初級でも使えればギルドでパーティを作るにあたって困る心配はない。
そのぐらい回復魔法と言うやつは非常に珍しい。
だからふと思うんだよな。
その貴重な回復魔法を使える人がなんでこんな小さい町でギルドの受付嬢なんかしてるのか。
何か理由がありそうだから昔からちょくちょく話題に出すが、レミィたん本人があまり言いたくなさそうだし、無理に聞こうとは思ってないからその話には極力触れないようにしている。
「凄いわレミィたんは、才能があって」
「別に。才能があったって何も変わらないわよ。全然凄くないし」
そうかな?
少なくとも仕事の幅は増えるし、こんな田舎で受付嬢なんかするよりも絶対良いと思うけどな。
俺がその旨を伝えると、レミィたんは『そういう事じゃなわよ』と言った。
どういう事なんだ?
まぁ、才能を持った事がない俺にはわからない事かもしれないな。
「それで?今日はギルドに何しに来たの?」
「いや、別に。病み上がりだからリハビリがてら外を散歩してたらレミィたんの顔が見たくなったからそれで来ただけだよ」
流石に今日は依頼を受ける気にはならない。
まぁ、オークを倒して懐もあったまったとこだし今日は行きつけの酒場にでも行こうかな。
「じゃあ、それだけだから、レミィたんも仕事頑張って」
「えぇ、あなたも完治したからってあまりはしゃぎすぎないでね。じゃあ、またね」
半眼で俺の事を見据えるレミィたんはそう言うと自分の仕事に戻る。
昼時で多くの冒険者が行き来するギルドを出ると、俺は行きつけの酒場に向かった。
◆◇◆◇◆◇
街の中央にある噴水のある広場から路地裏を進んで、少し行った所にあるのが俺がちょくちょく行く酒場だ。
当然だけどこんな所に建ってるから人の入りは少ないし、街の中央通りに建ってる酒場より全然活気がない。
だけど俺にとって逆にいい。
この場所を知ってるのが少ないせいか来る人は決まって顔見知りだ。
俺がこの場所を知って数ヶ月経つと、常連の人と顔見知りになって、五年も通ってると来る人全員が顔馴染みだ。
今じゃあすっかり此処は俺の隠れ家的な場所になっている。
「おぉ!フドルじゃないか。久しぶりだな!」
俺が酒場の扉を開けるとカウンター席に見慣れた顔が一つ、俺が入るやいなや大声を上げた。
「シエラか。元気にしてたか?」
声を上げたのは赤く艶のある髪の毛が腰まで伸びていて、凛とした顔立ちをした人物だ。
彼女はシエラ・ビビッドと言って、王国の騎士団に所属している。
彼女は遠征の帰りにこの街に立ち寄り、偶々この場所を見つけて以来、暇を見つけると度々この場所に来ている。
俺が彼女と出会ってからは騎士団の話もとい愚痴を俺に語るようになった。
だが最近は俺の懐事情で来れない日が続いてたため彼女に会うのは実に数週間ぶりか。
「あぁ、元気だ。最近は騎士団が出る場面が減ってるからな、私も暇でしょうがない」
「まぁ、騎士団が動かないってのは平和の証拠だしいい事だろ」
「それもそうだ。それより聞いてくれよぉ、この前私の部下がなぁーーーー」
はい、出た。
シエラの幼女モード。
凛とした顔立ちや口調のせいか凄いちゃんとしてるイメージあるけどこうなったらただの子供となんら変わりはない。
俺に愚痴る時はすぐこうなるから手が付けられねぇ。
「それでなぁ、私が仕事をサボっている部下に注意したんだ。そしたらなぁ、女のくせにって言って凄い見下して来るんだぞ。ビドイと思わないかぁ?」
「そうだな。ひどいなそれは」
相変わらずスライムメンタルだなシエラは。
本当にメンタルが弱すぎる。
これ、大丈夫なのか?
騎士団で機能してるのかが心配になって来るレベルだ。
「なんで私が部下にモノを言われなくてはならんのだ。私の方がお前らより偉いんだぞ!」
「あー、そうだな。えらいえらい」
俺はいつもの様に流しながらシエラの話を聞く。
バタバタさせる足が俺の脛に当たって凄く痛いんだけど、シエラは気付いてやってるの?
まぁ、百歩譲ってそれはいいとして。
腹減った。
何か注文しよう。
「そろそろ、話を一旦切り上げて何か注文しない?」
「あぁ、いいぞ。マスター、注文いいか?」
シエラがそう呼ぶと、奥の厨房から白髪の優しそうなおじいさんが出て来た。
彼はこの店の店主で、内装がバーみたいになってるためいつしか店主じゃこの店の雰囲気に合わないという事でマスターになった。
「フドルくんじゃないですか。久しぶりですね。最近パタリと来なくなったので心配しましたよ」
「実はボッタクリに遭いまして。金欠になっちゃったんですよね。それで最近まで金がなかったので来れなかったんですよ」
「そうですか、それは災難でしたね。でもここに来たという事は収入があったんですね」
「まぁ、ちょっとオークを数体程屠りましてこの通り、結構な収入が入りました」
俺はそこそこ膨れた巾着袋をマスターに見せた。
そしたら向かいのシエラが微笑んで『今日はフドルの奢りだな』と世迷言を述べていたが取り敢えず無視。
「今日はこのお腹に容量ギリギリまで食べ物を詰め込もうと思うのでよろしくお願いします」
「お前、これ以上太ったら家畜になるぞ?」
「フレデさん。俺は人なので家畜にはなりませんよ。それと傷つくのでそういう事言うのやめましょうね」
「フ、フドル。なんか怖い」
と、まぁそんなやり取りを経てそれぞれ注文し終わった俺はまたフレデの愚痴を聞く。
今日は長くなりそうだと、フレデの様子から察した俺はフレデの愚痴に耳を傾けながら笑みを浮かべる。
フレデは一層激しく幼児化していくのであった。
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僕も小説を書いているんですけどこんな風に僕の作品も生き生きと書こうと思いました。続き楽しみにしています。
お互い頑張りましょう
国文神 さだのぶ様。
感想ありがとうございます!
そんな風にいっていただけると執筆の励みになります。
今後ともよろしくお願いします!!