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3.初恋は実らない(1)
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今のところ私の唯一の転生仲間(という呼び方が正しいのか分からないが、私は彼に強い仲間意識を持っている)であるエルネストおじさまは、私が一番好きな大人だ。子どもの頃からずっとそうだったし、恥ずかしながら初恋の人でもある。
それは幼稚で淡い恋だったかもしれないが、私はおじさまと結ばれる日を本気で夢見ていた。憧れのエルネストおじさまが私と同じ転生者であり、しかも転生元の世界も同じという偶然は私にとっては僥倖であり、心の支えだった。それどころか私は
「こんな奇跡が起こるなんて、おじさまと私は結ばれる運命にあるのでは!?」
などというとち狂ったことを考えていたのだ。本当にどうしようもない。
しかし、言い訳をさせて欲しい。私がこれだけおじさまLOVEなのは、それだけの理由があるのだ。まず内面。温厚で物腰が柔らかく、私のような小娘のことも軽んじることなく一個人として尊重してくれる。そんな扱いを前世でも今世でも受けたことがなかった私にとって、それは舞い上がりそうになるほど嬉しいことだった。
その上おじさまは多趣味で博識、しかも何と見た目も超絶格好良かった。私の周囲にいるおじさまと同年代の男の人というのは、父も含めて全員見るからに
「おっさんでーす」
という感じだが、おじさまだけは若々しくて、でも渋くて、映画俳優みたいだった。私は自分のことを面食いだと思ったことはないが、その素晴らしく罪なルックスを含めておじさまが大好きであった。他にもキュンポイントはたくさんあるのだが、さしあたりこれだけ言えば前世含め恋愛経験皆無な小娘がコロッといってしまうのも無理は無いとご理解いただけたことだろう。
そう言えば、大切なことを言うのを忘れていた。おじさまおじさまと呼んではいるが、私たちの間柄は伯父と姪ではなく、もう少し遠い。エルネストおじさまは私の母のいとこに当たる人だ。住んでいる場所も離れているので普通ならそうそう顔を合わせる機会もないだろうが、おじさまは私の父とある事業を共同で行っている関係で、年に4、5回は一人息子のテオドールを連れて我が家に泊りがけで訪れていた。
おじさまは早くに奥様を亡くしていたが、その後再婚はしなかった。「妻を愛しているから」とおじさまは言った。そんなところに、私はますます胸をときめかせていた。
自分が、そしておじさまも転生者だということを知ったあの日のことは、一生忘れないだろう。
「エルネストおじさま、私は頭がどうかしてしまったのかもしれません」
おじさまにそう打ち明けた時、私の手は微かに震えていた。とても勇気が要ったが、誰か、自分より人生経験があって信頼できる誰かに話したかった。そして、その相手はおじさま以外に考えられなかった。親にはとても相談できなかった。
おじさまは真剣に話を聞いてくれた。以前から頻繁に感じる既視感、最近特によく見るようになった妙に鮮明な夢のこと。夢の内容は毎回少しずつ違うが、いつも同じ世界にいること。他にも色々なことを話した。私が言葉に詰まったり話が途切れても気長に待ってくれた。
なんとか話し終わった私に、おじさまは自分が転生者であると打ち明けてくれた。前にいた世界やそこでの暮らしのことも話してくれた。その時にはまだはっきりと思い出せなかったが、アメリカ合衆国という国の名前には聞き覚えがあった。驚く私に、おじさまは以前から私を見て
「もしかしたらこの子もそうではないか」
と薄々感じて様子を見ていたのだと教えてくれた。しかし、確信を持つまでには至らず行動が起こせなかったと。私は周囲から変な子だと思われるのを恐れて、おじさまに相談するまで妙な発言や素振りは微塵も表に出していないつもりだったのだが、どうして気づいたのだろうと不思議だったので聞いてみた。おじさまは少し笑って、「小さい頃から年の割に落ち着いていたし、妙に老成したところがあったからね」とだけ言った。
その日はたくさん話し、その後は頭痛がするほど考えた。そして私は結論を出した。私も転生者であることに間違いなさそうだと。その時はまだ、自分が転生者だということ自体は特に喜ばしいことだとも思えなかったし、むしろ気味悪くすら思えた。だから、一人じゃないということはとにかく心強かった。
それは幼稚で淡い恋だったかもしれないが、私はおじさまと結ばれる日を本気で夢見ていた。憧れのエルネストおじさまが私と同じ転生者であり、しかも転生元の世界も同じという偶然は私にとっては僥倖であり、心の支えだった。それどころか私は
「こんな奇跡が起こるなんて、おじさまと私は結ばれる運命にあるのでは!?」
などというとち狂ったことを考えていたのだ。本当にどうしようもない。
しかし、言い訳をさせて欲しい。私がこれだけおじさまLOVEなのは、それだけの理由があるのだ。まず内面。温厚で物腰が柔らかく、私のような小娘のことも軽んじることなく一個人として尊重してくれる。そんな扱いを前世でも今世でも受けたことがなかった私にとって、それは舞い上がりそうになるほど嬉しいことだった。
その上おじさまは多趣味で博識、しかも何と見た目も超絶格好良かった。私の周囲にいるおじさまと同年代の男の人というのは、父も含めて全員見るからに
「おっさんでーす」
という感じだが、おじさまだけは若々しくて、でも渋くて、映画俳優みたいだった。私は自分のことを面食いだと思ったことはないが、その素晴らしく罪なルックスを含めておじさまが大好きであった。他にもキュンポイントはたくさんあるのだが、さしあたりこれだけ言えば前世含め恋愛経験皆無な小娘がコロッといってしまうのも無理は無いとご理解いただけたことだろう。
そう言えば、大切なことを言うのを忘れていた。おじさまおじさまと呼んではいるが、私たちの間柄は伯父と姪ではなく、もう少し遠い。エルネストおじさまは私の母のいとこに当たる人だ。住んでいる場所も離れているので普通ならそうそう顔を合わせる機会もないだろうが、おじさまは私の父とある事業を共同で行っている関係で、年に4、5回は一人息子のテオドールを連れて我が家に泊りがけで訪れていた。
おじさまは早くに奥様を亡くしていたが、その後再婚はしなかった。「妻を愛しているから」とおじさまは言った。そんなところに、私はますます胸をときめかせていた。
自分が、そしておじさまも転生者だということを知ったあの日のことは、一生忘れないだろう。
「エルネストおじさま、私は頭がどうかしてしまったのかもしれません」
おじさまにそう打ち明けた時、私の手は微かに震えていた。とても勇気が要ったが、誰か、自分より人生経験があって信頼できる誰かに話したかった。そして、その相手はおじさま以外に考えられなかった。親にはとても相談できなかった。
おじさまは真剣に話を聞いてくれた。以前から頻繁に感じる既視感、最近特によく見るようになった妙に鮮明な夢のこと。夢の内容は毎回少しずつ違うが、いつも同じ世界にいること。他にも色々なことを話した。私が言葉に詰まったり話が途切れても気長に待ってくれた。
なんとか話し終わった私に、おじさまは自分が転生者であると打ち明けてくれた。前にいた世界やそこでの暮らしのことも話してくれた。その時にはまだはっきりと思い出せなかったが、アメリカ合衆国という国の名前には聞き覚えがあった。驚く私に、おじさまは以前から私を見て
「もしかしたらこの子もそうではないか」
と薄々感じて様子を見ていたのだと教えてくれた。しかし、確信を持つまでには至らず行動が起こせなかったと。私は周囲から変な子だと思われるのを恐れて、おじさまに相談するまで妙な発言や素振りは微塵も表に出していないつもりだったのだが、どうして気づいたのだろうと不思議だったので聞いてみた。おじさまは少し笑って、「小さい頃から年の割に落ち着いていたし、妙に老成したところがあったからね」とだけ言った。
その日はたくさん話し、その後は頭痛がするほど考えた。そして私は結論を出した。私も転生者であることに間違いなさそうだと。その時はまだ、自分が転生者だということ自体は特に喜ばしいことだとも思えなかったし、むしろ気味悪くすら思えた。だから、一人じゃないということはとにかく心強かった。
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