上 下
3 / 7

しおりを挟む
 「まあそれはそうかもしれませんけど、脳天気すぎやしませんか」

 従者のダリウスは呆れ顔だ。

 「あらどうして?嘆いたって無意味じゃありませんか。それなら良いことに目を向けて、前を向いて進んでいった方がよっぽど有意義ですわ」

 「間違っちゃいないんですけどねー…なんか楽観的すぎて腹が立ちますわ」

 「悲観的すぎるのも良くないと思いますの。ただ、あなたや両親に心配や迷惑を掛けることは申し訳なく思っていましてよ」

 にこやかだったロゼの顔が少し陰る。だがダリウスは容赦なかった。 

 「でしたらその気持ちを言葉だけでなく行動で示してくださいね」

 「ええ、分かりましたわ。でも貴方、わたくしにしてほしいことなんて何もないんじゃなくて?」

 「そんなことはないですよ。むしろ山ほどありますね」

 「あらまあ欲しがりさんね。あんまり欲張っちゃいけなくてよ」

 ロゼはそう言って花のように笑った。
 だがダリウスは少しも笑っていなかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:702pt お気に入り:14

邪神が願いを叶えます(嫌がらせで)

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,940pt お気に入り:5

推理小説にポリコレとコンプライアンスを重視しろって言われても

ミステリー / 連載中 24h.ポイント:1,876pt お気に入り:3

こんな不倫夫くれてやりますわよ、ざまぁwww

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:162

凄い人を決めよう

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,002pt お気に入り:2

織田信長 -尾州払暁-

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:298pt お気に入り:9

処理中です...