イケメン目指して転生したら美少女になってました

かつしげ

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Chapter 1 転生したら美少女でした

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「そろそろやるか。」

冬の雪山の人気の無い場所に俺は居る。なぜここに居るかって?それは今から自殺するからだよ。俺の人生何も良い事は無かった。教室ではボッチだし、女子からはキモがられて机も離されるし散々だった。俺がイケメンだったらきっとこんな事は無かった。友達もたくさん出来ただろう。可愛い彼女も出来ただろう。くそ。俺をイケメンに産んでくれなかった事を恨むぜ。
でももういいんだ。俺は今から自殺をする。こんな世界に未練は無い。だがな、俺は諦めた訳ではない。俺は賭けているんだ。異世界転生ってヤツに。昨今の異世界転生ブームの流れに俺は乗る。大体俺みたいに社会からつまはじきになった不適合者が無双したりハーレムしたりが定番だろ。なら俺にだってその権利があるはずだ。異世界転生して、イケメン勇者になって、超絶美女たちとウハウハハーレムライフを送ってやるんだ。

「さて、こんな世界からはさっさとおさらばしよう。美女たちが俺を待っているんだ。彼女たちを悲しませる訳にはいかん。」

俺はリュックから睡眠薬を取り出し口の中へ投げ入れる。水は途中で飲み切ったから近くにある雪で代用した。後は勝手に眠って勝手に凍死してくれるだろう。これで俺の人生もお終い。異世界ハーレムライフを満喫するぜ。

ーーこうして俺の最初の人生は幕を閉じた。












「ここは…?」

目を覚ますと俺は森の中に立っていた。確か俺は雪山で自殺をしようとしたはずだ。それなのに森の中という事は転生したのか?いや、まだわからない。とても異世界感は出ていない。先ずは人を探さないと。異世界ならきっと異種族とか剣とか魔法的なアレがあるだろう。
そうと決まれば行動だ。森からの脱出、それが最初のイベントだ。

俺は森から脱出をする為に歩き出す。意気込んで歩き出したがちょっと歩いただけで森から抜ける事が出来た。そして森を抜けた先に有ったのは王国だった。
先ず俺の目に止まったのは都市の中心部にそびえ立つサグラダファミリアみたいな城だ。その圧倒的な存在感は都市の象徴である事は間違いない。
外壁は敵の侵入を防ぐかのようにぐるりと10m以上の壁が囲うように構築されている。
正門と見られる場所には門番らしき兵士が2人立っているが、人の往来が盛んにある。それを見る限りでは平和な証拠だろう。

「すっげぇ…こんなのファンタジー映画かアニメでしか見た事ねぇよ…異世界転生確定じゃん…おっしゃあ!!!キタキタ!!!俺の第二の人生キタコレ!!!」

興奮の冷めやらぬまま俺は王国に入ってみる事にした。
門番の前を通って行くが止められる事は無い。俺も異世界人としてちゃんと認められているという事だ。見た目の確認は出来てないがおかしい見た目では無いのだろう。

王国内はイタリアのフィレンツェの町並みに似ている。歴史的建造物のような建物が立ち並び、商店が所々に開かれ町全体に活気が満ちている。商店から離れた所には大聖堂や礼拝堂のような建物まである。
さらに階段を降りた先にはヴェネチアのような水に浮かぶ都市まである。その水質は透き通るように綺麗でまさにゲームの世界のような光景だ。
その広大な敷地は一日ではとても見て回れないだろう。

人口は渋谷並みに溢れかえって移動するのも決して楽とは言えない。だが行き交う人たちは俺の事をチラチラと見ている。好奇とか奇怪と言った視線では無い。好意的な視線だ。やっぱり異世界転生するとイケメンスタート出来るんだ。基本お約束だもんな。
しかしその視線に気になる点も有る。圧倒的に男の視線が多いのだ。どう見てもイケメンに対する敵対的な視線では無い。それに肝心の女からは嫉妬の感情が篭った視線を向けられている気がする。普通は逆じゃないだろうか。
どうにも釈然としないので鏡を見に行く事にする。ちょうど服屋らしき店が目の前にあるので異世界初のお店訪問をしてみよう。俺は服屋の扉を開いた。

「いらっしゃいませ!」

店内に入ると店員の元気な声が響く。規模はコンビニ並みだが客は十数人いるので閉塞感が結構ある。見た限りでは元の世界の服屋と大して変わらない。幅広い世代の服がコーナー別に纏められているような感じだ。店の奥まで行くと試着室を発見した。これでようやくルックスチェックが出来る。

「よし、じゃあ確認するか。でも…元の俺だったらどうしよう。それだったら何の為に転生したんだかわからないよな…」

途端に不安になって来た。なんか吐き気するし。でも見ないわけにはいかないよな。もう転生しちゃったんだから引くに引けない。

「大丈夫、イケメン転生はデフォだ。異世界でハーレムライフ…異世界でハーレムライフ…よし!!」

俺は意を決して試着室の戸を開け、鏡に映った自分の姿を確認する。

「…は?」

だがそこに居たのは超がつくほどの美少女だった。先客が居たんだと思い、俺は急いで戸を閉める。だが冷静に考えると先客なんか居るわけがない事に気付く。明らかに試着室に人は居なかった。じゃあアレは何なのか。
俺はもう一度試着室の戸を開けてみる。薄く開けて中を見るとやはり誰も居ない。

「見間違いだったんだ。あんな美少女とハーレムしたいという俺の欲望が幻想を創り出してしまったようだ。さて!今度こそ行くぞ!」

俺は勢いよく戸を開け、鏡に映る自分を確認する。だがそこに居たのはやはり先程の超絶美少女だった。清楚系黒髪ロングの綺麗系美少女。蒼いマントを羽織り、下はズボンとスカートのダブル履きをし、腰には剣を差している。
俺は顔を触ってみると鏡の美少女も顔を触る。剣に触れてみると美少女も剣に触れる。思い切って胸を触ってみる。今まで俺が触れたことが無い心地良い感覚が確かにある。

「そ…そんなわけないよな…これは鏡が壊れてるんだよ…異世界の鏡だもんな…トイレ…トイレに行こう…」

俺はフラフラになりながらトイレへと入る。出すもの出して心を落ち着けようとズボンに有る社会の窓を開き息子を出そうとするが…無い。息子が居ない。それだけじゃない、玉だって無い。疑いようが無い。俺は…俺は…

「女で転生したのかよ…」



ーー俺の異世界生活が始まる。
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