【R15】ネクロマンサー風太 ~異世界転生 死霊術師のチート~

ぺまぺ

文字の大きさ
2 / 54
1章 王国編

二話 異世界に転生する

しおりを挟む
「おお、転生の儀が成功したぞ」
 胡散臭い灰色のローブを着た爺さんが嬉しそうに祈りを捧げている。
 風太は、異世界に転生したのだと察した。
 
 何故ならば、ラノベやアニメに毒されているからだ。
 エセ中世ぽっい雰囲気がある。
 飾られた騎士の鎧や、調度品も古風である。
 それに権威を示すかのように金の刺繍が入った衣を、普通の人は恥ずかしくて着ないだろう。
「俺は風太、よろしく」
「風太殿、私は法術士レレゲナと申します。
早速ですが能力測定を行わせて下さい」
 ゾッとする言葉だ。
 何故なら風太は運動は苦手だからだ。
 休み時間は図書室に通い読書するぐらいで、外で遊ぶことなど無い。
 走ったり、飛んだり、握力を測ったりとか、絶対に嫌である。
 だが断れる雰囲気ではない。

 装飾と思っていた後ろの鎧が動き、中に人がいる事が解る。
 周囲は既に囲まれ、見守られている状況だ。
 もし走り出し、扉にたどり着いても背後から斬られるかも知れない。
「えーと、……何をすれば良いのかな?」
「後ろにある水晶玉に手を置けばよろしいです。
それで全ての能力を知ることができます」
 それは個人情報だ。
 なんで皆が見ている前で晒されなくてはならないのか。
 しかし、こういう文明レベルが低そうな世界だと言うことを聞かないと殺すとか平然とやりそうだ。
 それぐらい命は軽く消し飛ぶものだろう。
(野蛮人め……、SSR来い)
 SSRは、遊んでいるカードゲームの最高レアリティである。
 課金でしか手に入らず、並外れた優れた能力を持つ。
 期待はチリと化す。
 水晶球から放たれた光が壁に数字を投影している。

「オール1……」
 思わず手を離してしまう程の絶望的な数値だ。
 風太の足は震えて立つのがやっとだ。
「能力は一般的な者と変わらないようですな。
次は触れながら秘められし能力と念じるのです」
 この数値が倍率を表している事に気づき風太はホッとすると共にチートが出来ない事を悟る。
 せめて2が1つでもアレば、優れた才能を活かしして活躍できたかも知れない。
 そんな妄想に、次なる夢と希望を期待して水晶球に触れる。


"不可思議な箱のパラドクス"
"歪んだ狂乱者の天秤"
"浮浪者の汚いタロットカード"
 全く理解不能な秘められた能力に唖然とするしか無い。
 風太は爺さんの顔色を伺うしか無く、これが良い結果なのか判断出来ずにいた。
「あの……、意味が解らないのですが……」
 爺さんの顔は険しく怒りに満ちているように見える。
「疲れたでしょう。
食事の準備が出来ています」
「あ、はい……。どうも」

 部屋は地下にあったらしく、階段を登り奥の部屋に案内された。
 どういう道順を通ったか覚えていないほど緊張し混乱をしている。
 そんな状況を覆す豪勢な料理に風太は目を丸くした。
 子豚の丸焼きがボンと置いてあるのだ。
 ただ焼いただけではない、香草の刺激的さが空腹感を誘う。
 歓迎されているのは明らかだ。
 それは同時に期待されていると言うことでもある。
 あの能力評価で、その期待に答えられるのだろうか?
 これが最後の晩餐になるかもしれない。
 腹の虫が、その思考を一瞬で消し去る。
 グゥ~と鳴ったのである。
「美味しそう」
「どうぞ、席について存分にお召し上がり下さい」
(食べて後から文句言わないだろうか?)
 招待された客人なんだと、自分に言い聞かせ楽しむことに切り替える。
 その方がお互いに良い気持ちになれるからだ。
「はい、頂きます」
 口に広がる肉汁にピリリと辛味に塩のあっさり感が絶妙で、とろとろと溶けていく。
「うめぇー、こんな美味しいもの食べたこと無い」
 売れ残りの期限切れまじかな安い肉が食卓に並ぶ事が多い。
 そんなに贅沢が出来る家庭ではなかったからだ。
 まあそれでも美味しく満足に食べることは出来た。
 だからこそ、この持成しは過剰だと感じられずにいらない。

 色とりどりのフルーツの盛り合わせに手を出す。
 見たこともないフルーツもあるが、よく知るリンゴやバナナもある。
 かぶり付き一心不乱に食べると一気に腹が膨れて満腹感が襲う。
 いつもなら腹八分目と自制する風太だが、その意志を尽く砕かれてしまう程だ。
 この時ばかりは腹がパンパンになるほど食べてしまった。
「苦しい……、食いすぎた」
「では、隣の部屋でお休み下さい」
 段取り良く事が進んでいるようで、風太は何の疑問も抱くこと無くベットに寝転び、そのまま寝てしまう。
 もし敵意がある相手なら、食事に毒もあり得た。
 全く警戒しないのは、それだけ平和な世界から来たということだ。


 風太を見守る現住人達はホッと胸を撫で下ろし、眠ってくれた事に安堵した。
 何故なら彼を始末する可能性があるからだ。
 
 レレゲナは祈り、風太の額に手を置く。
 意識の奥底を探り本質を見抜くのである。
 悟られれば、不信を抱き善なるものでも転じて悪となる可能性を秘めている。
「今は害する者ではない、どちらにでも傾く危うき状態。
友と成るように心がければ良き者となるだろう」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

処理中です...