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3章 玉国編
24話 偽者
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「おかえりなさい、風太殿」
リアハが暮らす物件を探し、帝国領の古い屋敷へとやって来た。
3階建ての洋館風の建物で、それなりの人数が暮らせそうだ。
魔族との激戦によって、家主が戦死し安く入手できるらしいが……。
ゼラや、逃げてきたアマネルも一緒に暮らすとは言え広すぎるのは明らかだ。
出迎えたのは、毒見役メイドのオッセアだった。
彼女は謹慎処分になって実家に戻ったはず。
以前と違うのはスカートが膨らんでいることぐらいで、身なりも以前のメイド服だ。
「どうしてここに居るんだ?」
「罰を受けたことで勘当されまして、ここに逃げてきました。
命を助けてくださった事はとても感謝しています」
「皆殺されたって聞いていたから……。
生きていて良かった」
「もし宜しければ私をメイドとして雇って頂けないでしょうか?」
山賊狩りで賞金首を討ち取って、それなりの額は確保しているが……。
無下に断るのもどうか。
やんわり断れないだろうか?
「相場って幾らなんだ?」
「ニヒヒヒ……。
食事さえ頂ければ、この命を捧げても良いと思っています」
「それで君は幸せなのか?」
「いいえ。
ですが今はそれで満足ですが、いずれ愛される女になりたいです」
「俺は、王国から追い出されたようなもので、財産もそんなに多くない。
生活が貧困に追い込まれて苦しくなるかも」
「大樹には、多くの命が寄ってきます。
富も同じように力あるものに自然と集まるのが常です」
オッセアは目を輝かせ、優しい微笑みで見ている。
これで拒んだら悲しみそうで辛い。
もっと良い人に出会えれば、気持ちが変わるかも知れない。
それまでは一緒に過ごすも良いだろう。
「なるほど、解った。
メイドとして働いてくれ」
「では案内します」
「君はここに住んでいないのか?」
「はい、とある方から情報を得て今朝到着したばかりで……。
お恥ずかしい事ですが、掃除は明日から着手しようと状況確認している最中です」
「とある方か……、誰かは教えてくれないのか?」
「玉国の使いです。
詮索しないとの条件で教えていただきました」
「それでよく信じたな」
「捜索が行われていると耳に入っていました。
では上から見ていきましょう」
館の西端は筒状になっており壁沿いに螺旋階段がある。
これを登るのは大変そう、地獄の坂を思い出すぐらいの急角度。
楽々と登るつもりだったが途中で息が切れ始める。
徐々に彼女と離れていく。
スカートの膨らみは金具で広げているからで中はスカスカの空洞。
当然、下から足が見え易く、もう少しでパンツが見えそうだ。
なんかわざとゆっくり歩いていると勘違いされたら、白い目で見られる。
いや、そんなつもりはないのに身体が重い……、霊達の重さなのか?
「ちょっと待って……はぁはぁ……」
オッセアは振り返り降りてくる。
「以前よリ痩せた気がしていたのは思い違いではなかったようですね。
とても苦労されたのでしょう」
そして風太を抱きしめる。
彼女のほうが上の段に居る。
丁度目の胸が顔に埋まるぐらいの位置だった。
懐かしい感触……、メイド達のセクハラにドキドキさせられた。
「やめてくれ、恥ずかしいだろう」
「ニヒヒヒ……。
少しは慣れてください」
登り始めると、途中の出口で止まる。
「まだ上が……」
「煙突の掃除をするために利用する出口ですが、確認しますか?」
「いや、もう3階に来ていたんだな」
「この階は使用人が利用する個室が並んでいます。
10人程が暮らしていたようです」
長く続く通路は暗く、雨戸の隙間から外の光が漏れている。
「なんかうす見気味悪くて、おばけが出そう。
窓が閉まっているからか?」
「窓ガラスも無くなっているようです」
雨戸を開くと風が入ってくる。
チュンチュン♪
鳥の鳴き声が聞こえ、何処かへ飛んでいく様子が見える。
虫の知らせなのか、風太は良くないことが起きる気配を感じる。
なにか見落としたか?
この胸騒ぎは何だ。
「異変はないか?」
「いいえ、壊れた箇所はないです。
庭の雑草がボウボウで、誰が通った跡もないので大丈夫だと思います」
ただの思い過ごしだろうか?
記憶を辿っても違和感はない。
警戒しつつ、進むことに。
長年放置されていた割には綺麗いだが、荒らされた痕跡がある。
扉が壊されているのは鍵付きの個室だからか。
家具も何もかも奪われて何も無い。
あるのは床に引きずった傷や凹みぐらいだ。
扉さえ直せば使えそうで、傷跡は絨毯で隠す感じだろうか。
部屋に入ろうとすると肩を掴かまれ引き寄せられた。
「ああっ……、なんだ?」
プニっと胸の感触が伝わる。
「床が抜けるかも知れません。
危険ですので勝手に入らないで下さい」
「解った。
けどそういう強引なことはしないでくれ」
「善処します」
この様子だと、守る気はなさそうだ。
はぁ……、肉食系じゃなくて清楚で控えめな乙女だったら……信頼度がぐーんと上がっていたのに残念だ。
そして、端部屋に到着する。
何故か、ここだけは扉が破壊されていない。
扉の向こうには、縛られたメイドが壁を背に座っていた。
俯いてる為顔は見えない。
「誰にやられたんだ?」
風太は近寄り彼女の顎を掴み顔を上げさせる。
オッセア?
どうして彼女が二人いる。
振り返ると、扉の鍵を締めているオッセアの姿があった。
「私に変装して襲ってきたので撃退し捕らえておきました。
このナイフです」
スカートをめくり革の脚締からナイフを手に取る。
何時、ナイフを仕込んだ。
下から見えないはずはないのに……、いやそんな事はどうでもいい。
本物はどっちだ?
探索中は何時でも仕掛けることは出来た。
だがどうして襲撃のことを伝えなかったのか謎だ。
「もしかして双子だったりするのか?」
「いいえ、その暗殺者とは全くの赤の他人です」
もう一度捕らわれているメイドの顔をよく見る。
オッセアと一緒にいたのは短い間の事だ。
しかも時が経っている、詳細な部分の違いなんて記憶にない。
……おでこにホクロがある。
こんな特徴を忘れたりするだろうか?
だったらやはり偽物。
「一つ質問する。
俺が毒見に選んだのは誰だ?」
「私です。
あの時はメーメル殿が作法について話されたのを覚えています」
メーメル師匠は魔法が専門で、生活や習慣はリアハから教わった。
彼女は偽物なのか?
いや……。
「俺が本物か試したいって事か?」
「はい、面偽装の呪薬を使えば、髪の毛一本で似せる事ができます」
「欠陥品だな。
表情が全く違う、そこのメイドは俺に関心がない」
「少しは驚くかと思いましたが、冷静なのですね」
「あの部屋は監視されていて、情報は筒抜けだった。
俺と君だけの秘密なんて無いだろう?」
「はい、そうです。
ですから、こうして反応を見させてもらっています」
「証明しようにも、封印されていて魔法が使えない。
疑り深い君なら、当然リアハを呼んでも納得はしないだろう?」
「はい、私を狙ってきた暗殺者を逃せば次は確実に殺されます。
ですからここで真偽を見極めたい」
窓はない。
避けつつ扉を壊して逃げ出すなんて、ほぼ不可能だ。
オッセアに危害を加えるなら方法は幾らでもあるが……。
自分自身の証明程、難解なものはない。
容易なら冤罪なんてものは存在しないだろう。
「俺は思い違いをしていたみたいだ。
君は間抜けでドジだから嵌められたのだと思った」
「……迂闊にも眠らされてしまいました。
咎められるのは当然だと思います」
「少なくとも犯人は君を優秀で邪魔になると判断した。
そんな君が見極められないとは思わない」
「買いかぶりすぎです」
「だったら俺が偽者だと証明してみてくれ」
オッセアが目の前まで迫る。
服を脱がせ始める。
身体を拭く時も強制的に脱がされて、抵抗は無駄と悟ったんだ。
あの頃と変わらない手つきだ。
上半身が晒される。
「以前と変わりないようです」
他人の記憶は当てにならない無いもので、些細な変化は気づけないようだ。
少しは筋力も付いたし、腹だってすこし割れている。
彼女の手の平が首筋から胸元へゆっくり流れるように撫でる。
本当に調べているのか?
彼女は毒見で魔法が使えるのかも怪しい、だとしたら何のために触っているんだ。
何処となくニヤニヤと微笑んでいるようにも見える。
もしかするとムフフな連中と同じでただ感触を楽しているのか?
そんな筈はないよな……?
疑心暗鬼になると思考が鈍る。
破廉恥なことしか浮かばなくなっていた。
もう駄目だ。
「それなら……」
「玉国には骨格まで変化させる呪薬があると聞きます。
私を信頼してくださるなら動かないでください」
拒絶を察して制された。
ここで拒否したら疑われて信用は得られない。
信じて待つしか無いのか?
下腹あたりにナイフの刃先が触れる。
ひんやりとして何時刺されるか不気味で怖い。
「そんなので解るのか?」
「はい、このナイフで腹を割いてみれば解ります。
異界人は私達と違う構造をしていると噂ですし、一度見てみたかったんです」
「えっ?」
彼女こそが魔族信仰者だったのか!
人狼を信じてしまった村人のように無惨に殺されてしまう。
迂闊だった。
「では、行きます!」
近すぎて避けきれない。
違う反撃を……!
意識だけが早く、時間がゆっくりに感じるための刃先がじわじわと入っていくのが解る。
冷たい感触が徐々に深くに入るのに連れて熱く感じる。
あああぁぁぁっ!
足に力が入らない、いや体全体の力が抜けていく……。
こんな所で死ぬのか……。
バタッと風太は倒れた。
ムフフな事を考えていたのは俺の方だったんだ。
なんて花畑……、今までが楽園だっただけか……。
手が動かない、ナイフを抜くことも出来そうにない。
ああ、終わった……。
「ニヒヒヒ……。
死んだ気分どうですか?」
「……良くない」
ナイフが意思を持つかのようにゆっくりと抜けていき床に転がる。
んん?
何が起きているんだ?
まだ生きているよな?
オッセアがナイフを拾い見せる。
刀身の側面に目が3つ並んで、ギョロギョロとそれぞれが別の方向を見回している。
悪趣味な物に変化していた。
「これは魔素を取り除く儀式剣です。
身体に異常をきたすまで魔素を浴びつつけていたので取り除かせていただきました」
刺された腹をさわっても血が付いていない。
それどころか傷すら無い。
「ありがとう……。
でも先に説明してくれ」
「既に魔族化していれば、説明している間に私の方が殺されてしまいます。
変異する予兆が出ていたので焦りました」
彼女が疑っていたのは真偽ではなく、魔族に変化していないかだったのか。
魔素を浴びると、四つ耳族みたいに変異するのは知っていたが……。
そんなのは予想出来るはず無いだろう。
死ぬかと思った。
まあ、今度から気をつけようか……。
「見て解るものなのか?」
「暗所での反応を見れば、目が充血し赤く表情が険しくなっていました。
それにアレに気づかなかったので」
アレってなんだ?
「だからこの部屋に連れてきたのか?」
「はい」
「体に力が入らない……、起こして欲しい」
あっ……忘れていた。
白いパンツが見える。
微笑むオッセアが何処か怖い。
駆け引きのカードとして大切に取っておくのだろう。
いずれ蜘蛛の巣に迷い込んだ羽虫のように、身動きが取れなくなって食われてしまう。
「赤い月を生き残ったと聞いていたので、影響を受けていると思いましたが……。
これほど侵食が根深いとは思いませんでした」
抱き起こして貰うが、足に力が入らず立つことは出来ない。
床に魔法陣のような文様が描かれている。
鳥が舞い、風が木の葉で遊ぶ。
絵で描かれた物語のよう。
冷静に考えれば、閉ざされた部屋は真っ暗で何も見えない。
普通に見えていた時点で、光源があったのは明らかだ。
「こんなに濃い赤なのに見えてなかった」
「魔素が完全に抜ければ、青く光ります。
それまでじっとしていて下さい」
「所で、縛っている彼女は放置でいいのか?」
「あれは人形です。
人間と錯覚するように細工した魔族を騙す罠です」
暗殺者が居るなら、身代わりで対抗するのか。
うっかり騙された時点で詰んでいる訳だ。
「もし俺が魔族になっていたら死んでいたのか?」
「はい、血が噴水のように飛び散り大惨事になっています」
魔法陣の輝きが青に変わると身体が軽くなった。
立ち上がると、くらっと揺れるような感覚が襲う。
「少しふらつく……」
「はい、肩を貸します。
食事の準備が出来ていますのでゆっくりと楽しんで下さい」
中央部屋の前、壁に白い枠がはめ込まれている。
その内側に手を当てると吸い込まれるように入っていく。
「転移したのか?」
「はい、一階に到着です。
魔素を補充出来たので、館の機能が使えるようになりました」
「……電池みたいな感じなのか」
「でんち?」
「いや何でもない」
古城も良くわからないエネルギーで動いている装置があった。
似たようなものだろう。
時間があれば色々と試してみたい。
「おかえりなさいませ」
パチパチパチ……
数人のメイドが白いテーブルの前で待っていた。
知らない顔ばかりだが、好みがバレバレなのか可愛い子ばかりだ。
「丹精込めて作りました。
鶏の香草たっぷり照り焼きです」
「香りが良いな……、懐かしい」
「では、どの部分から切り分けましょうか?」
「自分で切るから……」
力が入らず、手に取ったナイフが転げ落ちる。
「ニヒヒヒ……。
無理なさらず、私達に任せて下さい」
オッセアは鶏肉を切り分け、自らの口に含む。
毒見は一応するのか。
彼女は、そのまま風太に口移しをしようと顔を近づける。
「ちょっちょっと、待って。
いやいや、前はそんな事をしなかった」
「身体が弱っているようでしたので、咀嚼した方が良いかと……」
「そんなに弱ってない。
自分で食べれる」
フォークを手にした時だ、手に激痛が走る。
手の甲に呪の刻印が現れていた。
それがバラの様に蔓を伸ばし腕に絡みつくように伸びている。
「呪いまで受けて居るようですね。
このままだと命が尽きてしまいます」
「他の呪いに触れなければ、特に何か起きたことはないから気にしたことはなかった」
俺って封印に、呪い、霊も取り憑いて……、なんかすごく運のなさそうなヤバイ奴感。
クチャクチャと噛む音……。
あっ、待って唾液の混ざったのを食べるのか?
ええっ?
気持ち悪い……、何ていうか汚い。
ごめん、無理だ。
「スープが良い。
肉はちょっと重いから、軽めのに……」
メイド達に身体を押さえられる。
抵抗は出来ないようだ。
「体力が落ちているのです。
これぐらい食べないと餓死してしまいす」
唇が重なった。
肉汁が口の中に広がる。
鶏肉の旨味にさっぱりした香草の香りに酸味が混じりピリリと刺激が走る。
美味しい……、けど何かを失っ気分だ。
手厚いのは良い筈なのに、違うんだ尊厳と言うか、誇りというか何かを奪われた気がする。
バタン!
勢いよく食堂の扉が開く。
ゼラとリアハが入って来る。
半裸で可愛いメイド達に囲まれて食事をしている所だ。
完全に終わった……、俺のライフは0になった。
もうやめて欲しい。
「クフフフ……。
少しは反省しましたか?」
「何のこと……」
「自分の身体ら起きている異変にすら気づけないのはどうかと思います。
体調管理が出来てこそ大人です」
ぐうの音も出ない。
箱の中にいた時に気づいていたのか。
という事は、とある方ってリアハの事だったのか?
してやられた。
玉国の使いって明らかにおかしいって気づけたはず。
そもそも、王国でも極秘作戦のはずなのに、そこにいた人材が他国にバレているのは大問題だ。
「だからって、こんな事をするのは……」
「相談もせずに色々と決めて、勝手に動くからです。
少しは私を頼ってください」
「君に手間を掛けさせたくなかった。
大切だから」
リアハは歩くのもままならない、ゼラの支えが必要だ。
だから安全にのんびり過ごせる場所がいい。
玉国は不穏すぎて怖い。
内乱や王国との戦争もありそうで、爆発寸前と言った所。
そんな場所に置いて、王国に戻り命がけの救出劇を行う事はできない。
「オッセア、検査の結果を伝えてあげて」
検査って何時……、あの魔法陣か?
もう魔素は抜けたと思っていたけど、未だあるのか。
「はい、風太殿は童貞の誓いによって束縛されています」
「えっ?」
そんな誓いをした記憶はない。
だとしたら誰かに仕掛けられた。
そんな事をして得をするとしたら王国派の兎耳か。
「交わるとアレが破裂して死に至る恐ろしい誓いです。
つまり子作りしようとすれば二人共死にます」
「本当なのか。
……いや、解除出来るんだろう?」
「約束はできませんが、
貪欲な金瓶の婆さんなら……」
いかにも金の亡者って感じの名だ。
命がかかっている事もあって、足元を見られてふっかけられるだろう。
「安定して稼げるようになるまで……」
「ニャフフフ……。
私とニャフフな事したくないの?」
「ああ、どさくさに紛れても無駄」
「ゼラ、話を乱さないで。
封印には、呪詛を引き寄せる効果もあって短命に終るように仕組まれている。
放置はできない」
リアハは風太を抱きしめる。
耳打ちし、「私の命と引き換えになっても助けるから」と告げる。
「ありがとう」
拒否しなかったのは、彼女の覚悟を踏みにじりたくなかったから。
もしそんな状況になっても、助けてもらうつもりはない。
次の日。
夕刻には受け渡しが終わり帰路につくことになる。
残された時間を彼女達と過ごしたかったが、余裕はなかった。
オッセアの案内で、怪しげな館に到着した。
「屋根に悪魔みたいなのがあるけど……。
魔女が住んでいるのか?」
「魔除け像は怖く作られていて、
魔族すら尻尾を巻いて逃げ出すと言われています」
「ふーん、動き出して襲って来たり……」
「やめて下さい。
そういうのは怖いので……」
オッセアは不安にかられ風太の手を握る。
意外と臆病で可愛いと思っているのもつかの間、ギューと力が入ってくると痛い。
「痛い……、落ち着いて。
はぁ、これから会うのは婆さんだから、怖いこともない」
悪趣味な吊り骸骨の模型や烏の死骸が並べてある。
魔除けにしても気味が悪くて近づきたくはない。
館内に入ると、苦悶の表情を浮かべた石像が等間隔で並んでいた。
奥に紫のカーテンで仕切らた空間がある。
テーブルのベルをチリリンと鳴らすとカーテンが開く。
シワシワの化け物が黄金のでかい壺の前に座っている。
いや、婆さんだ。
「ひぃーー、蛙の魔物!!」
オッセアは悲鳴と共に風太に抱きつく。
酷い物言いだが、干からびかけの蛙に見えなくもない。
目は皮で開いているのか解らないほどで目がないのかと思う程だ。
髪飾りが目玉のように2つ乗っている。
それがギョロギョロと見渡しているように動く。
魔族だけでなく皆、怖がって逃げるだろう。
「随分と失礼な娘さんじゃ。
ワシャー暇ではない、用件があるなら早う言え」
「俺に掛かっている色々を解除して欲しい」
婆さんは、気味の悪い鬼のような角が生えた両手を広げた像を出す。
またまた、変なものを……。
「これは堕天使の天秤、傾いたほうを消去する代物じゃ。
手を頭に乗せて祈ると良い」
「代金は?」
「不幸なも者から金銭を奪うような真似はしない主義じゃ
どうしてもと言うなら、この白鯨の胃袋に入れるが良い」
こういう時は惜しむこと無い。
有り金全部を突っ込む。
小さな革袋に見えるが白鯨の胃袋なんて名が付いているからには、それはどんなに飲み込むか解らない。
持ち合わせていた10万程を袋に入れると伸びる。
どこまでも広がりそうで、幾ら入れれば一杯になるか想像もつかない。
「封印を解除してくれ!」
像の頭に手を置くと、天秤に光る玉が現れ釣り合った。
右には赤い玉、左には青い玉。
「選ばれたのは、力を封じている愚者の呪いと、命を蝕んでいる灼熱牢獄の呪いじゃ。
どちらを消すか選ぶが良い」
封印が解ければ、まだ見ぬ魔法の世界が広がる。
それも全力で使えて、激痛という束縛もない。
もう一択だろう。
「それなら封印を解除する」
「結論を急ぐではない、
よーく考えてから決めるのじゃ」
どちらを選べば後悔がないのか?
命が尽きたときには、公開する余地もない。
けど魔法は行き続けるがゆえにあの時、なんで封印を解かなかったとずっと悔やむ。
絶対悔み続けて死ぬ、それって生き地獄じゃないのか?
「結論は揺るがない、封印を解く一択だ!」
赤い玉の方に傾く。
やったー、封印が解けた!
「フォフォフォ……。
間抜けな子じゃ、解けたのは灼熱牢獄の方」
青い玉がシュワシュワと消えて消滅した。
無くなったから軽くなり天秤が傾いたということだ。
「えっ?
なんで……」
「もう一度試したければ1億を用意してくると良い」
次は金を取るのか!
はぁ?
意外と善人だと思って有り金を払ったんだぞ!
「そんな大金、ボッタクリだ」
「それぐらい軽く手に入れるだけの男だと認めてのことじゃ。
嫌なら他へ行くと良い」
真に望む願いは叶えない、それが堕天使の由縁だ。
偽れば災いが降りかかり、敵わぬ願いのために金を注ぎ込み続ける信者へと変えてしまう。
ろくでもない代物である。
手の呪いの刻印が綺麗サッパリ消えていた。
その力は認めるしか無い。
次こそは解除できる筈だ。
「解った。
貯めておくから、長生きしてくれ」
「調査不足でした。
どんな罰でも受けます」
「呪いは解けたから良かった。
これで寿命が伸びたし君に与えるなら褒美だろう?」
「はい、では他の方法を探しておきます」
夕方。
皆に別れを告げて帰路につく。
帝国の関所を通過する。
外で待っていたアマネルここぞと、風太に飛び抱きつく。
「ざこナメ君、何時まで待たせるの?
ずーとずーと寂しくて、泣いてたの」
彼女が外で待っていたのは、死体入の棺桶を帝国内に持ち込むことが出来なかったからだ。
「その変な演技をやめてくれ。
君の本当を知りたい」
「なっなっ……そんな恥ずかしい真似出来るわけ無い。
だって、これが本当の私だし」
「はぁ……。
でもありがとう」
「うひひひ……、もう照れるし、もっと褒めても良いけど。
どうして彼らが死んでいたかの推理を話すね」
よっぽど暇だったのだろう。
頼んでいないのにずっと調べていたようだ。
輸送中の馬車内で護衛がどうして死んでしまったのか謎だった。
「見つけた死体は無傷だったから毒殺なんだろう。
特に苦しそうな表情には見えなかったけど……」
「ちっちっちっ……。
この瓶は荷物の中にあったけど、空っぽだったの」
「飲んだからだろう?」
「あのね、ぜーんぜーん違う。
箱に戻す理由がないって解らないの?」
「飲酒していることがバレないように隠したって所だろうと言いたいけど。
だとしたら毒ガスが出て死んだのか?」
「惜しい、彼らが死んだのは空気が奪われ。
意識を失い、そのまま窒息死したの」
防水用の布で覆われて居るが、隙間は空いているし真空になったら当然外から入っていく。
何言ってるんだと一瞬思った。
……空気って酸素のことか?
火事でも実は熱より、酸素が奪われて死ぬことが多い。
「それが解っても、犯人か解らないと意味はない」
「ふっふっふっ……、腹心であるセウファに託してある。
罪人は直ぐに捕まり裁かれるだろう」
セウファって裏切り者だろう?
駄目だ、ゲームだけじゃなくて人選も出来ないのか。
掌道化師だ。
もう泥舟は沈んでいるのに、まだ大丈夫と思っている滑稽さは哀れだ。
「俺が気になっているは、死体が腐らずに綺麗なまま保管されていただろう。
それが奇妙で気持ち悪かったんだ」
「ちょー簡単、なんで解らないかなー。
ゾンビを作るため、腐食止めを塗ったからよ」
「そこが解らないんだ。
だって、青い液を染み込ませるから……」
「なにそれ? ねぇ何なの?
初めて聞いたんだけど、意味わからない」
んん?
なんで知っているんだろう。
古代人の知識なのか?
だとしたら、言ってはいけないことだった……。
「さあ、何だろうね」
「ははーん、アマネルの事をナメているな。
そういうつもりなら、こんな時のため自白の香を使うけど、いいのかなー?」
「待って、それはズルい」
なんて、こんな広い場所で香なんて使っても、風で流されるだけだ。
勝手に自滅すれば良い。
三角錐の白い塊の先端に火を付けると甘い香りが漂う。
風の精霊よ、俺を守ってくれ……。
ピュルルー♪
心地よい風がアマネルに向かう。
直ぐに変化が現れ目が虚ろになってぼんやりしている。
「君の秘密を教えて欲しい」
「はい……」
ピーピーピーと規制音が鳴り響きそうな発言を漏らす。
聞いているだけで恥ずかしくて悶えそうだ。
「もう良いから、やめてくれ」
このド変態、やばすぎる。
「ニヒヒヒ……。
対策していないと思っているなんて滑稽。
情報を漏らさないように訓練しているの」
「絶対嘘だ。
破廉恥な変態だから、あんな事を言ったんだろう」
「ふっふっふっ。
そう思いたいなら思っておきなさい」
もう彼女から得られるものはなさそうだ。
あんまし無駄話を続けていたら、待っている馬車の人達に申し訳ない。
「もう行って良いか?」
「積み荷の箱には封蝋印が押されて未開封だった。
後から入れたものではなく、初めから積荷として入れられたって事」
「はいはい」
「封印を行ったのは狂姫よ」
怪物って……、ああ、姫様のことか。
「いやいや、ずっと俺と一緒にいたからあり得ない。
そいつは偽者だ……」
「身代わりは数人活動している。
だから誰も偽者が来ても疑う事もなかった」
「解った気をつける」
次にあった姫様が本物とは限らないのか。
……本物も命を取りに来るから、偽者でも大して変わりないだろう。
この状況を予期していたのなら、姫様に逆らうのは無理だろう。
先読みで潰される。
怖い。
リアハが暮らす物件を探し、帝国領の古い屋敷へとやって来た。
3階建ての洋館風の建物で、それなりの人数が暮らせそうだ。
魔族との激戦によって、家主が戦死し安く入手できるらしいが……。
ゼラや、逃げてきたアマネルも一緒に暮らすとは言え広すぎるのは明らかだ。
出迎えたのは、毒見役メイドのオッセアだった。
彼女は謹慎処分になって実家に戻ったはず。
以前と違うのはスカートが膨らんでいることぐらいで、身なりも以前のメイド服だ。
「どうしてここに居るんだ?」
「罰を受けたことで勘当されまして、ここに逃げてきました。
命を助けてくださった事はとても感謝しています」
「皆殺されたって聞いていたから……。
生きていて良かった」
「もし宜しければ私をメイドとして雇って頂けないでしょうか?」
山賊狩りで賞金首を討ち取って、それなりの額は確保しているが……。
無下に断るのもどうか。
やんわり断れないだろうか?
「相場って幾らなんだ?」
「ニヒヒヒ……。
食事さえ頂ければ、この命を捧げても良いと思っています」
「それで君は幸せなのか?」
「いいえ。
ですが今はそれで満足ですが、いずれ愛される女になりたいです」
「俺は、王国から追い出されたようなもので、財産もそんなに多くない。
生活が貧困に追い込まれて苦しくなるかも」
「大樹には、多くの命が寄ってきます。
富も同じように力あるものに自然と集まるのが常です」
オッセアは目を輝かせ、優しい微笑みで見ている。
これで拒んだら悲しみそうで辛い。
もっと良い人に出会えれば、気持ちが変わるかも知れない。
それまでは一緒に過ごすも良いだろう。
「なるほど、解った。
メイドとして働いてくれ」
「では案内します」
「君はここに住んでいないのか?」
「はい、とある方から情報を得て今朝到着したばかりで……。
お恥ずかしい事ですが、掃除は明日から着手しようと状況確認している最中です」
「とある方か……、誰かは教えてくれないのか?」
「玉国の使いです。
詮索しないとの条件で教えていただきました」
「それでよく信じたな」
「捜索が行われていると耳に入っていました。
では上から見ていきましょう」
館の西端は筒状になっており壁沿いに螺旋階段がある。
これを登るのは大変そう、地獄の坂を思い出すぐらいの急角度。
楽々と登るつもりだったが途中で息が切れ始める。
徐々に彼女と離れていく。
スカートの膨らみは金具で広げているからで中はスカスカの空洞。
当然、下から足が見え易く、もう少しでパンツが見えそうだ。
なんかわざとゆっくり歩いていると勘違いされたら、白い目で見られる。
いや、そんなつもりはないのに身体が重い……、霊達の重さなのか?
「ちょっと待って……はぁはぁ……」
オッセアは振り返り降りてくる。
「以前よリ痩せた気がしていたのは思い違いではなかったようですね。
とても苦労されたのでしょう」
そして風太を抱きしめる。
彼女のほうが上の段に居る。
丁度目の胸が顔に埋まるぐらいの位置だった。
懐かしい感触……、メイド達のセクハラにドキドキさせられた。
「やめてくれ、恥ずかしいだろう」
「ニヒヒヒ……。
少しは慣れてください」
登り始めると、途中の出口で止まる。
「まだ上が……」
「煙突の掃除をするために利用する出口ですが、確認しますか?」
「いや、もう3階に来ていたんだな」
「この階は使用人が利用する個室が並んでいます。
10人程が暮らしていたようです」
長く続く通路は暗く、雨戸の隙間から外の光が漏れている。
「なんかうす見気味悪くて、おばけが出そう。
窓が閉まっているからか?」
「窓ガラスも無くなっているようです」
雨戸を開くと風が入ってくる。
チュンチュン♪
鳥の鳴き声が聞こえ、何処かへ飛んでいく様子が見える。
虫の知らせなのか、風太は良くないことが起きる気配を感じる。
なにか見落としたか?
この胸騒ぎは何だ。
「異変はないか?」
「いいえ、壊れた箇所はないです。
庭の雑草がボウボウで、誰が通った跡もないので大丈夫だと思います」
ただの思い過ごしだろうか?
記憶を辿っても違和感はない。
警戒しつつ、進むことに。
長年放置されていた割には綺麗いだが、荒らされた痕跡がある。
扉が壊されているのは鍵付きの個室だからか。
家具も何もかも奪われて何も無い。
あるのは床に引きずった傷や凹みぐらいだ。
扉さえ直せば使えそうで、傷跡は絨毯で隠す感じだろうか。
部屋に入ろうとすると肩を掴かまれ引き寄せられた。
「ああっ……、なんだ?」
プニっと胸の感触が伝わる。
「床が抜けるかも知れません。
危険ですので勝手に入らないで下さい」
「解った。
けどそういう強引なことはしないでくれ」
「善処します」
この様子だと、守る気はなさそうだ。
はぁ……、肉食系じゃなくて清楚で控えめな乙女だったら……信頼度がぐーんと上がっていたのに残念だ。
そして、端部屋に到着する。
何故か、ここだけは扉が破壊されていない。
扉の向こうには、縛られたメイドが壁を背に座っていた。
俯いてる為顔は見えない。
「誰にやられたんだ?」
風太は近寄り彼女の顎を掴み顔を上げさせる。
オッセア?
どうして彼女が二人いる。
振り返ると、扉の鍵を締めているオッセアの姿があった。
「私に変装して襲ってきたので撃退し捕らえておきました。
このナイフです」
スカートをめくり革の脚締からナイフを手に取る。
何時、ナイフを仕込んだ。
下から見えないはずはないのに……、いやそんな事はどうでもいい。
本物はどっちだ?
探索中は何時でも仕掛けることは出来た。
だがどうして襲撃のことを伝えなかったのか謎だ。
「もしかして双子だったりするのか?」
「いいえ、その暗殺者とは全くの赤の他人です」
もう一度捕らわれているメイドの顔をよく見る。
オッセアと一緒にいたのは短い間の事だ。
しかも時が経っている、詳細な部分の違いなんて記憶にない。
……おでこにホクロがある。
こんな特徴を忘れたりするだろうか?
だったらやはり偽物。
「一つ質問する。
俺が毒見に選んだのは誰だ?」
「私です。
あの時はメーメル殿が作法について話されたのを覚えています」
メーメル師匠は魔法が専門で、生活や習慣はリアハから教わった。
彼女は偽物なのか?
いや……。
「俺が本物か試したいって事か?」
「はい、面偽装の呪薬を使えば、髪の毛一本で似せる事ができます」
「欠陥品だな。
表情が全く違う、そこのメイドは俺に関心がない」
「少しは驚くかと思いましたが、冷静なのですね」
「あの部屋は監視されていて、情報は筒抜けだった。
俺と君だけの秘密なんて無いだろう?」
「はい、そうです。
ですから、こうして反応を見させてもらっています」
「証明しようにも、封印されていて魔法が使えない。
疑り深い君なら、当然リアハを呼んでも納得はしないだろう?」
「はい、私を狙ってきた暗殺者を逃せば次は確実に殺されます。
ですからここで真偽を見極めたい」
窓はない。
避けつつ扉を壊して逃げ出すなんて、ほぼ不可能だ。
オッセアに危害を加えるなら方法は幾らでもあるが……。
自分自身の証明程、難解なものはない。
容易なら冤罪なんてものは存在しないだろう。
「俺は思い違いをしていたみたいだ。
君は間抜けでドジだから嵌められたのだと思った」
「……迂闊にも眠らされてしまいました。
咎められるのは当然だと思います」
「少なくとも犯人は君を優秀で邪魔になると判断した。
そんな君が見極められないとは思わない」
「買いかぶりすぎです」
「だったら俺が偽者だと証明してみてくれ」
オッセアが目の前まで迫る。
服を脱がせ始める。
身体を拭く時も強制的に脱がされて、抵抗は無駄と悟ったんだ。
あの頃と変わらない手つきだ。
上半身が晒される。
「以前と変わりないようです」
他人の記憶は当てにならない無いもので、些細な変化は気づけないようだ。
少しは筋力も付いたし、腹だってすこし割れている。
彼女の手の平が首筋から胸元へゆっくり流れるように撫でる。
本当に調べているのか?
彼女は毒見で魔法が使えるのかも怪しい、だとしたら何のために触っているんだ。
何処となくニヤニヤと微笑んでいるようにも見える。
もしかするとムフフな連中と同じでただ感触を楽しているのか?
そんな筈はないよな……?
疑心暗鬼になると思考が鈍る。
破廉恥なことしか浮かばなくなっていた。
もう駄目だ。
「それなら……」
「玉国には骨格まで変化させる呪薬があると聞きます。
私を信頼してくださるなら動かないでください」
拒絶を察して制された。
ここで拒否したら疑われて信用は得られない。
信じて待つしか無いのか?
下腹あたりにナイフの刃先が触れる。
ひんやりとして何時刺されるか不気味で怖い。
「そんなので解るのか?」
「はい、このナイフで腹を割いてみれば解ります。
異界人は私達と違う構造をしていると噂ですし、一度見てみたかったんです」
「えっ?」
彼女こそが魔族信仰者だったのか!
人狼を信じてしまった村人のように無惨に殺されてしまう。
迂闊だった。
「では、行きます!」
近すぎて避けきれない。
違う反撃を……!
意識だけが早く、時間がゆっくりに感じるための刃先がじわじわと入っていくのが解る。
冷たい感触が徐々に深くに入るのに連れて熱く感じる。
あああぁぁぁっ!
足に力が入らない、いや体全体の力が抜けていく……。
こんな所で死ぬのか……。
バタッと風太は倒れた。
ムフフな事を考えていたのは俺の方だったんだ。
なんて花畑……、今までが楽園だっただけか……。
手が動かない、ナイフを抜くことも出来そうにない。
ああ、終わった……。
「ニヒヒヒ……。
死んだ気分どうですか?」
「……良くない」
ナイフが意思を持つかのようにゆっくりと抜けていき床に転がる。
んん?
何が起きているんだ?
まだ生きているよな?
オッセアがナイフを拾い見せる。
刀身の側面に目が3つ並んで、ギョロギョロとそれぞれが別の方向を見回している。
悪趣味な物に変化していた。
「これは魔素を取り除く儀式剣です。
身体に異常をきたすまで魔素を浴びつつけていたので取り除かせていただきました」
刺された腹をさわっても血が付いていない。
それどころか傷すら無い。
「ありがとう……。
でも先に説明してくれ」
「既に魔族化していれば、説明している間に私の方が殺されてしまいます。
変異する予兆が出ていたので焦りました」
彼女が疑っていたのは真偽ではなく、魔族に変化していないかだったのか。
魔素を浴びると、四つ耳族みたいに変異するのは知っていたが……。
そんなのは予想出来るはず無いだろう。
死ぬかと思った。
まあ、今度から気をつけようか……。
「見て解るものなのか?」
「暗所での反応を見れば、目が充血し赤く表情が険しくなっていました。
それにアレに気づかなかったので」
アレってなんだ?
「だからこの部屋に連れてきたのか?」
「はい」
「体に力が入らない……、起こして欲しい」
あっ……忘れていた。
白いパンツが見える。
微笑むオッセアが何処か怖い。
駆け引きのカードとして大切に取っておくのだろう。
いずれ蜘蛛の巣に迷い込んだ羽虫のように、身動きが取れなくなって食われてしまう。
「赤い月を生き残ったと聞いていたので、影響を受けていると思いましたが……。
これほど侵食が根深いとは思いませんでした」
抱き起こして貰うが、足に力が入らず立つことは出来ない。
床に魔法陣のような文様が描かれている。
鳥が舞い、風が木の葉で遊ぶ。
絵で描かれた物語のよう。
冷静に考えれば、閉ざされた部屋は真っ暗で何も見えない。
普通に見えていた時点で、光源があったのは明らかだ。
「こんなに濃い赤なのに見えてなかった」
「魔素が完全に抜ければ、青く光ります。
それまでじっとしていて下さい」
「所で、縛っている彼女は放置でいいのか?」
「あれは人形です。
人間と錯覚するように細工した魔族を騙す罠です」
暗殺者が居るなら、身代わりで対抗するのか。
うっかり騙された時点で詰んでいる訳だ。
「もし俺が魔族になっていたら死んでいたのか?」
「はい、血が噴水のように飛び散り大惨事になっています」
魔法陣の輝きが青に変わると身体が軽くなった。
立ち上がると、くらっと揺れるような感覚が襲う。
「少しふらつく……」
「はい、肩を貸します。
食事の準備が出来ていますのでゆっくりと楽しんで下さい」
中央部屋の前、壁に白い枠がはめ込まれている。
その内側に手を当てると吸い込まれるように入っていく。
「転移したのか?」
「はい、一階に到着です。
魔素を補充出来たので、館の機能が使えるようになりました」
「……電池みたいな感じなのか」
「でんち?」
「いや何でもない」
古城も良くわからないエネルギーで動いている装置があった。
似たようなものだろう。
時間があれば色々と試してみたい。
「おかえりなさいませ」
パチパチパチ……
数人のメイドが白いテーブルの前で待っていた。
知らない顔ばかりだが、好みがバレバレなのか可愛い子ばかりだ。
「丹精込めて作りました。
鶏の香草たっぷり照り焼きです」
「香りが良いな……、懐かしい」
「では、どの部分から切り分けましょうか?」
「自分で切るから……」
力が入らず、手に取ったナイフが転げ落ちる。
「ニヒヒヒ……。
無理なさらず、私達に任せて下さい」
オッセアは鶏肉を切り分け、自らの口に含む。
毒見は一応するのか。
彼女は、そのまま風太に口移しをしようと顔を近づける。
「ちょっちょっと、待って。
いやいや、前はそんな事をしなかった」
「身体が弱っているようでしたので、咀嚼した方が良いかと……」
「そんなに弱ってない。
自分で食べれる」
フォークを手にした時だ、手に激痛が走る。
手の甲に呪の刻印が現れていた。
それがバラの様に蔓を伸ばし腕に絡みつくように伸びている。
「呪いまで受けて居るようですね。
このままだと命が尽きてしまいます」
「他の呪いに触れなければ、特に何か起きたことはないから気にしたことはなかった」
俺って封印に、呪い、霊も取り憑いて……、なんかすごく運のなさそうなヤバイ奴感。
クチャクチャと噛む音……。
あっ、待って唾液の混ざったのを食べるのか?
ええっ?
気持ち悪い……、何ていうか汚い。
ごめん、無理だ。
「スープが良い。
肉はちょっと重いから、軽めのに……」
メイド達に身体を押さえられる。
抵抗は出来ないようだ。
「体力が落ちているのです。
これぐらい食べないと餓死してしまいす」
唇が重なった。
肉汁が口の中に広がる。
鶏肉の旨味にさっぱりした香草の香りに酸味が混じりピリリと刺激が走る。
美味しい……、けど何かを失っ気分だ。
手厚いのは良い筈なのに、違うんだ尊厳と言うか、誇りというか何かを奪われた気がする。
バタン!
勢いよく食堂の扉が開く。
ゼラとリアハが入って来る。
半裸で可愛いメイド達に囲まれて食事をしている所だ。
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検査って何時……、あの魔法陣か?
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「安定して稼げるようになるまで……」
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「ゼラ、話を乱さないで。
封印には、呪詛を引き寄せる効果もあって短命に終るように仕組まれている。
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リアハは風太を抱きしめる。
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「ありがとう」
拒否しなかったのは、彼女の覚悟を踏みにじりたくなかったから。
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次の日。
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オッセアの案内で、怪しげな館に到着した。
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魔女が住んでいるのか?」
「魔除け像は怖く作られていて、
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オッセアは不安にかられ風太の手を握る。
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「痛い……、落ち着いて。
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「代金は?」
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こういう時は惜しむこと無い。
有り金全部を突っ込む。
小さな革袋に見えるが白鯨の胃袋なんて名が付いているからには、それはどんなに飲み込むか解らない。
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どこまでも広がりそうで、幾ら入れれば一杯になるか想像もつかない。
「封印を解除してくれ!」
像の頭に手を置くと、天秤に光る玉が現れ釣り合った。
右には赤い玉、左には青い玉。
「選ばれたのは、力を封じている愚者の呪いと、命を蝕んでいる灼熱牢獄の呪いじゃ。
どちらを消すか選ぶが良い」
封印が解ければ、まだ見ぬ魔法の世界が広がる。
それも全力で使えて、激痛という束縛もない。
もう一択だろう。
「それなら封印を解除する」
「結論を急ぐではない、
よーく考えてから決めるのじゃ」
どちらを選べば後悔がないのか?
命が尽きたときには、公開する余地もない。
けど魔法は行き続けるがゆえにあの時、なんで封印を解かなかったとずっと悔やむ。
絶対悔み続けて死ぬ、それって生き地獄じゃないのか?
「結論は揺るがない、封印を解く一択だ!」
赤い玉の方に傾く。
やったー、封印が解けた!
「フォフォフォ……。
間抜けな子じゃ、解けたのは灼熱牢獄の方」
青い玉がシュワシュワと消えて消滅した。
無くなったから軽くなり天秤が傾いたということだ。
「えっ?
なんで……」
「もう一度試したければ1億を用意してくると良い」
次は金を取るのか!
はぁ?
意外と善人だと思って有り金を払ったんだぞ!
「そんな大金、ボッタクリだ」
「それぐらい軽く手に入れるだけの男だと認めてのことじゃ。
嫌なら他へ行くと良い」
真に望む願いは叶えない、それが堕天使の由縁だ。
偽れば災いが降りかかり、敵わぬ願いのために金を注ぎ込み続ける信者へと変えてしまう。
ろくでもない代物である。
手の呪いの刻印が綺麗サッパリ消えていた。
その力は認めるしか無い。
次こそは解除できる筈だ。
「解った。
貯めておくから、長生きしてくれ」
「調査不足でした。
どんな罰でも受けます」
「呪いは解けたから良かった。
これで寿命が伸びたし君に与えるなら褒美だろう?」
「はい、では他の方法を探しておきます」
夕方。
皆に別れを告げて帰路につく。
帝国の関所を通過する。
外で待っていたアマネルここぞと、風太に飛び抱きつく。
「ざこナメ君、何時まで待たせるの?
ずーとずーと寂しくて、泣いてたの」
彼女が外で待っていたのは、死体入の棺桶を帝国内に持ち込むことが出来なかったからだ。
「その変な演技をやめてくれ。
君の本当を知りたい」
「なっなっ……そんな恥ずかしい真似出来るわけ無い。
だって、これが本当の私だし」
「はぁ……。
でもありがとう」
「うひひひ……、もう照れるし、もっと褒めても良いけど。
どうして彼らが死んでいたかの推理を話すね」
よっぽど暇だったのだろう。
頼んでいないのにずっと調べていたようだ。
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「見つけた死体は無傷だったから毒殺なんだろう。
特に苦しそうな表情には見えなかったけど……」
「ちっちっちっ……。
この瓶は荷物の中にあったけど、空っぽだったの」
「飲んだからだろう?」
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箱に戻す理由がないって解らないの?」
「飲酒していることがバレないように隠したって所だろうと言いたいけど。
だとしたら毒ガスが出て死んだのか?」
「惜しい、彼らが死んだのは空気が奪われ。
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何言ってるんだと一瞬思った。
……空気って酸素のことか?
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「ふっふっふっ……、腹心であるセウファに託してある。
罪人は直ぐに捕まり裁かれるだろう」
セウファって裏切り者だろう?
駄目だ、ゲームだけじゃなくて人選も出来ないのか。
掌道化師だ。
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「俺が気になっているは、死体が腐らずに綺麗なまま保管されていただろう。
それが奇妙で気持ち悪かったんだ」
「ちょー簡単、なんで解らないかなー。
ゾンビを作るため、腐食止めを塗ったからよ」
「そこが解らないんだ。
だって、青い液を染み込ませるから……」
「なにそれ? ねぇ何なの?
初めて聞いたんだけど、意味わからない」
んん?
なんで知っているんだろう。
古代人の知識なのか?
だとしたら、言ってはいけないことだった……。
「さあ、何だろうね」
「ははーん、アマネルの事をナメているな。
そういうつもりなら、こんな時のため自白の香を使うけど、いいのかなー?」
「待って、それはズルい」
なんて、こんな広い場所で香なんて使っても、風で流されるだけだ。
勝手に自滅すれば良い。
三角錐の白い塊の先端に火を付けると甘い香りが漂う。
風の精霊よ、俺を守ってくれ……。
ピュルルー♪
心地よい風がアマネルに向かう。
直ぐに変化が現れ目が虚ろになってぼんやりしている。
「君の秘密を教えて欲しい」
「はい……」
ピーピーピーと規制音が鳴り響きそうな発言を漏らす。
聞いているだけで恥ずかしくて悶えそうだ。
「もう良いから、やめてくれ」
このド変態、やばすぎる。
「ニヒヒヒ……。
対策していないと思っているなんて滑稽。
情報を漏らさないように訓練しているの」
「絶対嘘だ。
破廉恥な変態だから、あんな事を言ったんだろう」
「ふっふっふっ。
そう思いたいなら思っておきなさい」
もう彼女から得られるものはなさそうだ。
あんまし無駄話を続けていたら、待っている馬車の人達に申し訳ない。
「もう行って良いか?」
「積み荷の箱には封蝋印が押されて未開封だった。
後から入れたものではなく、初めから積荷として入れられたって事」
「はいはい」
「封印を行ったのは狂姫よ」
怪物って……、ああ、姫様のことか。
「いやいや、ずっと俺と一緒にいたからあり得ない。
そいつは偽者だ……」
「身代わりは数人活動している。
だから誰も偽者が来ても疑う事もなかった」
「解った気をつける」
次にあった姫様が本物とは限らないのか。
……本物も命を取りに来るから、偽者でも大して変わりないだろう。
この状況を予期していたのなら、姫様に逆らうのは無理だろう。
先読みで潰される。
怖い。
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