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3章 玉国編
25話 帰る者達
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「ハハハハ……、その程度の実力で王国の貴族になれると思っているとは。
脇腹が痛い」
恥ずかしい思いをして、あの合言葉を唱えたのにこの扱いである。
組合の受付嬢はクスクスと笑いがこらえられず、顔……仮面だけどを見るたびに思い出し笑いしていたぐらいだ。
もう恥ずかしくて見知らぬ果に逃げたいのを我慢したのに……。
この黒服の男サズーンは風太の頑張りを腹を抱えて笑った。
細長い胡散臭い中年のおっさんと言った印象だが、目つきが何処となくギロッとして怖い。
遊ばれたのは明らかだが、まだ交渉は破綻したわけではない。
「条件は満たしたのに、何が不満なんだ?」
いや笑ったのは別の意味があったのか?
姫の裏工作がバレて、不正に気づいているとしたら……。
不安が過ったが、敵意を見せば交渉は終る。
「現在、派閥争いで内乱が起きている。
旧体制派の砦を潰す活躍を見せてくれれば紹介してやっても良い」
「解った。
それぐらい任せてくれ」
「自信はあるようだが、無策で挑んでも無駄死にするだけだ」
「場所を教えてくれたら直ぐに潰してくる」
「この地図に記してある。
達成出来たら、王国北西の都市で会おう」
そう告げるとサズーンは何処かへと消えた。
攻略の砦は古城の真南にあるようだ。
王国側もアンデットの侵入を防ぐ為に作ったのだろう。
放置しても良さそうな場所に思えるが、東に進出するには邪魔になるようだ。
「上手く行ったかしら?」
「師匠……、不意に現れるのはやめて欲しい」
シャオーリと再開したのは、死体を届けた後だ。
本物か偽物かはまだわからない。
だから重要な事は何も伝えては居ない。
何時ものように茶屋へ連れて行かれた。
店員とは顔なじみらしく、注文もしないのに品が出てくる。
甘い氷菓子を前に彼女は話を始める。
「報酬は全て帝国銀行に入れておいたわ。
これで持ち歩かずに済むから」
小切手だ。
初めてみるのだが、金額を書き込めば代わりに支払ってくれるものらしい。
「館の購入費は借金した。
支払ったら残りは雀の涙しか残らない」
「これは通帳よ。
残高を見てみなさい」
……何だこれは?
「支払いも何もかもが、全部収入になっている。
どんなバグを使った?」
不正は犯罪だ……と、言えないから怖い。
お飾りと言ってた割に、絶大な権力を持っているのは明らか。
「オホホホ……。
資金を貸したのは私の代理人、山賊を撃退した褒美に借金は帳消しで報奨が入ったわけ」
「この雇用費や修繕費、家具代とか……」
他にも馬車代、棺桶、武器諸々の護衛の際の費用までも収入になっているのが不気味だ。
これは貴族ラベーオが自腹を切ってくれた筈なのに意味がわからない。
「ええ、馬車の護衛だけで良かったのに、
砦まで出向いて殲滅してくれたから、色を付けてあげたわ」
「それにしても桁を間違えている。
どこから大金が湧いてくるんだ?」
「受け渡しは失敗したことになっているわ。
つまり帝国に支払う賠償金よ」
何言っているんだ?
受け渡しもしたし、賠償する必要はないのに……。
「不正! そんな事を自らして良いのか?」
「構わないわ。
議会が管理している政府のお金だし、私個人の物ではないの」
「はぁ?
国民の金だろう……」
この姫様はやはり狂っているのか?
発覚したら暴動で……。
「オホホホ……。
勘違いしないで、それは議会のお金よ。
彼らは自分達の私服を肥やすための政策を行っているに過ぎないわ」
「投票で代表を決めているんだろう?」
民意を汲み取る代表を選んでいるはずだし、好き勝手なことは出来ないはずだ。
……いや、姫の視点からなら見えるのか?
「古来から手を結んできた帝国を切り捨てたのはどうしてかしらね?
それは王国が魔族を撃退して見せたからだけではないわ」
ここの政治は殆ど知らない事はよく知っているのに。
意地悪な姫様だ。
「貢物でも要求されていたのか?」
「ええ、帝国は兵や武器を王国は金を要求したの。
金は民から回収し王国へ鞍替えする事を民意を問うこともなく議会が決めたわ」
そんな重要な事こそ、民意を問うべきなのにどうしてだ?
彼女の言う通り、私物化しているのか。
……。
「だとしても……」
この一言は敗北を認めたようなものだった。
クスッと彼女は笑う。
「裏切り者をあぶり出すための必要経費よ。
もう一度輸送を計画することになるわ」
「なんで?」
賠償金を支払ったなら、もう品を送る必要はない。
それに実際は品は受け取っているから要求も来ないはずだ。
「帝国は前払いで支払ったのに品を送れないなら代金を返すのは当然よね。
遅延した損害賠償だけに抑えたいと議会は考えるのは当然とは思わない?」
品さえ届けば、代金の返済が不要になるというわけか。
「でも直ぐにバレて不味い事にならないか?
なんか怖くて使えない」
「罪は裏切り者が被ることになるわ」
恐らく確実に口封じするのだろう。
失敗すれば全てがバレて破滅する事になる。
俺にはそんな賭けは怖くて考えもしない。
怪物って恐れられるだけのことはある。
話した感じは姫様だ。
偽者ではない筈……。
信頼して良いと思った時だ。
とてつもない悪寒、何か大きなミスをしたような怖さが襲う。
……違和感の正体は何だ?
姫様が護衛もなく自由に外出できるのだろうか?
砦での拷問の時、なんか違和感はあった。
なんで頻繁に着替えていくるのか?
あれは単に交代して、たまたま着ていた服が違っただけなのか。
いや入れ替わっても気づかないか試した。
つまり身代わりが複数いたとすれば、彼女も偽者の一人だろう。
「本物と話がしたい」
「目も耳も口も本物と思っていいわ。
想像している通り影でもあるけど」
「計画は既に筒抜けで罠が仕掛けてあると思う」
「オッホホホ……。
虹色の影は存在しないわ。
それそれが別の色で混ざり合うことはないから安心しなさい」
役割に合わせて情報も制限されているのだろう。
仮に裏切り者からの妨害がないとしても致命的な課題が残っている。
「俺は顔が知られているのにどうやって欺けるのか知りたい。
仮面で隠せるのも限界がある」
顔絵が出回り賞金稼ぎが血眼になって探しているはずだ。
一度も、そんな奴に出会ったことはないのは単なる幸運だろう。
「既に貴方は死んでいるわ」
「生きているけど?」
あの魔素抜きがゾンビ化の儀式だったなんて落ちはないだろう。
太陽の光に晒されても暑いと思うぐらいで特に異変もない。
「貴方の死体を箱に詰めて、王子に献上したわ。
中身を確認をした側近は驚きのあまり絶命したらしい」
「え?」
どこから死体が湧いてきたんだ?
いや偽者だろう。
絶命するって状況が想像できなさすぎて、いやいや可笑しいだろうってツッコミ入れたくなる。
もう気が狂って、現実と夢との違いがわからなくなっているんじゃないのか?
「悍ましい姿と成り果てて、識別は不可能の肉塊。
貴方が資格を獲得している頃の出来事よ」
偽装するためにどんな物を用意したのか恐ろしくて知りたくはない。
捕らえた事実と、姫の狂乱が混じって真実味が出たということか。
思い出そうとすると脳が焼かれる様に痛い。
身体が拒絶しているのか、曖昧にしか思い出せない。
彼女の方を少し見ると、唇が赤く染まっていた。
なんか可愛い……。
「解った、砦を攻略する方法を考えて欲しい」
情報は地図1枚だけだ。
これでどんな策が出でくるのだろうか楽しみ。
「見つからずに大将の首を取って来なさい。
潜入するぐらい出来て当然ですわ」
「……もっと詳細を知りたい」
「陽動して裏口から入れば良いでしょう?
本番の前に練習が出来るなんてとても運が良いわね」
姫の妹を救出するには、潜入しか無い。
その練習と言っているのか。
無茶振りで作戦と言って良いのかすらわからない。
だったら詳細な砦の地図が欲しい。
不親切なクソゲー並の情報のなさ。
「あっ、忘れていた。
アマネルから預かった禁書を返す」
勿論そんな物は預かっていない、偽って死者の書を渡した。
「これは禁書庫に戻しておきますわ。
律儀なのは良いことだけど、利用されて損をするのでは無いかしら?」
「さあな、内容は確認しないのか?」
「彼女の様子をみれば、どれほど危険なものか解ります。
心を蝕み狂わせる恐ろしき書……ですから見ることは出来ませんわ」
自然な形で手放すことに成功したし後は彼女の願いを叶えるだけだ。
しかし、一人で達成するには荷が重い。
協力者が必要だろう。
しかし彼女の人脈はどうも危険な香りがする。
だとしたら頼れそうなのは誰だろうか?
「単独で行動するつもりだ。
君とは一旦別行動しよう」
「凶悪な邪竜は言いました。
私の爪はどんなものでも切り裂く、そして体を覆う鱗はどんな攻撃も防ぐと。
それを嘘だと見抜き撃退した勇敢な者がいたのです、さてどうやって見抜いたのか?」
竜の言葉は矛盾している。
いや自分で自らの身体を傷つけたりはしないから……。
彼女が隣に座り手首を掴む。
んん?
彼女は微笑みのスカートを引き上げる。
動揺させて思考破壊するつもりだろうが見なければ良いだけだ。
手に柔らかくて温かい感触。
彼女の太もも、その内側に押し当てられていた。
えええっ!
「なっ……、ど、どう……」
「私の本気を知ってもらう為にはこうするしか無いわ。
契約しなさい」
「はい!! ……んん??」
彼女の足に茨が巻く付くような黒い痣が浮かび上がる。
風太の手にも同じような痣が。
考えている時に邪魔が入ると直ぐに切り替えないと……。
不覚、……絶対回避不可能だ。
「私達の命は一ヶ月で尽きる」
「解除する方法は?」
「術を掛けたものにしか解けない。
妹を連れてきたら解除してあげるわ」
1ヶ月以内に救い出さないと、彼女と共に死ぬのか。
「時間制限を付けた理由を知りたい」
「婚儀の時期が決まったわ。
それが丁度1ヶ月後」
「嗚呼……」
「封印の力を弱める……」
ゴホゴホ。
店員が恥ずかしそうに見ている。
「当店ではそのような行為はご延陵下さい」
「はい……」
うわぁ二度とこの店に行けない。
古代の城は占領されていると読んで、向かった風太だったが……。
湿地の沼に阻まれ、グール討伐は停滞していた。
テントが並び、砦の建設が進められている。
「ガロッド大将に会いに来た」
声を掛けた相手は本人だ。
老体だと言うのに重装の鎧を身にまとい、堂々と椅子に座っている。
「首を差し出しに来たか?」
初めて会った時のように不機嫌そうだ。
下手なことを言うと首が飛ぶかも知れない。
「王国の砦を落とす。
手伝って欲しい」
「ガハハハ……。
よほど死にたいと見える」
「何人の兵士がいた?
誰にも止められる事もなくたどり着いた」
「ならば、その腕を試させてもらおうぞ!」
ガロッドは大剣を掴むと、直ぐに振るった。
ずっしりつと重く分厚い刃が、ガシッと動きが止まる。
霊が見えているなら、メイド服の女達が大剣を掴んているが見えただろう。
風太は指先で軽く押すだけで、大剣を地面に落とす事ができた。
ガランガラン!
危な……、5キロはある鉄の塊が足にあたったら潰れる。
ギリギリ、かすっただけで済んだ。
「誰か来てくれると良いな。
でもそんな事はない事ぐらい解っているだろう?」
「孫をたぶらかしただけの事はある。
力を貸そうにも半数は王国の兵士、攻め入ると解れば牙を向くぞ」
「欲しいのは荷物を届けてくれる犬」
「何を運ぶつもりか知らぬが、最も近い砦でも魔素が足りぬ。
途中で法術が解けて散乱することになるぞ」
「それでいい、
あの巨大な骨は邪魔だろう?」
呪傀儡によって形成されている怪獣の骨がある。
アンデットを吸収し、下半身ぐらいまでに成長していた。
手動で動かせる呪具であり、直接触る必要がある代物だ。
アンデットに生身で触れるのは自殺行為であり、生命力を吸いつくされる。
明らかな失敗作であるが、アンデットを吸収し復元しようとする本能のような特性を利用したのである。
「良かろう、運搬犬を貸してやろう」
「ありがとう」
風太はすごく身体が軽く感じている。
封じられていた力が少し開放され、霊に分け与える事ができているからだ。
霊と一体化しているようで、ニヒヒヒ……と笑い声が漏れる。
テントを抜け、湿地へと進む。
ある者は兵士の詰まった木馬を送り、またある者は毒入りの酒を用意した。
そんな先人達の知恵を借りても良い。
でもゲームを楽しみたい気持ちも大いにある。
姫様が提示した策で挑んでやろう。
風太の周りに人魂が飛び回る。
今夜は最高に怖い夜になる。
手を天に伸ばすと青い満月が姿を見せた。
落ちない妖しの月、朝は訪れず長い夜が続く。
「メーメル師匠、もっと魔法が知りたい……」
指先から放たれる雷撃が行く道を照らす。
バシュ!
遠くに火が灯り木が燃え上がる。
阻むものは殆どなく淀んだ沼が続く。
水面に膜があるように足は沈まず、沼地を突き進む。
「ちょっ、ちょっと、あのお……。
風太殿ですか?」
見知らぬ少年が空飛ぶ箒に乗っている。
爽やかな印象の可愛い男の子である。
法術士のペンダントを付けている。
名を知っているということは姫の関係者だろう。
「師匠に魔法を教わっている所だ。
後にして欲しい」
「僕は運搬係のセラックです。
あんな巨大な骨を運べませんよ」
「じゃあ君に頼もうか」
人魂となったメイドの一人に託す。
セラックに霊は見えず混乱した。
「だから無理ですって」
「バラバラになっているから運べる筈だ。
なるべく急ぎで頼む」
「……解りました。
それでも運搬が出来なかった時はどうすれば良いですか?」
「作戦が成功するように祈っていてくれ」
「知りませんよ。
あんな目立つ法術を使って、幾ら能力強化をしても微々たる効果しか無いんですから」
青い満月は、血の月を阻害するための保険に過ぎない。
不確定な要素はできるだけ排除し、確実で堅実な勝利を目指す。
運に頼るのは愚策だろう。
ビューン!
風を切り氷の刃が飛んでくる。
顔の側を通り過ぎボチャンと水しぶきをあげ消えた。
「アマネルが腹心として信頼するだけのことはある。
どうして俺がここに居ると解ったんだ?」
兎耳の女……セウファが箒に乗って空高くから見下ろしている。
「魔狩場から脱出していたのには驚きました。
彼女が教えてくれなければ気づきもしませんでした」
アマネル……、やっぱり君はまぁそうだろうな。
へっぽこ過ぎた。
こうして彼女が現れたということは、情報が筒抜けだったということ。
後顧の憂いを断つために役立ってもらおうか。
「君がどうして帝国を嫌うのか教えてくれないか?」
「納得すれば諦めてくれるなら話しますが、
既に命を握られているのでは話し合いも意味を持たないでしょう」
「何のことだ?」
「貴方があの狂姫に従う理由を考えればただ一つ。
呪縛を掛けられているからとしか思えない」
もし利用するだけの関係なら冷めていただろう。
自らも呪い受ける覚悟を見せたのは大きい。
だから答えよう。
「なるほど、俺は王国が許せない。
俺を呼び出しておいて、用が済んだら暗殺者を送り込んできた。
だから一泡吹かしてやろうと思って話しに乗っているだけだ」
術師との戦いはお互いの守りを崩し合いになる。
其の為には高度な法術を組み上げて、連鎖的に打ち込み一気に畳み掛けるのが一般的だ。
先に見えざる衣を突破したほうが勝つ。
先に動いたのはセウファだった。
「術者の塔、目覚めよ我が声に答え氷の精霊よ。
汝、矢と成れ、汝、剣と成れ、汝、槍と成れ!」
様々な形の氷の刃が風太を貫く筈だった。
氷の刃が風太に近づいた時、静止したのである。
「罠術を発動……、にひひひ……。
踊る少女の宴」
死霊術、死者の魂に物理的な干渉を行える力を与える。
その効果によって、メイドの霊は氷の刃を武器として手に取ることが出来る。
セウファは直感的に牽制では無力と悟り直ぐに方針を変えた。
杖を手に天へかざし唱える。
「魔獣召喚! 来たれ! 凍てつく赤眼の邪竜!!」
ゴロロロと稲光が走る。
天空に裂け目が現れたかと思うと、それは顔を出す。
白銀の鱗に覆われた巨大な翼竜。
ギァオオオオン!
その雄叫びだけで魂が削られ命を落とす。
凶悪な最終兵器……。
「子供サイズの怪獣って、可愛いな」
「感謝します。
あの青い満月がなければ召喚は失敗していました」
「いや素晴らしい。
良い魔法を見せてもらって感謝するのは俺の方だ」
「随分と余裕なのですね。
代々継承されてきた特別な法術なのに……」
ゼラが馬車で丸太を粉砕した時に使った重戦車突撃も一家相伝だった。
貴族には独自に発展させた魔法を持っている。
そういう類は、とてつもなく強力で秘匿されている。
パチパチパチ……、メイド達の拍手が聞こえる。
「懐かしいな。
俺も拍手を贈ろう」
「貴方も狂人だったようですね。
そんなことより命乞いをした方が宜しいかと」
「あの世に行く前に、教えてくれてもいいだろう?」
時間稼ぎと取ったのかセウファはメガネをクイッと触り笑みを浮かべた。
状況は絶対にひっくり返ることは無い。
考えさせ絶望する様子を見たくなっていた。
「帝国は私の家族を奪った。
要請に応じ父は魔族と戦い死んだのです」
帝国が魔族に敗れれば、対抗出来る国はほぼない。
魔族に支配されてしまうのは確実だ。
それはセウファも理解している。
悪いのは魔族であって、帝国ではないことも。
「俺が魔族を撃退して、復讐を果たしてやると言ったら?」
「まだ話は終わっていません。
相続には税が掛かります。
税は現金でしか払えず、領地を手放すしかなかった。
けど長男は帝国で戦果をあげて報奨金を得ようと考えたのです。
そこからが転落の始まり、長男が死に、次男が死に、三男と……兄達は死んで、残ったのは莫大な相続税。
領地、土地、何もかも売り払っても、足りず……私は……私は……」
あんな魔獣を使役できるということは、それなりの地位にいた貴族なのだろう。
それが没落して財産を失ったのはどれだけ辛い日々だったか想像もつかない。
もし単純に借金で従わせられているとすれば、解決は簡単だ。
「ここに小切手がある。
好きな額を書くと良い」
「買収するつもりですか?
見損ないました」
セウファが杖を振り下ろすと、邪竜が動く。
永久凍結の吐息を放とうと大きく息を吸い込む。
あー、外した。
恨み復讐のためか、これは厄介かもしれない。
とりあえず対処するしか無い。
「メーメル師匠……。
手本を見せて下さい」
無詠唱で繰り出す、大地の壁。
ザバーンと、水柱が上がる。
輝く吐息が氷の柱へと。
パリンと砕け散り白い霧と共に氷の粒が舞う。
一気に空気が凍てつき、水を草木を凍りつかせる。
沼はままたくまに硬い氷土となった。
「低級な法術で防げるとは思わないで下さい。
低温では動きが鈍り、生命の灯火も消え凍りつく……」
「真空なら熱は伝わらないんだ。
二重に衣で空間に真空の膜が出来上がる」
魔法瓶も真空で保温している。
仕組みさえ解れば後は魔法で再現するだけ。
それに師匠が教えてくれる、なんて楽に出来るんだろうか。
「吐息対策は出来ているようね。
でも魔獣は法術を展開できることはご存知でしょうか?」
邪竜の顔の前に光る魔法陣が浮かび上がる。
そこから氷の刃が雨のように降り注ぐ。
軌道は逸れ風太の周囲に氷で出来た棘の絨毯を作り出す。
初めから逃げ場を塞ぐためだけの無駄打ち。
「俺を殺した怪獣は一撃で十分だった。
まだ赤子だから、こんなに弱いのか?」
誇りを傷つけられて冷静で居られる者は少ない。
彼女も例外ではない。
優越感が徐々に焦りに変わり、煽りで緊張が途切れた。
「黙りなさい!
この一撃で粉砕してあげます」
邪竜の周りに複数の魔法陣が展開する。
それぞれが、大量の氷の刃を放つ。
だが風太に届くことはない。
何故なら、無意識に手が動き放たれた石の弾丸が氷を刃を砕き迎撃していたからだ。
まるで射的でも楽しむかのようにバンバンと手を銃に見立てて楽しむ。
「へぇー、鏡のように相手の真似をすると好感を持ってくれるのか。
だからメーメル師匠は俺のことをよく思ってくれていたのかな?」
「一体誰と話している。
やはり狂人は引き合うようですね」
「彼女達が見えないのなら、気にしないでくれ」
魔素の尽きた杖は黒ずみ、灰のように粉々に朽ちて散る。
邪竜の維持が限界に達した証拠だ。
セウファは指の爪を噛んでいた。
憎い相手が立っているのに逃げ出すのかと迷っていた。
もし攻撃が届くならどうして攻撃をしないのかと彼女は閃く。
攻撃手段がないということだ。
上からではどうして氷の刃が砕けるのかは見えていなかった。
いや脳が拒絶したのだ、暗闇であの高速で飛ぶ氷の刃を正確に射抜ける筈は無いと。
見えざる衣に阻まれて跳ね返されていると推測した。
「邪竜の爪は鋼すら引き裂きます。
そんな薄い見えざる衣は裸も同然です」
空にいる優位を捨てる愚策。
邪竜は鷹が獲物を狙うかのように翼を閉じ頭から急降下する。
風太は落胆した。
戦いを知らないのでは折角の強敵も雑魚に成り下がる。
踊る氷の武器が邪竜を斬りつけるが硬い鱗に砕ける。
目を狙うが首を動かし噛み砕く、メイド達の霊では勢いは止められない。
さて行くか。
浮遊する砕けた氷の武器を足場に風太は駆け上がる。
螺旋階段のように空へと。
「強く見せようと騙るのは良くない。
特に攻撃方法を教えるのは弱い」
そのまま質量を活かして激突していたら敗北していただろう。
邪竜は体制を変え爪を突き出す。
同時に飛ぶ体制へ移行するために翼を広げる。
それは風太にとってはゆっくりと動いているように見えた。
そんなとろい爪に触れるのは容易い、霊の食事を発動する。
パリンッ!
邪竜の爪が砕け散る。
「素手で破壊出来るなんて、あり得ない……。
強化法術を使った……、いや、それだけでは足りない……」
たかが爪一本ぐらい。
次の一手をセウファは考えている間に状況が一変する。
邪竜が悲鳴を上げた。
沼へ落ちて行く。
いや自らが凍らせた硬い大地に激突した。
絶命。
ただ爪が砕け散っただけなら、そんな事は起きない。
一寸法師が鬼を撃退したように内部で暴れればどうだろうか?
巨大な敵に対しての攻略は先人の知恵で十分だ。
「君はどうするつもり?」
風太はセウファの居る上空にたどり着いていた。
メイド達の霊が導いてくれのである。
セウファは戦いの中、何時でも逃げることは出来たのに、その機会を脱していた。
彼女の瞳から涙がこぼれ落ちる。
「……貴方の手で終わらせて下さい」
風太が彼女の頬を触っても、兎耳をナデナデしても抵抗はしない。
完全に諦めたようだ。
絶対的な力が容易く破られたのである。
邪竜ですら勝てない化け物を目の前に何が出来るというのだろう。
「小切手を渡しておこうか。
一度、命を助けてもらった恩があるし、良い練習になった」
彼女に手をかけたらアマネルが悲しむ。
それに命を奪うのは流石に……後味が悪い。
「使役するための魔獣が死んでしまったら、
もう法術は使えない」
「君の価値は、そんな物で決まったりはしないだろう?」
「また奴隷に成れというのなら命を……」
「ひと目見た時から気に入っていた。
だから俺の下に来ないか?」
そう兎耳がとっても可愛くてペットみたいな愛らしさが。
「例え貴方が許しても……」
「シャオーリもアマネルも俺の言うことを聞いてくれる。
共に生きる道を探そう」
セウファの脳内は桃色に染まっていた。
愛の告白に違いないとウキウキしつつも、軽い女と見られたくないというジレンマ。
彼女の復讐劇は未完で終わり、恋の劇場が始まっていた。
「……考えさせて下さい」
小切手を受け取ったセウファは何処かへ飛んでいった。
「さて、皆で砦の攻略に行こうか」
痛みが来る前のあの感覚、制限が緩和されたと思っていたのに。
違う、痛みが来るのが遅延していただけ。
ああ、来る、来ないで。
うああぁぁぁぁぁっ!!!
全身が痛い、動けない痛みで硬直する。
あああああっ、死ぬ。
ここで意識を失えば、凍った地面に叩きつけられる。
なんで空に駆け上がったんだ。
地べたで待っていれば良かったのに腕が足がねじ曲がるぎゃああああぁぁぁぁっ。
風太は意識を失っていた。
「にひひひ……、困ったお方です。
こんな調子で王子の首を取れるのか不安になってきました」
「大丈夫、私達の仇は取ってくれるわ」
「そうかしら、さっきの女を生かしたし……。
裏切り者は粛清しないと」
「あらあら、怖い……。
彼に任せるって決めたでしょう」
「でも……」
寝言のように、言葉が漏れていた。
意識を失っているはずなのに耳に残る。
不思議な感覚だ。
痛みが消え風太が目覚めると、木に持たれる感じに座っていた。
「どうしてここに居るんだろうか?」
微笑むメイド達がおでこに口づけする。
「ああ、君達が助けてくれたんだ。
ありがとう」
地面に地図が描かれている。
平面の図なのに、立体的なまるで3次元の映像に見えた。
兵の配置から、どのように侵入するのかも現実の縮小みたいに動いて見える。
「魔法は禁止、絶対に使わない。
ゆるゆるになって使い放題だと思ったのが大間違いだった」
脇腹が痛い」
恥ずかしい思いをして、あの合言葉を唱えたのにこの扱いである。
組合の受付嬢はクスクスと笑いがこらえられず、顔……仮面だけどを見るたびに思い出し笑いしていたぐらいだ。
もう恥ずかしくて見知らぬ果に逃げたいのを我慢したのに……。
この黒服の男サズーンは風太の頑張りを腹を抱えて笑った。
細長い胡散臭い中年のおっさんと言った印象だが、目つきが何処となくギロッとして怖い。
遊ばれたのは明らかだが、まだ交渉は破綻したわけではない。
「条件は満たしたのに、何が不満なんだ?」
いや笑ったのは別の意味があったのか?
姫の裏工作がバレて、不正に気づいているとしたら……。
不安が過ったが、敵意を見せば交渉は終る。
「現在、派閥争いで内乱が起きている。
旧体制派の砦を潰す活躍を見せてくれれば紹介してやっても良い」
「解った。
それぐらい任せてくれ」
「自信はあるようだが、無策で挑んでも無駄死にするだけだ」
「場所を教えてくれたら直ぐに潰してくる」
「この地図に記してある。
達成出来たら、王国北西の都市で会おう」
そう告げるとサズーンは何処かへと消えた。
攻略の砦は古城の真南にあるようだ。
王国側もアンデットの侵入を防ぐ為に作ったのだろう。
放置しても良さそうな場所に思えるが、東に進出するには邪魔になるようだ。
「上手く行ったかしら?」
「師匠……、不意に現れるのはやめて欲しい」
シャオーリと再開したのは、死体を届けた後だ。
本物か偽物かはまだわからない。
だから重要な事は何も伝えては居ない。
何時ものように茶屋へ連れて行かれた。
店員とは顔なじみらしく、注文もしないのに品が出てくる。
甘い氷菓子を前に彼女は話を始める。
「報酬は全て帝国銀行に入れておいたわ。
これで持ち歩かずに済むから」
小切手だ。
初めてみるのだが、金額を書き込めば代わりに支払ってくれるものらしい。
「館の購入費は借金した。
支払ったら残りは雀の涙しか残らない」
「これは通帳よ。
残高を見てみなさい」
……何だこれは?
「支払いも何もかもが、全部収入になっている。
どんなバグを使った?」
不正は犯罪だ……と、言えないから怖い。
お飾りと言ってた割に、絶大な権力を持っているのは明らか。
「オホホホ……。
資金を貸したのは私の代理人、山賊を撃退した褒美に借金は帳消しで報奨が入ったわけ」
「この雇用費や修繕費、家具代とか……」
他にも馬車代、棺桶、武器諸々の護衛の際の費用までも収入になっているのが不気味だ。
これは貴族ラベーオが自腹を切ってくれた筈なのに意味がわからない。
「ええ、馬車の護衛だけで良かったのに、
砦まで出向いて殲滅してくれたから、色を付けてあげたわ」
「それにしても桁を間違えている。
どこから大金が湧いてくるんだ?」
「受け渡しは失敗したことになっているわ。
つまり帝国に支払う賠償金よ」
何言っているんだ?
受け渡しもしたし、賠償する必要はないのに……。
「不正! そんな事を自らして良いのか?」
「構わないわ。
議会が管理している政府のお金だし、私個人の物ではないの」
「はぁ?
国民の金だろう……」
この姫様はやはり狂っているのか?
発覚したら暴動で……。
「オホホホ……。
勘違いしないで、それは議会のお金よ。
彼らは自分達の私服を肥やすための政策を行っているに過ぎないわ」
「投票で代表を決めているんだろう?」
民意を汲み取る代表を選んでいるはずだし、好き勝手なことは出来ないはずだ。
……いや、姫の視点からなら見えるのか?
「古来から手を結んできた帝国を切り捨てたのはどうしてかしらね?
それは王国が魔族を撃退して見せたからだけではないわ」
ここの政治は殆ど知らない事はよく知っているのに。
意地悪な姫様だ。
「貢物でも要求されていたのか?」
「ええ、帝国は兵や武器を王国は金を要求したの。
金は民から回収し王国へ鞍替えする事を民意を問うこともなく議会が決めたわ」
そんな重要な事こそ、民意を問うべきなのにどうしてだ?
彼女の言う通り、私物化しているのか。
……。
「だとしても……」
この一言は敗北を認めたようなものだった。
クスッと彼女は笑う。
「裏切り者をあぶり出すための必要経費よ。
もう一度輸送を計画することになるわ」
「なんで?」
賠償金を支払ったなら、もう品を送る必要はない。
それに実際は品は受け取っているから要求も来ないはずだ。
「帝国は前払いで支払ったのに品を送れないなら代金を返すのは当然よね。
遅延した損害賠償だけに抑えたいと議会は考えるのは当然とは思わない?」
品さえ届けば、代金の返済が不要になるというわけか。
「でも直ぐにバレて不味い事にならないか?
なんか怖くて使えない」
「罪は裏切り者が被ることになるわ」
恐らく確実に口封じするのだろう。
失敗すれば全てがバレて破滅する事になる。
俺にはそんな賭けは怖くて考えもしない。
怪物って恐れられるだけのことはある。
話した感じは姫様だ。
偽者ではない筈……。
信頼して良いと思った時だ。
とてつもない悪寒、何か大きなミスをしたような怖さが襲う。
……違和感の正体は何だ?
姫様が護衛もなく自由に外出できるのだろうか?
砦での拷問の時、なんか違和感はあった。
なんで頻繁に着替えていくるのか?
あれは単に交代して、たまたま着ていた服が違っただけなのか。
いや入れ替わっても気づかないか試した。
つまり身代わりが複数いたとすれば、彼女も偽者の一人だろう。
「本物と話がしたい」
「目も耳も口も本物と思っていいわ。
想像している通り影でもあるけど」
「計画は既に筒抜けで罠が仕掛けてあると思う」
「オッホホホ……。
虹色の影は存在しないわ。
それそれが別の色で混ざり合うことはないから安心しなさい」
役割に合わせて情報も制限されているのだろう。
仮に裏切り者からの妨害がないとしても致命的な課題が残っている。
「俺は顔が知られているのにどうやって欺けるのか知りたい。
仮面で隠せるのも限界がある」
顔絵が出回り賞金稼ぎが血眼になって探しているはずだ。
一度も、そんな奴に出会ったことはないのは単なる幸運だろう。
「既に貴方は死んでいるわ」
「生きているけど?」
あの魔素抜きがゾンビ化の儀式だったなんて落ちはないだろう。
太陽の光に晒されても暑いと思うぐらいで特に異変もない。
「貴方の死体を箱に詰めて、王子に献上したわ。
中身を確認をした側近は驚きのあまり絶命したらしい」
「え?」
どこから死体が湧いてきたんだ?
いや偽者だろう。
絶命するって状況が想像できなさすぎて、いやいや可笑しいだろうってツッコミ入れたくなる。
もう気が狂って、現実と夢との違いがわからなくなっているんじゃないのか?
「悍ましい姿と成り果てて、識別は不可能の肉塊。
貴方が資格を獲得している頃の出来事よ」
偽装するためにどんな物を用意したのか恐ろしくて知りたくはない。
捕らえた事実と、姫の狂乱が混じって真実味が出たということか。
思い出そうとすると脳が焼かれる様に痛い。
身体が拒絶しているのか、曖昧にしか思い出せない。
彼女の方を少し見ると、唇が赤く染まっていた。
なんか可愛い……。
「解った、砦を攻略する方法を考えて欲しい」
情報は地図1枚だけだ。
これでどんな策が出でくるのだろうか楽しみ。
「見つからずに大将の首を取って来なさい。
潜入するぐらい出来て当然ですわ」
「……もっと詳細を知りたい」
「陽動して裏口から入れば良いでしょう?
本番の前に練習が出来るなんてとても運が良いわね」
姫の妹を救出するには、潜入しか無い。
その練習と言っているのか。
無茶振りで作戦と言って良いのかすらわからない。
だったら詳細な砦の地図が欲しい。
不親切なクソゲー並の情報のなさ。
「あっ、忘れていた。
アマネルから預かった禁書を返す」
勿論そんな物は預かっていない、偽って死者の書を渡した。
「これは禁書庫に戻しておきますわ。
律儀なのは良いことだけど、利用されて損をするのでは無いかしら?」
「さあな、内容は確認しないのか?」
「彼女の様子をみれば、どれほど危険なものか解ります。
心を蝕み狂わせる恐ろしき書……ですから見ることは出来ませんわ」
自然な形で手放すことに成功したし後は彼女の願いを叶えるだけだ。
しかし、一人で達成するには荷が重い。
協力者が必要だろう。
しかし彼女の人脈はどうも危険な香りがする。
だとしたら頼れそうなのは誰だろうか?
「単独で行動するつもりだ。
君とは一旦別行動しよう」
「凶悪な邪竜は言いました。
私の爪はどんなものでも切り裂く、そして体を覆う鱗はどんな攻撃も防ぐと。
それを嘘だと見抜き撃退した勇敢な者がいたのです、さてどうやって見抜いたのか?」
竜の言葉は矛盾している。
いや自分で自らの身体を傷つけたりはしないから……。
彼女が隣に座り手首を掴む。
んん?
彼女は微笑みのスカートを引き上げる。
動揺させて思考破壊するつもりだろうが見なければ良いだけだ。
手に柔らかくて温かい感触。
彼女の太もも、その内側に押し当てられていた。
えええっ!
「なっ……、ど、どう……」
「私の本気を知ってもらう為にはこうするしか無いわ。
契約しなさい」
「はい!! ……んん??」
彼女の足に茨が巻く付くような黒い痣が浮かび上がる。
風太の手にも同じような痣が。
考えている時に邪魔が入ると直ぐに切り替えないと……。
不覚、……絶対回避不可能だ。
「私達の命は一ヶ月で尽きる」
「解除する方法は?」
「術を掛けたものにしか解けない。
妹を連れてきたら解除してあげるわ」
1ヶ月以内に救い出さないと、彼女と共に死ぬのか。
「時間制限を付けた理由を知りたい」
「婚儀の時期が決まったわ。
それが丁度1ヶ月後」
「嗚呼……」
「封印の力を弱める……」
ゴホゴホ。
店員が恥ずかしそうに見ている。
「当店ではそのような行為はご延陵下さい」
「はい……」
うわぁ二度とこの店に行けない。
古代の城は占領されていると読んで、向かった風太だったが……。
湿地の沼に阻まれ、グール討伐は停滞していた。
テントが並び、砦の建設が進められている。
「ガロッド大将に会いに来た」
声を掛けた相手は本人だ。
老体だと言うのに重装の鎧を身にまとい、堂々と椅子に座っている。
「首を差し出しに来たか?」
初めて会った時のように不機嫌そうだ。
下手なことを言うと首が飛ぶかも知れない。
「王国の砦を落とす。
手伝って欲しい」
「ガハハハ……。
よほど死にたいと見える」
「何人の兵士がいた?
誰にも止められる事もなくたどり着いた」
「ならば、その腕を試させてもらおうぞ!」
ガロッドは大剣を掴むと、直ぐに振るった。
ずっしりつと重く分厚い刃が、ガシッと動きが止まる。
霊が見えているなら、メイド服の女達が大剣を掴んているが見えただろう。
風太は指先で軽く押すだけで、大剣を地面に落とす事ができた。
ガランガラン!
危な……、5キロはある鉄の塊が足にあたったら潰れる。
ギリギリ、かすっただけで済んだ。
「誰か来てくれると良いな。
でもそんな事はない事ぐらい解っているだろう?」
「孫をたぶらかしただけの事はある。
力を貸そうにも半数は王国の兵士、攻め入ると解れば牙を向くぞ」
「欲しいのは荷物を届けてくれる犬」
「何を運ぶつもりか知らぬが、最も近い砦でも魔素が足りぬ。
途中で法術が解けて散乱することになるぞ」
「それでいい、
あの巨大な骨は邪魔だろう?」
呪傀儡によって形成されている怪獣の骨がある。
アンデットを吸収し、下半身ぐらいまでに成長していた。
手動で動かせる呪具であり、直接触る必要がある代物だ。
アンデットに生身で触れるのは自殺行為であり、生命力を吸いつくされる。
明らかな失敗作であるが、アンデットを吸収し復元しようとする本能のような特性を利用したのである。
「良かろう、運搬犬を貸してやろう」
「ありがとう」
風太はすごく身体が軽く感じている。
封じられていた力が少し開放され、霊に分け与える事ができているからだ。
霊と一体化しているようで、ニヒヒヒ……と笑い声が漏れる。
テントを抜け、湿地へと進む。
ある者は兵士の詰まった木馬を送り、またある者は毒入りの酒を用意した。
そんな先人達の知恵を借りても良い。
でもゲームを楽しみたい気持ちも大いにある。
姫様が提示した策で挑んでやろう。
風太の周りに人魂が飛び回る。
今夜は最高に怖い夜になる。
手を天に伸ばすと青い満月が姿を見せた。
落ちない妖しの月、朝は訪れず長い夜が続く。
「メーメル師匠、もっと魔法が知りたい……」
指先から放たれる雷撃が行く道を照らす。
バシュ!
遠くに火が灯り木が燃え上がる。
阻むものは殆どなく淀んだ沼が続く。
水面に膜があるように足は沈まず、沼地を突き進む。
「ちょっ、ちょっと、あのお……。
風太殿ですか?」
見知らぬ少年が空飛ぶ箒に乗っている。
爽やかな印象の可愛い男の子である。
法術士のペンダントを付けている。
名を知っているということは姫の関係者だろう。
「師匠に魔法を教わっている所だ。
後にして欲しい」
「僕は運搬係のセラックです。
あんな巨大な骨を運べませんよ」
「じゃあ君に頼もうか」
人魂となったメイドの一人に託す。
セラックに霊は見えず混乱した。
「だから無理ですって」
「バラバラになっているから運べる筈だ。
なるべく急ぎで頼む」
「……解りました。
それでも運搬が出来なかった時はどうすれば良いですか?」
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「知りませんよ。
あんな目立つ法術を使って、幾ら能力強化をしても微々たる効果しか無いんですから」
青い満月は、血の月を阻害するための保険に過ぎない。
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ビューン!
風を切り氷の刃が飛んでくる。
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「納得すれば諦めてくれるなら話しますが、
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杖を手に天へかざし唱える。
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ゴロロロと稲光が走る。
天空に裂け目が現れたかと思うと、それは顔を出す。
白銀の鱗に覆われた巨大な翼竜。
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その雄叫びだけで魂が削られ命を落とす。
凶悪な最終兵器……。
「子供サイズの怪獣って、可愛いな」
「感謝します。
あの青い満月がなければ召喚は失敗していました」
「いや素晴らしい。
良い魔法を見せてもらって感謝するのは俺の方だ」
「随分と余裕なのですね。
代々継承されてきた特別な法術なのに……」
ゼラが馬車で丸太を粉砕した時に使った重戦車突撃も一家相伝だった。
貴族には独自に発展させた魔法を持っている。
そういう類は、とてつもなく強力で秘匿されている。
パチパチパチ……、メイド達の拍手が聞こえる。
「懐かしいな。
俺も拍手を贈ろう」
「貴方も狂人だったようですね。
そんなことより命乞いをした方が宜しいかと」
「あの世に行く前に、教えてくれてもいいだろう?」
時間稼ぎと取ったのかセウファはメガネをクイッと触り笑みを浮かべた。
状況は絶対にひっくり返ることは無い。
考えさせ絶望する様子を見たくなっていた。
「帝国は私の家族を奪った。
要請に応じ父は魔族と戦い死んだのです」
帝国が魔族に敗れれば、対抗出来る国はほぼない。
魔族に支配されてしまうのは確実だ。
それはセウファも理解している。
悪いのは魔族であって、帝国ではないことも。
「俺が魔族を撃退して、復讐を果たしてやると言ったら?」
「まだ話は終わっていません。
相続には税が掛かります。
税は現金でしか払えず、領地を手放すしかなかった。
けど長男は帝国で戦果をあげて報奨金を得ようと考えたのです。
そこからが転落の始まり、長男が死に、次男が死に、三男と……兄達は死んで、残ったのは莫大な相続税。
領地、土地、何もかも売り払っても、足りず……私は……私は……」
あんな魔獣を使役できるということは、それなりの地位にいた貴族なのだろう。
それが没落して財産を失ったのはどれだけ辛い日々だったか想像もつかない。
もし単純に借金で従わせられているとすれば、解決は簡単だ。
「ここに小切手がある。
好きな額を書くと良い」
「買収するつもりですか?
見損ないました」
セウファが杖を振り下ろすと、邪竜が動く。
永久凍結の吐息を放とうと大きく息を吸い込む。
あー、外した。
恨み復讐のためか、これは厄介かもしれない。
とりあえず対処するしか無い。
「メーメル師匠……。
手本を見せて下さい」
無詠唱で繰り出す、大地の壁。
ザバーンと、水柱が上がる。
輝く吐息が氷の柱へと。
パリンと砕け散り白い霧と共に氷の粒が舞う。
一気に空気が凍てつき、水を草木を凍りつかせる。
沼はままたくまに硬い氷土となった。
「低級な法術で防げるとは思わないで下さい。
低温では動きが鈍り、生命の灯火も消え凍りつく……」
「真空なら熱は伝わらないんだ。
二重に衣で空間に真空の膜が出来上がる」
魔法瓶も真空で保温している。
仕組みさえ解れば後は魔法で再現するだけ。
それに師匠が教えてくれる、なんて楽に出来るんだろうか。
「吐息対策は出来ているようね。
でも魔獣は法術を展開できることはご存知でしょうか?」
邪竜の顔の前に光る魔法陣が浮かび上がる。
そこから氷の刃が雨のように降り注ぐ。
軌道は逸れ風太の周囲に氷で出来た棘の絨毯を作り出す。
初めから逃げ場を塞ぐためだけの無駄打ち。
「俺を殺した怪獣は一撃で十分だった。
まだ赤子だから、こんなに弱いのか?」
誇りを傷つけられて冷静で居られる者は少ない。
彼女も例外ではない。
優越感が徐々に焦りに変わり、煽りで緊張が途切れた。
「黙りなさい!
この一撃で粉砕してあげます」
邪竜の周りに複数の魔法陣が展開する。
それぞれが、大量の氷の刃を放つ。
だが風太に届くことはない。
何故なら、無意識に手が動き放たれた石の弾丸が氷を刃を砕き迎撃していたからだ。
まるで射的でも楽しむかのようにバンバンと手を銃に見立てて楽しむ。
「へぇー、鏡のように相手の真似をすると好感を持ってくれるのか。
だからメーメル師匠は俺のことをよく思ってくれていたのかな?」
「一体誰と話している。
やはり狂人は引き合うようですね」
「彼女達が見えないのなら、気にしないでくれ」
魔素の尽きた杖は黒ずみ、灰のように粉々に朽ちて散る。
邪竜の維持が限界に達した証拠だ。
セウファは指の爪を噛んでいた。
憎い相手が立っているのに逃げ出すのかと迷っていた。
もし攻撃が届くならどうして攻撃をしないのかと彼女は閃く。
攻撃手段がないということだ。
上からではどうして氷の刃が砕けるのかは見えていなかった。
いや脳が拒絶したのだ、暗闇であの高速で飛ぶ氷の刃を正確に射抜ける筈は無いと。
見えざる衣に阻まれて跳ね返されていると推測した。
「邪竜の爪は鋼すら引き裂きます。
そんな薄い見えざる衣は裸も同然です」
空にいる優位を捨てる愚策。
邪竜は鷹が獲物を狙うかのように翼を閉じ頭から急降下する。
風太は落胆した。
戦いを知らないのでは折角の強敵も雑魚に成り下がる。
踊る氷の武器が邪竜を斬りつけるが硬い鱗に砕ける。
目を狙うが首を動かし噛み砕く、メイド達の霊では勢いは止められない。
さて行くか。
浮遊する砕けた氷の武器を足場に風太は駆け上がる。
螺旋階段のように空へと。
「強く見せようと騙るのは良くない。
特に攻撃方法を教えるのは弱い」
そのまま質量を活かして激突していたら敗北していただろう。
邪竜は体制を変え爪を突き出す。
同時に飛ぶ体制へ移行するために翼を広げる。
それは風太にとってはゆっくりと動いているように見えた。
そんなとろい爪に触れるのは容易い、霊の食事を発動する。
パリンッ!
邪竜の爪が砕け散る。
「素手で破壊出来るなんて、あり得ない……。
強化法術を使った……、いや、それだけでは足りない……」
たかが爪一本ぐらい。
次の一手をセウファは考えている間に状況が一変する。
邪竜が悲鳴を上げた。
沼へ落ちて行く。
いや自らが凍らせた硬い大地に激突した。
絶命。
ただ爪が砕け散っただけなら、そんな事は起きない。
一寸法師が鬼を撃退したように内部で暴れればどうだろうか?
巨大な敵に対しての攻略は先人の知恵で十分だ。
「君はどうするつもり?」
風太はセウファの居る上空にたどり着いていた。
メイド達の霊が導いてくれのである。
セウファは戦いの中、何時でも逃げることは出来たのに、その機会を脱していた。
彼女の瞳から涙がこぼれ落ちる。
「……貴方の手で終わらせて下さい」
風太が彼女の頬を触っても、兎耳をナデナデしても抵抗はしない。
完全に諦めたようだ。
絶対的な力が容易く破られたのである。
邪竜ですら勝てない化け物を目の前に何が出来るというのだろう。
「小切手を渡しておこうか。
一度、命を助けてもらった恩があるし、良い練習になった」
彼女に手をかけたらアマネルが悲しむ。
それに命を奪うのは流石に……後味が悪い。
「使役するための魔獣が死んでしまったら、
もう法術は使えない」
「君の価値は、そんな物で決まったりはしないだろう?」
「また奴隷に成れというのなら命を……」
「ひと目見た時から気に入っていた。
だから俺の下に来ないか?」
そう兎耳がとっても可愛くてペットみたいな愛らしさが。
「例え貴方が許しても……」
「シャオーリもアマネルも俺の言うことを聞いてくれる。
共に生きる道を探そう」
セウファの脳内は桃色に染まっていた。
愛の告白に違いないとウキウキしつつも、軽い女と見られたくないというジレンマ。
彼女の復讐劇は未完で終わり、恋の劇場が始まっていた。
「……考えさせて下さい」
小切手を受け取ったセウファは何処かへ飛んでいった。
「さて、皆で砦の攻略に行こうか」
痛みが来る前のあの感覚、制限が緩和されたと思っていたのに。
違う、痛みが来るのが遅延していただけ。
ああ、来る、来ないで。
うああぁぁぁぁぁっ!!!
全身が痛い、動けない痛みで硬直する。
あああああっ、死ぬ。
ここで意識を失えば、凍った地面に叩きつけられる。
なんで空に駆け上がったんだ。
地べたで待っていれば良かったのに腕が足がねじ曲がるぎゃああああぁぁぁぁっ。
風太は意識を失っていた。
「にひひひ……、困ったお方です。
こんな調子で王子の首を取れるのか不安になってきました」
「大丈夫、私達の仇は取ってくれるわ」
「そうかしら、さっきの女を生かしたし……。
裏切り者は粛清しないと」
「あらあら、怖い……。
彼に任せるって決めたでしょう」
「でも……」
寝言のように、言葉が漏れていた。
意識を失っているはずなのに耳に残る。
不思議な感覚だ。
痛みが消え風太が目覚めると、木に持たれる感じに座っていた。
「どうしてここに居るんだろうか?」
微笑むメイド達がおでこに口づけする。
「ああ、君達が助けてくれたんだ。
ありがとう」
地面に地図が描かれている。
平面の図なのに、立体的なまるで3次元の映像に見えた。
兵の配置から、どのように侵入するのかも現実の縮小みたいに動いて見える。
「魔法は禁止、絶対に使わない。
ゆるゆるになって使い放題だと思ったのが大間違いだった」
0
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