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4章 帰国編
26話 預言者
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「ああ、空は星々の大河がが輝いているのに、どうしてだ?
木々は枯れ、腐臭のする泥水、雑草さえない」
風太は自分の言葉に驚く。
どうして、謎の言葉を発したのだろうか?
それはこの大地が汚れているから。
ああ、そうに違いない。
「メーメル師匠もそう思いますよね。
美しい花に囲まれた幻想的な場所にしたいと……」
悪霊に取りつかれた者の末路なのかも知れない。
誰にも聞こえない声を聞き。
自分の意図しない思想が入り込み、侵食していく。
風景が変わる、幾千もの人々が武器を振るい争っている。
ここ戦場だったのか。
血しぶきが大地を染めてく。
悪霊共が永遠に終わらない闘争を続けている。
ただの殺戮の繰り返し、互いに憎み合うだけの地獄。
得体のしれない何者かが俺の身体を使って死靈術を使おうとしている。
止められない……。
手が口が勝手に動く。
「混沌の闇より目覚めし……」
ああ、ここに来たのは死者の書……いや、あの骸骨の思惑だったのか。
禁書庫で眠り留まるような奴ではないのは解っていたはずなのに。
どうして信用してしまった。
仕組まれた暴走によって眠る戦士の魂を目覚めさせ、死者の大群が砦を攻め落とす……そんな光景を作り出す。
嫌だ。
メーメル師匠のが目の前に現れ、そっと風太を抱きしめた。
温かい……、霊は冷たいはずなのに……。
『私の束縛を解いて……、貴方なら出来る……』
留め置けたのは死者の書によって呪縛を掛けられていたから。
一方的な思いで彼女の事は何も考えていなかった。
だから、解き放たれたかったのだろう。
自分の力だと何時から錯覚していたのだろうか。
手足のように使ってきた死靈術は偽装だった。
そんなこと今解ってもどうすることも出来ない。
「出来るって、方法がわからないと……」
メーメルの身体がふわりと浮かび踊りだす。
彼女の意思ではない、黒紅の糸が操っている。
借り物じゃない俺の力なら解き放てるのか?
「深海に眠りし赤き眼の破壊者……」
狙い撃つのはどこだ?
糸か?
いや違う、術を使っている者!
メイド達の霊の中に、一つだけ違う歪な邪気に包まれた偽物が居る。
ずっと囲まれて来たから解る。
いくら偽装しても、禍々しさは隠せない。
「消えろ!
ファイアァァァボルト!」
火の魔法で霊体を攻撃など出来ない。
それを知ってか笑う邪霊。
本来ならそうなのだろう。
だがこれは俺の物語。
だから邪悪は滅びる。
邪霊に繋がった一本の糸、俺の力を吸い取り続けている。
導火線のように火花を散らし迫っていく。
力の根源を食らう炎だと言うのに気づかず受け止めるようだ。
なんて愚か。
邪霊は火炎に包まれ大の字に燃え上がる。
パチパチパチ……
『ありがとう。
貴方は破門です、愚かな弟子でした……』
師匠の身体が消えていく……。
「駄目だ、転生出来るかもしない。
諦めないで……」
まだ学ぶことが一杯あるのに。
微笑み、完全に消え去る。
「ああ……、どうして!」
煌めく粒子が風太を包み込む。
師匠が残してくれた知識が入り込んでくる。
「あははは……、いつの間にか操り人形にされて。
滑稽だ」
言葉だ。
本来、異世界と言語の壁がある。
精霊の力によって意味が解釈され理解できる。
精霊を操れば介入が出来てしまう。
解釈を変えることによって、違った言葉へと置き換えていたんだ。
だから死者の書は語らずとも、いのままに操ることが出来た。
「やってくれたな。
忘れていた、アレは遠くを見渡す眼を持っていた」
霊を操り、人々を制御し望む状況を作り出していたとしたら?
俺が終わらせてやるしか無い。
最後に託された呪文を唱えていた。
それは美しくも悲しい歌のようだった。
血しぶきが花びらへと変わる。
枯れた木々に色とりどりの花が、小人が顔を出したかのように並ぶ。
死した大地に命が芽生えてくる。
「大地に眠る種が目覚める。
なんて素晴らしい魔法なんだ」
戦う者たちは愚かさを悟ったのだろう武器を捨て手を取り合う。
憎しみという呪縛が解かれ花へと生まれ変わる。
亡霊を吸い取り、死者に送る花々は白や赤、黄と色彩を見せる。
形も様々で蝶が舞うような花もある。
広がっていく花の絨毯。
ここは、アンデットに永遠の安らぎを与える地。
ワンワンハァハァ……。
犬の群れがやって来る。
先導する少年セラックは風太を見つけて手を振る。
「風太殿、ここで宜しいですか?」
「ありがとう。
お礼に、ここにあるものを持っていってくれ」
「この花ですか?
要らないです」
「香りのない偽物の花だからか?」
「この欄の花は香りはないですよ。
いえ、贈る相手がいないだけです」
「姫様に贈ったら褒美をもらえたり」
「首輪を付けられます。
犬みたいに飼われるのが落ちです」
そんな事はしない……、いや、してたか???
うーん、よく思い出せないな。
うーん。
そんなことより、目障りなものが見えているな。
どうして出てきたのか。
「誰にも知られずひっそりと忘れられ消えたい。
そんな安らぎの地に相応しくない墓標は必要ない」
ズボッ! ズボッ……と、地面に半分埋まっていた剣や槍が飛び出し、ふんわりと浮遊する。
当時の輝きを放つ古代の武器だ。
「これほどの代物をみれるなんてなんて幸運でしょうか」
魔法を秘めた強力な能力を持つ武器なのだろう。
触れればビビリと拒絶されそうな雰囲気をビンビンに感じる。
痛いのは嫌だ。
だから受け取って貰って触らずに済ませたい。
「君に使って欲しい。
眠らせておくには勿体ないだろう?」
「これって伝説級の武器ですよ。
受け取れません」
ゲームに出てくる伝説級の買い取り拒否店員か?
家宝にするぐらい欲しいだろう。
なんで拒否するんだ。
まさか、彼もビリビリ体質なのか?
そんな訳無いよな。
「どうして?」
「贈与税が掛かります」
幻想的な空間に急に現実に引き戻すような言葉に幻滅を隠しきれない。
言葉を選べよと言いたい。
「売ればいいだろう?」
「一本でも数千億の値がつくので、
一括で買い取ってくれる人なんていませんから、税で絶望しか無いです」
信じられないな。
数千億の贈り物を拒否する精神がわからない。
喜んで懐に入れるだろう。
そもそも、税って……、貰った事を誰にも伝えなければわからない筈だ。
「拾ったなら贈与にならないだろう?」
「駄目です。
貴方の所有物として、返却させて頂きます」
懐に幾つか入れても誰も文句は言わないのに。
規則を守る主義らしいから、何も言うまい。
他の人に渡すとすれば誰が良いか……。
彼にも解る人物で俺も知っているとなると。
「姫様に届けてくれないか?
きっと喜ぶはずだ」
「僕を殺すつもりですか?
アレに目をつけられたら最後、ゾンビ化の実験に使われて死ぬことすら許されない身体にされるらしいです」
王子に送りつけたのはグール化した肉塊だったのか?
研究はすべて地下に埋めたと言っていたけど、古城を調査して知識を得たのだろう。
「そんな噂だけで、判断するのは良くない。
彼女は優しい」
「……はい、ではこれを預けておきます」
鳥の形をした木製の笛だ。
使い込まれ色が剥げている部分も見られる。
いや、使い古しの唾が染み込んだ汚い笛なんて使いたくない。
「新品なら良かったな」
「この犬達を呼び集めることが出来ます。
きっと役に立つはずです」
うわっ……、効果と我慢を天秤にかけるのか。
悩むな。
美人のメイドでも、抵抗感あったのに少年がベロベロ舐めた物を口にいれるって考えだけで吐き気がする。
拭いても取れそうにない染み込んだこの色合い。
「ありがとう」
あまりの嫌さに顔がひきつっていたかも知れない。
セラックは少し悲しそうだ。
「では応援しています。
貴方に幸あれ」
そこから砦までは歩いても、それ程時間はかからなかった。
砦の周囲にも木々が茂り、花々が彩る。
慌てふためく砦の兵士達を横目に砦の裏口から侵入を果たす。
あまりに無防備ではないだろうか?
罠なのかと思うほど容易く入れた。
「火は使うな、早く切り倒せ!」
砦の内部にも木々が生えたようだ。
道が絶たれ、動揺する兵士の声が聞こえる。
草花が視界を遮り、道も複雑な迷路となっている。
メイド達の霊が案内し、兵士を避けるのは容易い。
真後ろを歩いても案外気づかれないもので、トントン拍子に奥へと進んで行けた。
迷路を抜けた先に館が見える。
「中を見てきて欲しい」
メイドの霊が扉にぶつかり目を回す。
『ううう……入れません』
「対策されているのか。
仕方ないな」
無茶でも進むしか無い。
今は混乱して警備が手薄になっている。
不用心にも扉は鍵が掛かっていない。
真っ直ぐな通路、片側に扉が並んでいる。
手前の扉には騎士団長の部屋と看板が掛けられていた。
文化の違いか、大物は奥にいるだろう。
こんな手前でボス部屋はあるのか?
「……首を取れば終る」
いや殺し合い以外にも方法はある筈。
撤退するように脅すだけ引いてくれれば……。
もう手は血に染まっている。
だから余計なことを考えずに、このナイフで首を掻っ切れば良い。
深呼吸し覚悟を決めて扉をそっと開く。
裸の女が背を向けて立っている。
赤色の長い髪が尻を隠す。
男だと勝手に思っていた、それが思考を鈍らせた。
なんで裸?
寝間着が床に散らかっている。
ああ着替えようとしているのか。
一瞬の視線移動で見失う。
何処に消えた?
扉の裏から手が伸び、風太の首元を掴む。
引き寄せられ投げ飛ばされる。
「うわわあぁぁっ」
床に叩きつけられる前に受け身を取りくるっと回転し勢いを逃がし立ち上がる。
しまった。
扉側を取られた。
「この私、騎士団長カキューレを暗殺出来ると思わないことね。
さて顔を見せてもらいましょうか」
彼女は水着の気が強そうなお姉さんという感じがする。
水しぶきの模様のトップス、イルカのパンツは下着なのだろう。
胸が大きくて、やばい。
もう溢れ落ちそうなプルンプルンと揺れている。
いつの間に手にしたのか赤く輝く騎士剣を両手に構えてゆっくりと近づいてくる。
騎士剣は分厚く5キロほどの重みがある。
それを軽々と持ち上げられるのは、身体強化の特技を持っているからだろう。
ナイフでやり合うのは無謀だ。
仮面を外し床に捨てる。
「俺を知っているか?」
「貴方は風太殿……」
知っているという事は賞金に関心がある筈。
でなければ気にもとめず記憶に残っていない。
「死んだことになっている筈だけど。
はぁやっぱり偽装は見抜かれていた」
「どうして王国から逃げたのか知りたいわ」
情報を知らないのか?
だったら本当のことを言う必要もない。
適当な事を言っておこうか。
「暗殺者を差し向けてきただろう。
護衛のゼラは毒殺されるし大変だったんだ」
ゼラは帝国にいるし、死んだことにしても大丈夫だろう。
「クフフフ……。
不思議な甘い香の効果は絶大ね」
石鹸のような匂いが漂っている。
これは何かヤバイ奴なのか?
「何?」
「異界人はラッキースケベの天賦を持っていると聞いたわ。
だから、こうして待っていたの」
……こいつは、相当間抜けではないだろうか。
匂いは部屋に入るまで、全然気づかなかった。
つまり、辿りつたいのは偶然……いや看板を見たからだ。
それをあたかも道具の力だと信じている訳だ。
きっと、金の増える幸運の壺とか買う不幸な人に違いない。
「俺の準備はできた。
さて君はどうかな?」
「貴方の力は封印されていることは知っているわ。
力が使えるなら、砦を消滅させることは容易いと思うけど合っているかしら?」
「正解だけど、今は少しなら使える」
手を銃に見立ててバンと放つ。
小さな水の玉が天井に当たり跳ねる同時に分裂する。
分裂跳撃水弾と言ったところか。
ダダダ……と部屋中を水の玉が飛び回りぶつかる。
一時は埋め尽くされるほどだったが、直ぐに効力を失い消えていく。
うーん、跳ね返りを入れたのが不味かったのか、全然ダメージになってない。
避ける様子もなく棒立ちなのは、見えざる衣で守っているからだろう。
いや水着だから水耐性があるのか?
彼女は髪をかき揚げ何もなかったように聞く。
「貴方が私の命を狙うのは、復讐のためかしら?」
「そんな所だ」
「貴方に暗殺者を差し向けたのは第2王子よ。
私達と手を組む事はできないかしら?」
剣を向けたままなのは流石に信頼を損ねる行為だ。
油断したら終る、間合いに入れないように何時でも魔法を使える状態にしておく。
「納得できる証拠はあるのか?」
「第一王子派のリアハ殿が殺されたことはご存じかしら?
私達と同じ派閥というだけで、他の者達も粛清されたわ」
「メーメル師匠もか?」
「彼女は転生術に否定的だったから、レレゲナ殿に処分されたらしいわ。
生活を共にしてきた人達の命を奪われても、何も思わないのかしら?」
おそらく本当のことを言っているのだろう。
だが念を入れてカマを掛けておこうか。
「俺が第二王子に付いた腹いせにリアハ達を処分したと聞いている。
どっちが本当か怪しいな」
「クフフフ……、やはり決別すると思っていました。
さあ貴方の一番得意な法術で挑んできなさい」
カキューレは手を広げ胸を誇らしげにバインと突き出す。
剣で防ぐつもりはないと言うことらしい。
さっきのへっぽこな魔法で油断しているのだろう。
「ならお言葉に甘えて……」
構えようとした時、彼女は飛び出し片手で剣を振う。
首狙いか!
しゃがみつつ前に手を伸ばす。
プニッ!
肉の感触……、温かく柔らかい。
ここでライフドレインをすれば彼女は即死する。
なのに躊躇ってしまった。
彼女と目が合う。
気まずい、ただ胸を掴んで揉むんだだけって……。
「貴方は本物……!」
「この距離で避けれるかい?
武器を捨て降参するなら……」
「私の事は自由にしても良いから信じて欲しい。
妹があの場所で極秘任務についていたわ」
「ふーん、だったら剣を手放すと良い。
それから誓いを立ててもらおうか、俺に絶対服従をすると」
「私を倒すことが出来たら、誓ってあげてもいいわ」
何か仕掛けてくる。
咄嗟に彼女から離れた。
床から突然、黒い蔓が伸び右足に絡みつく。
しまった、動きが封じられた。
真横から斬撃が来る。
このままだと胴体が真っ二つにされてしまうのに、しゃがむことも出来ないほど足を固められている。
用意した魔法だとあの大剣は止められない。
『お姉様を止めて!』
メイドの霊が彼女の身体に入っていく。
使いたくはなかったが……死靈術!
「取り憑かれし肉体の制御!」
風太の指の先から、黒紅色の霊糸が伸びカキューレの四肢を貫いた。
彼女の動きが止まり大剣が静止する。
勢いで動かないのは、彼女の筋力が優れていたからだろう。
「身体が動かない……、どうして天使の衣を使ったのに」
見えざる衣の上位魔法なのだろう。
何かしらの防御策も無しに魔法を使えって言わないだろうし当然か。
どんなに優れた守りでも、自分自身の攻撃は守ってくれない。
「自分で首を切るか、それとも俺に従うか決めると良い」
「……貴方が来たから、全ては狂ったわ。
妹が死んだのも」
「呼び出したのは君達だろう?」
「くっ……、こんな、どうして手が勝手に……。
いや、いや……」
「ああ、彼奴に近づく為には君の首が必要なんだ。
妹の仇はいずれ取ってやるから安心してくれ」
「第二王子の首を取るって約束して……」
「仇だって言っているだろう。
真実が解るまでは手を出すつもりはない」
「くっ……、解った、
貴方に従う、従うから、止めて」
「それが本心なら止まっている。
違うってことは俺を騙そうとしている証拠だ」
大剣が床に突き刺さる。
「貴方にすべてを捧げると誓います……」
彼女の首筋に桜のような文様が浮かび上がる。
誓いを破れば、身体を侵食し命が奪われる呪縛。
自ら施されなければならない程に追い込まれていた訳では無い。
この時、風太は勘違いしていた。
呪縛によって絶対に逆らえないと。
「この砦を放棄して、安全な場所へ避難してくれ。
それで十分だ」
「いいえ、無抵抗に撤退はありえません。
そんな事をすれば副団長が私に能力なしと判断し処罰するでしょう」
「確かに何もなく奪われたら責任を取らされるな。
君には生き残って欲しいから、少し考えさせてくれ」
考えている時は無防備になる。
それを見逃す筈もなくカキューレは動いた。
風太はベットの上に倒され、彼女が馬乗りになっていた。
両手を捕まれ逃げようがなかった。
「クフフフ……。
腹違い妹ですが、とても仲が良くて今でも情報交換をしています」
「まさか……」
「風太殿なら、霊の言葉が聞けるのでしょう?
それなら私の言葉が真実だということも解ったはず」
「どうしてその事を初めに明かさずに、俺を殺そうとした?」
「弱き者では首を取れない。
力を見極めたかったから、でも肩透かしだったわ」
「俺は仇討ちよりも優先することがある。
姫様の救出だ」
「おとぎ話の王子様を気取るつもり?
あー、駄目、駄目すぎるわ」
「悪いか。
命を奪うだけが報復とは限らないだろう?」
「貴方の手なら王子の守りを突破出来るのに。
あの守りさえ壊せれば私の手で……、なのに……」
復讐の為だけに人生を費やすとしたら、色んな物を諦めなくてはならない。
それより幸せに生きるほうがどれだけ有意義な人生を送れるのだろうか。
「君の妹は、憎しみに染まっているのか?」
「今はそんな邪悪さを感じないわ。
貴方と共に居て変わったのかも知れない」
「手を貸して欲しい」
カキューレは涙を零す。
異界人の子を孕めば、復讐の道具として使えると考えていた。
それが崩壊して崩れて行く。
これから行う復讐は茨の道、辿り着く先には何も幸せは待ってない。
もし温かな生活を送れるなら、一緒に楽しく暮らせるならと。
霊となった妹が抱いていた愛情が宿ったのである。
欲望だけではなかった。
一緒にいる間に、惚れていき感情が暴走しそうになっていた。
そんな甘い思い出。
「はい、私も貴方と共に……」
キラリと、桜の文様が弾けて消えた。
真の忠誠を誓った。
それが呪縛をかき消したのである。
「砦を爆発させようと思う。
避難指示を出してくれないか?」
「どのようにして爆発させるつもりです。
ここには爆発するようなものはないですわ」
「漫画とかで大人気の粉塵爆発というのがある。
粉をばら撒いて火を付けると爆発する」
空気と粉が交じることで連鎖的に火が燃え移り、一気に熱膨張する。
閉ざされた部屋に膨張圧が加わってバーンと破裂するのである。
「食料の補給がままならず、小麦粉は一袋しかありません。
他に燃えそうな粉はないですわ」
「十分、風の魔法で散らせばいいだけだ」
カキューレの演技によって、砦内は無人となった。
爆音と共に砦の施設が吹き飛ぶ。
立て続けに幾つもの爆発が起き、砦は炎に包まれた。
「くっ……、卑劣な手を使う。
植物で混乱を誘い、爆破の細工をするとは……」
「団長、我々はどうすれば……」
「領主に報告し、指示を仰ぐわ」
一方砦の破壊に成功した風太は窮地に陥っていた。
都市に辿りついた直後だった。
全身が痛み、悶えていたのだ。
もう魔法を使わないと誓ったのに、使ってしまう自分を呪いたい。
「うあぁぁぁっ」
人の目がある。
もしこれが封印の副作用だとバレれば終る。
隠れないと……、でも何処に?
近くに二人乗り用の黒い馬車が止まる。
金髪の少女が降りて、風太に駆け寄る。
「何処が痛いのでしょう?」
幼さを残しつつも少し大人びた顔つきで、高貴な印象がする金の装飾が入った白い衣を身に着けている。
「うあぁぁっ」
言葉にならない、全身が引き裂かれそうなのに。
死ぬかも知れない。
少女の手が緑の光に包まれ、風太の額に触れた。
痛みが和らぎ、心地よい気持ちになっていく。
「私は、聖女ユークアです。
もし良かったら一緒にきませんか?」
笑みは可愛く、言葉も優しいのに直感が危険だと伝えている。
おそらく関わってはいけない。
「ありがとう、もう大丈夫……」
「いいえ、それは一時しのぎです。
さあ馬車にお乗り下さい」
拒絶は出来なかった。
華奢な見た目から想像もできないような力強さで連れて行かれた。
馬車の中、向かい合う二人。
「私は一目で風太殿だとわかりました」
見破られているのに嘘を付いても無意味だろう。
謎の死体だったから、誰も信じてないんだろうな。
「……仮面を付けているのよく解ったな」
「はい、私は貴方の味方だと思って下さい。
私の為に働いてくれるならですけど」
「聖女様なのに、悪どい言い回しだな。
それで俺に何をして欲しいんだ?」
「その前に貴方が企んでいること知りたいです」
とても微笑みが可愛いのに、企みなんて言葉は怖い。
興味津々に目を輝かせている。
何に期待しているのだろうか?
うーん。
「ある人を助けに来ました。
これ以上は言えません」
ユークアは風太の手を握り、恋の告白でもするかのように顔を赤らめた。
キラキラと輝く眼。
「アメジア姫ですね」
「なんで解ったのかな?」
「愛です」
なんだ、話がついていけない。
さっきあったばかりでいきなり愛ってどういう事だ?
ヤバい奴なのか。
「ははは……」
もう笑うしか無いだろう。
何を言えば良いのかわからない。
「姫は来月には9歳になるのですが、10歳として結婚とのことです」
「どういう事?」
「国によって年齢の決め方が違うという言い分で正すらしいです。
不思議ですよね」
「うん」
そう言えば前世の古代と現代では年の数え方が違ったて習った気がする。
数え年って、産まれた時に1歳になるってアレだ。
今は産まれたては0歳だから、その逆の事をするってことか。
つまり王国の人は一歳若いってことなのか?
「ムフフフ……。
シャオーリ姫をそそのかしたは私なのです」
突然の告白に風太は驚く。
こんな少女がどうして、国を滅ぼしかねない事をしでかしたのか解らない。
もしこの事が露見すれば、両国の亀裂は裂けられない。
「黒幕……?」
「彼は貴方に魅了されてしまったのです。
それはとても深く愛している、それはあってはならない事」
「彼って誰だ?」
「王子様です」
王子が俺をって……なんてホモ展開。
女の子に好かれるのは嬉しけど、男は論外。
考えただけで奇物悪くなる。
うえぇぇぇっ。
「……姫と結婚するのに俺を愛しているって意味がわからない」
「フフフン♪
愛にも色々ありますよ。
それは交わり、力への渇望、貪欲な片思い……」
「はぁ、なんか楽しそうで。
聖女なのになんか真っ黒な感じとても可愛い」
流石に皮肉に顔を膨らませ怒る。
楽しそうな雰囲気は崩れ、険悪な沈黙。
静寂はガタガタと馬車の進む音にかき消される。
「彼は異界人の召喚を行っています。
其の為にどれだけの命が犠牲になったか」
「よく解らないんだが、なんで召喚で人が死ぬんだ?」
「肉体を再構成するのに使うと聞いています。
内戦もその死体欲しさに初めたとも」
姫は死体を集めていると言うことを彼女から聞いていたのだろうか。
それで推理し、ゾンビを作るためにと結論を出した。
「つまり王子を止めて欲しいって事か?」
「ムフフフ……。
何も手を出さずに関わらないと誓って下さい。
そうすれば姫は貴方の元へ届けましょう」
良い条件に思えるが、なにか見落としている気がする。
「どうして姫を手放そうとしているのか教えてくれ。
もし王子にバレたら、君の立場が危うくなるだろう?」
「これは王子との密約でもあるのです。
どうして直ぐに結婚できるシャオーリ姫を選ばなかったか?」
「ロリコンだからだろう」
「第一王子との戦力差を埋めるために、後ろ盾が欲しかったからに過ぎないのです。
あのような弱小国の姫など彼には興味はないですから」
「失えば困るだろう?」
「既に力を手にしたとしたら?
ある御方を転生させることに成功したのです」
「用済みになったから返すと言うことか?
そんなのはあまりにも酷い扱いだ」
「ええ、私もそう思います。
ですが、彼のような非情な男に一生を捧げる事を考えれば、むしろ幸せでしょう」
姫を手駒としてしか考えない奴に愛情はないよな。
シャオーリが助けて欲しいといった理由もよく分かる。
完全な部外者な俺が、姫を攫って帝国に逃げ込めば誰も困らないという訳か。
俺には王国への復讐という根拠もあるし。
だが何か引っかかる。
全員が共謀していたなら、こんなに回りくどい方法を取るのだろうか。
うーん。
唇に温かい感触が……!
んんんっ!
なんで彼女が口づけを。
舌が入ってくる。
慌てて彼女を突き放す。
「何するんだ?」
「あらら、返事がないので息を吹き返すために蘇生を行っていました。
生き返って良かったです」
「いや、死んでないし……」
「私がどうして聖女と呼ばれているのか教えましょうか?」
「是非、聴きたい」
魔女の間違いじゃないのか?
あるいは見た目が可愛いから祭り上げられたってところか。
「時間超加速観測のスキルを持っているからです。
近い未来を予言できると言ったほうが分かり易いでしょうか?」
「それで俺に会えたという訳か?」
「はい、……私と結婚して下さい」
「なっ……、いきなり何を……」
「貴方は幾つもの愛を手に入れる。
その内の一つになりたいと言うだけです」
「……それも予知の結果で決めたことか?」
「はい、私は3人の子どもに恵まれて幸せになる未来が見えました。
他の未来は地獄、それはもう残酷で語る事も出来ません」
ボロボロと涙をこぼしすすり泣く彼女はとても辛そうだった。
「うーん、君を幸せにできるか解らない。
本当にそんな未来が見えたのか?」
「私の言葉を信じれば、数多くの愛を手に入れられます。
共に幸せな暮らしを目指しませんか?」
「いいな」
不安を感じつつも、未来が予知できる少女の事を信じ始めていた。
その先に待っている彼女の幸せが、風太の幸せではないと知らずに。
木々は枯れ、腐臭のする泥水、雑草さえない」
風太は自分の言葉に驚く。
どうして、謎の言葉を発したのだろうか?
それはこの大地が汚れているから。
ああ、そうに違いない。
「メーメル師匠もそう思いますよね。
美しい花に囲まれた幻想的な場所にしたいと……」
悪霊に取りつかれた者の末路なのかも知れない。
誰にも聞こえない声を聞き。
自分の意図しない思想が入り込み、侵食していく。
風景が変わる、幾千もの人々が武器を振るい争っている。
ここ戦場だったのか。
血しぶきが大地を染めてく。
悪霊共が永遠に終わらない闘争を続けている。
ただの殺戮の繰り返し、互いに憎み合うだけの地獄。
得体のしれない何者かが俺の身体を使って死靈術を使おうとしている。
止められない……。
手が口が勝手に動く。
「混沌の闇より目覚めし……」
ああ、ここに来たのは死者の書……いや、あの骸骨の思惑だったのか。
禁書庫で眠り留まるような奴ではないのは解っていたはずなのに。
どうして信用してしまった。
仕組まれた暴走によって眠る戦士の魂を目覚めさせ、死者の大群が砦を攻め落とす……そんな光景を作り出す。
嫌だ。
メーメル師匠のが目の前に現れ、そっと風太を抱きしめた。
温かい……、霊は冷たいはずなのに……。
『私の束縛を解いて……、貴方なら出来る……』
留め置けたのは死者の書によって呪縛を掛けられていたから。
一方的な思いで彼女の事は何も考えていなかった。
だから、解き放たれたかったのだろう。
自分の力だと何時から錯覚していたのだろうか。
手足のように使ってきた死靈術は偽装だった。
そんなこと今解ってもどうすることも出来ない。
「出来るって、方法がわからないと……」
メーメルの身体がふわりと浮かび踊りだす。
彼女の意思ではない、黒紅の糸が操っている。
借り物じゃない俺の力なら解き放てるのか?
「深海に眠りし赤き眼の破壊者……」
狙い撃つのはどこだ?
糸か?
いや違う、術を使っている者!
メイド達の霊の中に、一つだけ違う歪な邪気に包まれた偽物が居る。
ずっと囲まれて来たから解る。
いくら偽装しても、禍々しさは隠せない。
「消えろ!
ファイアァァァボルト!」
火の魔法で霊体を攻撃など出来ない。
それを知ってか笑う邪霊。
本来ならそうなのだろう。
だがこれは俺の物語。
だから邪悪は滅びる。
邪霊に繋がった一本の糸、俺の力を吸い取り続けている。
導火線のように火花を散らし迫っていく。
力の根源を食らう炎だと言うのに気づかず受け止めるようだ。
なんて愚か。
邪霊は火炎に包まれ大の字に燃え上がる。
パチパチパチ……
『ありがとう。
貴方は破門です、愚かな弟子でした……』
師匠の身体が消えていく……。
「駄目だ、転生出来るかもしない。
諦めないで……」
まだ学ぶことが一杯あるのに。
微笑み、完全に消え去る。
「ああ……、どうして!」
煌めく粒子が風太を包み込む。
師匠が残してくれた知識が入り込んでくる。
「あははは……、いつの間にか操り人形にされて。
滑稽だ」
言葉だ。
本来、異世界と言語の壁がある。
精霊の力によって意味が解釈され理解できる。
精霊を操れば介入が出来てしまう。
解釈を変えることによって、違った言葉へと置き換えていたんだ。
だから死者の書は語らずとも、いのままに操ることが出来た。
「やってくれたな。
忘れていた、アレは遠くを見渡す眼を持っていた」
霊を操り、人々を制御し望む状況を作り出していたとしたら?
俺が終わらせてやるしか無い。
最後に託された呪文を唱えていた。
それは美しくも悲しい歌のようだった。
血しぶきが花びらへと変わる。
枯れた木々に色とりどりの花が、小人が顔を出したかのように並ぶ。
死した大地に命が芽生えてくる。
「大地に眠る種が目覚める。
なんて素晴らしい魔法なんだ」
戦う者たちは愚かさを悟ったのだろう武器を捨て手を取り合う。
憎しみという呪縛が解かれ花へと生まれ変わる。
亡霊を吸い取り、死者に送る花々は白や赤、黄と色彩を見せる。
形も様々で蝶が舞うような花もある。
広がっていく花の絨毯。
ここは、アンデットに永遠の安らぎを与える地。
ワンワンハァハァ……。
犬の群れがやって来る。
先導する少年セラックは風太を見つけて手を振る。
「風太殿、ここで宜しいですか?」
「ありがとう。
お礼に、ここにあるものを持っていってくれ」
「この花ですか?
要らないです」
「香りのない偽物の花だからか?」
「この欄の花は香りはないですよ。
いえ、贈る相手がいないだけです」
「姫様に贈ったら褒美をもらえたり」
「首輪を付けられます。
犬みたいに飼われるのが落ちです」
そんな事はしない……、いや、してたか???
うーん、よく思い出せないな。
うーん。
そんなことより、目障りなものが見えているな。
どうして出てきたのか。
「誰にも知られずひっそりと忘れられ消えたい。
そんな安らぎの地に相応しくない墓標は必要ない」
ズボッ! ズボッ……と、地面に半分埋まっていた剣や槍が飛び出し、ふんわりと浮遊する。
当時の輝きを放つ古代の武器だ。
「これほどの代物をみれるなんてなんて幸運でしょうか」
魔法を秘めた強力な能力を持つ武器なのだろう。
触れればビビリと拒絶されそうな雰囲気をビンビンに感じる。
痛いのは嫌だ。
だから受け取って貰って触らずに済ませたい。
「君に使って欲しい。
眠らせておくには勿体ないだろう?」
「これって伝説級の武器ですよ。
受け取れません」
ゲームに出てくる伝説級の買い取り拒否店員か?
家宝にするぐらい欲しいだろう。
なんで拒否するんだ。
まさか、彼もビリビリ体質なのか?
そんな訳無いよな。
「どうして?」
「贈与税が掛かります」
幻想的な空間に急に現実に引き戻すような言葉に幻滅を隠しきれない。
言葉を選べよと言いたい。
「売ればいいだろう?」
「一本でも数千億の値がつくので、
一括で買い取ってくれる人なんていませんから、税で絶望しか無いです」
信じられないな。
数千億の贈り物を拒否する精神がわからない。
喜んで懐に入れるだろう。
そもそも、税って……、貰った事を誰にも伝えなければわからない筈だ。
「拾ったなら贈与にならないだろう?」
「駄目です。
貴方の所有物として、返却させて頂きます」
懐に幾つか入れても誰も文句は言わないのに。
規則を守る主義らしいから、何も言うまい。
他の人に渡すとすれば誰が良いか……。
彼にも解る人物で俺も知っているとなると。
「姫様に届けてくれないか?
きっと喜ぶはずだ」
「僕を殺すつもりですか?
アレに目をつけられたら最後、ゾンビ化の実験に使われて死ぬことすら許されない身体にされるらしいです」
王子に送りつけたのはグール化した肉塊だったのか?
研究はすべて地下に埋めたと言っていたけど、古城を調査して知識を得たのだろう。
「そんな噂だけで、判断するのは良くない。
彼女は優しい」
「……はい、ではこれを預けておきます」
鳥の形をした木製の笛だ。
使い込まれ色が剥げている部分も見られる。
いや、使い古しの唾が染み込んだ汚い笛なんて使いたくない。
「新品なら良かったな」
「この犬達を呼び集めることが出来ます。
きっと役に立つはずです」
うわっ……、効果と我慢を天秤にかけるのか。
悩むな。
美人のメイドでも、抵抗感あったのに少年がベロベロ舐めた物を口にいれるって考えだけで吐き気がする。
拭いても取れそうにない染み込んだこの色合い。
「ありがとう」
あまりの嫌さに顔がひきつっていたかも知れない。
セラックは少し悲しそうだ。
「では応援しています。
貴方に幸あれ」
そこから砦までは歩いても、それ程時間はかからなかった。
砦の周囲にも木々が茂り、花々が彩る。
慌てふためく砦の兵士達を横目に砦の裏口から侵入を果たす。
あまりに無防備ではないだろうか?
罠なのかと思うほど容易く入れた。
「火は使うな、早く切り倒せ!」
砦の内部にも木々が生えたようだ。
道が絶たれ、動揺する兵士の声が聞こえる。
草花が視界を遮り、道も複雑な迷路となっている。
メイド達の霊が案内し、兵士を避けるのは容易い。
真後ろを歩いても案外気づかれないもので、トントン拍子に奥へと進んで行けた。
迷路を抜けた先に館が見える。
「中を見てきて欲しい」
メイドの霊が扉にぶつかり目を回す。
『ううう……入れません』
「対策されているのか。
仕方ないな」
無茶でも進むしか無い。
今は混乱して警備が手薄になっている。
不用心にも扉は鍵が掛かっていない。
真っ直ぐな通路、片側に扉が並んでいる。
手前の扉には騎士団長の部屋と看板が掛けられていた。
文化の違いか、大物は奥にいるだろう。
こんな手前でボス部屋はあるのか?
「……首を取れば終る」
いや殺し合い以外にも方法はある筈。
撤退するように脅すだけ引いてくれれば……。
もう手は血に染まっている。
だから余計なことを考えずに、このナイフで首を掻っ切れば良い。
深呼吸し覚悟を決めて扉をそっと開く。
裸の女が背を向けて立っている。
赤色の長い髪が尻を隠す。
男だと勝手に思っていた、それが思考を鈍らせた。
なんで裸?
寝間着が床に散らかっている。
ああ着替えようとしているのか。
一瞬の視線移動で見失う。
何処に消えた?
扉の裏から手が伸び、風太の首元を掴む。
引き寄せられ投げ飛ばされる。
「うわわあぁぁっ」
床に叩きつけられる前に受け身を取りくるっと回転し勢いを逃がし立ち上がる。
しまった。
扉側を取られた。
「この私、騎士団長カキューレを暗殺出来ると思わないことね。
さて顔を見せてもらいましょうか」
彼女は水着の気が強そうなお姉さんという感じがする。
水しぶきの模様のトップス、イルカのパンツは下着なのだろう。
胸が大きくて、やばい。
もう溢れ落ちそうなプルンプルンと揺れている。
いつの間に手にしたのか赤く輝く騎士剣を両手に構えてゆっくりと近づいてくる。
騎士剣は分厚く5キロほどの重みがある。
それを軽々と持ち上げられるのは、身体強化の特技を持っているからだろう。
ナイフでやり合うのは無謀だ。
仮面を外し床に捨てる。
「俺を知っているか?」
「貴方は風太殿……」
知っているという事は賞金に関心がある筈。
でなければ気にもとめず記憶に残っていない。
「死んだことになっている筈だけど。
はぁやっぱり偽装は見抜かれていた」
「どうして王国から逃げたのか知りたいわ」
情報を知らないのか?
だったら本当のことを言う必要もない。
適当な事を言っておこうか。
「暗殺者を差し向けてきただろう。
護衛のゼラは毒殺されるし大変だったんだ」
ゼラは帝国にいるし、死んだことにしても大丈夫だろう。
「クフフフ……。
不思議な甘い香の効果は絶大ね」
石鹸のような匂いが漂っている。
これは何かヤバイ奴なのか?
「何?」
「異界人はラッキースケベの天賦を持っていると聞いたわ。
だから、こうして待っていたの」
……こいつは、相当間抜けではないだろうか。
匂いは部屋に入るまで、全然気づかなかった。
つまり、辿りつたいのは偶然……いや看板を見たからだ。
それをあたかも道具の力だと信じている訳だ。
きっと、金の増える幸運の壺とか買う不幸な人に違いない。
「俺の準備はできた。
さて君はどうかな?」
「貴方の力は封印されていることは知っているわ。
力が使えるなら、砦を消滅させることは容易いと思うけど合っているかしら?」
「正解だけど、今は少しなら使える」
手を銃に見立ててバンと放つ。
小さな水の玉が天井に当たり跳ねる同時に分裂する。
分裂跳撃水弾と言ったところか。
ダダダ……と部屋中を水の玉が飛び回りぶつかる。
一時は埋め尽くされるほどだったが、直ぐに効力を失い消えていく。
うーん、跳ね返りを入れたのが不味かったのか、全然ダメージになってない。
避ける様子もなく棒立ちなのは、見えざる衣で守っているからだろう。
いや水着だから水耐性があるのか?
彼女は髪をかき揚げ何もなかったように聞く。
「貴方が私の命を狙うのは、復讐のためかしら?」
「そんな所だ」
「貴方に暗殺者を差し向けたのは第2王子よ。
私達と手を組む事はできないかしら?」
剣を向けたままなのは流石に信頼を損ねる行為だ。
油断したら終る、間合いに入れないように何時でも魔法を使える状態にしておく。
「納得できる証拠はあるのか?」
「第一王子派のリアハ殿が殺されたことはご存じかしら?
私達と同じ派閥というだけで、他の者達も粛清されたわ」
「メーメル師匠もか?」
「彼女は転生術に否定的だったから、レレゲナ殿に処分されたらしいわ。
生活を共にしてきた人達の命を奪われても、何も思わないのかしら?」
おそらく本当のことを言っているのだろう。
だが念を入れてカマを掛けておこうか。
「俺が第二王子に付いた腹いせにリアハ達を処分したと聞いている。
どっちが本当か怪しいな」
「クフフフ……、やはり決別すると思っていました。
さあ貴方の一番得意な法術で挑んできなさい」
カキューレは手を広げ胸を誇らしげにバインと突き出す。
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さっきのへっぽこな魔法で油断しているのだろう。
「ならお言葉に甘えて……」
構えようとした時、彼女は飛び出し片手で剣を振う。
首狙いか!
しゃがみつつ前に手を伸ばす。
プニッ!
肉の感触……、温かく柔らかい。
ここでライフドレインをすれば彼女は即死する。
なのに躊躇ってしまった。
彼女と目が合う。
気まずい、ただ胸を掴んで揉むんだだけって……。
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「うあぁぁっ」
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馬車の中、向かい合う二人。
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謎の死体だったから、誰も信じてないんだろうな。
「……仮面を付けているのよく解ったな」
「はい、私は貴方の味方だと思って下さい。
私の為に働いてくれるならですけど」
「聖女様なのに、悪どい言い回しだな。
それで俺に何をして欲しいんだ?」
「その前に貴方が企んでいること知りたいです」
とても微笑みが可愛いのに、企みなんて言葉は怖い。
興味津々に目を輝かせている。
何に期待しているのだろうか?
うーん。
「ある人を助けに来ました。
これ以上は言えません」
ユークアは風太の手を握り、恋の告白でもするかのように顔を赤らめた。
キラキラと輝く眼。
「アメジア姫ですね」
「なんで解ったのかな?」
「愛です」
なんだ、話がついていけない。
さっきあったばかりでいきなり愛ってどういう事だ?
ヤバい奴なのか。
「ははは……」
もう笑うしか無いだろう。
何を言えば良いのかわからない。
「姫は来月には9歳になるのですが、10歳として結婚とのことです」
「どういう事?」
「国によって年齢の決め方が違うという言い分で正すらしいです。
不思議ですよね」
「うん」
そう言えば前世の古代と現代では年の数え方が違ったて習った気がする。
数え年って、産まれた時に1歳になるってアレだ。
今は産まれたては0歳だから、その逆の事をするってことか。
つまり王国の人は一歳若いってことなのか?
「ムフフフ……。
シャオーリ姫をそそのかしたは私なのです」
突然の告白に風太は驚く。
こんな少女がどうして、国を滅ぼしかねない事をしでかしたのか解らない。
もしこの事が露見すれば、両国の亀裂は裂けられない。
「黒幕……?」
「彼は貴方に魅了されてしまったのです。
それはとても深く愛している、それはあってはならない事」
「彼って誰だ?」
「王子様です」
王子が俺をって……なんてホモ展開。
女の子に好かれるのは嬉しけど、男は論外。
考えただけで奇物悪くなる。
うえぇぇぇっ。
「……姫と結婚するのに俺を愛しているって意味がわからない」
「フフフン♪
愛にも色々ありますよ。
それは交わり、力への渇望、貪欲な片思い……」
「はぁ、なんか楽しそうで。
聖女なのになんか真っ黒な感じとても可愛い」
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「ムフフフ……。
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「うーん、君を幸せにできるか解らない。
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「私の言葉を信じれば、数多くの愛を手に入れられます。
共に幸せな暮らしを目指しませんか?」
「いいな」
不安を感じつつも、未来が予知できる少女の事を信じ始めていた。
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津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
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