聖女の仕事を理解しないなら、魔王と一緒に夜逃げしますわ

アイララ

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その都市は、私の都市

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魔王から聞いた話では、魔物の国・ミュトランは山の中にあるみたい。

丸ごと中身をくり抜いて、そこに様々な魔物が住み着いた国。入口は魔法で隠されている。

『問題は、その入口に掛けた魔法がそこまで強力でないという事だ。

人間に見つからない為、なるべく目立たない場所に入口を建てたがな。』

そう話す魔王は霧に変身してるから表情が見えないけど、声は悩んでいるみたいに聞こえた。

「もしかして、隠匿とかそういう系統の魔法が苦手なの?」『残念ながら、そうだ。

攻撃魔法なら国を一つ滅ぼせるほどだが、今の時代、誰も戦争など望まんからな。』

「前々から思っていたけど、魔王ってやっぱり優しいのね。」『なっ、何だと!』

「だって、本当ならキシュタン王国を滅ぼして、魔物の国に変えちゃうとかも出来たよね。

だけどそんな事しなくて、人間と優しく協力していこうとしてたし…まぁ、裏切られたけど。」

私の言葉に魔王は答えず、結局、門に着くまで話せなかった。

山のふもとに舞い降りて、変身を解いた場所には崖がある。よく見ると、崖じゃないけど。

『見えるか?』「うん、見えるわ。中々、ちゃんと、隠されている、かな?」

まるでバレバレな保護魔法。言うのも失礼かなと思って褒めたけど、どう見てもバレバレね。

『無理に褒めずとも分かっている。そもそも、この門は人間に見れない様にした筈だがな。』

「あっ、うん。」今度、暇な時にでも保護や隠匿の魔法を掛けてあげようかな。

『とにかくだ、今は門に入るとしよう。』そう言って、魔王は門を開け広げる。

そこから見えたのは、巨大な都市。キシュタン王国では見なかった、珍しい建物がいっぱいある。

門の外はただの山、門の中は巨大な都市。そんな光景、当然、見とれちゃうよね。

魔王から、『どうした?中に入るぞ。』と言われるまで、私はその不思議で美しい光景をずっと見ていた。

「あっ、ごめん。見とれちゃってた。」『いや、いい。それに謝る事ではない。

私の国の建物がこうまで発展したのは、長年の平和があったからだ。』

魔王は門の中へ進みながら、私に向かって話しかけてる。まるで、平和の理由が私のお陰みたいな口調で。

『もしお前がキシュタン王国にいないなら、人と関わる魔物も王国に入れなかっただろう。

そうなったら、私は戦争をしてでも王国の門を開けたであろう。感謝する、スヨミルよ。』

聖女の仕事を任されて、初めて心から感謝されちゃった。その事に、私は涙が流れそうになった。
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