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第十一章 司法局実働部隊運用艦『高雄』
情報通、かなめ
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誠は耳を疑った。
「そのあたりの事情ならかなめが詳しいんじゃないかしら?あの娘は胡州陸軍出身だし、非正規戦部隊に居たから、裏事情は嫌でも耳に入ってくるでしょうしね」
「じゃあ聞いてきます……って、西園寺さんの行きそうな所ってわかりますか?」
今度は心底呆れたというように明華は天を見上げた。
「ほんと神前少尉は……まあ愚痴っても仕方ないわね。たぶん食堂の隣の喫煙室かこの下の階にある待機室じゃない?」
これほど人に呆れられたことは無い。そんなこと思いながら誠は一歩部屋を出かかったが、背中に明らかな威圧感を感じて立ち止まり振り返った。
「ありがとうございました!」
直立不動の姿勢で敬礼した後、誠は走ってとりあえず待機室に向かった。
走っている間もすれ違う隊員の表情はどれも険しい。そのまま食堂を通り過ぎて隣の待機室を覗き込む。
待機室にかなめはいた。カウラとシャムも眼に入ったが、ランと吉田は嵯峨に呼び出されているのか、その姿は無かった。かなめは上半身をブレザーの勤務服から黒のタンクトップに着替えていた。その手にあるグラスにはたぶんラム酒と思われる物が入っている。
カウラは机の上の書類に目を通しながら、何か言いたげな視線をかなめに向かって投げかけるが、かなめはまるでそれを面白がるような笑みを浮かべてグラスを進めていた。
シャムはソファーに寝転がって漫画を読んでいる。そしてたまに腹を抱えて笑ったりしていた。
「西園寺さん?」
「なんだよ。テメエまでカウラみたいに『待機任務中でしょ!酒は禁止!』なんて言い出すんじゃないよな?」
先手を打たれて誠は押し黙った。そして不思議そうに見ていたタレ目が誠の落ち込んだような表情を見つめるとやわらかい微笑みに変わった。
「なんだ?別件か。別に暇だから聞いてやるよ」
かなめはグラスを置いて、その手で目の前の椅子に座るように合図する。
誠は立っているわけにも行かないと気づいて、そこにあった壊れそうなパイプ椅子に腰掛けた。
「出港が早まった件ですけど、何か心当たりはありますか?」
「なんだ、そんなことかよ。さっきまでマリアや明華の姐御といたんだろ?正確な状況ならあっちの方がよく知ってると思うぞ」
そう言うとかなめはまたグラスに手を伸ばした。
「本間司令が近藤中佐に出頭命令を出したということは聞きました。それと、もし近藤中佐が拒否して篭城と言うことになれば、胡州でクーデターが起きる可能性もあるって……」
「ったく明華の姐御も心配性だなあ!まあそう簡単にはクーデターをやろうなんて無理だろうな。近藤の馬鹿野郎の関係する組織は非公然、公然問わず特務憲兵隊の内偵が進んでいるし、現在、帝都に一番近い加茂野宇宙港には、オヤジの右腕の赤松中将の第三艦隊が鎮座しているんだぜ?それこそ下手に動けば自分の首が飛ぶ状況だ」
「ああそう言う状況なんですか」
誠はかなめの希望的観測に大きく安堵の息をつく。だが、そこでいつものかなめらしいサディスティックな表情が浮かぶ。
「だが神前の、安心はしない方がいいな。長期戦になれば第六艦隊が直々に動き出すことになるだろうし、そんな状況をアメリカ海兵隊なんかの外野連中が見逃すわけもない。第六艦隊の急な展開に呼応して遼南や遼北、西モスレムがアステロイドベルトの胡州の領域へ進行するとなれば自然と状況は官派の望んだ状況になる。『胡州の生命線』と奴等が呼んでる領域への他国の進出は、世論を反同盟活動に持っていくことになるだろうからな」
そう言うとかなめは、グラスに半分ほど残っていたラムを飲み干した。
「そのあたりの事情ならかなめが詳しいんじゃないかしら?あの娘は胡州陸軍出身だし、非正規戦部隊に居たから、裏事情は嫌でも耳に入ってくるでしょうしね」
「じゃあ聞いてきます……って、西園寺さんの行きそうな所ってわかりますか?」
今度は心底呆れたというように明華は天を見上げた。
「ほんと神前少尉は……まあ愚痴っても仕方ないわね。たぶん食堂の隣の喫煙室かこの下の階にある待機室じゃない?」
これほど人に呆れられたことは無い。そんなこと思いながら誠は一歩部屋を出かかったが、背中に明らかな威圧感を感じて立ち止まり振り返った。
「ありがとうございました!」
直立不動の姿勢で敬礼した後、誠は走ってとりあえず待機室に向かった。
走っている間もすれ違う隊員の表情はどれも険しい。そのまま食堂を通り過ぎて隣の待機室を覗き込む。
待機室にかなめはいた。カウラとシャムも眼に入ったが、ランと吉田は嵯峨に呼び出されているのか、その姿は無かった。かなめは上半身をブレザーの勤務服から黒のタンクトップに着替えていた。その手にあるグラスにはたぶんラム酒と思われる物が入っている。
カウラは机の上の書類に目を通しながら、何か言いたげな視線をかなめに向かって投げかけるが、かなめはまるでそれを面白がるような笑みを浮かべてグラスを進めていた。
シャムはソファーに寝転がって漫画を読んでいる。そしてたまに腹を抱えて笑ったりしていた。
「西園寺さん?」
「なんだよ。テメエまでカウラみたいに『待機任務中でしょ!酒は禁止!』なんて言い出すんじゃないよな?」
先手を打たれて誠は押し黙った。そして不思議そうに見ていたタレ目が誠の落ち込んだような表情を見つめるとやわらかい微笑みに変わった。
「なんだ?別件か。別に暇だから聞いてやるよ」
かなめはグラスを置いて、その手で目の前の椅子に座るように合図する。
誠は立っているわけにも行かないと気づいて、そこにあった壊れそうなパイプ椅子に腰掛けた。
「出港が早まった件ですけど、何か心当たりはありますか?」
「なんだ、そんなことかよ。さっきまでマリアや明華の姐御といたんだろ?正確な状況ならあっちの方がよく知ってると思うぞ」
そう言うとかなめはまたグラスに手を伸ばした。
「本間司令が近藤中佐に出頭命令を出したということは聞きました。それと、もし近藤中佐が拒否して篭城と言うことになれば、胡州でクーデターが起きる可能性もあるって……」
「ったく明華の姐御も心配性だなあ!まあそう簡単にはクーデターをやろうなんて無理だろうな。近藤の馬鹿野郎の関係する組織は非公然、公然問わず特務憲兵隊の内偵が進んでいるし、現在、帝都に一番近い加茂野宇宙港には、オヤジの右腕の赤松中将の第三艦隊が鎮座しているんだぜ?それこそ下手に動けば自分の首が飛ぶ状況だ」
「ああそう言う状況なんですか」
誠はかなめの希望的観測に大きく安堵の息をつく。だが、そこでいつものかなめらしいサディスティックな表情が浮かぶ。
「だが神前の、安心はしない方がいいな。長期戦になれば第六艦隊が直々に動き出すことになるだろうし、そんな状況をアメリカ海兵隊なんかの外野連中が見逃すわけもない。第六艦隊の急な展開に呼応して遼南や遼北、西モスレムがアステロイドベルトの胡州の領域へ進行するとなれば自然と状況は官派の望んだ状況になる。『胡州の生命線』と奴等が呼んでる領域への他国の進出は、世論を反同盟活動に持っていくことになるだろうからな」
そう言うとかなめは、グラスに半分ほど残っていたラムを飲み干した。
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