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第16章 引っ越し
修理屋泣かせの連中
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かなめは一瞬、茜の言葉、『アイシャが誠達とともに法術特捜の捜査員を兼務する』という意味を理解できないでいた。
しかし茜にまじまじと見つめられてようやく事態を把握した。
「なんだってー!」
かなめの叫び声が響き、ドアからうわさの人アイシャが顔を覗かせる。
「なにやって……」
アイシャはそれだけ言うと言葉を続けることは出来なかった。自分の顔をこれでもかというくらい突きつけているかなめにアイシャはただ息をのむ。ただアイシャはなんだかわからず立ち尽くしている。
「そんな……私に気があるなんて……かなめちゃんにはかえでさんがいるじゃないの」
そう言いながらもアイシャは目を閉じてキスを待つような格好をする。
「そう言う話をしてるんじゃねえ!本当か?こいつの言ったことは、本当か?」
「話が見えないわよ!茜さんが何言ったのよ!」
助けを求めるようにアイシャは誠に視線を投げる。
「法術特捜の司法局実働部隊からの協力者のメンバーにアイシャさんが入っているかということですよ」
誠の言葉にアイシャは余裕の笑みを浮かべていた。
「そうなんだけど、何か問題があるの?」
その挑戦的な口調に、かなめは思わず引き下がった。
「こんちわー!何でも屋です……って、どういうこと」
タイミングを計ったかのように島田が部屋に工具を持って現れた。ぴりぴりした雰囲気。にらみ合うアイシャとかなめ。助けを求めるように島田は誠に目を向けた。
「ごめんなさいね茜ちゃん、ガサツ娘のお手伝い頼むわ。島田君!こっちのクーラーは後回しにして次はカウラの部屋のにしましょう」
アイシャはいつものようにころりと態度を変える。
「じゃあ西園寺さん、終わったら呼んでください」
右手に持ったドライバーを器用に手の上でくるくると回すと、島田はそのまま消えていく。
「お前も一緒に消えろ!」
かなめは二本目のタバコに火をつけて、茜が畳を拭くのを眺めている。
「かなめちゃんも少しは手伝ってあげれば良いのに。あなたの部屋なのよ」
アイシャはそう言うと、手にした雑巾をバケツの中で洗う。かなめはそんな様子を不承不承見守っている。茜もアイシャもかなめのそんな態度には慣れきっていると言うように、黙って畳を拭き始める。
「後は窓ガラスだけですね。ちょっと待っててください」
そう言うと誠は黒い汚れた水のバケツを持って廊下に出た。昼も近くなり、額の汗が部屋の埃を吸い込んで肌に張り付いているのがわかる。
「神前君。大丈夫?」
水道の前でクーラーのフィルターを洗っているサラに声をかけられた誠は、汗を拭いながら洗い場に汚れた水を流す。
「まあ、大丈夫ですよ。もう少しで終わりそうな感じです。後は窓だけですから」
「それじゃあこれがいるわね」
そう言うとパーラは新品の雑巾を二枚渡す。
「ありがとうございます。それにしてもすみませんねえ。二人とも休みを潰しちゃって」
誠はそう言うと空になったバケツに新しい水を注いだ。
「私達の方が言う言葉よ、それ。アイシャのことだから、絶対、これから誠君に迷惑かけるでしょうからね」
パーラのその言葉に、誠は乾いた笑いを浮かべる。
「それじゃあ行ってきます」
あまり待たせれば間違いなく雷が落ちると予感した誠はそのまま二人を置いてかなめの部屋に戻った。
誠は窓を拭き始めた。ただビルの影の窓なのでそれほど汚れは無い。
「手伝いますわよ」
声をかけてくる茜に首を横に振ると誠は仕上げのからぶきを始めた。
「ようやく終わったわね。誠ちゃんももうすぐみたいじゃないの」
部屋の中央でアイシャは部屋を見回した。茜は微笑んで静かに部屋を出て行く。かなめは相変わらずタバコをくゆらせている。アイシャは澄んだ色のバケツに新品の雑巾を落として絞る。
「ああ、暑いなあ。誠!島田の修理屋がどうなってるか見てきてくれよ」
かなめはそう言うと畳の上に大の字で体を横たえた。
誠はアイシャの部屋を通り過ぎてカウラの部屋に入った。踏み台に乗った島田がクーラーの前の部分を外してドライバーで中の冷却剤の流れている管を叩いている。
「おっかしいなあ、漏れてるわけじゃないんだけど」
島田の作業の結果拡げられた新聞紙の上の部品をカウラは一つ一つ手にとって眺めている。
「どうしたんですか?島田先輩」
「神前か。実は冷却剤が漏れてるみたいなんだけど。さて、どうしたもんかね」
島田は頭を掻いて困った表情浮かべる。
「補充用の冷却剤の缶ってこれですか?」
誠は足元の缶を眺める。それがすぐになんであるかわかった。
「島田。これが原因なら間違いなく入らないだろうな」
カウラもそれを見て人工的な笑いを浮かべる。
「これエアソフトガン用のガスですよ」
「おいホントかよ!吉野か上島の馬鹿、あれほどエアコンのガスかっぱらうなって言ったのに」
島田はそのまま踏み台から降りた。
「これじゃあ買出し行かないと無理っすね。ベルガー大尉、すいませんが明日の朝には都合つけますから」
そう言って島田はばらしたクーラーの組み立てにかかる。
「神前。西園寺大尉には午後になるって言っといてくれよ」
島田は器用に全面のカバーを組み込んで、手にしたボルトを刺していく。
「手伝わなくても大丈夫ですか?」
「技術屋を舐めるなよ」
そう言うと島田はてきぱきと修理のために外していた基盤をクーラーに差し込んでいく。
「誠。まだ西園寺の部屋は終わらないのか?」
島田にねじを渡しながらカウラが誠に向き直る。
「今、アイシャさんが手伝ってますからすぐ終わると思うんですけど……」
「あいつまたサボってタバコでも吸っているのか」
カウラはあきれたような顔をして、小さな基盤を島田に手渡す。
「じゃあ戻ります」
作業の邪魔にはなるまいと、誠はそのままカウラの部屋を出た。
しかし茜にまじまじと見つめられてようやく事態を把握した。
「なんだってー!」
かなめの叫び声が響き、ドアからうわさの人アイシャが顔を覗かせる。
「なにやって……」
アイシャはそれだけ言うと言葉を続けることは出来なかった。自分の顔をこれでもかというくらい突きつけているかなめにアイシャはただ息をのむ。ただアイシャはなんだかわからず立ち尽くしている。
「そんな……私に気があるなんて……かなめちゃんにはかえでさんがいるじゃないの」
そう言いながらもアイシャは目を閉じてキスを待つような格好をする。
「そう言う話をしてるんじゃねえ!本当か?こいつの言ったことは、本当か?」
「話が見えないわよ!茜さんが何言ったのよ!」
助けを求めるようにアイシャは誠に視線を投げる。
「法術特捜の司法局実働部隊からの協力者のメンバーにアイシャさんが入っているかということですよ」
誠の言葉にアイシャは余裕の笑みを浮かべていた。
「そうなんだけど、何か問題があるの?」
その挑戦的な口調に、かなめは思わず引き下がった。
「こんちわー!何でも屋です……って、どういうこと」
タイミングを計ったかのように島田が部屋に工具を持って現れた。ぴりぴりした雰囲気。にらみ合うアイシャとかなめ。助けを求めるように島田は誠に目を向けた。
「ごめんなさいね茜ちゃん、ガサツ娘のお手伝い頼むわ。島田君!こっちのクーラーは後回しにして次はカウラの部屋のにしましょう」
アイシャはいつものようにころりと態度を変える。
「じゃあ西園寺さん、終わったら呼んでください」
右手に持ったドライバーを器用に手の上でくるくると回すと、島田はそのまま消えていく。
「お前も一緒に消えろ!」
かなめは二本目のタバコに火をつけて、茜が畳を拭くのを眺めている。
「かなめちゃんも少しは手伝ってあげれば良いのに。あなたの部屋なのよ」
アイシャはそう言うと、手にした雑巾をバケツの中で洗う。かなめはそんな様子を不承不承見守っている。茜もアイシャもかなめのそんな態度には慣れきっていると言うように、黙って畳を拭き始める。
「後は窓ガラスだけですね。ちょっと待っててください」
そう言うと誠は黒い汚れた水のバケツを持って廊下に出た。昼も近くなり、額の汗が部屋の埃を吸い込んで肌に張り付いているのがわかる。
「神前君。大丈夫?」
水道の前でクーラーのフィルターを洗っているサラに声をかけられた誠は、汗を拭いながら洗い場に汚れた水を流す。
「まあ、大丈夫ですよ。もう少しで終わりそうな感じです。後は窓だけですから」
「それじゃあこれがいるわね」
そう言うとパーラは新品の雑巾を二枚渡す。
「ありがとうございます。それにしてもすみませんねえ。二人とも休みを潰しちゃって」
誠はそう言うと空になったバケツに新しい水を注いだ。
「私達の方が言う言葉よ、それ。アイシャのことだから、絶対、これから誠君に迷惑かけるでしょうからね」
パーラのその言葉に、誠は乾いた笑いを浮かべる。
「それじゃあ行ってきます」
あまり待たせれば間違いなく雷が落ちると予感した誠はそのまま二人を置いてかなめの部屋に戻った。
誠は窓を拭き始めた。ただビルの影の窓なのでそれほど汚れは無い。
「手伝いますわよ」
声をかけてくる茜に首を横に振ると誠は仕上げのからぶきを始めた。
「ようやく終わったわね。誠ちゃんももうすぐみたいじゃないの」
部屋の中央でアイシャは部屋を見回した。茜は微笑んで静かに部屋を出て行く。かなめは相変わらずタバコをくゆらせている。アイシャは澄んだ色のバケツに新品の雑巾を落として絞る。
「ああ、暑いなあ。誠!島田の修理屋がどうなってるか見てきてくれよ」
かなめはそう言うと畳の上に大の字で体を横たえた。
誠はアイシャの部屋を通り過ぎてカウラの部屋に入った。踏み台に乗った島田がクーラーの前の部分を外してドライバーで中の冷却剤の流れている管を叩いている。
「おっかしいなあ、漏れてるわけじゃないんだけど」
島田の作業の結果拡げられた新聞紙の上の部品をカウラは一つ一つ手にとって眺めている。
「どうしたんですか?島田先輩」
「神前か。実は冷却剤が漏れてるみたいなんだけど。さて、どうしたもんかね」
島田は頭を掻いて困った表情浮かべる。
「補充用の冷却剤の缶ってこれですか?」
誠は足元の缶を眺める。それがすぐになんであるかわかった。
「島田。これが原因なら間違いなく入らないだろうな」
カウラもそれを見て人工的な笑いを浮かべる。
「これエアソフトガン用のガスですよ」
「おいホントかよ!吉野か上島の馬鹿、あれほどエアコンのガスかっぱらうなって言ったのに」
島田はそのまま踏み台から降りた。
「これじゃあ買出し行かないと無理っすね。ベルガー大尉、すいませんが明日の朝には都合つけますから」
そう言って島田はばらしたクーラーの組み立てにかかる。
「神前。西園寺大尉には午後になるって言っといてくれよ」
島田は器用に全面のカバーを組み込んで、手にしたボルトを刺していく。
「手伝わなくても大丈夫ですか?」
「技術屋を舐めるなよ」
そう言うと島田はてきぱきと修理のために外していた基盤をクーラーに差し込んでいく。
「誠。まだ西園寺の部屋は終わらないのか?」
島田にねじを渡しながらカウラが誠に向き直る。
「今、アイシャさんが手伝ってますからすぐ終わると思うんですけど……」
「あいつまたサボってタバコでも吸っているのか」
カウラはあきれたような顔をして、小さな基盤を島田に手渡す。
「じゃあ戻ります」
作業の邪魔にはなるまいと、誠はそのままカウラの部屋を出た。
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