9 / 105
ショッピング?
誠には刺激が強すぎて……
しおりを挟む
「なんだ。さすがに時期だけあって結構場所とってるんだな」
エレベータからかなり離れた場所に女性用水着の専門店がある。かなめの言うとおり目の前のエントランススペースまで売り場がせり出していた。
「赤札が出てるわね。もう夏も終わりだし、叩けばもっと値切れるかもしれないわ」
ようやく前に出てきたアイシャを先頭に売り場に入る。誠は正直どうするべきか迷っていた。高校、大学と野球サークルでは堅物と思われて過ごし、訓練校では厳しい寮の門限のせいと酒癖の悪さから水着を選んでくれと言ってくるような彼女などいるわけが無かった。そんな誠を島田がニヤニヤしながら見守っている。何か言葉をかけてくれれば良いと思う誠だが、サラがさっそく赤札のついたピンク色の鮮やかな、背中が大きく開いた水着を持って島田を連れて行ってしまう。
「何してんだ?来いよ」
かなめのその一言に、しかたなく周りを気にしながら誠は売り場に入った。その表情は部隊に入ってはじめて見る無邪気そうな女の子のものだった。
「どれにするかな……」
そう言うとかなめは青いビキニを手に取る。誠は苦笑いを浮かべながらかなめの後に続く。
「西園寺さん……」
「とりあえずこれ」
かなめはそう言うと携帯端末を誠に向けた。その中には手にしている青いビキニをつけたかなめの姿があった。
「似合う……かな……?」
ここで初めてかなめは自分が何をしているのか気づいたとでも言うように照れ笑いを浮かべた。かなめが手にしている端末の中には豊かな胸を見せびらかすようにしてポーズをとるかなめの姿があった。
「ええ……?」
急なかなめの問いに答えようとした誠の背中にハンガーが押し付けられる。振り返るとそこには髪に合わせたエメラルドグリーンの水着を手にしたカウラの姿があった。
「カウラさん」
「私のも……見てくれ」
突然のカウラの行動にあっけにとられている二人をしり目にカウラが携帯端末を誠に向ける。そこには同じように水着を着たカウラの姿があった。背筋を伸ばし、いかにも几帳面でどこか不器用な彼女らしく恥じらう姿が画面に映りこんでいた。
「おい、カウラ」
「なんだ、西園寺」
それまでの和やかな雰囲気をぶち壊しそうなどすの効いた声が二人から発せられる。誠はただ呆然として目の前の二人の上司のやり取りを見守っていた。
「はいはい……二人とも喧嘩しないの」
タイミングを合わせたように白い水着を手にしたアイシャがやってきて携帯端末を誠の目の前にかざす。
「ほら、似合ってるでしょ?どう?誠ちゃん」
「ええ、まあ」
ハンガーを押し付けてくるアイシャに誠は苦笑いを浮かべながらそう答えた。こちらも八頭身美人のアイシャらしい伸びやかな肢体が画面に映っていた。
「おい、アイシャ。お前まで!アタシが最初に神前に見せたんだぞ!」
「あら、かなめちゃん。いつ二人きりで水着を選べるなんて決めたのかしら?ここは甲斐性のない誠ちゃんに少しでも私達との接点を持ってもらおうと、この私がセッティングしたショッピングツアーなのよ。それとも何?誠ちゃんを独り占めしたいと……独り占めしたいほど好きと……」
「そんなんじゃねえよ!そんなんじゃ」
そう言うとかなめはそのまま手にした青いビキニを元の場所に戻した。
「アイシャ。挑発はやめろ」
カウラの一言でようやく気が済んだかのようにアイシャが大きく深呼吸をする。
「あら、別に挑発なんかしてないわよ……そうね。じゃあ私は誠ちゃんに選んでもらうとするわ……って似合う?」
アイシャはそう言うと携帯端末を誠の前に吊るしてみせる。誠はただ目の前に並べられたかなめ、カウラ、アイシャの携帯端末に映る水着姿を見ながら力なく立ち尽くすしかなかった。
「ちょっと!誠ちゃん……って刺激が強すぎたかしら」
正直こんな体験は生まれて初めての誠は気の利いた言葉の一つも口にできずにただ見ていることしかできなかった。
エレベータからかなり離れた場所に女性用水着の専門店がある。かなめの言うとおり目の前のエントランススペースまで売り場がせり出していた。
「赤札が出てるわね。もう夏も終わりだし、叩けばもっと値切れるかもしれないわ」
ようやく前に出てきたアイシャを先頭に売り場に入る。誠は正直どうするべきか迷っていた。高校、大学と野球サークルでは堅物と思われて過ごし、訓練校では厳しい寮の門限のせいと酒癖の悪さから水着を選んでくれと言ってくるような彼女などいるわけが無かった。そんな誠を島田がニヤニヤしながら見守っている。何か言葉をかけてくれれば良いと思う誠だが、サラがさっそく赤札のついたピンク色の鮮やかな、背中が大きく開いた水着を持って島田を連れて行ってしまう。
「何してんだ?来いよ」
かなめのその一言に、しかたなく周りを気にしながら誠は売り場に入った。その表情は部隊に入ってはじめて見る無邪気そうな女の子のものだった。
「どれにするかな……」
そう言うとかなめは青いビキニを手に取る。誠は苦笑いを浮かべながらかなめの後に続く。
「西園寺さん……」
「とりあえずこれ」
かなめはそう言うと携帯端末を誠に向けた。その中には手にしている青いビキニをつけたかなめの姿があった。
「似合う……かな……?」
ここで初めてかなめは自分が何をしているのか気づいたとでも言うように照れ笑いを浮かべた。かなめが手にしている端末の中には豊かな胸を見せびらかすようにしてポーズをとるかなめの姿があった。
「ええ……?」
急なかなめの問いに答えようとした誠の背中にハンガーが押し付けられる。振り返るとそこには髪に合わせたエメラルドグリーンの水着を手にしたカウラの姿があった。
「カウラさん」
「私のも……見てくれ」
突然のカウラの行動にあっけにとられている二人をしり目にカウラが携帯端末を誠に向ける。そこには同じように水着を着たカウラの姿があった。背筋を伸ばし、いかにも几帳面でどこか不器用な彼女らしく恥じらう姿が画面に映りこんでいた。
「おい、カウラ」
「なんだ、西園寺」
それまでの和やかな雰囲気をぶち壊しそうなどすの効いた声が二人から発せられる。誠はただ呆然として目の前の二人の上司のやり取りを見守っていた。
「はいはい……二人とも喧嘩しないの」
タイミングを合わせたように白い水着を手にしたアイシャがやってきて携帯端末を誠の目の前にかざす。
「ほら、似合ってるでしょ?どう?誠ちゃん」
「ええ、まあ」
ハンガーを押し付けてくるアイシャに誠は苦笑いを浮かべながらそう答えた。こちらも八頭身美人のアイシャらしい伸びやかな肢体が画面に映っていた。
「おい、アイシャ。お前まで!アタシが最初に神前に見せたんだぞ!」
「あら、かなめちゃん。いつ二人きりで水着を選べるなんて決めたのかしら?ここは甲斐性のない誠ちゃんに少しでも私達との接点を持ってもらおうと、この私がセッティングしたショッピングツアーなのよ。それとも何?誠ちゃんを独り占めしたいと……独り占めしたいほど好きと……」
「そんなんじゃねえよ!そんなんじゃ」
そう言うとかなめはそのまま手にした青いビキニを元の場所に戻した。
「アイシャ。挑発はやめろ」
カウラの一言でようやく気が済んだかのようにアイシャが大きく深呼吸をする。
「あら、別に挑発なんかしてないわよ……そうね。じゃあ私は誠ちゃんに選んでもらうとするわ……って似合う?」
アイシャはそう言うと携帯端末を誠の前に吊るしてみせる。誠はただ目の前に並べられたかなめ、カウラ、アイシャの携帯端末に映る水着姿を見ながら力なく立ち尽くすしかなかった。
「ちょっと!誠ちゃん……って刺激が強すぎたかしら」
正直こんな体験は生まれて初めての誠は気の利いた言葉の一つも口にできずにただ見ていることしかできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる