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『特殊な部隊』の飲み会ウォームアップ!

第160話 ちょっと変わった美人上司の『身の上話』

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 誠とカウラ。二人は医務室を出て廊下を格納庫に向けて歩いた。技術部員がコンロやテーブルを持って走るのが目に入る。一方、運航部の『ラストバタリオン』の女子士官達がビールや焼酎を台車に乗せて行きかう。

「何でこんな用意が良いんですか?」 

 次々と出てくる宴会用品に呆れながら誠がカウラに尋ねた。

「いいんじゃないのか?たまに楽しむのも」 

 カウラは笑顔を保ったままで、脇をすり抜ける技術部員の不思議そうな視線を見送っていた。

「そう言えば『釣り部』の人は見ないのですが、調理中ですか?」 

「ああ、あいつ等か?魚類にすべてをささげ、『神』とあがめる連中だからな。これからそれを食する前に『神』に祈りでも捧げてるんじゃないか?」
 
「はあ……」 

 誠は彼等の『釣り』に対する情熱をこの数日で理解していたので、彼等が隊員の誰かを生贄に捧げていたとしても不思議だとは思わなかった。

「土鍋、あるだけ持ってこい!そこ!しゃべってる暇あったらテーブル運ぶの手伝え!」 

 エレベータの所では島田が部下達を指揮していた。

「島田先輩!」 

「おう、ちょっと待てよ。とりあえず設営やってるところだから。そこの自販機でジュースでも買ってろ!俺は奢らないがな!」 

 そう言って島田はまた作業に戻る。

「そうだな、誠。少し休んでいくか?」 

 カウラが自分の名前の方を呼んでくれた。少しばかりその言葉が頭の中を回転する。

「どうした?」 

 不思議そうにカウラは誠をエメラルドグリーンの瞳で見つめる。

「そうですね。ははは、とりあえず座りましょう」 

 そう言うと頭をかきながら誠はソファーに腰掛けた。

「何を飲む?マックスコーヒーで良いか?」 

「甘いの苦手なんで、普通のコーヒー。出来ればブラックで」 

 カウラは自分のカードを取り出すとコーヒーを選んだ。ガタガタと音を立てて熱いコーヒーの缶が落ちてくる。

「熱いぞ、気をつけろ」 

 そう言うとカウラは缶コーヒーを誠に手渡した。

「どうだ?ここの居心地は」 

 野菜ジュースを取り出し口から出しながらカウラがそう尋ねた。彼女が言うここ。編成されてまだ二年半と言う司法実力部隊である。彼女も東和共和国陸軍に所属していた経歴がある以上、同じように嵯峨の強烈な個性に染まった司法局実働部隊に戸惑ったこともあるのだろう。

「出動の後はいつもこんな感じなんですか?」 

 誠は隣に座ったカウラの緑の髪を見ながら缶コーヒーを啜る。

「甲二種出動は、部隊創設以来二回目だ。ほとんどは東都警察の特殊部隊の増援、同盟加盟国の会議時の警備の応援、災害時の治安出動などが多いな。もっとも、最近は東都警察の縄張り意識が強くなってきて、あちらの人手が足りないと言うことでネズミ捕りの応援や路駐の摘発なんてことしかしないこともある」 

 そう言いながら野菜ジュースのふたを開けるカウラ。エレベータはひっきりなしに食堂とハンガーの間を往復し続けた。
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