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『悪党の狩場』
第74話 若造の皮をかぶった『怪物』
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あの階下の豪勢な雰囲気はそこには無かった。有るのは奇妙な殺気だけ。それが嵯峨にはそれが心地よく感じられるようでにんまりと笑いながら扉を開いた。
「邪魔するぜ」
嵯峨に続いて、長らく店員になり澄ましていた嵯峨の配下の男がその後に続く。
中では派手なラメの入った、どう見ても『一般市民には見えない』黒い背広を着た男が二人、巨大に見える執務机に座った赤い三つ揃えの背広に黄色いネクタイの男から指示を仰いでいる最中だった。
嵯峨は素早く左手に握った『同田貫・正国』を抜刀した。
二人の男は素早く背広の中に手を入れて中の拳銃を抜こうとした。だが嵯峨のダンビラが宙に舞った次の瞬間には、二人の男の胴体は銃をホルスターから抜くこともできずに首を失って倒れこんでいた。鮮血が部屋に飛び散り首から噴き上げる血が壁や机に飛び散った。
気障なネクタイの男、『皆殺しのカルヴィーノ』は表情を変えずに嵯峨をにらみつけた。
さすがに彼はこういう『殺し合いの場』には慣れているらしく、すぐさま拳銃を抜いて嵯峨に狙いを定めようとしたが、その手を嵯峨を導いてきた若い男の手に握られた小型拳銃の弾が貫通した。男の手の拳銃は床に転がり、思わず傷を押さえたまま地に伏せてじっと嵯峨のほうを見上げる。
嵯峨の制服と部隊章がその男の目の中に入ってきた。それを確認するとあきらめたように一度床に視線を落とした後、ようやく合点がいったかのように作り笑いを浮かべる。
「これは……『陛下』と呼ぶべきですかな。それとも『甲武国』風に『悪内府』と呼ばれることがお好みで?」
死体を覗き込んで黙り込む嵯峨は気障な男の言葉にまるで反応しなかった。
「どっちもうんざり。『特殊な部隊』の『脳ピンク』と呼びな。俺はプライドゼロだから怒らないよ」
そう言うと、嵯峨は血に塗れた『同田貫・正国』を一振りした。部屋中に血液のしぶきが飛び散る。
「そうですか。それで今日はどんな用事ですか?血を見るには、ずいぶんと早い時間のご訪問じゃないですか」
男はそう言うと刀の刃先を確認している嵯峨を見上げた。そこに覚悟の色のようなものを見つけた嵯峨は、安心したように左手に持った刀を担ぐとそのまま机にしがみついて痛みに耐えている男の前に立った。
「さすがだよ。地球圏じゃ『皆殺し』と呼ばれただけの事は有るねえ。地獄の超特急に乗るのかもしれないって言うのに俺をにらみ返すとは、その度胸はたいしたもんだ。なにか用かって……。分かってんだろ?オメエさんの『飼い犬』がウチの馬鹿を一匹、拉致った件に決まってるじゃねえか」
カルヴィーノは悪党らしくニヤリと笑った。そしてそのままよたよたと立ち上がると血が流れている右手で乱れたネクタイを締めなおした。
「何を根拠にそんな……」
その言葉に嵯峨は全く表情を変えず、カルヴィーノの座っていた机を蹴飛ばした。
嵯峨はそのままカルヴィーノの襟首を空いた左手で握ると、そのこじゃれたネクタイを思い切りつかみ上げて自分の眼前に引き寄せた。
「邪魔するぜ」
嵯峨に続いて、長らく店員になり澄ましていた嵯峨の配下の男がその後に続く。
中では派手なラメの入った、どう見ても『一般市民には見えない』黒い背広を着た男が二人、巨大に見える執務机に座った赤い三つ揃えの背広に黄色いネクタイの男から指示を仰いでいる最中だった。
嵯峨は素早く左手に握った『同田貫・正国』を抜刀した。
二人の男は素早く背広の中に手を入れて中の拳銃を抜こうとした。だが嵯峨のダンビラが宙に舞った次の瞬間には、二人の男の胴体は銃をホルスターから抜くこともできずに首を失って倒れこんでいた。鮮血が部屋に飛び散り首から噴き上げる血が壁や机に飛び散った。
気障なネクタイの男、『皆殺しのカルヴィーノ』は表情を変えずに嵯峨をにらみつけた。
さすがに彼はこういう『殺し合いの場』には慣れているらしく、すぐさま拳銃を抜いて嵯峨に狙いを定めようとしたが、その手を嵯峨を導いてきた若い男の手に握られた小型拳銃の弾が貫通した。男の手の拳銃は床に転がり、思わず傷を押さえたまま地に伏せてじっと嵯峨のほうを見上げる。
嵯峨の制服と部隊章がその男の目の中に入ってきた。それを確認するとあきらめたように一度床に視線を落とした後、ようやく合点がいったかのように作り笑いを浮かべる。
「これは……『陛下』と呼ぶべきですかな。それとも『甲武国』風に『悪内府』と呼ばれることがお好みで?」
死体を覗き込んで黙り込む嵯峨は気障な男の言葉にまるで反応しなかった。
「どっちもうんざり。『特殊な部隊』の『脳ピンク』と呼びな。俺はプライドゼロだから怒らないよ」
そう言うと、嵯峨は血に塗れた『同田貫・正国』を一振りした。部屋中に血液のしぶきが飛び散る。
「そうですか。それで今日はどんな用事ですか?血を見るには、ずいぶんと早い時間のご訪問じゃないですか」
男はそう言うと刀の刃先を確認している嵯峨を見上げた。そこに覚悟の色のようなものを見つけた嵯峨は、安心したように左手に持った刀を担ぐとそのまま机にしがみついて痛みに耐えている男の前に立った。
「さすがだよ。地球圏じゃ『皆殺し』と呼ばれただけの事は有るねえ。地獄の超特急に乗るのかもしれないって言うのに俺をにらみ返すとは、その度胸はたいしたもんだ。なにか用かって……。分かってんだろ?オメエさんの『飼い犬』がウチの馬鹿を一匹、拉致った件に決まってるじゃねえか」
カルヴィーノは悪党らしくニヤリと笑った。そしてそのままよたよたと立ち上がると血が流れている右手で乱れたネクタイを締めなおした。
「何を根拠にそんな……」
その言葉に嵯峨は全く表情を変えず、カルヴィーノの座っていた机を蹴飛ばした。
嵯峨はそのままカルヴィーノの襟首を空いた左手で握ると、そのこじゃれたネクタイを思い切りつかみ上げて自分の眼前に引き寄せた。
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