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『力』を持つ者の定め 『特殊な部隊』の通過儀礼としての『事件』

第69話 必死の突撃

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「行くぞ、『愛玩動物』。アタシが『鉄火場の後始末』の方法を教育してやる!」

 そう言うとかなめは銃をもう一度、確実に握りなおした。

『この人は楽しんでる……』 

 相変わらず残忍な笑いを浮かべているかなめを見て誠はそう確信した。

 誠はかなめに視線をやりながらも、下での話し声に耳をすませていた。先ほどからもめている若いチンピラの声に混じって下から駆けつけたらしい低い男の声が聞こえる。

「どうするんですか?西園寺さん。三人はいますよ」 

 誠は銃を拾い上げながら、通路越しにかなめに話しかけた。

 かなめは一瞬下を向いた後、誠に向き直った。

「お前、囮になれ。『ご主人様』に忠誠を見せろ」 

 そう言うとかなめは飛び切り嬉しそうな顔をする。まるで何事も無いようにその言葉は誠の耳に響いた。

「そんなあ……」 

 誠はかなめに渡されたチンピラの銃を手に握って泣きそうな顔でかなめを見つめる。

「あんなチンピラにとっ捕まるようじゃあ、先が知れてらあ。これがアタシ等の日常だ。嫌ならさっさとおっ死んだ方が楽だぜ?」 

 かなめは階下を覗き見てそう言い放った。下のチンピラ達はとりあえず弾を込め直したようですぐにサブマシンガンの掃射が降り注いでくる。

「どうしてもですか?」

 誠の浮かない表情を見てかなめは正面から誠を見つめた。 

「根性見せろよ!男の子だろ?」 

 かなめはそう言うと左手で誠にハンドサインを送る。突入指示だった。

「うわーっ」 

 そう叫んで誠はそのまま踊り場に飛び出すと、拳銃を乱射しながら階段を駆け下りた。

「馬鹿野郎!それじゃあ自殺だ!」 

 かなめは慌ててそう叫ぶと、すぐさま後に続いて立ち上がり、次々と棒立ちの三人の男の額を撃ち抜いた。

「うわあ、ううぇぃ……」 

 三人の死体の間に誠はそのまま力なく崩れ落ちる。

「冗談もわからねえとは……所詮、正規教育の兵隊さんだってことか?ったく。それにしても……下手な射撃だなあ」 

 誠の撃った弾丸が全て天井に当たっているのを確認すると、かなめは静かにタバコの吸い殻を廊下に投げた。
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