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大人達の会話
第16話 状況の変化
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「秀美さん。今日はこんな紙切れのために来たんじゃないんでしょ?」
ランが見ていることに気がつくと、嵯峨はそう言いながら咳払いをして椅子に深く座りなおした。
「そうね。法術特捜部隊の設立に関して同盟司法機関直属の実力部隊としての総意を取り付けようと思って……その設立は早急かつ万全である必要があるということで」
ようやく穏やかな表情に戻った安城が嵯峨を見つめる。
「それなら次の司法局の幹部会にでも……」
「あら、いつもそこで居眠りばかりしている人は誰なのかしら?おかげで司法局には無駄飯食いが多いと軍から突き上げを食らうのはいつだって私なのよ」
そこまで言うと参ったと言うように嵯峨は両手を頭の後ろに持ってきて苦笑いを浮かべる。
「きついなあ、秀美さんは」
嵯峨のそんな態度に安城は明らかにいらだっているように大きく見せ付けるように息を吐いた。
「人体発火能力のように以前からのテロ行為とのハイブリッドの攻撃だけならうちでも対応可能かもしれないけど……。戦術的な意図を持って法術兵器を使用してのテロが行える組織が存在するようならうちの手には余るわ」
ここまで言うとさすがに嵯峨も関心がある話なのでそのまま安城を見上げるようにして机の上に頬杖を付いて真剣に聞き入る。
「それにウチはには神前君や嵯峨さん、そして『人類最強』のクバルカ中佐みたいな法術適性上位クラスの隊員はいないのよ」
大きくため息をつく安城を見ながら嵯峨はタバコを灰皿に押し付けて立ち上がる。
「確かに同盟機構の上層部が機動部隊であるうちと対テロ部隊の秀美さんの部隊の設立には積極的だったのは法術の公表の前の話だからね。自爆テロと爆弾テロを組み合わせてるとか、同盟加盟に難色を示す一部の軍部隊の暴走やベルルカンで動いている同盟軍の側面支援とか。そんなことしか頭に無かった偉い人には法術犯罪の専門部門を司法局に新設する必要性なんて感じてないかもしれないねえ」
諦めたように静かに呟く嵯峨。吉田も黙ってその様子を見つめている。
「つまり法術絡みになればうちはお手上げなわけよ。新設される法術特捜のフォローは嵯峨さんの所でしてもらわないと困るのよね」
そう言い切られて嵯峨は困ったような顔をして押し黙る。
「そんな顔しても無駄よ。まあこちらの領分、既存のテロ組織関連の事件ならいつでも引き受けるけど」
穏やかな口振りだが、語気は強い。ソファーに腰掛けた吉田が伸びをすると、困ったような目で安城を見つめる嵯峨の姿があった。いつまでも困った顔を続ける嵯峨に安城は大きくため息をつく。
「先週の同盟司法会議でも柔軟に対応すると言うことでお手伝いが出来るような体制を作るように上申しておいたの見てなかったの?まあ嵯峨さんはまた寝ていたみたいだけど」
寝ていた事実を指摘されるとさすがの嵯峨も頭を掻きながら手にしたタバコの箱を転がすことしか出来なかった。そのまま嵯峨は再びどっかりと椅子に体を預ける。
「だってさあ……頭の固いお偉いさんに具体的な事例も挙げずに戦力強化のお話なんて……結果が見えてるもの。話し聞くだけ体力の無駄だと思ってたからねえ」
とぼけたような嵯峨の態度に安城は苛立つばかりだった。
ランが見ていることに気がつくと、嵯峨はそう言いながら咳払いをして椅子に深く座りなおした。
「そうね。法術特捜部隊の設立に関して同盟司法機関直属の実力部隊としての総意を取り付けようと思って……その設立は早急かつ万全である必要があるということで」
ようやく穏やかな表情に戻った安城が嵯峨を見つめる。
「それなら次の司法局の幹部会にでも……」
「あら、いつもそこで居眠りばかりしている人は誰なのかしら?おかげで司法局には無駄飯食いが多いと軍から突き上げを食らうのはいつだって私なのよ」
そこまで言うと参ったと言うように嵯峨は両手を頭の後ろに持ってきて苦笑いを浮かべる。
「きついなあ、秀美さんは」
嵯峨のそんな態度に安城は明らかにいらだっているように大きく見せ付けるように息を吐いた。
「人体発火能力のように以前からのテロ行為とのハイブリッドの攻撃だけならうちでも対応可能かもしれないけど……。戦術的な意図を持って法術兵器を使用してのテロが行える組織が存在するようならうちの手には余るわ」
ここまで言うとさすがに嵯峨も関心がある話なのでそのまま安城を見上げるようにして机の上に頬杖を付いて真剣に聞き入る。
「それにウチはには神前君や嵯峨さん、そして『人類最強』のクバルカ中佐みたいな法術適性上位クラスの隊員はいないのよ」
大きくため息をつく安城を見ながら嵯峨はタバコを灰皿に押し付けて立ち上がる。
「確かに同盟機構の上層部が機動部隊であるうちと対テロ部隊の秀美さんの部隊の設立には積極的だったのは法術の公表の前の話だからね。自爆テロと爆弾テロを組み合わせてるとか、同盟加盟に難色を示す一部の軍部隊の暴走やベルルカンで動いている同盟軍の側面支援とか。そんなことしか頭に無かった偉い人には法術犯罪の専門部門を司法局に新設する必要性なんて感じてないかもしれないねえ」
諦めたように静かに呟く嵯峨。吉田も黙ってその様子を見つめている。
「つまり法術絡みになればうちはお手上げなわけよ。新設される法術特捜のフォローは嵯峨さんの所でしてもらわないと困るのよね」
そう言い切られて嵯峨は困ったような顔をして押し黙る。
「そんな顔しても無駄よ。まあこちらの領分、既存のテロ組織関連の事件ならいつでも引き受けるけど」
穏やかな口振りだが、語気は強い。ソファーに腰掛けた吉田が伸びをすると、困ったような目で安城を見つめる嵯峨の姿があった。いつまでも困った顔を続ける嵯峨に安城は大きくため息をつく。
「先週の同盟司法会議でも柔軟に対応すると言うことでお手伝いが出来るような体制を作るように上申しておいたの見てなかったの?まあ嵯峨さんはまた寝ていたみたいだけど」
寝ていた事実を指摘されるとさすがの嵯峨も頭を掻きながら手にしたタバコの箱を転がすことしか出来なかった。そのまま嵯峨は再びどっかりと椅子に体を預ける。
「だってさあ……頭の固いお偉いさんに具体的な事例も挙げずに戦力強化のお話なんて……結果が見えてるもの。話し聞くだけ体力の無駄だと思ってたからねえ」
とぼけたような嵯峨の態度に安城は苛立つばかりだった。
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