特殊装甲隊 ダグフェロン『廃帝と永遠の世紀末』② 海と革命家、時々娘

橋本 直

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大人達の会話

第15話 現れた『美女』

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「若者達はいいねえ」 

 隊長席でのんびりとタバコをふかしながら、嵯峨は窓を開けて身を乗り出すようにして通用門に向かうバスを眺めていた。

「ラン。お前も行けばよかったのに。あの仕事熱心な明華も有給取ってるんだ、そのうち騒がしくなったら遊びにも行けなくなるぜ」

 振り向いた嵯峨の一言にランはめんどくさそうに口を開く。

「確かにそうなんですが……」 

 ランはソファーに腰掛け、隣に立っている司法警察と同規格の制服を着た女性を見やった。黒いセミロングの髪の女性は、胸の前で手を組み、立ったまま嵯峨の様子を覗っている。

「秀美さん、とりあえず腰掛けたら……」 

 嵯峨は窓のサッシに寄りかかりながら笑顔でそう言って見せる。

「服が汚れるから止めておくわ」 

 やわらかい笑顔を浮かべながら安城秀美あんじょうひでみ少佐はそれを断った。

 静かだが明らかに軽蔑したような彼女の視線に嵯峨が身をすくめる。司法局公安部隊隊長の安城秀美はまた身を翻して子供のように窓から身を乗り出している嵯峨の様子を見守っていた。

「それより近藤資金のデータがなぜうちに来ないのか、説明して貰えるかしら?」 

 詰問するような調子で安城は嵯峨を見据えている。

「中佐殿。あれだけだろ?ウチで把握してる資料って……」 

 嵯峨はようやく執務用の椅子に戻って目の前の決済済みの書類の山をぺらぺらとめくる。彼は決して安城を見上げようとはしなかった。

「諦めてくださいよ、隊長」 

 安城が東和共和国屈指のハッカー能力を持つことを知っているランのそんな一言を聞くと、嵯峨は仕方がないと言うように手元にあった紙切れに四文字のカタカナを書き付けて机の端に置いた。

「それで正面からウチのシステムに入れますよ」 

 それを見ると安城は歩み寄ってその紙切れを拾い上げた。安城はまるで欲しかった人形を手に入れた少女のような表情を浮かべる。嵯峨の視線か秀美に釘付けになった。
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