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午後の奇襲
第55話 散歩
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「あの!アメリアさん……?」
声をかけようとして誠はかなめに足元の青い物体を見つけた。誠はよくよくそれを観察してみる。髪の毛のようなもの、それは首から下を埋められたアメリアだった。さらにその口にはかなめのハンカチがねじ込まれて言葉も出ない状態でもがいている。
「あーあ!つまんねえな」
そう言いながらかなめはパラソルの下に寝そべる。自分のバッグからまたタバコと灰皿を取り出す。
「そんなこと言わないでくださいよ」
「なんだよ、オメエも埋めるぞ」
かなめの言葉を聞いて誠が下を見る。黙ってアメリアが助けを求めるように見上げてくる。掘り出そうかと思ったがまた何をするのかわからないのでとりあえず掘り出さないで置く。かなめは静かにタバコに火をつけた。
「あのー……」
誠はそう言いながらそのままかなめの手を取っている自分を見た。驚いた表情をかなめは浮かべた。そして誠自身もそのことに驚いていた。
「少し散歩でもしましょうよ」
自分でも十分恥ずかしい台詞だと思いながら誠は立ち上がろうとするかなめに声をかけていた。
「散歩?散歩ねえ……まあ、オメエが言うなら仕方ねえな。付き合ってやるよ」
そう言うとかなめはしばらく誠を見つめた。彼女はタバコをもみ消して携帯灰皿を荷物の隣に置いた。そしてその時ようやく誠の言い出したことに意味がわかったとでも言うようにうなだれてしまう。
「カウラさん!すいません。ちょっと歩いてきます」
そう言うと誠はかなめの手を握った。
「え?」
かなめはそう言うと引っ張る誠について歩き出す。少し不思議そうな、それでいて不愉快ではないと言うことをあらわすようにかなめは微妙な笑みを浮かべる。
「良い風ですね」
誠は相変わらず驚いた顔をしているかなめに話しかけた。
「まあな」
うわのそらと言った感じでかなめは視線を泳がせている。砂浜が途切れて下から並みに削られたようにのっぺりとした岩が現れる。はだしの誠にはその適度に熱せられた岩の表面の温度が心地よく感じられていた。
「あそこの岩場ですか?小夏ちゃん達がいるのは」
「そうなんじゃねえの」
状況がわかってくると次第に機嫌の悪いいつものかなめに戻る。とりあえず誠についていてやることがサービスのすべてだとでも言うように、誠の視線に決してその視線は交わらない。誠も変に刺激しないようにと、ただ海岸線を二人して歩く。
海を臨めば、波は穏やかでその色は夏の終わりとは思えない青さである。かなめは誠が海を見れば山を、山を見れば海を見つめている。次第に磯が近くなり、海の中に飛び出す岩礁の上に白い波頭が見えた。
「オメエ。つまんねえだろ。カウラ達のところか、小夏のところへでも行ってこいよ」
そう吐き捨てるように言うと、かなめは砂浜から大きく飛び出した岩に腰を下ろした。
「別につまらなくは無いですよ。僕はここにいたいからここにいます」
そう言い切った誠にかなめは諦めきったような大きなため息をつく。
「ったく、勝手にしろ」
そう言うとかなめはいつもの癖で普段の制服ならそこにあるはずのタバコを探すように右胸の辺りに手を泳がせた。
「何だよ」
かなめが誠をにらんでくる。
「別に何でもないですよ」
「嘘つけ」
かなめは一度誠の視線から逃れるように下を向くと顔を上げた。作り笑いがそこにあった。時々かなめが見せるいきがって見せるような儚い笑いがそこにあった。
声をかけようとして誠はかなめに足元の青い物体を見つけた。誠はよくよくそれを観察してみる。髪の毛のようなもの、それは首から下を埋められたアメリアだった。さらにその口にはかなめのハンカチがねじ込まれて言葉も出ない状態でもがいている。
「あーあ!つまんねえな」
そう言いながらかなめはパラソルの下に寝そべる。自分のバッグからまたタバコと灰皿を取り出す。
「そんなこと言わないでくださいよ」
「なんだよ、オメエも埋めるぞ」
かなめの言葉を聞いて誠が下を見る。黙ってアメリアが助けを求めるように見上げてくる。掘り出そうかと思ったがまた何をするのかわからないのでとりあえず掘り出さないで置く。かなめは静かにタバコに火をつけた。
「あのー……」
誠はそう言いながらそのままかなめの手を取っている自分を見た。驚いた表情をかなめは浮かべた。そして誠自身もそのことに驚いていた。
「少し散歩でもしましょうよ」
自分でも十分恥ずかしい台詞だと思いながら誠は立ち上がろうとするかなめに声をかけていた。
「散歩?散歩ねえ……まあ、オメエが言うなら仕方ねえな。付き合ってやるよ」
そう言うとかなめはしばらく誠を見つめた。彼女はタバコをもみ消して携帯灰皿を荷物の隣に置いた。そしてその時ようやく誠の言い出したことに意味がわかったとでも言うようにうなだれてしまう。
「カウラさん!すいません。ちょっと歩いてきます」
そう言うと誠はかなめの手を握った。
「え?」
かなめはそう言うと引っ張る誠について歩き出す。少し不思議そうな、それでいて不愉快ではないと言うことをあらわすようにかなめは微妙な笑みを浮かべる。
「良い風ですね」
誠は相変わらず驚いた顔をしているかなめに話しかけた。
「まあな」
うわのそらと言った感じでかなめは視線を泳がせている。砂浜が途切れて下から並みに削られたようにのっぺりとした岩が現れる。はだしの誠にはその適度に熱せられた岩の表面の温度が心地よく感じられていた。
「あそこの岩場ですか?小夏ちゃん達がいるのは」
「そうなんじゃねえの」
状況がわかってくると次第に機嫌の悪いいつものかなめに戻る。とりあえず誠についていてやることがサービスのすべてだとでも言うように、誠の視線に決してその視線は交わらない。誠も変に刺激しないようにと、ただ海岸線を二人して歩く。
海を臨めば、波は穏やかでその色は夏の終わりとは思えない青さである。かなめは誠が海を見れば山を、山を見れば海を見つめている。次第に磯が近くなり、海の中に飛び出す岩礁の上に白い波頭が見えた。
「オメエ。つまんねえだろ。カウラ達のところか、小夏のところへでも行ってこいよ」
そう吐き捨てるように言うと、かなめは砂浜から大きく飛び出した岩に腰を下ろした。
「別につまらなくは無いですよ。僕はここにいたいからここにいます」
そう言い切った誠にかなめは諦めきったような大きなため息をつく。
「ったく、勝手にしろ」
そう言うとかなめはいつもの癖で普段の制服ならそこにあるはずのタバコを探すように右胸の辺りに手を泳がせた。
「何だよ」
かなめが誠をにらんでくる。
「別に何でもないですよ」
「嘘つけ」
かなめは一度誠の視線から逃れるように下を向くと顔を上げた。作り笑いがそこにあった。時々かなめが見せるいきがって見せるような儚い笑いがそこにあった。
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