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まみ

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1章

見返り

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僕は、ぼーっと女の子に送ったLINEを見た。

「追加ありがとう」

気付いたら打っていた。
何をしているんだろう
何も興味がないのに。
僕が見ているのは今も昔も変わらずかおりだった。


4年前の11月
「ここのお店オススメだから行きたい
パスタのお店なんだけど、おしゃれなんだよ。
2年記念日だし、最近オープンしたみたいだし行ってみたい。」

その一言で、僕はそのお店を知ることになった。

外見からしてまるで異国の地に来たみたいだった。
外には庭があり、ブランコもあった。
「楽しい」
そう言ってブランコに乗る彼女をみてすかさず写真を撮った。

僕より3個年上なのに、とても無邪気な彼女が好きだった。

「楽しいよね、一緒に写真撮ろう」


その写真は僕にとって宝物になった。
そこから、お店に入った。
お店の雰囲気は落ち着いていて中に綺麗な花があった。

「花」
彼女は指差して笑った。
「これは、ゆり、これはチューリップ、
これはサザンカ」
僕は、その花に書いてある名前を読みながら確認した。

「ゆり、チューリップ、サザンカ
綺麗」

彼女は、一つ一つの物事に対し
丁寧に対応していた。
見るもの全てを愛おしく感じ
必ず写真を撮った。
僕はそんな彼女が好きだった。
僕はそんな彼女を撮った。
繊細だけどどこか抜けていて、
でも、記念日とかは覚えている。
そんな彼女が好きだった。


そのお店で初めて食べた、カルボナーラの味は忘れない。

「私、カルボナーラって初めて食べるの、記念に写真を撮るね」
そう言って彼女は僕も写した。
少しはに噛んだ笑顔でピースをした。

「美味しいよ感動する。
食べてみな」
そう言って彼女はパスタを口に運んだ。

「美味しい、しゅんと初めて食べれてよかった」
その時の彼女の顔は今まで以上に幸せそうだった。僕も幸せだった。
濃厚で、少し甘味があるカルボナーラ
好きな人と一緒に食べれて
人生で一番美味しかった。


そして、彼女は近くにいたシェフに声をかけた。

「初めてこのお店に来ました。
美味しいです。幸せです。」

少し中年で、優しそうな髭を生やしたシェフがいた。

「ありがとう嬉しい。君たちが今日初めてオープンした最後のお客様だよ。
来てくれてありがとう」

シェフは満面の笑みで答えた。

「最後のお客さんなんて記念になってうれしいです。
人生で一番美味しいです。このカルボナーラ」

「そう言ってくれて嬉しい。このカルボナーラは皆を笑顔にできるんだ。
僕は、君たちの笑顔を見て分かったよ
ありがとう」


「嬉しい。
ありがとうございます」

その二人の笑顔を見て、僕は幸せな気分になった。

「かおり、記念日には毎月ここに来よう」

それから、僕達は記念日の度にそのお店を利用することになった。
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