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女王の涙
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「は、オルレア様……」
王族としての敬称を抜きにして、アドニスは私の名を呼んだ。たったそれだけで、まるで恋人同士になったみたい、と嬉しく思ってしまう。そんな下らないことで幸福感を感じられるのだから、自分は大概おめでたい人間だと思う。
「……んっ」
互いに生まれたままの姿となり、私たちは抱き合っていた。アドニスの肌はまったくカサついておらず、とても柔らかい。素肌同士の触れ合いは気持ち良いものの、少しばかり擽ったく感じられたのだった。
「身体、こそばゆいですか?」
「ん……少しだけ」
「ふふ、私もです」
照れたような笑みを浮かべて、アドニスは少しだけ身体を離した。すると、自然と彼の裸体に目がいってしまうのだった。
「包み隠すものなど、何もございませんので……全部、余すことなく見てください」
私の視線に気づいたのか、アドニスはそう言ったのだった。
アドニスの身体は、均整のとれた身体つきという言葉がぴったりであった。
広い肩幅と、絞られたウエスト。そして薄らと割れた腹筋は、男らしさを感じるが野蛮という言葉とは遠く離れている。下半身も、陰毛が薄くよく手入れされているからか、小綺麗とすら思える程だ。下にぶら下がった男根も、くすみの無い薄い肉色である。生身の男というよりも、美術品を見ているような不思議な感覚だ。
そんなことを思っていると、陰茎が少しだけ宙に浮いていることに気がついたのだった。
「困ったものです。……身体は嘘をつけないもので」
「?」
「愛しい女性を前にすると、男は自然と身体が反応してしまうのですよ」
嘘で‘‘愛しい’’と言えるだなんて、悪い人。心の中で、私はそう毒づいた。
「オルレア様? んっ……」
彼の言葉を遮るように、私は強引に唇を重ねた。甘い言葉を受けて一瞬胸がときめいたものの、すぐさま理性が「これはまやかしだ」と言ってきたからだ。現実から目を背けたくて、自然と身体は動いていたのである。
「おや、やけに今宵は甘えたでいらっしゃる」
「ふふっ、ワガママな女はお嫌い? それとも、結婚式まで取っておくべきだったかしら?」
「いえいえ、とんでもない」
一夜限りの夫婦ごっこ。それはお遊びに他ならなかったが、私は今まで感じたことのない甘やかな幸福感を感じていた。
「じゃあ、私も甘えさせてください」
「あっ、んっ……」
アドニスは、私の肌に口付けを落とし始めた。そして、いつの間にか粘つき始めていた秘所に指を滑らしたのだった。
「……っ」
昼間の出来事が頭をよぎり、私は身を硬くした。しかし、それもアドニスにはお見通しだったようだ。
「ご安心を。今宵はこちらの入り口しか触りませんので」
「……本当に?」
「ええ、神に誓って」
「そんな下品なことを神に誓うのは、お止めなさい」
「ふふ、失礼しました」
「……っ、ん、ああっ」
慣れない刺激を受けて、胎内が彼の指を締め付ける。まだ彼の存在を、身体は異物とみなしているのだ。
しかし、指が中をかき混ぜるたび、淫蜜が滲んでいくのが分かる。そして滑りが良くなったことで、指だけでは物足りないと思っている自分もいた。
「っ、そろそろ……よさそうですね」
指を引き抜いて、アドニスは言った。蜜濡れの指を舐める姿は、堪らなくいやらしい。そんな彼の姿に、私はすっかり釘付けとなっていた。
「では少し、力を抜いてください」
「あっ、あああっ!!」
私の脚を肩に担ぎ上げてから、突き刺すようにアドニスは牡茎を突き入れた。そして膜を破り、私の中に入り込んできたのだった。
「は、あっ……ああっ」
「は、オルレア様……っ」
切なげに眉を寄せながらも、アドニスが動きを止めることはない。まだ快楽にまで至ってないものの、愛しい男と身体だけでも結ばれたという幸福感を、私は感じていた。
しかし、‘‘前向き’’の体制では少しばかり都合が悪い。私は誘惑するように、アドニスの頬に触れた。
「……? オルレア様?」
「アド。この体制だと、奥にまで届かないんじゃなくて?」
アドニスにペニスを抜かせてから、私はうつ伏せになった。そして振り返って、彼にこう言ったのである。
「孕むためにも……もっと奥にいらして?」
「っ……仰せのままに」
「ひ、あああっ」
再度挿入したあと、アドニスは先程よりも激しく抜き差しを始めた。そして、子宮口に亀頭を叩きつけるような激しい感覚は、私を追い込んでいった。
「は……アド……っ、私、もう……」
「オルレア様……私もです……っ、ぐ」
「ひ、ああああっ!!」
熱い精液に射抜かれて、私はとうとう絶頂へと追いやられたのだった。
「……アド」
さようなら。
私はそのまま、思い切り舌を噛んだ。
しかし、歯が舌を噛み切るより先に、アドニスが口に指を入れてきたのだった。
「ん……うっ……!!」
「オルレア様……っ、なりません」
「ど、して……!」
必死に抵抗するものの、アドニスの指を噛むばかりで舌に歯が届かない。私はヤケになり、泣きながら叫んだ。
「どうして? 散々恥をかいて、もう十分でしょう!? 私はもう、死にたいの!!」
そこまで言うと、アドニスは私の口と鼻を塞いだ。すると催眠魔法でも使われたのか、だんだんと意識が薄らいでいった。
「ん、んんっ」
「オルレア様。貴女は死を望んでるとおっしゃいました……しかし、私は貴女に生きてほしいのです。なぜなら……」
私は貴女を、幸せにしたいのですから。
そのひと言を最後に、私は睡魔に呑まれていった。
王族としての敬称を抜きにして、アドニスは私の名を呼んだ。たったそれだけで、まるで恋人同士になったみたい、と嬉しく思ってしまう。そんな下らないことで幸福感を感じられるのだから、自分は大概おめでたい人間だと思う。
「……んっ」
互いに生まれたままの姿となり、私たちは抱き合っていた。アドニスの肌はまったくカサついておらず、とても柔らかい。素肌同士の触れ合いは気持ち良いものの、少しばかり擽ったく感じられたのだった。
「身体、こそばゆいですか?」
「ん……少しだけ」
「ふふ、私もです」
照れたような笑みを浮かべて、アドニスは少しだけ身体を離した。すると、自然と彼の裸体に目がいってしまうのだった。
「包み隠すものなど、何もございませんので……全部、余すことなく見てください」
私の視線に気づいたのか、アドニスはそう言ったのだった。
アドニスの身体は、均整のとれた身体つきという言葉がぴったりであった。
広い肩幅と、絞られたウエスト。そして薄らと割れた腹筋は、男らしさを感じるが野蛮という言葉とは遠く離れている。下半身も、陰毛が薄くよく手入れされているからか、小綺麗とすら思える程だ。下にぶら下がった男根も、くすみの無い薄い肉色である。生身の男というよりも、美術品を見ているような不思議な感覚だ。
そんなことを思っていると、陰茎が少しだけ宙に浮いていることに気がついたのだった。
「困ったものです。……身体は嘘をつけないもので」
「?」
「愛しい女性を前にすると、男は自然と身体が反応してしまうのですよ」
嘘で‘‘愛しい’’と言えるだなんて、悪い人。心の中で、私はそう毒づいた。
「オルレア様? んっ……」
彼の言葉を遮るように、私は強引に唇を重ねた。甘い言葉を受けて一瞬胸がときめいたものの、すぐさま理性が「これはまやかしだ」と言ってきたからだ。現実から目を背けたくて、自然と身体は動いていたのである。
「おや、やけに今宵は甘えたでいらっしゃる」
「ふふっ、ワガママな女はお嫌い? それとも、結婚式まで取っておくべきだったかしら?」
「いえいえ、とんでもない」
一夜限りの夫婦ごっこ。それはお遊びに他ならなかったが、私は今まで感じたことのない甘やかな幸福感を感じていた。
「じゃあ、私も甘えさせてください」
「あっ、んっ……」
アドニスは、私の肌に口付けを落とし始めた。そして、いつの間にか粘つき始めていた秘所に指を滑らしたのだった。
「……っ」
昼間の出来事が頭をよぎり、私は身を硬くした。しかし、それもアドニスにはお見通しだったようだ。
「ご安心を。今宵はこちらの入り口しか触りませんので」
「……本当に?」
「ええ、神に誓って」
「そんな下品なことを神に誓うのは、お止めなさい」
「ふふ、失礼しました」
「……っ、ん、ああっ」
慣れない刺激を受けて、胎内が彼の指を締め付ける。まだ彼の存在を、身体は異物とみなしているのだ。
しかし、指が中をかき混ぜるたび、淫蜜が滲んでいくのが分かる。そして滑りが良くなったことで、指だけでは物足りないと思っている自分もいた。
「っ、そろそろ……よさそうですね」
指を引き抜いて、アドニスは言った。蜜濡れの指を舐める姿は、堪らなくいやらしい。そんな彼の姿に、私はすっかり釘付けとなっていた。
「では少し、力を抜いてください」
「あっ、あああっ!!」
私の脚を肩に担ぎ上げてから、突き刺すようにアドニスは牡茎を突き入れた。そして膜を破り、私の中に入り込んできたのだった。
「は、あっ……ああっ」
「は、オルレア様……っ」
切なげに眉を寄せながらも、アドニスが動きを止めることはない。まだ快楽にまで至ってないものの、愛しい男と身体だけでも結ばれたという幸福感を、私は感じていた。
しかし、‘‘前向き’’の体制では少しばかり都合が悪い。私は誘惑するように、アドニスの頬に触れた。
「……? オルレア様?」
「アド。この体制だと、奥にまで届かないんじゃなくて?」
アドニスにペニスを抜かせてから、私はうつ伏せになった。そして振り返って、彼にこう言ったのである。
「孕むためにも……もっと奥にいらして?」
「っ……仰せのままに」
「ひ、あああっ」
再度挿入したあと、アドニスは先程よりも激しく抜き差しを始めた。そして、子宮口に亀頭を叩きつけるような激しい感覚は、私を追い込んでいった。
「は……アド……っ、私、もう……」
「オルレア様……私もです……っ、ぐ」
「ひ、ああああっ!!」
熱い精液に射抜かれて、私はとうとう絶頂へと追いやられたのだった。
「……アド」
さようなら。
私はそのまま、思い切り舌を噛んだ。
しかし、歯が舌を噛み切るより先に、アドニスが口に指を入れてきたのだった。
「ん……うっ……!!」
「オルレア様……っ、なりません」
「ど、して……!」
必死に抵抗するものの、アドニスの指を噛むばかりで舌に歯が届かない。私はヤケになり、泣きながら叫んだ。
「どうして? 散々恥をかいて、もう十分でしょう!? 私はもう、死にたいの!!」
そこまで言うと、アドニスは私の口と鼻を塞いだ。すると催眠魔法でも使われたのか、だんだんと意識が薄らいでいった。
「ん、んんっ」
「オルレア様。貴女は死を望んでるとおっしゃいました……しかし、私は貴女に生きてほしいのです。なぜなら……」
私は貴女を、幸せにしたいのですから。
そのひと言を最後に、私は睡魔に呑まれていった。
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