あの時の気持ち

スナイパー

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告白(胸の鼓動)

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 颯人は俺の好きな人を知っていた。あの後、なんで俺が里菜のこと好きって知ってたの?って聞いてみた。颯人は見てればわかるよと言ってきた。その時恋愛小説みたいだなと思い、告白する勇気が出た。
「そんなにわかりやすかったかな?」と呟くと
「なーにーが?」
「わぁ!!」
 俺が好きな里菜がいきなり話しかけてきたので驚いて思わず声が出てしまった。
…お前が原因なんだよ
「なんでもねぇよ」
「ホントにかな?」
「ホントだよ!」
…てか、今里菜のこと好きって言ったら微妙な雰囲気になるだろうが
「そっか、それよりさぁ…」
 里菜はあらたまっていた。
「うん、なに?」
「日曜空いてる?」
「日曜…?」
 なぜ日曜空いてる?と聞いてきたのかそれを頭の中でずっと何回も何回も考えていた。
「あ!えーと!観たい映画あるんだけど一緒に行かない?」
 俺は今とても気持ちが高ぶっていて頭が真っ白で声が出なかった。
「そ、う、だよね…いきなり無理だよね…」
「いや、無理じゃないけど、てか逆に暇だったからちょうど良かった。」
「ありがとう!!」
 里菜はスゴく嬉しそうに頷いた。少し顔が赤くなっているのは夏の日差しが強いせいだろうか
「うん、なんの映画観るの?」
あの時の気持ちっていう映画なんだけど、知ってる?」
「あー!!もちろん!てかそれ、俺も超観たかった!!」
 この映画は今もっとも日本で売れている映画だ。だから俺も気になっていた。
「ホントに!?なら良かった!」
「おう!」
「待ち合わせの場所なんだけど…」

 待ち合わせの場所は駅前のカフェで九時に集合となった。
 ヤバい!!待ち合わせの時間よりも一時間早く来てしまった…
 俺は遠足にわくわくしてる小学生かよ…
「とりあえずベンチに座るか」
 俺がベンチに座ろうとした瞬間だった。俺の目の前に衝撃が飛び込んできた。
 なぜなら…俺の目の前のベンチに里菜が座っていたからである。
「里菜?」
「クロ?なんでいるの?」
「え…あーその…楽しみにしすぎて早く来ちゃった。あははは…」
 ヤバい!今絶対コイツどんだけ楽しみにしてんだよ気持ち悪いとか思われたんだろうな。
「実は私もね…楽しみにしすぎて早く来ちゃったんだ。」
 おー!マジかよ!もしかしたらワンチャンあんじゃね?
「俺たち遠足を楽しみにして早く来ちゃった小学生みたいだね」
「ホントそうだね」
 彼女は嬉しそうに笑ってみせた。
「じゃあ、これからどうしようか?カフェもまだ開いてないしな」
「う~ん、あ!」
 急に里菜が声を上げたので少し驚いた。
「どうした?」
「あそこならやってるかも!」
 あそこ?ってどこ?
「どこに行くんだ?」
「いいから いいから」
 そう言って彼女は俺の手を握って走り出した。
「おい!里菜!走らなくてもよくね?」
「走りたい気分なの!」
 そう言った彼女の顔は赤くなっていた。走っているからであろうか。
 そして数分後、俺たちはある店の前に着いた。
「本屋?」
「うん!ここいつも来ているの!」
 こんなところに本屋あったのか。
「でも、やってるのか?こんな時間に?」
「もちろん!やってるよ!だって登校中たまに寄ってるし」
 スゴく熱く語るな。本好きだったのか。
「里菜って本好きだったんだ、初めて知った」
「えー!ひどいよ!朝いつも読んでるじゃん!」
「そうだっけ?ごめんごめん」
 里菜の顔が少し膨れた。
「この店ね二階建てになってるんだけど、上がねカフェみたいになっているの」
「なるほど、買った本をそのまますぐに読めるということか」
「そういうこと!」
 ここで彼女と楽しい楽しい雑談を交えた。あっという間に時間が過ぎて映画に行く時間になった。
「そろそろ時間だな行こうぜ」
「そうだね」

「里菜、今から観る映画ってどういう系のものなの?」
「ラブコメ要素とギャグ要素かな?あ、そうだ!感動も入ってた!」
 結構知ってるな~映画一回観たのかな?
「詳しいな」
「え?だってその…原作小説のファンだから…」
 なるほど。本が好きな里菜からすればそりぁな。
「そっかー、もともとこの作品って小説が始まりだったんだー」
「そうなんだよ!、それでねストーリー展開なんだけどね…」
「ネタバレはしないでね」
 そう言って俺は笑った。
 そして映画は始まった。

「ヤバい!スゴく面白かったな!里菜!」
「うん!特に主人公があの場面で告れるところがスゴかった!」
 その後は、近くの定食屋で飯を食べて解散ということになった。

「クロ!」
「おう!颯人!」
「昨日デートどうだった?」
 なんで知ってんだよ…
「デートじゃねぇよ、でも楽しかったよ」
「いつ告るの?」
 お前もうちょっと言い方考えてみたらどうだ…
「実はな、今日告ろうと思う!」
「おー!頑張れよ!応援してるからな!」
 颯人はスゴく嬉しそうだった。
「うん、頑張る」
「今から緊張すんなよ、力抜いてこうぜ」
「ふぅ~、はぁ~、ヤバい胸がドキドキする」
 なんでだ俺!まだ、告る前だろ!しっかりしろ俺!
「安心しろ、お前がどうなろうが俺はお前と一生親友だ!たとえ離れたとしてもな!」
「颯人…」
 俺は頬から熱い何かが流れ落ちていく感覚がした。
「バカ!お前泣くなよ」
「泣いてねぇよ、てかお前も泣いてんじゃん」
 俺は今泣いてたのかよ!
 結局この後しばらく男二人泣いていた。やっと二人が泣き止んだ時に
「大丈夫だ!クロ!お前なら!」
 授業中何度も何度も頭の中で今日の颯人ととのやり取りが流れた。

 そして、授業が終わって放課後…
 俺は今、幼馴染の里菜に告白しようとしている。
「里菜…ちょっといいか?」
「え?何?どうしたの?」
 俺は里菜を連れて写真部がある部室まで行った。その道中二人無言だった。
 部室に着くと
「クロ~何の用なの?」
 そう聞かれて俺は一回鼻で空気をすって大きく息を吐いた。今日の俺はいつもと違ういつもと違う…と何回も何回も自分に言い聞かせた。
「里菜ッ!」
 緊張のあまりかなり大きな声で名前を呼んでしまった。
「何?も~あらたまってどうしたのよ~」
 里菜の表情はニコニコしている。
「俺、里菜のことが好きだ!」
 ニコニコしてた表情が一瞬で変わった。
「友達としてだよね?うちも好きだよ?」
 困った顔で里菜は返した。
「違う!友達としてじゃなくて、俺の彼女になってくれ!」
 里菜の顔が一気に赤くなった。
 そして、俺が告白してから、十分程経ったくらいだろうか。

















「ごめん!…」
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