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2巻
2-2
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「あの男……ブランドンにノエルの情報を流したフェリガンってヤツのことですよね?」
「おそらく、な。正体不明の男で未だに素性が明らかになってない――ただ、俺が問題視しているのはそこではなくて、『すべてを奪いに来る』という点だ」
あの場では苦し紛れの負け惜しみにしか聞こえなかったが、こうなってくると不気味さを感じてしまう。
ゴクッと颯太は唾を呑んだ。
鬼気迫る様子のジェイクは、ひとつの仮説を口にする。
「ひょっとすると、竜人族をはじめとするドラゴンたちの一部は、すでにフェリガンという男を介して魔物と手を組み……人間を滅ぼすつもりなのかもしれない」
「に、人間を?」
あまりにも突飛な話に、颯太は思わず声が裏返った。
「飛躍しすぎだと思うだろうが、可能性はゼロではないと俺は睨んでいる――ここだけの話、ブロドリック大臣もな。何せ、短期間での連続失踪は過去に例を見ない事態だ。こちらの想像の遥か上の答えが潜んでいたとしてもおかしくはない」
たしかにゼロではないかもしれないが、可能性は限りなく低いだろうというのが颯太の率直な感想だった。
それはソラン王国での経験から言えることだ。
ソラン王国の戦闘に参加したドラゴンたちは皆、ハルヴァを守るために戦っていた。背中に乗せた竜騎士たちを信頼し、数量で勝るブランドン軍を撤退寸前にまで追い込んだのである。
「ドラゴンが単発でいなくなる事案は過去にもいくつかあったが、大体はただの脱走だったし、多くは自分で戻ってきた。しかし、今回の同時多発的に発生した失踪事件は……ソランでの一件も含めてキナ臭い感じがしてな」
「そうですか……」
ブランドンにノエルの情報を与えたフェリガンという謎の男。
今起きているドラゴン失踪事件の鍵は、その男にありそうだとジェイクは睨んでいる。それには一理あると颯太も考え直した。
「我々竜騎士団は現在、このフェリガンという男の素性と居場所を調べているが、まだこれといった手がかりは掴めていない」
「なんだか不気味ですね……」
「まったくだ……それで、今度は俺からお願いがある」
ジェイクの言葉を聞いて、颯太はそれがドラゴン絡みの依頼ではないかと予想した。竜の言霊を持ち、ドラゴンと会話ができる颯太は、ハルヴァの切り札ともいうべき存在だ。
「今回の連続ドラゴン失踪事件……君にも調査に力を貸してもらいたい」
「もちろん。俺でよければ協力を惜しみませんよ」
ジェイクが頭を下げると、颯太は即答した。
先日起きたソランでの事件は竜の言霊の力のおかげで解決でき、おまけにノエルバッツをハルヴァへ引き入れることができた。今起きている連続ドラゴン失踪事件についても、きっと自分は役に立てるだろうと考えたのである。
颯太の返答を聞いて、顔をほころばせるジェイク。
「助かるよ。こちらの見立て通りフェリガンという男が事件に一枚噛んでいるとすれば、向こうの戦力にもドラゴンがいる可能性もあるからな」
颯太の協力を得られて安心したようだ。
その時、ふと気になったことを颯太はたずねる。
「そういえばうちはなんの被害もありませんでしたが、他に無事な牧場はあるんですか?」
「被害が確認されていないのはマーズナーとリンスウッドのふたつだ……まあ、リンスウッドに今いる竜はイリウスを除くと竜人族二匹だけだし、ドラゴンの数が多いマーズナーは常時厳戒態勢だから、侵入しづらいというのもあるのだろうが」
「マーズナー……」
ジェイクの口からマーズナー・ファームの名が出た時、颯太はソラン王国でハドリーから聞かされた一言を思い出した。
『マーズナーには気をつけろ』
オーナーであるミラルダ・マーズナーはかなり癖のある人物だったと聞いている。現在は一線を退いて後継者にオーナーの座を譲ったそうだが、そのような男が後継ぎに選んだ人物となると、相当手強そうだ。
サラリーマン時代も、厄介な取引相手とは何度もやり合ってきた。理不尽な要求に苦しみ、何度も何度も関係者に頭を下げた。
苦い過去の記憶を思い出し、表情が暗くなる颯太。
彼の異変を察知して、ジェイクは眉をひそめてたずねた。
「どうかしたか?」
颯太は慌てて嫌な思い出を振り払い、前オーナーについての詳細な情報を聞く。
「ジェイクさん……ミラルダ・マーズナーはどのような人物なんですか?」
「ミラルダ――おまえもあの男の名前くらいは知っていたか」
颯太の質問を受け、ジェイクはゆっくりと語り始める。
「もともとはハルヴァでも指折りの豪商だった男だ……もっとも、商売の中身はお世辞にもクリーンとは呼べなかったが」
「かなり悪どい人物なんですね」
「悪どいというか……異端児って表現がしっくり来るわな、あの人は」
頭をボリボリとかきながら、ジェイクはため息交じりで言葉を続ける。
「ともかく、ミラルダはその後、商人時代に貯め込んだ私財を投入して牧場経営に参入した。奴がマーズナー・ファームを開いたからこそ、今日のハルヴァ竜騎士団があるともいえる」
「と、言うと?」
「以前は国内にもっと多くのドラゴン育成牧場があったんだ。しかし……ミラルダは豊富な資金力を武器に事業を拡大していき、その結果、大半が廃業に追い込まれていった」
「は、廃業……」
ミラルダはオーナーとしても、相当な手腕の持ち主だったらしい。
「違法スレスレで危ういところもあったが、奴が仕切るようになってからドラゴンの数とクオリティが向上したというのもまた事実。正直、あいつのやり方は好かないが、お偉いさん方からの評価は低くなかったんだ」
そう語るジェイクの顔は冴えなかった。
「実は……そのマーズナー・ファームから、リンスウッド・ファームへある提案がされている」
「ある提案?」
「うむ。それは――リンスウッド・ファームの人間とドラゴンをマーズナー・ファームへ一時的に避難させるというものだ」
「避難……ですか」
それはつまり、今後狙われるかもしれないリンスウッド・ファームを助けるということ。マーズナー側の狙いが読めない。
颯太が困惑していると、ジェイクはさらに言葉を続ける。
「今朝、向こうの新オーナーが城へやってきてそう提案したんだ。事後報告になって申し訳ないが、ブロドリック大臣がこれを了承したため、マーズナーの人間が夕方にリンスウッド・ファームを訪ねることになっている」
「え? うちへ?」
「そうだ……竜騎士団としても、リンスウッドとマーズナーにそれぞれ戦力を割くより、数の少ないリンスウッドの面々がマーズナーに避難してくれたら何かあった際に守りやすい。戦力を集中させることができるからな」
それについては頷けた。
標的を分散させるのではなく、一点に集めた方が充実した戦力で確実に守ることができるだろう。
そのため、提案について文句はない。
颯太がマーズナーのオーナーの立場であったとしても、同じような提案をしたはずだ。
「前任のミラルダ・マーズナーも一筋縄ではいかない人物だったが、新しいオーナーについてはまだまだ未知数でどんな人間なのか……俺も関係者として今朝直接会ったが、人物像を掴みかねている……と、忘れるところだった。おまえにこいつを渡しておかないと」
鋭い眼光でそう言って、ジェイクは懐から何かを取り出す。見たところ封筒のようだ。
「それは?」
「おまえ宛ての招待状だ。三週間後にここハルヴァ城で行われる舞踏会の、な」
「舞踏会……あ」
すっかり忘れていた。
ソラン王国で一緒に戦ったエレーヌが、別れ際にそのようなイベントがあると言っていた。エレーヌ自身も、新生ソラン王国の女王として参加するらしい。
招待状の入った封筒を受け取った颯太だが、内心では少し戸惑っていた。
エレーヌや仲間のブリギッテはソランでの活躍から参加する資格があると言ってくれたが、まだまだ駆け出しである自分は場違いではないかという思いがある。
颯太の気持ちを見抜いたのか、ジェイクはやれやれといった調子で口を開いた。
「まあ、そう気負うなよ。おまえの舞踏会参加には俺やハドリーだけじゃなく、ブロドリック大臣も賛成しているんだぜ?」
そのまま椅子から立ち上がり、顔を強張らせた颯太の肩を叩いて激励する。
「あ、ありがとうございます」
「礼なんていらねぇさ……さて、とりあえず俺の話はここまでだ。あとはマーズナーの新しいオーナーと打ち合わせをしてくれ。あっちも舞踏会に参加するみたいだから、いろいろ話を聞いてみるのもいいかもな」
「わかりました」
激励を受けて少し気分が軽くなった颯太はそう返事をする。
颯太の変化はジェイクにも伝わったらしく、彼はフッと笑みを漏らした。
「……少しは肩の力が抜けたようだな。それでいいんだよ。城門の前に馬車を待機させてあるんで、それに乗って牧場へ戻るといい。あと、失踪事件に関しては、おまえの力が必要だと思った時に声をかけるからそのつもりでいてくれ」
「はい」
ジェイクの心遣いに感謝しつつ、颯太はマーズナー・ファームの新オーナーとの初顔合わせに向けて気を引き締めるのだった。
◆ ◆ ◆
颯太は城門前に待機していた豪華な馬車へ乗り込み、王都の中央通りを通過してリンスウッド・ファームへの帰路を順調に進んでいたのだが、到着寸前で馬車が停まってしまった。
「どうかしましたか?」
たずねられた御者は、困ったように首を捻って答える。
「それが……牧場の前にすでに別の馬車が停まっていて」
「馬車が?」
颯太は窓から外の様子を窺う。
たしかに、リンスウッド・ファームの正門の前には見知らぬ馬車が停まっていた。颯太がハルヴァ城から乗ってきた馬車にも引けを取らないほどの立派さだ。
一体どこの馬車だろうと疑問に思っていると、御者が驚くべき事実を口にした。
「見覚えがあると思ったら……あれはマーズナー家が所有している馬車ですね」
「え!」
現在時刻は昼過ぎ。
ジェイクは夕方に訪れると言っていたが、どうやらすでにマーズナーの関係者はリンスウッド・ファームに到着していたようだ。
「こうしちゃいられない! ここまでで大丈夫です! ありがとうございました!」
国内最大手であり、業界の先輩でもあるマーズナーのオーナーを待たせるわけにはいかない。
颯太は馬車から飛び下りて全力疾走。
マーズナーの馬車に駆け寄ると、牧場の正面口に関係者と思われる人物が五人立っているのが見える。
その中でも一際目立つのが、ライトブラウンの髪をした女性だ。
遠目にも、その女性だけ明らかに周りの人々とは纏うオーラが違う。
颯太が大慌てで近づくと、五人の視線が一斉に颯太へ向けられる。全員が若い女性だった。
「あら? どちら様?」
腕を組んで真ん中に立っている、別格のオーラを放つ女性が最初にそう言った。
聞き惚れてしまうほどの美しい声。近くで見ると、まだ顔立ちには幼さが残っている。成人女性だと思っていたが、年齢はキャロルよりひとつかふたつほど上くらいか。
特徴的な縦ロールに切れ長の目。素人目でも高価であるとわかる美しい装飾が施されたドレス調の服を身につけている。周りにいる四人は服装からして、この少女に仕えるメイドのようだ。
「え、えっと……マーズナー・ファームの方ですよね?」
颯太がたずねると、縦ロールの少女は少し間を置いてから口を開く。
「……もしかして、あなたがここの新しいオーナーさん?」
「は、はい。高峰颯太と申します」
「そうでしたのね。申し遅れましたが、わたくしはマーズナー・ファームの新しいオーナーとなりました、アンジェリカ・マーズナーと申します」
「ま、マーズナーのオーナー……!」
心のどこかでもしかしたらそうではないかと予想はしていたが、こうしてハッキリと告げられてもすぐには実感が湧かなかった。
性格に難があったとはいえ、敏腕だったというマーズナーの前オーナーがこんなに若い少女を後継ぎに選んだとは。リンスウッドの場合は、キャロルが若すぎるという理由で颯太がオーナーを任されているというのに。
それと、もうひとつ気になる点があった。
「マーズナーということは……あなたはミラルダ・マーズナーの――」
「娘ですわ」
案の定、アンジェリカは前オーナーであるミラルダの娘だった。
たしかに、アンジェリカの服装や言葉遣いはいかにも「お嬢様」という感じがする。若くして牧場の代表者となったみたいだが、同じ年頃のキャロルとは事情が異なっていそうだ。
アンジェリカは呆然としている颯太を無視し、まるで品定めでもするかのように颯太の全身を見回す。それが終わると、今度は「なるほど」とつぶやいて目を閉じ、何かを考え始めた。
一連の行動理由がわからず困惑する颯太に構わず、少女は目を開いて話しだした。
「随分と面白い能力をお持ちのようですわね。なんでも、ドラゴンと会話ができるのだとか」
「え? ……あ、ああ、竜の言霊のことですね」
「短期間で二匹の竜人族をリンスウッド・ファームに加えた……同業者からすれば強大なライバルの登場に焦りを隠せませんわ」
「そ、そんな……自分なんてまだまだ青二才ですよ」
大きく年が離れているとはいえ、相手は自分よりも遥か格上の存在だ。新米オーナーという点では同じだが、牧場としての規模は圧倒的にマーズナーの方が大きいのだから。そのため年下であっても、颯太は自然とアンジェリカに対して敬語を使っていた。
しかし、当のアンジェリカは颯太の口調が気に入らないみたいで、注文をつけてくる。
「そのようにかしこまらなくても結構ですわ。普段と同じようにお話しなさい」
「は、はあ……わかり……わかった」
どうやら彼女は特別扱いが嫌らしい。
その時、牧場から一匹の竜が近づいてくるのが目に入る。リンスウッド・ファームのドラゴン、イリウスだ。背中には人間の姿に変身している竜人族のメアとノエルが乗っている。三匹で敷地内を散歩していたのだろうか。
まず、イリウスが声をかけてくる。
「よお、帰ったか……ん? もしかして……マーズナーのお嬢ちゃんか?」
続いて、颯太を発見してメアとノエルがイリウスの背中から飛び下りた。
「待っていたぞ、ソータ! さあ、我らと遊ぼう!」
「あ、で、でも、お客さんみたいですよ?」
二匹はててて、と颯太の方へ駆け寄ってきたが、アンジェリカを視界に捉えると急ブレーキ。
「どうした?」
颯太が首を傾げていると、メアとノエルはアンジェリカを避けるように大回りして颯太の背後に身を隠してしまう。
「お、おい、どうしたんだよ。ほら、あいさつくらいしろって」
ズボンを掴んで放さない二匹に困り果てる颯太。アンジェリカが愛想よく「こんにちは」とあいさつをしても、顔を隠して断固無視。
「す、すまない。いつもはここまで聞きわけがない子たちじゃないんだ」
「構いませんわ。ドラゴンだって、人見知りくらいしますもの」
さすがは大手マーズナー・ファームの後継者、これくらいでは動じないか、と颯太は感心する。
颯太から離れようとしない二匹の様子を見て、イリウスはニヤニヤしながら「まるで初めて父親の再婚相手を見る娘たちって構図だな」と茶化して竜舎に帰っていった。
「あ、そうですわ。ちょっと待っていてくださいまし」
突然アンジェリカは馬車に引っ込んで中から何かを取ってきて、メアたちに差し出した。
「これはお近づきの印ですわ」
彼女の小さな掌の上にあったのは、綺麗な包み紙に入った飴玉であった。
「お口に合うかどうかわかりませんが……甘くておいしいですよ?」
「「っ!」」
甘くておいしい――その言葉を耳にして目を輝かせて飛びつこうとしたメアとノエルだったが、ピタッと動きを止める。まるでシンクロしているようにまったく同じタイミングだった。
どうしたのかと眺めていたら、二匹はジッと颯太を見つめだした。どうやら颯太の了承なしにもらってはいけないと思ったらしい。
「ありがたくもらっておけ」
颯太が言うと、メアたちは飴を受け取っておずおずとアンジェリカにお辞儀をした。
「どういたしまして」
しなやかな動作と穏やかな微笑みでそのお辞儀に応えるアンジェリカ。
メアとノエルは飴を口に入れると、感激したように顔をほころばせ、竜舎のある方向へ駆け出す。先に竜舎に戻ったイリウスに自慢しに行くみたいだ。
アンジェリカは二匹の後ろ姿を眺めながら、颯太に声をかける。
「よい信頼関係を築けているようですね」
「まあ、あいつらは素直でいい子だから、手がかからなくて助かっているよ。まあ、これも竜の言霊のおかげなんだけど」
「ご謙遜を。たとえ竜の言霊があろうと、短期間で竜人族の信頼を得たのはあなたの努力の賜物。ブロドリック大臣からも活躍ぶりを聞きましたが、ソラン王国の一件も含め、誰にでもできることではありませんわ」
柔和な笑みを浮かべ、アンジェリカが言った。その笑顔は、年相応の少女らしいものだった。
なんだか、想像していた人物像とかけ離れている気がする。
ハドリーやジェイクの言葉から、ミラルダ・マーズナーという人間はかなりの偏屈者であると思っていて、後継者であるアンジェリカも相当な曲者だろうと颯太は警戒していた。
しかし、実際に会ってみるとその印象は真逆。
無邪気なメアたちを見て笑みを浮かべ、ライバルである颯太の能力を認め、彼の功績を称えた。
緊張が解けた颯太は、素直に礼を述べる。
「ありがとう。天下のマーズナー・ファームのオーナーにそう言ってもらえるのは光栄だよ」
「どういたしまして……でも、安心しましたわ。あの様子なら、うちの竜人族の子とも仲良くやっていけそうですわね」
アンジェリカの口から出た「うちの竜人族」という言葉。
以前よりハルヴァに味方しているという竜人族は、マーズナーの所属らしい。
その竜人族も、メアたちと同じく特殊な力を持っているはず。
颯太がマーズナーの竜人族についてもっと聞こうとした時、キャロルがやってきた。
「あ、おかえりなさい、ソータさ……ん……」
キャロルは颯太を見つけて笑顔になったが、その直後にアンジェリカを発見して目を見開き、これまでに聞いたことのないボリュームで叫んだ。
「アンジェリカお姉ちゃん!」
「ちゃんと名前を覚えていてくれたのね――キャロル。何年振りかしら」
「……八年振りです」
アンジェリカとキャロル。
こうして見ると、やはりわずかにアンジェリカの方が年上のようだ。が、久しぶりに会ったせいか、二人の間に流れる空気はどことなくぎこちない。
颯太は不思議に思ってこっそりアンジェリカにたずねた。
「おそらく、な。正体不明の男で未だに素性が明らかになってない――ただ、俺が問題視しているのはそこではなくて、『すべてを奪いに来る』という点だ」
あの場では苦し紛れの負け惜しみにしか聞こえなかったが、こうなってくると不気味さを感じてしまう。
ゴクッと颯太は唾を呑んだ。
鬼気迫る様子のジェイクは、ひとつの仮説を口にする。
「ひょっとすると、竜人族をはじめとするドラゴンたちの一部は、すでにフェリガンという男を介して魔物と手を組み……人間を滅ぼすつもりなのかもしれない」
「に、人間を?」
あまりにも突飛な話に、颯太は思わず声が裏返った。
「飛躍しすぎだと思うだろうが、可能性はゼロではないと俺は睨んでいる――ここだけの話、ブロドリック大臣もな。何せ、短期間での連続失踪は過去に例を見ない事態だ。こちらの想像の遥か上の答えが潜んでいたとしてもおかしくはない」
たしかにゼロではないかもしれないが、可能性は限りなく低いだろうというのが颯太の率直な感想だった。
それはソラン王国での経験から言えることだ。
ソラン王国の戦闘に参加したドラゴンたちは皆、ハルヴァを守るために戦っていた。背中に乗せた竜騎士たちを信頼し、数量で勝るブランドン軍を撤退寸前にまで追い込んだのである。
「ドラゴンが単発でいなくなる事案は過去にもいくつかあったが、大体はただの脱走だったし、多くは自分で戻ってきた。しかし、今回の同時多発的に発生した失踪事件は……ソランでの一件も含めてキナ臭い感じがしてな」
「そうですか……」
ブランドンにノエルの情報を与えたフェリガンという謎の男。
今起きているドラゴン失踪事件の鍵は、その男にありそうだとジェイクは睨んでいる。それには一理あると颯太も考え直した。
「我々竜騎士団は現在、このフェリガンという男の素性と居場所を調べているが、まだこれといった手がかりは掴めていない」
「なんだか不気味ですね……」
「まったくだ……それで、今度は俺からお願いがある」
ジェイクの言葉を聞いて、颯太はそれがドラゴン絡みの依頼ではないかと予想した。竜の言霊を持ち、ドラゴンと会話ができる颯太は、ハルヴァの切り札ともいうべき存在だ。
「今回の連続ドラゴン失踪事件……君にも調査に力を貸してもらいたい」
「もちろん。俺でよければ協力を惜しみませんよ」
ジェイクが頭を下げると、颯太は即答した。
先日起きたソランでの事件は竜の言霊の力のおかげで解決でき、おまけにノエルバッツをハルヴァへ引き入れることができた。今起きている連続ドラゴン失踪事件についても、きっと自分は役に立てるだろうと考えたのである。
颯太の返答を聞いて、顔をほころばせるジェイク。
「助かるよ。こちらの見立て通りフェリガンという男が事件に一枚噛んでいるとすれば、向こうの戦力にもドラゴンがいる可能性もあるからな」
颯太の協力を得られて安心したようだ。
その時、ふと気になったことを颯太はたずねる。
「そういえばうちはなんの被害もありませんでしたが、他に無事な牧場はあるんですか?」
「被害が確認されていないのはマーズナーとリンスウッドのふたつだ……まあ、リンスウッドに今いる竜はイリウスを除くと竜人族二匹だけだし、ドラゴンの数が多いマーズナーは常時厳戒態勢だから、侵入しづらいというのもあるのだろうが」
「マーズナー……」
ジェイクの口からマーズナー・ファームの名が出た時、颯太はソラン王国でハドリーから聞かされた一言を思い出した。
『マーズナーには気をつけろ』
オーナーであるミラルダ・マーズナーはかなり癖のある人物だったと聞いている。現在は一線を退いて後継者にオーナーの座を譲ったそうだが、そのような男が後継ぎに選んだ人物となると、相当手強そうだ。
サラリーマン時代も、厄介な取引相手とは何度もやり合ってきた。理不尽な要求に苦しみ、何度も何度も関係者に頭を下げた。
苦い過去の記憶を思い出し、表情が暗くなる颯太。
彼の異変を察知して、ジェイクは眉をひそめてたずねた。
「どうかしたか?」
颯太は慌てて嫌な思い出を振り払い、前オーナーについての詳細な情報を聞く。
「ジェイクさん……ミラルダ・マーズナーはどのような人物なんですか?」
「ミラルダ――おまえもあの男の名前くらいは知っていたか」
颯太の質問を受け、ジェイクはゆっくりと語り始める。
「もともとはハルヴァでも指折りの豪商だった男だ……もっとも、商売の中身はお世辞にもクリーンとは呼べなかったが」
「かなり悪どい人物なんですね」
「悪どいというか……異端児って表現がしっくり来るわな、あの人は」
頭をボリボリとかきながら、ジェイクはため息交じりで言葉を続ける。
「ともかく、ミラルダはその後、商人時代に貯め込んだ私財を投入して牧場経営に参入した。奴がマーズナー・ファームを開いたからこそ、今日のハルヴァ竜騎士団があるともいえる」
「と、言うと?」
「以前は国内にもっと多くのドラゴン育成牧場があったんだ。しかし……ミラルダは豊富な資金力を武器に事業を拡大していき、その結果、大半が廃業に追い込まれていった」
「は、廃業……」
ミラルダはオーナーとしても、相当な手腕の持ち主だったらしい。
「違法スレスレで危ういところもあったが、奴が仕切るようになってからドラゴンの数とクオリティが向上したというのもまた事実。正直、あいつのやり方は好かないが、お偉いさん方からの評価は低くなかったんだ」
そう語るジェイクの顔は冴えなかった。
「実は……そのマーズナー・ファームから、リンスウッド・ファームへある提案がされている」
「ある提案?」
「うむ。それは――リンスウッド・ファームの人間とドラゴンをマーズナー・ファームへ一時的に避難させるというものだ」
「避難……ですか」
それはつまり、今後狙われるかもしれないリンスウッド・ファームを助けるということ。マーズナー側の狙いが読めない。
颯太が困惑していると、ジェイクはさらに言葉を続ける。
「今朝、向こうの新オーナーが城へやってきてそう提案したんだ。事後報告になって申し訳ないが、ブロドリック大臣がこれを了承したため、マーズナーの人間が夕方にリンスウッド・ファームを訪ねることになっている」
「え? うちへ?」
「そうだ……竜騎士団としても、リンスウッドとマーズナーにそれぞれ戦力を割くより、数の少ないリンスウッドの面々がマーズナーに避難してくれたら何かあった際に守りやすい。戦力を集中させることができるからな」
それについては頷けた。
標的を分散させるのではなく、一点に集めた方が充実した戦力で確実に守ることができるだろう。
そのため、提案について文句はない。
颯太がマーズナーのオーナーの立場であったとしても、同じような提案をしたはずだ。
「前任のミラルダ・マーズナーも一筋縄ではいかない人物だったが、新しいオーナーについてはまだまだ未知数でどんな人間なのか……俺も関係者として今朝直接会ったが、人物像を掴みかねている……と、忘れるところだった。おまえにこいつを渡しておかないと」
鋭い眼光でそう言って、ジェイクは懐から何かを取り出す。見たところ封筒のようだ。
「それは?」
「おまえ宛ての招待状だ。三週間後にここハルヴァ城で行われる舞踏会の、な」
「舞踏会……あ」
すっかり忘れていた。
ソラン王国で一緒に戦ったエレーヌが、別れ際にそのようなイベントがあると言っていた。エレーヌ自身も、新生ソラン王国の女王として参加するらしい。
招待状の入った封筒を受け取った颯太だが、内心では少し戸惑っていた。
エレーヌや仲間のブリギッテはソランでの活躍から参加する資格があると言ってくれたが、まだまだ駆け出しである自分は場違いではないかという思いがある。
颯太の気持ちを見抜いたのか、ジェイクはやれやれといった調子で口を開いた。
「まあ、そう気負うなよ。おまえの舞踏会参加には俺やハドリーだけじゃなく、ブロドリック大臣も賛成しているんだぜ?」
そのまま椅子から立ち上がり、顔を強張らせた颯太の肩を叩いて激励する。
「あ、ありがとうございます」
「礼なんていらねぇさ……さて、とりあえず俺の話はここまでだ。あとはマーズナーの新しいオーナーと打ち合わせをしてくれ。あっちも舞踏会に参加するみたいだから、いろいろ話を聞いてみるのもいいかもな」
「わかりました」
激励を受けて少し気分が軽くなった颯太はそう返事をする。
颯太の変化はジェイクにも伝わったらしく、彼はフッと笑みを漏らした。
「……少しは肩の力が抜けたようだな。それでいいんだよ。城門の前に馬車を待機させてあるんで、それに乗って牧場へ戻るといい。あと、失踪事件に関しては、おまえの力が必要だと思った時に声をかけるからそのつもりでいてくれ」
「はい」
ジェイクの心遣いに感謝しつつ、颯太はマーズナー・ファームの新オーナーとの初顔合わせに向けて気を引き締めるのだった。
◆ ◆ ◆
颯太は城門前に待機していた豪華な馬車へ乗り込み、王都の中央通りを通過してリンスウッド・ファームへの帰路を順調に進んでいたのだが、到着寸前で馬車が停まってしまった。
「どうかしましたか?」
たずねられた御者は、困ったように首を捻って答える。
「それが……牧場の前にすでに別の馬車が停まっていて」
「馬車が?」
颯太は窓から外の様子を窺う。
たしかに、リンスウッド・ファームの正門の前には見知らぬ馬車が停まっていた。颯太がハルヴァ城から乗ってきた馬車にも引けを取らないほどの立派さだ。
一体どこの馬車だろうと疑問に思っていると、御者が驚くべき事実を口にした。
「見覚えがあると思ったら……あれはマーズナー家が所有している馬車ですね」
「え!」
現在時刻は昼過ぎ。
ジェイクは夕方に訪れると言っていたが、どうやらすでにマーズナーの関係者はリンスウッド・ファームに到着していたようだ。
「こうしちゃいられない! ここまでで大丈夫です! ありがとうございました!」
国内最大手であり、業界の先輩でもあるマーズナーのオーナーを待たせるわけにはいかない。
颯太は馬車から飛び下りて全力疾走。
マーズナーの馬車に駆け寄ると、牧場の正面口に関係者と思われる人物が五人立っているのが見える。
その中でも一際目立つのが、ライトブラウンの髪をした女性だ。
遠目にも、その女性だけ明らかに周りの人々とは纏うオーラが違う。
颯太が大慌てで近づくと、五人の視線が一斉に颯太へ向けられる。全員が若い女性だった。
「あら? どちら様?」
腕を組んで真ん中に立っている、別格のオーラを放つ女性が最初にそう言った。
聞き惚れてしまうほどの美しい声。近くで見ると、まだ顔立ちには幼さが残っている。成人女性だと思っていたが、年齢はキャロルよりひとつかふたつほど上くらいか。
特徴的な縦ロールに切れ長の目。素人目でも高価であるとわかる美しい装飾が施されたドレス調の服を身につけている。周りにいる四人は服装からして、この少女に仕えるメイドのようだ。
「え、えっと……マーズナー・ファームの方ですよね?」
颯太がたずねると、縦ロールの少女は少し間を置いてから口を開く。
「……もしかして、あなたがここの新しいオーナーさん?」
「は、はい。高峰颯太と申します」
「そうでしたのね。申し遅れましたが、わたくしはマーズナー・ファームの新しいオーナーとなりました、アンジェリカ・マーズナーと申します」
「ま、マーズナーのオーナー……!」
心のどこかでもしかしたらそうではないかと予想はしていたが、こうしてハッキリと告げられてもすぐには実感が湧かなかった。
性格に難があったとはいえ、敏腕だったというマーズナーの前オーナーがこんなに若い少女を後継ぎに選んだとは。リンスウッドの場合は、キャロルが若すぎるという理由で颯太がオーナーを任されているというのに。
それと、もうひとつ気になる点があった。
「マーズナーということは……あなたはミラルダ・マーズナーの――」
「娘ですわ」
案の定、アンジェリカは前オーナーであるミラルダの娘だった。
たしかに、アンジェリカの服装や言葉遣いはいかにも「お嬢様」という感じがする。若くして牧場の代表者となったみたいだが、同じ年頃のキャロルとは事情が異なっていそうだ。
アンジェリカは呆然としている颯太を無視し、まるで品定めでもするかのように颯太の全身を見回す。それが終わると、今度は「なるほど」とつぶやいて目を閉じ、何かを考え始めた。
一連の行動理由がわからず困惑する颯太に構わず、少女は目を開いて話しだした。
「随分と面白い能力をお持ちのようですわね。なんでも、ドラゴンと会話ができるのだとか」
「え? ……あ、ああ、竜の言霊のことですね」
「短期間で二匹の竜人族をリンスウッド・ファームに加えた……同業者からすれば強大なライバルの登場に焦りを隠せませんわ」
「そ、そんな……自分なんてまだまだ青二才ですよ」
大きく年が離れているとはいえ、相手は自分よりも遥か格上の存在だ。新米オーナーという点では同じだが、牧場としての規模は圧倒的にマーズナーの方が大きいのだから。そのため年下であっても、颯太は自然とアンジェリカに対して敬語を使っていた。
しかし、当のアンジェリカは颯太の口調が気に入らないみたいで、注文をつけてくる。
「そのようにかしこまらなくても結構ですわ。普段と同じようにお話しなさい」
「は、はあ……わかり……わかった」
どうやら彼女は特別扱いが嫌らしい。
その時、牧場から一匹の竜が近づいてくるのが目に入る。リンスウッド・ファームのドラゴン、イリウスだ。背中には人間の姿に変身している竜人族のメアとノエルが乗っている。三匹で敷地内を散歩していたのだろうか。
まず、イリウスが声をかけてくる。
「よお、帰ったか……ん? もしかして……マーズナーのお嬢ちゃんか?」
続いて、颯太を発見してメアとノエルがイリウスの背中から飛び下りた。
「待っていたぞ、ソータ! さあ、我らと遊ぼう!」
「あ、で、でも、お客さんみたいですよ?」
二匹はててて、と颯太の方へ駆け寄ってきたが、アンジェリカを視界に捉えると急ブレーキ。
「どうした?」
颯太が首を傾げていると、メアとノエルはアンジェリカを避けるように大回りして颯太の背後に身を隠してしまう。
「お、おい、どうしたんだよ。ほら、あいさつくらいしろって」
ズボンを掴んで放さない二匹に困り果てる颯太。アンジェリカが愛想よく「こんにちは」とあいさつをしても、顔を隠して断固無視。
「す、すまない。いつもはここまで聞きわけがない子たちじゃないんだ」
「構いませんわ。ドラゴンだって、人見知りくらいしますもの」
さすがは大手マーズナー・ファームの後継者、これくらいでは動じないか、と颯太は感心する。
颯太から離れようとしない二匹の様子を見て、イリウスはニヤニヤしながら「まるで初めて父親の再婚相手を見る娘たちって構図だな」と茶化して竜舎に帰っていった。
「あ、そうですわ。ちょっと待っていてくださいまし」
突然アンジェリカは馬車に引っ込んで中から何かを取ってきて、メアたちに差し出した。
「これはお近づきの印ですわ」
彼女の小さな掌の上にあったのは、綺麗な包み紙に入った飴玉であった。
「お口に合うかどうかわかりませんが……甘くておいしいですよ?」
「「っ!」」
甘くておいしい――その言葉を耳にして目を輝かせて飛びつこうとしたメアとノエルだったが、ピタッと動きを止める。まるでシンクロしているようにまったく同じタイミングだった。
どうしたのかと眺めていたら、二匹はジッと颯太を見つめだした。どうやら颯太の了承なしにもらってはいけないと思ったらしい。
「ありがたくもらっておけ」
颯太が言うと、メアたちは飴を受け取っておずおずとアンジェリカにお辞儀をした。
「どういたしまして」
しなやかな動作と穏やかな微笑みでそのお辞儀に応えるアンジェリカ。
メアとノエルは飴を口に入れると、感激したように顔をほころばせ、竜舎のある方向へ駆け出す。先に竜舎に戻ったイリウスに自慢しに行くみたいだ。
アンジェリカは二匹の後ろ姿を眺めながら、颯太に声をかける。
「よい信頼関係を築けているようですね」
「まあ、あいつらは素直でいい子だから、手がかからなくて助かっているよ。まあ、これも竜の言霊のおかげなんだけど」
「ご謙遜を。たとえ竜の言霊があろうと、短期間で竜人族の信頼を得たのはあなたの努力の賜物。ブロドリック大臣からも活躍ぶりを聞きましたが、ソラン王国の一件も含め、誰にでもできることではありませんわ」
柔和な笑みを浮かべ、アンジェリカが言った。その笑顔は、年相応の少女らしいものだった。
なんだか、想像していた人物像とかけ離れている気がする。
ハドリーやジェイクの言葉から、ミラルダ・マーズナーという人間はかなりの偏屈者であると思っていて、後継者であるアンジェリカも相当な曲者だろうと颯太は警戒していた。
しかし、実際に会ってみるとその印象は真逆。
無邪気なメアたちを見て笑みを浮かべ、ライバルである颯太の能力を認め、彼の功績を称えた。
緊張が解けた颯太は、素直に礼を述べる。
「ありがとう。天下のマーズナー・ファームのオーナーにそう言ってもらえるのは光栄だよ」
「どういたしまして……でも、安心しましたわ。あの様子なら、うちの竜人族の子とも仲良くやっていけそうですわね」
アンジェリカの口から出た「うちの竜人族」という言葉。
以前よりハルヴァに味方しているという竜人族は、マーズナーの所属らしい。
その竜人族も、メアたちと同じく特殊な力を持っているはず。
颯太がマーズナーの竜人族についてもっと聞こうとした時、キャロルがやってきた。
「あ、おかえりなさい、ソータさ……ん……」
キャロルは颯太を見つけて笑顔になったが、その直後にアンジェリカを発見して目を見開き、これまでに聞いたことのないボリュームで叫んだ。
「アンジェリカお姉ちゃん!」
「ちゃんと名前を覚えていてくれたのね――キャロル。何年振りかしら」
「……八年振りです」
アンジェリカとキャロル。
こうして見ると、やはりわずかにアンジェリカの方が年上のようだ。が、久しぶりに会ったせいか、二人の間に流れる空気はどことなくぎこちない。
颯太は不思議に思ってこっそりアンジェリカにたずねた。
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