無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一

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第146話 危機的状況

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 より詳しく話し合いをするため、俺たちは一度ミネットの別荘へと戻ることにした。

 ちなみに、パートナー魔獣たちは協力してこちらへと向かってきているらしい。
 まあ、うちのシロンとクロスは人間との会話も可能だし、よほどのことがない限り迷うようなことはないだろう。戦闘に巻き込まれるという心配もないし。

 帰り道の途中、俺はこれまでセラノス周辺で起きた事件を思い返す。
 さまざまな場所でいろんなトラブルがあったけど、それらは俺や元弟子たちの力で解決してきた。もしかしたら、今回も同じような事態――となると、やはり一連の事件を裏から起こしていた黒幕が、自身の目的を果たすために動きだしたのだろうか。

「やはり気になりますわね」

 俺の横にいたミネットがそう呟く。

「これまでバーツ先生が絡んできた事件も、背後に別の大きな存在を感じてきましたが、今回の件もその一端とわたくしは考えます」
「同意見だ。――しかし、黒幕の狙いはなんだろう」
「セラノスを失墜させるというのが真っ先に浮かびますが、それにしては遠回りすぎますわ」
「そうだな。わざわざこのようなマネをしなくても、国を沈める方法はいくらでもある。――問題は規模が大きすぎて一般人ではとても不可能だという点のみだ」

 そう付け加えたのはティオグだった。
 彼も俺やミネットと同じ考えを持っており、さらに独自に分析まで済ませてあるらしい。

「今回の件……魔力の乱れが国単位で発生しているとなれば、これはもう組織的な犯行として間違いないかと」
「やっぱりそうなるか」

 規模が規模だからな。
 とてもひとりふたりという少人数で行える芸当じゃない。

「本来であればすぐにでも王都へ戻るべきなのでしょうが……不用意に動くのも少し怖いですね」
「どこかで誰かが狙っているかもしれないし!」

 ノエリーもフィオナも慎重に行動するべきだと主張する。
 これにはメイもアリアーヌもロザリンも同意。

 恐らく、これを仕掛けた連中は俺たちの反応をどこかで確認しているはず。
 だとすれば、慌てて飛び出すのは避けたい。

 ……ハッキリ言って、今の俺たちはかなり危機的な状況にある。

 テイマーは魔獣の力を借りることで力を発揮するため、そのパートナーがいなければ戦力は大幅に下がってしまう。
騎士団のノエリー、魔法兵団のメイ、冒険者のフィオナは戦う術を持っているが、それでもやはりパートナー魔獣がいる時とは戦力が落ちると言わざるを得ない。

 こちらへの合流を目指して移動中のシロンたちが到着するまで、下手に動き回らない方がいいのかもしれないな。
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