悪役豪農に転生した俺のまったり農業革命 ~死亡フラグを回避しつつ婚約者や領民たちと農作業を楽しみながらスローライフを満喫する!~

鈴木竜一

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第20話 豊穣の女神メーテ

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 閉ざされていた蕾が開き、ついに中身が判明する。

「あれは……」

 俺は満開となった花へとゆっくり近づいていく。
 木の上から状況を見守っていた魔猿たちも騒ぎ始めるが、やはり襲ってくる気配はない。むしろ、早く近づけと囃し立てているようにも見える。

 なぜ魔猿たちがあんな反応を示すのか。
 明確な答えなどいくら考えたって分かりはしない。

 とりあえず、俺とミリアは花へと近づいていく。
 もちろん、ローチ、ベック、デビットの騎士三人組は同行し、さらにリタやスミゲル、ジェニーに村の人たちと結局総出で接近を試みていく。

 見た限り危険な植物というわけではなさそうなのでひと安心だが……とはいえ油断はまったくできない。いつ戦闘に発展してもいいように護身用として持ってきた剣の柄に手をかけながら進んでいく。

 あと数メートルと迫った時、どこからともなく音が聞こえてきた。

「なんだ……?」

 みんなも一斉に足を止め、周囲に気を配る。
 だが、音の原因を探り当てることはできずにいた。

 目を閉じ、その音に集中すると……どうやら前方から聞こえてくるようだ。
 でも、俺たちも前にあるのは例の巨大な花のみ。

 だとしたら、あの音の正体は――豊穣の女神メーテに関するものか?

 そう思って再び正面へと視線を戻すと、花の上に何か動く人影が見えた。もしかしたら豊穣の女神メーテなのかもしれない。

 周りへの警戒も忘れて駆け寄った俺は、そこで信じがたい光景を目の当たりにする。

「ど、どうなっているんだ、これは……」

 大きな花の上には――小さな女の子が寝ていた。
 年齢は二歳か三歳くらいか。
 長い緑色の髪が特徴的で、静かに寝息を立てて眠っている。

 やがて他のみんなも集まり、予想外の事態に軽くパニックとなった。

「な、なんで子どもが?」
「豊穣の女神メーテがいるのではないのか?」
「いや、もしかしたらあれが女神メーテなのでは?」
「バカを言え。どっからどう見ても人間の子どもじゃないか」

 村人たちのやりとりは次第にヒートアップしていき、ついにはローチやスミゲルが間に入って止めに入る事態にまでなった。

 ……ただ、みんなの動揺は理解できる。

 どうして幼い女の子がこんな場所に?
 
 まったく理解できない出来事に困惑する俺だったが、横に立つミリアはそうでもないようだった。

「凄い……本に書いてあった通りですわ……」
「えっ? そうなのか?」

 でっかい花の上に子どもがいることを想定していた?
 その本とやらには一体何が書かれていたのか……気になった俺はさらに追及していく。

「あの子について、正体が書かれていたのか?」
「恐らく……あの子は女神メーテで間違いありませんわ」
「ほ、本当か!?」

 ミリアはハッキリとあの子が豊穣の女神メーテだと宣言する。
 ……マジで?



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