破滅する悪役女帝(推し)の婚約者に転生しました。

鈴木竜一

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第106話 待ち構えていた者

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 部屋へ入ると真っ先に視界へ飛び込んできたのはふたりの人物。
 ひとりは捜していたエクリアさん。
 もうひとりは――

「えぇっ!?」

 あまりにも意外な人物の登場に、俺は驚きの声をあげる。

「へ、ヘレナ様……?」

 部屋にいたのはロミーナの母親であるヘレナ様であった。どうして彼女がこんな場所にいるのだろうという疑問が脳裏に浮かぶ中、彼女は心底面倒くさそうにため息を漏らすと俺たちを睨みつける。

「一体何の用かしら?」
「い、いや、その……」
「ヘレナ様こそ、こちらで何を?」

 一歩前に出たのはモリスさんだった。
 彼もヘレナ様が学園の、それも関係者以外が立ち入れない研究棟の一室にいることに対して違和感を抱いている様子。おまけに外では突如出現した結界魔法で大騒動となっているのに、関係ないと言わんばかりの冷静さというのも気になる。

 一方、ヘレナ様はまったく動じる素振りもなく話し始める。

「私がどこで何をしようがあなたには関係ないでしょう?」
「おっしゃる通りです。しかし、今は何者かが仕掛けた結界魔法によって学園内はパニックとなっております。この研究棟にいた職員もすでに脱出したようですし、ヘレナ様とエクリア様もお急ぎください」

 モリスさんはゆっくりと近づきながら研究棟を出るよう説得を試みた。
 それで、あとからマドリガル騎士団長に本件のことを報告し、しかるべき対処をしていこうと考えているようだ。

 さすがは歴戦の騎士。
 ここへ来て、冷静な分析力と行動力を示してくれた――が、ここでエクリア様が思いもよらぬ行動に出る。

「その必要はないわ」

 歩み寄るモリスさんに対し、エクリアさんは突然魔法を放った。
 これって……石化魔法!?

「モリスさん!?」

 石像のように固まり、その場へと倒れるモリスさん。
 信じられない光景を目の当たりにした俺だったが、すぐにエクリアさんが次の標的を定めていることに気づき、慌てて同じく茫然としているカルロへと飛びついた。

「危ない! カルロ!」
「えっ――わっ!?」

 さっきのモリスさんと同じように石化しようとするエクリアさんの魔法からなんとか逃れることができたが……一体何を考えているんだ!?

「エクリアさん! なぜこんなことを!」
「説明する必要はないわ。あなたたちはここで大人しく石化すればいいのよ。ロミーナには私から説明をしておくわ」

 ダメだ。
 問答無用で俺たちを石に変えるつもりでいる。
 だったら――こちらも生産魔法で生み出した魔道具で対抗するしかない!
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