あれから会う事もなく3年が立ちました

尾道小町

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小さな手の祈り(ユージン視点)

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 ぼくは、しってる。  

 おかあしゃまは、ねてるけど、ほんとうは、ないてる。  
だれもきづかないけど、ぼくにはわかるんだ。  

 おとうしゃまって、よんじゃいけないって、いわれたけど、でも、ぼくのこころが、さけんでる。  
「おとうしゃま、ぼくをみて」って。  

きのう、おとうしゃまが、ぼくに剣をくれた。  
「昔、俺が使っていたものだ」って。  

ぼくは、うれしくて、でもちょっとこわかった。  

だって、ほんとうは、ぼくのことをおぼえてないんだ。  

でも、パンを食べたとき、おとうしゃまが言った。  

「昔、誰かが焼いてくれた味に似ている」  

そのとき、ぼくの胸が、ぽっとあったかくなった。  
  
 おかあしゃまは、まだ話せない。  

 ぼくも、ほんとうのことを言っちゃいけないって、わかってる。  

 でも、夜になると、夢の中で誰かが言うんだ。  
「ユージン、君の願いは何?」  

 ぼくは、こたえる。  

「おかあしゃまが、わらってくれること」  

「おとうしゃまが、ぼくをだっこしてくれること」  

「3人で、ずっといっしょにいること」  


その人は、きらきらしてて、ちょっとこわいけど、やさしい声だった。  
「その願い、叶えるには、君が動かなきゃいけないよ」  
 ぼくは、うなずいた。  

小さな手でも、できることがあるって、信じてる。  

だから、ぼくは、動き出す。 

おかあしゃまのために。  

おとうしゃまのために。  

そして、ぼくのために。





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