7 / 23
▼スプラッタ有り系
紅葉が散り散り居場所を探す
しおりを挟む……飛び降り自殺してコンクリの道に鮮やかな紅葉を舞わせた友達の細かい部位が、四方八方にチミチミと蠢きながら移動している。
僕はその様子をビルの窓からジッと見つめる。
「俺は外に出たい」
好奇心旺盛な君は、バカの一つ覚えみたいにしょっちゅうそう言っていたね。
「俺の手が、足が、脳が、細胞が、外に出て泣けてくる程に鮮やかな空を見たい、肺に澄んだ空気を入れたい、足の裏で青臭い草原を踏みつけたい、風に身をさらしたい、崖に楔を突き刺して少しずつ上に登って頂上に行って雲の上にあるものを見たいと、疼いてわめいてる」と、よく地団駄を踏んでいたね。
僕はそんなコイツの相手が面倒だったし、コイツは僕の事を「友達」だと思っているようだが、僕自身はどうとも思っていなかった。と、いうか嫌いだった。
こいつのキラキラした目が嫌いだった。声のデカさが嫌いだった。すぐ笑う所が嫌いだった。僕と違ってピーマンが食べられる所も疎ましかった。
だから、「生きてここから出ることは難しいから、死んでみればいいんじゃないのかな」と適当に言っておいた。
「マスターは、ここを出る事は許さないが“自殺”は許してくれる。死ねばいいんだよ」
「……? 死んだら、外を歩けないよ」
至極真っ当な返答をされたが、僕は「死んだら、生き返ればいいじゃないか」と返した。
なるほど、と奴は納得した。……あぁ。言い忘れていたが、コイツの頭は残念だ。
「じゃあ、あばよ」と奴は窓から身を乗り出して、落ちた。
数秒後に、パン!……と音がした。窓から下を見ると、奴が粉々の紅葉になっていた。
しかし、奴の身体は己が死んだことにも気がつかず、身体の一部一部が思いのままの方向に散りだした。歩みだした。
――――そこまでして、外に出たいのかよ。外なんかに何があるんだよ。
僕は思わず「ここがそんなに不満か! 僕がいて不満か! 僕だけじゃ不満か!」と下に向かって叫んでいた。
すると、奴の肉片の1つの動きが止まり、ソレだけが建物の中に戻ってきた。
玄関の方に行くと、ヤツの耳がずぞぞ、ずぞぞと僕の方に向かってきていた。
こいつのキラキラした目が嫌いだった。羨ましかった。その目で見つめられると泣きたくなった。
声のデカさが嫌いだった。どこにいて隠れても聞こえてきて、奴を身近に感じてしまった。
すぐ笑う所が嫌いだった。「お前が笑えないぶんまで笑うよ」って謎の気づかいなんなんなん。
僕と違ってピーマンが食べられる所も疎ましかった。あいつはただひたすら、カッコよかった。
あいつが「どこか行きたい」というなら止めはしない。いや、止めたい。止める。止めたくない。
止めたくないが、ならせめてお前の体の一部だけでも僕のもとにいつまでもいて。
「……耳かよ。耳が残ってくれるのかよ」
眼なら良かったのに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる