冷静半妖少女と賑やかな妖怪達 時々怪奇

Ray

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出会い編

参 人体標本の場合

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    学校の七不思議の一つである『踊る人体標本』 。

    一度は聞いたことはないだろうか?
    人によっては臓器が動いているように見えるとか…。










「ねぇ、花姉さん。保健室の『踊る人体標本』と知り合いですか?」

    此所は花子さんにがいる女子トイレの奥にあるいや、奥というか繋がっている空間の花子さんの部屋
    今は、洋室だが、二、三十年前は和室だったらしい。そのせいかまだ、和室の名残がある。
    そこで黒炎と花子さんが話している。

    ついでに言うと何で黒炎が花子さんのことを『花姉さん』と呼ぶのは、なんだかんだ言いつつも付き合ってくれる(既に何回も遊びに来ている。たまに舞子さんも連れてくる)お姉さんみたいな感じがきっと姉のいない黒炎にとってのイメージのお姉ちゃんだったのだろう。
    はじめの呼び名は『姐さん』だった。なんでこう…ヤクザみたいな呼び方で呼ぼうとしたのか……。この事に関しては相変わらずの花子さんの突っ込みとお願いからで今の『花姉さん』に落ち着いた。

    今でも休み時間は、大体花子さんの所にいる。

「『踊る人体標本』?………あぁ。いたわね。そんな奴」

    返ってきた答えは随分あっさりしている。

「あまり交流しないんですか?」

    同じ学校にいるんだからそれなりに会ったり、交流したりするはずだ。

「何なんだろうね…縄張りみたいな、自分の住みかみたいな。私だったらこの女子トイレね。ここから此所は人間を驚かしたりするから邪魔しないでね、みたいな感じね。
    一回そんなことがうまくできていなくて、問題でいざこざがあってね。それ以来あまり関わっていないのよ。
    お互いの縄張り(?)に入ったり、いざこざごおこらないようにあまり関わるなって暗黙の了解ができたのよ」

    一体どんないざこざがあったんだか。

「へぇーー」

    黒炎から聞いたのにあまり興味が無さそうに返事をした。

「なによ。あんたから聞いたのにあんまり興味が無さそうね。

    なんかあったの?」

    そう聞かれた黒炎は、指を顎に当て、(見た目だけで絵になりそうだ)

「なんか、今日の朝からクラスメイトの人達が騒いでたんですよ。
    なんでも、昨日の放課後まで保健室でずる休みをしていた男子がいたんですがベットで寝ていて、ふと壁に立て掛けられる形で置かれていた人体標本がその場所になかったことに疑問を持ち、周りを見渡したらあったらしいんですが…


    踊っていたんですよ。
    まるで生きているかのように。

    で、この学校の七不思議の一つの『踊る人体標本』のことで今日は持ちきりだったんですよ。本当、男子も女子も噂が好きですよね。
    七不思議だったら、七不思議の一つである花姉さんに聞けば何か分かるんではないかと思ったんですよ」

    と、答えた。

「あぁ、だから今日のトイレに来た女子の話が人体標本の話ばかりだったわけね」

    どうやら、女子トイレでクラスの女子の誰かが話していたのをこっそりと聞いていたらしい。

「で、今日の放課後会いに行こうかと」

「いやいやいや、『で、今日の放課後会いに行こうかと』って結論になるのよ!!
    何で!?
    さっきの話からその結論には普通に行き着かないわよ!」

    初めて会ったときにようにやや『!』が多い答え方に戻っている。

「いや…なんというか……好奇心?ですかね?」

    コテッと首を横に傾げ、黒炎はそう答えた。

「好奇心で何で七不思議の一つに会いに行こうとするのよ!
    わざわざ自分から近づいて怪我でもしたらどうするのよ!?」

    その言葉はまさに妹を心配する姉のようだ。

「いや、だって気になりますし・・・。
    大丈夫ですよ。
    お母様にも『会ってくる』とはメールで送っておいたので。『お友達になれるように頑張って( ´∀`)/~~』と返信がきました。
    ………お兄ちゃんとお父様には内緒ですが……」

    『七不思議の一つと会いに行く』ということの返信に『お友達になれるように頑張って』と返す親は普通いないだろう。これは、もはや蛙の子は蛙といか言えない。
    それと、これは余談だが、黒炎の通っている学校は、かなり珍しい小・中・高が1つの学校としてまとまっているので親の許可がおりれば携帯を持ってきてもいいのだ。

「一人で行ったら危ないじゃない!!私もついていくわ!」

    本当に面倒見がいいと思える。














「気味が悪いわね」

    放課後の保健室は暗いのと保健室独特の薬品の匂いでかなり、気味が悪い。
    保健室の先生は今日は何処かの学校への出張だったらしくいないため好都合だ。

「そうですね。匂いが少しキツいですし」

    と、黒炎は鼻を微かに動かし言った。

「…それで?踊る人体標本は何処?」

    花子さんはというと七不思議の一つだからか、このような状況でもすぐ慣れる(?)ことができている。
 
「えーと、此所にあるはずなんですが…………ありませんね。
    散歩にでも行ったのですかね?」

    黒炎は冷静に。いつもとあまり変わらない。そして、『散歩』と、いう少しずれた結論を出した。

「…散歩はないと思うわ」
 
    何処か諦めたような顔で遠くを見ながらも突っこみだ。

「そうですか?
    それでは、まだ保健室にいますね」

「まぁ、そうなるわね」

    と、黒炎はベッドの周りを囲っているカーテンを開けて調べながらそう結論を出した。
    うん。さっきと比べてずっとましな答え方だと思う。

「後は……此所ですね」

    と、保健室の奥にある扉に手をかけた。

「…開いていますね」

    扉だから開いてるのは当たり前だと思う人もいるかもしれないが、この扉の先の部屋には使い方を間違えると危険な薬品や重要な資料などが置かれている。
    そのため普段はガッチリと鍵が掛かっている。先生が出張なのに鍵をかけ忘れるなんて失敗はあり得ないだろう。

───つまり此所に『踊る人体標本』がいると考えれる。



ガチャ



    黒炎は、ノックも無しに扉を開けた…が、すぐに静かに扉を閉めた。

    が、もう一度扉を開ける。
    目の前にいる人とバッチリと目が合う。

    もう一度扉を閉めた。

「一体どうしたのよ。扉を開け閉めして」

   と、何かを見つけたであろう黒炎の方に向かって聞いたが、返事はない。
    黒炎は返事の代わりにもう一度扉を開けた。

「…………あんたそんな趣味があったのね」

    花子さんは扉を開けた先にいた人物に呟くようにそう感想を述べた。



    確かに『踊る人体標本』はいた。












──ただし、ピンクのレースやリボンがやたらとついているフリフリのワンピースを着て、歌番組のアイドルが踊っていそうな躍りを踊っていたが……。

「ほら、私がついてきて良かったでしょう?
危険なヤツがいたし…危ないわ」

「…そうですね。花姉さんがついてきてくれて良かったです。
    本当にありがとうございます」

    ……二人ともさらっと酷いことを言っている。

「ちょっと!黙って聞いていたらなんなのよ!人のことをまるで珍獣変な人見たいに言って!!」

    踊る人体標本が反論した。
    ただ、なんというか…喋り方がオネェだ。

「…いや……だって変態に見えたものですから」

「そうね。これは変態だわ。危険よ。早く帰りましょう」

    …酷い。

「……何が変態よ!」

    あ、若干気にしてるんだ。

『男が女の格好をしていたら変態ですね  /  よ』

    花子さんと黒炎の声がバッチリと重なった。












「アイドルが好きなんですか?」

    なんだかんだまだ、保健室にいる黒炎が人体標本に聞いた。

「んー。少し違うわね。あたしはこうゆう格好をするのが好きなのよ」

「あー、そうなんですか(察し)」

「……変態ね」

    花子さんがボソッと言った。

「だから、変態じゃないって言ってるじゃない!?
    アンタ、それ、久し振りに会った友人に言うこと!?」

    どうやら、はっきりと聞こえていたようだ。

「いつから、私があんたの友人になったのよ。知り合いですらも怪しいわ。と、いうか知り合いだとしても極力関わりたくないわ」

「花姉さん、変態じゃないですよ。
    オネェです」

    黒炎が花子さんの言ったことを訂正する。
    でも、違う。そうじゃない。そこじゃないんだ。

「オネェじゃないわよ!
    見た目は野郎だけれども心は乙女よ!!
    オネェと一緒にしないでちょうだい!!」

    世間ではそのような人を『オネェ』と言う。
 





「じゃあ、踊るのは好きなのですか?」

    黒炎はまた、人体標本に質問した。

「そうよ。踊ることはだーい好きなのよ。
楽しいわよ」

    アイドルが踊っていそうなダンスを躍りながら言った。 
    普通から見たら上手い方だ。

「……見た目との違和感が半端ないけれども、凄く上手いですね」

    確かに違和感が半端ない。

「あんたは、何か踊ることは出来るの?」

    花子さんが、人体標本の様子を見ながら黒炎にそう聞いた。

「…そうですね。
    これくらいなら出来ます」

    そう言って踊ったのは




──『ブレイクダンス』。

    プロ並の上手さだ。

「……あんたそんな特技あったのね」

    驚いた顔をしながら花子さんはそう言った。

「特技ではありませんがお兄ちゃんに教えてもらって踊れるようになりました」

    ブレイクダンスって出来るとそれなりにカッコいいよね。

「そう言う花姉さんは何か踊れるんですか?」

「…盆踊りしか踊れないわ」

    祭りで踊るよね。盆踊り。










「人体標本さんって初めからそんな感じだったんですか?」

    確かに普通に気になる。

「あら、『人体標本さん』って固いわね。
    エスケレートって呼んでちょうだい」

    『エスケレート』とは、スペイン語で『骨格』という意味である。
    何故、人体標本なのに『骨格』なのかは聞いてはいけない…多分。

「分かりました。ケレートさん。
    私は、炎   黒炎です」

「ケレート…良いわね。
    でも、『さん』はいらないわ」

「……ケレート」

「あら、ありがとう。
よろしくね。黒炎ちゃん」

    やっぱり言い方に違和感しかない。

「…はじめはそんな感じじゃなかったはずよ」

    ケレートの代わりに花子さんが言った。

「最近目覚めちゃってね」

    絶対に目覚めてはいけないところに目覚めている。









「──おい。そこに誰かいるのか?」

    低い男の人の声。
    この学校の警備員だ。

「もうそんな時間でしたか」

    外は真っ暗だ。

「見つかる前に隠れるか逃げた方がいいと思うわよ」 

    と、花子さん。

「此所にそんなに隠れるところないわよ。どうするの?黒炎ちゃん」

    と、ケレート。

「…そうですね。もう帰ります」

    と、言いながら保健室の窓を開ける。

「ちょっ、ちょっと何するつもり!?」

    花子さんが慌てて黒炎を止めようとする。

「『何する』って家に帰るんですよ。
    ケレート、花姉さん。また、明日会いましょう」

    と、言い、窓に足をかけ




─飛び降りた。

    一応言っておこう。ここは三階だ。
    大切なことなのでもう一度言っておこう。ここは三階だ。

    下手に飛び降りたら怪我どころじゃ済まない。

    花子さんとケレートは慌てて黒炎が飛び降りた窓から下を覗く。
    そこには、軽い音をたて地面に着地し走って家路をたどっている黒炎の姿が見えた。
    二人揃ってホッと息をつく。

「……一体、何者なのよあの子」

    ケレートは、既にかなり遠くにいる黒炎を見ながら花子さんに聞いた。

「──よく分からないわ」




























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