冷静半妖少女と賑やかな妖怪達 時々怪奇

Ray

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出会い編

拾 のっぺらぼうの場合

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    Ray♪です。
    お久しぶりです。この話の語り手をやっています。
    少しだけ、題名を変えました。
    これからも、黒炎と妖怪と時々怪奇達のことを見ていていただけると嬉しいです。



†††††





『のっぺらぼう』それは、顔に目、鼻、口を持たない凹凸がなくツルツルすべすべとした顔の妖怪。
    インパクトが強く、その顔を使って人を驚かせるらしい。ただ、驚かすだけ。それ以上悪さもしないし、害はあまりない。
    見た目は、普通の人間と同じで顔がのっぺらぼうなだけ。でも、昔、体長が七尺(約二.一m)になるのっぺらぼうが出たこともあるらしい。当時の日本にすればかなりの高身長だ。

    まぁ、一言で言えば、顔がのっぺらぼうな妖怪ってところだろうか。













    もうそろそろ、夏の足音が聞こえてきそうな暑さの休日。

「シクシクシクシクッ」

    人気ひとけのない昔ながらな駄菓子屋の前で一人の少年が泣いている。その少年は、小学一年生くらいの背丈で今の日本にしては珍しい藍色の着物を着ている。
    顔は──見えない。顔を手で覆って泣いているからだ。

「どうしたんですか?」

    そんな少年に声を掛けたのは、白い緩いワンピースを着て、駄菓子屋で買ったであろう練り飴を片手に持った黒炎だ。

「シクシクッ   悲しいの」

    顔を手で覆ったまま少年はそう答えた。

「悲しい…?」

「皆、僕と遊んでくれないの。『化け物だー』って逃げてっちゃうの。
    僕は驚かすのは好きだけど、嫌われたり、遊んでくれないのは嫌い……」

    泣き声は止んだが、まだ顔を手で覆ったまま。俯くように座っている。

「『遊んでくれない』…ですか。
    どうにかしてあげたいのは山々ですが、私も遊んでくれないことが多いのでなんとも言えないですね」

    …黒炎。
    さらっと友達がいないと言っているようなものだよ。それ。

「おねーちゃんも皆、遊んでくれないの?」

「はい。皆さん、あまり、遊んでくれませんね」

「そうか……そーなんだ」

    少年は、まだ顔を手で覆ったまま立ち上がる。

「じゃあ、僕と一緒だね。お揃いだ!!」

「お揃い…ですか?」

    コテンと首を傾げ、黒炎はそう聞き返す。

「うん!!
    お揃いだよ!
    だからさ────






   僕と一緒に遊んでくれるよね?」

    顔を覆っていた手を話してそう明るい声で言った。
    その顔は





───何もなかった。

    鼻も口も目も…。何もないのっぺらぼう・・・・・・

「…………のっぺらぼうでしたか」

    黒炎は「なるほど」と、でも言うように手をポンッと打った。

「うん!!そうだよー!
    驚かないんだねー。でも、面白いや!」

    のっぺらぼうは、口もないのに喋っているし、ケラケラと笑っている。

「はい。そうですね。しかし、それより……」

    黒炎は、のっぺらぼうの方へ歩いていき、



──ぷにっ

    のっぺらぼうの頬を触った。

「肌が綺麗ですね。何か良い保湿クリームでも使っているのですか?」

    ムニムニと、頬を触りながらそう聞いた。

    ……黒炎。なんかさ、どっかの話みたいに驚いて逃げないのか?
    まぁ、そんなことしないとは分かってはいるが…。

「分かってくれる?
    分かってくれるの?この僕の綺麗な肌!」

「はい。分かりますよ。私は、生物学上女なので、やはり、肌には気を使います」

    黒炎、肌、気にするんだ…。ボクも女だけどあまり気にしないなー。
    あっ、こう話して話しているうちにのっぺらぼうと黒炎の話が進んでいる。

「使っている保湿クリームは、僕特製の保湿クリームだよ!」

「作っているんですか?凄いですね」

    黒炎はのっぺらぼうの短髪の黒髪の頭を撫でながら、そう誉めた。

「エヘヘッ♪そうやって言って貰えると嬉しいな!
    …あっ!そうだ!僕の保湿クリームあげるよ!」

    そう言い、のっぺらぼうは着物の懐をごそごそと漁り、掌サイズの容器を取りだして黒炎に渡した。

「良いんですか?これは貴方のでしょう?
    これを私にあげてしまうと、貴方が困りませんか?」

    貰った容器を見ながら、黒炎はそう問うた。

「ううん!僕はまだ、沢山作れるし」

「…そうですか。それでは、ありがとうございます。大切に使わせていただきます。
    ……しかし、何か私もお礼をしたほうが良いと思うのですが、何かやって欲しいことはありますか?」

    …黒炎。それ、本人に聞くのか?普通、聞かなくない?

「う~ん…そうだ!僕に顔を描いて!」

「…顔、ですか?」

「うん!!顔を描いて!
    はいっ、これペン。早く早く描いて!!」

    のっぺらぼうは、普通にスーパーとかで売っているペンとは少し違うペンを黒炎に渡した。

「……分かりました。
    では、少し、待っていて下さい」

    黒炎はキュポッと、ペンの蓋を外して、キュッキュッと音をたてながらのっぺらぼうに顔を描いていく。

  









「…瞳の色はどうしますか?」

「んとね、はいっ!これ使って!!おねーちゃんの好きな色で良いよ!!」

    と、小さな小瓶を渡した。
    その小瓶には色々な色が綺麗に混ざった液体が入っている。

「『虹の雫』ですか…」

「うん!少ししかないから溢さないでねー」

    『虹の雫』とは、“輪廻”で使われる染料だ。色々な色が混ざったような液体で、使う人によって色を変える。その人がイメージしているのが桃色だったら桃色に。ベージュだったらベージュ色に。色落ちはしないし、例えば、女の子の絵を描いてその瞳に『虹の雫』を使ったら、その瞳には色が付き、本物の目みたいになる。
──ただ、すっごく高い。
    所謂高級品だ。入手も困難で滅多に使えるものではない。

「では、色を付けますね」











「うーん…」

    のっぺらぼうは、目をパッチリと開いた
    何回かパチパチと瞬きをする。

「どうですか?」

「良い感じ!
    鏡、鏡っと」

    懐をごそごそと漁り、小さな鏡を出す。
    ってか、どれだけ入ってるんだよ。アイテムボックスか。

「──藍色か…」

    鏡を除き混みながら自分の顔を見た。
    パッチリとした大きな藍色の瞳、小さな口とやや高い鼻。

「うん!気に入った!ありがとーおねーちゃん♪」

    どうやら、気に入ったらしい。

「よかったです。
    ……あっ、そう言えば…」

    と、ワンピースのポッケをごそごそと漁る。

「…これあげます。
    『おまけ』と言ったらなんですが私の作った物です」

    と、ワンピースのポッケから狐のお面を出した。
    もう一度言っておこう。狐のお面を出した。何で、ワンピースのポッケからそんな大きさの物が入ってるの?何でそんなのがポッケに入ってるの?ってか、黒炎が作ったの?
    ……なんか、もう良いわ。いちいち、突っ込んでたらキリがない。

    狐のお面は、顔全体を隠せるような大きさで、目のまわりの線とか髭が藍色だ。

「カッコいい!!ありがとー!」

    どうやら、これも気に入ったみたいだ。










「さてと、もうそろそろ帰りますね。暑いですし…」

    いつの間に食べ終わったのか練り飴についていた割り箸を燃えるごみのゴミ箱に捨て、黒炎は、のっぺらぼうから視線を外し、立ち上がった。

「もう帰っちゃうの?」

「はい。また、遊びましょう」

    と、言い、黒炎はまたのっぺらぼうの頭を撫でた。

「う~ん…分かった。あっ!後、僕の名前は、藍だよ!藍って呼んでね!」

    のっぺらぼう──藍が黒炎に描いて貰った瞳を細めながらそう言った。

「藍君、また、遊びましょう。さようなら」

「おねーちゃん、じゃーねー!」

    と、藍も手を振りながらそう言った。










    のっぺらぼうの藍は、黒炎に描いて貰った顔をまだ、消していないみたい。





    最近は、子供達が遊んでいると藍色の狐のお面を被った少年が時々現れるらしい。そして、子供達を驚かすんだって。ケラケラと笑いながら。そんな噂があったり、なかったり…。
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