不遇水魔法使いの禁忌術式

キミドリ

文字の大きさ
21 / 21
閑話 『水』VS『電磁界』

閑話 『水』魔法使いVS『電磁界』魔法使い 前編

しおりを挟む
これは強盗事件から少し経った頃の話

「「模擬戦?」」

 俺とサーシャ二人は間抜けな声を揃えてだした。そしてそんな声を出させた元凶が長いサイドテールをなびかせて、口元からティーカップを離しテーブルにおいていたずらっ子のような笑みを浮かべて話しを続けた。

「そう、お姉さん思うんだけど、サーシャちゃんは最近弛んでいると思うんだよね~」

 休日の午後、和やかにサーシャとティーブレイクを楽しんでいた所フランさんが訪ねてきたのだ。せっかくの休みなのだから可愛いサーシャとゆっくり過ごしていたかったのだが、どうやらそうはいかないらしい。フランさん発言に何を勘違いしたのか声を上げるのが美しく長い青髪と金色の瞳をもつ少女。

「なっ……!、別に太っていませんよ!?相も変わらずサーシャちゃんはマギポリス一番のナイスバディです……!」

 チラッとこちら見て赤面するマギポリス一番さんがあっちとこちら側を目を往復させる。

「なぜこっちを向くんだ、こっちを。サーシャは別に太っていないと思うけどこの前のティラミスは食べすぎでだったと思うぞ。あんなに食べたから少しは肉がついたんじゃないのか?」

「ちょっ!ちょっとカイ!?レディに対してそんなデリカシーのないこと言わないでください!あれは、カイがおいしく作りすぎるのが悪いんですよ!」

「ラグさんに教えてもらいながらだったけどな。てかいや、正直サーシャのスタイルは完璧すぎて毎日クラクラしてしまう……。前の方が痩せすぎてたんだよ」

「カイ……!まあ、私はカイだけじゃなくてマギポリス中を悩殺してしまうほど完璧なプロポーションですからねっ!(ドヤさ!)。――――それはそうと女性に対して太った方がいいなんて言うのはあまりに女心を分かっていません、次言ったら"これ”ですよ」

 最初は可愛らしくいつもの得意顔をしていたが、スンと俺のデリカシーのない発言を叱責しながら胸元に手を置き“水爆弾”のジェスチャーをする。あれは恐ろしい……前にもサーシャの楽しみにしていたケーキを食べた時は死を覚悟した……。

「ごめん!悪かったって!今のサーシャが最高に可愛いよ!」

「ふんっ!分かればいいんですよ」

 少し不貞腐れていたが満足そうに鼻を鳴らす。こんなに可愛い生物が存在していいのだろうか?早急に検証する必要がある。

「あの~お二人さん。そろそろ本題に入りたいからイチャイチャするのやめてくれるかな~」

 フランさんはニコニコと優しく話しかけているがその声と目は笑っていない。まだ、二人だけの空間に入り浸るのなら容赦はしないと、目で語る。これが都市魔法使い『凄み』というやつか、恐ろしい。

 「「す、すみません」」

 俺とサーシャは息を揃えて同時に謝った。フランさんは「はあ……」とため息をつきやれやれとした仕草で頭を振る。

「弛んでいるって言ったのは、そういうことじゃなくてね。――サーシャちゃん数年まともな魔法戦闘していなかったでしょ?この前の強盗の話は聞いたけど依然より弱くなっている気がするんだよね。と言うより、日常の動きを見ていれば分かるんだよね、故郷に帰ってから訓練していなかったね」

 サーシャはハッとする。何か言い返そうと色々思案するが、観念したのか素直に白状する。

「そ、そうです……、故郷は別に魔法使いの仕事をするのに軍属になる必要はありませんでしたし、ここ最近も訓練をサボっていました……」

「まあ、故郷ではそんな戦闘技能なんて必要なかったとは思うけどさ。私は一応都市軍の教官もしているからね、都市魔法使いは軍人でもあるからやっぱり少しは鍛えないと」

「なるほど、それで模擬戦闘ですか」

 俺が間に入る。つまり、研究者兼軍人でもあるサーシャがこのマギポリスに戻ってきても研究しかしていなく身体を鍛えることを止めているからフランさんはサーシャを鍛えるために模擬戦闘をすると言い出したのだ。しかし、そうなると相手はやはりフランさんだろうか?そう言えばフランさんが魔法を使った所をまともに見てはいない。いつも白衣の間から見える腰と脇下4丁の金銀の拳銃、それが金属器であることは聞いているがどのように戦うのだろうか?
 『電磁界』という称号なのだから帯電した弾丸でも撃ってくるのだろうか?

「そう、一応私はサーシャちゃんの指導教官って立場でもあるし久々に手ほどきをしてあげないとね~」

「うう……、フランは容赦してくれませんからね……。他の魔法使いと戦いたいのですが……」

「にゃはは~お姉さんも鬼じゃないし、今日はリハビリみたいなもんだから緩くやるよ~」

 俺もサーシャも何1つを運動をやっていないわけではないのだ。毎日ランニングや筋トレはしている。……が確かにそれは部活動レベルだ、軍人が身体を鍛えるのにやるそれに比べたらお遊びだろう。それこそ、フランさんがトレーニングに参加するときは鬼の様にしごかれる。鬼教官だ。

「あれれ~、カイ君何か言いたげだね~?本当はカイ君も鍛えたいところだけどまだ金属器を持たない君は魔法戦闘に参加させるのは早いかな~。だから、君は見学だね」

 それを聞いて安堵する。何やら視線を感じそちらに目を向けるとサーシャが涙目になって何か訴えていた。

「うー、カイ~!フランが緩く訓練なんてするわけありません!一緒に模擬戦闘に参加しましょうよ」

「にゃは、サーシャちゃんだめだよカイ君も参加させたら私も魔法を加減しないとだめだけど、今回はサーシャちゃんの特訓なんだから~」

「聞きました!?私だけだと手加減する気ないんですよこの人は!後生ですから、カイ助けてください」

 サーシャは今にも溢れんばかりの涙を目に溜め俺の裾を掴み上目遣いでこちらを見つめる……。
 ううっ、そんな目で俺を見ないでくれ……。好きな子にこんな顔されては言うことを聞くしかない、しかしサーシャを守れるくらい強く成りたいのは本心だが、こればっかりはフランさんの言い分に理がある。サーシャはただの女の子ではなく魔法戦闘のプロフェッショナル、魔法使いなのだ。鍛える必要はあるだろう。……というよりサーシャは最近どんどんあざとく成っている気がするが、俺はこの先耐えられるのだろうか?

「ごめん、サーシャ。今回はフランさんのが意見に賛成だ」

「くう……カイの裏切り者……!」

「安心してくれ、模擬戦闘が終わったらマッサージでもしてやるからさ」

「ふんっ、……変な所触ったら許しませんからね」

 俺は「しない、しない」と手を顔の前で振る、そんなことしたら俺は自分を止められなくなり、サーシャとの不文律を破ることになってしまうだろう。

「はいはい~それじゃ訓練場の使用許可は取っているから向かお~」

 「ううっ……、はい」

 サーシャの足取りは遅く沼にでも足をからめとれているのではないかと思うほどだった、そんなにフランさんの魔法戦闘訓練は厳しいのだろうか?見学するだけの俺でさえ緊張してきた。
 彼女は俺の腕を大粒の涙を浮かべながら思いっきり抱き込み、その柔らかい身体を腕全体で感じ取る、最近のサーシャは身体接触が多い、……心臓が破裂しそうだった。サーシャの大願成就するまでは俺も耐えねばならないのに……。

 
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

木杭を売るなら寅太郎

オラッ
俺が面白いって言ってんだから続きを書けよッ

2025.01.11 キミドリ

ふーっ 感想……ありがとうございました
明日には投稿できそうっすね

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。