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第5章 エスカレートする行為

31話・制御出来ない気持ち

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「や、やだ。創吾そうご……ッ」
「ごめん、もう少しだけ」

 涙目の諒真りょうまを組み敷いて腕を押さえ、無理やり身体に触れる。何度も繰り返すうちに接触に慣れてきたが、羞恥心までなくなるわけではない。服の中に手を差し込まれ、上半身を撫で回されながら、諒真は嫌だと訴え続けた。

 諒真の魔力はとっくに上限値を超えている。今までは触れればすぐに暴発していたのに、今日は何故か何の魔法も発動しない。

「また我慢してますね」
「だ、だって」

 限界を超えても何も起こらないのは、無意識のうちに諒真が精神力で抑え込んでいるからだ。

「オレの攻撃魔法を防ぐ時おまえも魔力を使い切ってるだろ。もし少しでもオレの魔力が上回ったら防げなくなるかもしれない」
「……ああ、そういうことですか」

 確かに、これまでほぼ同時に魔力を使い果たしていた。今のところ、ふたりの魔力量は均衡しているが、何度も使った魔法は省エネ効率化により少ない魔力での発動が可能になる。
 諒真が恐れているのは、現在のバランスが崩れてしまうこと。

「大丈夫ですよ。僕は心配性なので強めの防御と回復の魔法を使っているんです。多少諒真くんの攻撃魔法が強まっても何なく抑えられますから」
「そ、そうか」

 創吾の説明に、諒真は明らかにホッとした表情になった。万が一そんな事態になった場合でも創吾を傷付けずに済むと分かって安堵したのだ。
 安心した途端、張り詰めていた緊張の糸が切れ、身体が素直に感覚を拾うようになった。

「え、あっバカ、どこ触っ」
「さっきからずっと触ってましたけど」

 捲ったシャツから覗く薄い身体を撫でる。指先が胸を掠め、諒真の身体が僅かに揺れた。これくらいの接触は以前にもしたからか慣れている。魔力を暴発させるにはまだ刺激が足りない。

「我慢強いのも考えものですね。それとも、僕の触り方がヌルいのかな」
「そんなこと……ッ」

 いつもと変わらぬ調子で喋りながら、創吾の指が胸から腹を伝って下に降り、ベルトの金具を外しに掛かった。片手で器用にベルトを緩め、ファスナーを下ろす。そのまま手を突っ込んで下着越しに触れるが、そこはまだ柔らかいままだった。

「下は触るなって!」
「じゃあ抑え込むのをやめてください」
「そんなの、制御コントロール出来ないから……ッ!」

 キスされたり身体を触られていても、諒真は性的に興奮することはない。無理やり押し倒されているだけなのだから当たり前だ。

「まだ意識してくれないんですか」
「え?」
「なんでもないです」

 下着の上から握り込み、上下に軽く擦る。直接的な刺激を与えれば嫌でも身体は反応を示す。仲間であり同性の友人である創吾から一方的に触られて勃たされ、諒真の羞恥は我慢の限界を超えた。

 前回より多くの攻撃魔法が発動したが、事前の宣言通り創吾は完全に防ぎ切った。
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