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第24話:募る不安
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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*
「いってくる」
「気をつけてな」
朝、出勤する謙太を玄関先で見送る。ここまではいつも通り。
「リュウも今日は外で打ち合わせがあるんだろ? 気をつけて」
「う、うん」
出がけのハグが日課に加わった。抱き締められて、背中をポンと軽く叩かれる。
謙太が出てドアが閉まると同時に、龍之介はそのまま横にある壁に凭れ掛かった。
「…………新婚か!」
そんな空気に耐え切れず、一人呟く。
昨夜の告白以降、ただでさえも多い謙太からのスキンシップが更に増えた。完全にあちらのペースに飲まれ、龍之介はただ流されるのみ。だが、例の一件以来、人間関係を深めることが苦手な龍之介にとって、こうして無理やりにでも踏み込んできてくれる相手は有り難い存在でもあった。
身体の事情もあり、女性と交際することに消極的になっているのは確かだ。いいなと思うことはあっても声を掛けたりは出来ない。このまま一生独り身だと覚悟もした。
そこに親友が名乗り出た。
一緒にいてストレスもなく、ルームシェアも順調。家事の分担も出来ている。悪くはなかった。
告白されたことだけが予想外だった。
人生の伴侶に男を、という考えがまず無かった。そもそも男を恋愛対象として見たことがない。好きなタイプは清楚系の大人な女性。これは今でも変わらない。
『いつかは抱かせてほしい』
謙太の言葉を思い出して、龍之介は青褪めた。
健康的な二十代半ば。性欲があるのが当たり前だ。同じベッドで寝たり、抱き締めたり、軽くキスする程度なら平気だった。嫌悪感はない。
それ以上となると当然抵抗がある。
身支度のために入った洗面所で、鏡を見る。首筋には昨夜付けられた噛み跡がハッキリと残っていた。
「……夏だったらアウトだったな」
まだ寒い時期だからタートルネックのセーターを着れば問題なく隠せる位置だ。
離れて眠ろうとした謙太を引き止めたのは他ならぬ龍之介自身。それなのに、今後どうなるか先が見えない。関係を確定するどころか、より不安定になったように思う。
よりによって恋愛感情を抱かれるとは。
好きだの愛してるだの言われても、それが永遠に続くものではないと龍之介は知っている。
『龍之介くん、バイバイ』
まだ癒えてない傷が痛む。
好意を向けられても素直に受け入れられないのは過去の苦い経験のせい。いつまで別れた恋人を引き摺るつもりなのかと自分でも思う。
拒否し続ければ、いくら謙太でも離れていくだろう。側に居て欲しいのなら、いつかは受け入れなくてはならない。お互い女性しか相手にしたことがない。もし行為に及んだとして、男の身体を見て冷める可能性も十分に有り得る話だ。
鏡に映る自分が険しい顔をしていることに気付いて、龍之介は深い溜め息をついた。
「いってくる」
「気をつけてな」
朝、出勤する謙太を玄関先で見送る。ここまではいつも通り。
「リュウも今日は外で打ち合わせがあるんだろ? 気をつけて」
「う、うん」
出がけのハグが日課に加わった。抱き締められて、背中をポンと軽く叩かれる。
謙太が出てドアが閉まると同時に、龍之介はそのまま横にある壁に凭れ掛かった。
「…………新婚か!」
そんな空気に耐え切れず、一人呟く。
昨夜の告白以降、ただでさえも多い謙太からのスキンシップが更に増えた。完全にあちらのペースに飲まれ、龍之介はただ流されるのみ。だが、例の一件以来、人間関係を深めることが苦手な龍之介にとって、こうして無理やりにでも踏み込んできてくれる相手は有り難い存在でもあった。
身体の事情もあり、女性と交際することに消極的になっているのは確かだ。いいなと思うことはあっても声を掛けたりは出来ない。このまま一生独り身だと覚悟もした。
そこに親友が名乗り出た。
一緒にいてストレスもなく、ルームシェアも順調。家事の分担も出来ている。悪くはなかった。
告白されたことだけが予想外だった。
人生の伴侶に男を、という考えがまず無かった。そもそも男を恋愛対象として見たことがない。好きなタイプは清楚系の大人な女性。これは今でも変わらない。
『いつかは抱かせてほしい』
謙太の言葉を思い出して、龍之介は青褪めた。
健康的な二十代半ば。性欲があるのが当たり前だ。同じベッドで寝たり、抱き締めたり、軽くキスする程度なら平気だった。嫌悪感はない。
それ以上となると当然抵抗がある。
身支度のために入った洗面所で、鏡を見る。首筋には昨夜付けられた噛み跡がハッキリと残っていた。
「……夏だったらアウトだったな」
まだ寒い時期だからタートルネックのセーターを着れば問題なく隠せる位置だ。
離れて眠ろうとした謙太を引き止めたのは他ならぬ龍之介自身。それなのに、今後どうなるか先が見えない。関係を確定するどころか、より不安定になったように思う。
よりによって恋愛感情を抱かれるとは。
好きだの愛してるだの言われても、それが永遠に続くものではないと龍之介は知っている。
『龍之介くん、バイバイ』
まだ癒えてない傷が痛む。
好意を向けられても素直に受け入れられないのは過去の苦い経験のせい。いつまで別れた恋人を引き摺るつもりなのかと自分でも思う。
拒否し続ければ、いくら謙太でも離れていくだろう。側に居て欲しいのなら、いつかは受け入れなくてはならない。お互い女性しか相手にしたことがない。もし行為に及んだとして、男の身体を見て冷める可能性も十分に有り得る話だ。
鏡に映る自分が険しい顔をしていることに気付いて、龍之介は深い溜め息をついた。
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