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第25話:引き止める手段
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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*
告白して以来、龍之介の様子が少しおかしくなっていることに謙太は気付いていた。
普通に会話もするし、よく笑う。
だが、謙太が触れようとすると一瞬身体を硬くする。そして、その後は何事もなかったように振る舞う。
その僅かな反応に気付いてからは少しスキンシップを控えた。夜に寝る時も極力触れずに添い寝するだけ。
それが却って龍之介を不安にさせていた。
「……なあ、なんもしねーの?」
数日後、とうとう龍之介の方から尋ねてきた。
恥ずかしいのか、背を向けた状態だ。
同じベッドで横になっている時にそんな風に問われれば、誘われているのかと勘違いしてしまう。逸る気持ちを抑え、謙太は平常心を保った。
「したくないといえば嘘になるけど」
「そう、なんだ」
「……」
「……」
しばらく無言が続く。
顔が見えないからどんなつもりで聞いてきたのかが分からず、謙太は龍之介の肩に手を伸ばした。
指先が触れた瞬間、ビクッと大きく身体が揺れ、謙太は思わず手を離した。
「リュウ?」
「……ビックリしただけだから」
少し震えた声とその様子から、龍之介が警戒をしているのが分かった。
誘っているだなんてとんでもない。その逆で、同じベッドにいるだけで緊張させてしまっているのだ。
「リュウ、こっち向いて」
「断る」
「頼むから、なあ」
「やめろって」
再び肩に手を掛けると、今度は腕を振り上げてそれを払った。拒絶とも取れるその態度に、謙太は怯んだ。龍之介も過剰な態度を取ったことに気付き「ごめん」とすぐに謝罪した。
「……悪い。ちょっとまだ気持ちの整理がついてなくて」
離れたままだが、龍之介はようやく謙太のほうに身体を向けた。目線は合わないようにわざと逸らされている。
「いや、オレが悪い。追い出されずに一緒に居られるだけで嬉しいのに、つい欲張り過ぎた」
「今更追い出さねーよ」
謙太が自分の意志で出て行くならともかく、龍之介から追い出そうとは今は考えていない。
「でも、抵抗あるんだろ抱かれるの」
「そりゃ普通ヤだろ。だから、抱く側ならいけねーかなと考えたんだけど」
「うん……、うん?」
「色々想像してみたけど、やっぱ男相手じゃ勃ちそうもなくてな……」
「……そうか」
それを聞いて、謙太は心の底から安堵した。身勝手な話だが、自分が抱かれる側に回る可能性など微塵も予想していなかったからだ。
「一緒にいるなら、いつかはそういうこともするんだろうけど……その、覚悟が決まらなくて……」
申し訳なさと恥ずかしさで、龍之介の声はどんどん小さくなっていく。
「そんなに思い詰めなくても」
「でも、セックス出来ない相手なんかめんどくさいだけだろ。それでおまえがどっか行くくらいなら、俺は」
謙太は龍之介の考えていることを理解した。
そして、そこまで言わせてしまったことを恥じた。
「リュウに無理させたいわけじゃない。だから、オレを引き止めるためだけに抱かれようとしないでくれ」
「ケンタ……」
相手に我慢を強いていると互いが感じていた。
「……あのな、俺もケンタが好きなんだ。おまえが女の人と歩いてるとこ見るとモヤモヤするし、いないと寂しいし、一緒にいると楽しいから。多分、おまえと同じ意味で」
それを聞いて、謙太はじわりと胸の奥が熱くなるのを感じた。好きな相手に必要とされる幸福。
「……はー、結婚したい……」
「おまえは離婚したばっかだろ」
思わず漏らした言葉に、龍之介が呆れたように笑った。それは久しぶりに見た自然な笑顔で、謙太は更に感極まってしまった。
告白して以来、龍之介の様子が少しおかしくなっていることに謙太は気付いていた。
普通に会話もするし、よく笑う。
だが、謙太が触れようとすると一瞬身体を硬くする。そして、その後は何事もなかったように振る舞う。
その僅かな反応に気付いてからは少しスキンシップを控えた。夜に寝る時も極力触れずに添い寝するだけ。
それが却って龍之介を不安にさせていた。
「……なあ、なんもしねーの?」
数日後、とうとう龍之介の方から尋ねてきた。
恥ずかしいのか、背を向けた状態だ。
同じベッドで横になっている時にそんな風に問われれば、誘われているのかと勘違いしてしまう。逸る気持ちを抑え、謙太は平常心を保った。
「したくないといえば嘘になるけど」
「そう、なんだ」
「……」
「……」
しばらく無言が続く。
顔が見えないからどんなつもりで聞いてきたのかが分からず、謙太は龍之介の肩に手を伸ばした。
指先が触れた瞬間、ビクッと大きく身体が揺れ、謙太は思わず手を離した。
「リュウ?」
「……ビックリしただけだから」
少し震えた声とその様子から、龍之介が警戒をしているのが分かった。
誘っているだなんてとんでもない。その逆で、同じベッドにいるだけで緊張させてしまっているのだ。
「リュウ、こっち向いて」
「断る」
「頼むから、なあ」
「やめろって」
再び肩に手を掛けると、今度は腕を振り上げてそれを払った。拒絶とも取れるその態度に、謙太は怯んだ。龍之介も過剰な態度を取ったことに気付き「ごめん」とすぐに謝罪した。
「……悪い。ちょっとまだ気持ちの整理がついてなくて」
離れたままだが、龍之介はようやく謙太のほうに身体を向けた。目線は合わないようにわざと逸らされている。
「いや、オレが悪い。追い出されずに一緒に居られるだけで嬉しいのに、つい欲張り過ぎた」
「今更追い出さねーよ」
謙太が自分の意志で出て行くならともかく、龍之介から追い出そうとは今は考えていない。
「でも、抵抗あるんだろ抱かれるの」
「そりゃ普通ヤだろ。だから、抱く側ならいけねーかなと考えたんだけど」
「うん……、うん?」
「色々想像してみたけど、やっぱ男相手じゃ勃ちそうもなくてな……」
「……そうか」
それを聞いて、謙太は心の底から安堵した。身勝手な話だが、自分が抱かれる側に回る可能性など微塵も予想していなかったからだ。
「一緒にいるなら、いつかはそういうこともするんだろうけど……その、覚悟が決まらなくて……」
申し訳なさと恥ずかしさで、龍之介の声はどんどん小さくなっていく。
「そんなに思い詰めなくても」
「でも、セックス出来ない相手なんかめんどくさいだけだろ。それでおまえがどっか行くくらいなら、俺は」
謙太は龍之介の考えていることを理解した。
そして、そこまで言わせてしまったことを恥じた。
「リュウに無理させたいわけじゃない。だから、オレを引き止めるためだけに抱かれようとしないでくれ」
「ケンタ……」
相手に我慢を強いていると互いが感じていた。
「……あのな、俺もケンタが好きなんだ。おまえが女の人と歩いてるとこ見るとモヤモヤするし、いないと寂しいし、一緒にいると楽しいから。多分、おまえと同じ意味で」
それを聞いて、謙太はじわりと胸の奥が熱くなるのを感じた。好きな相手に必要とされる幸福。
「……はー、結婚したい……」
「おまえは離婚したばっかだろ」
思わず漏らした言葉に、龍之介が呆れたように笑った。それは久しぶりに見た自然な笑顔で、謙太は更に感極まってしまった。
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