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第31話:解決法
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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*
「いま、なんて?」
とんでもないことをサラリと言われた気がして、謙太はすぐに聞き返した。
「だから、寧花さんにも立場ってもんがあるだろ? ただでさえも向こうの親からの心証が良くないんだ。いつまでも元ダンナのおまえと連絡取り合ってたらマズいだろ」
「あ、ああ」
「それに、彼氏……陽色の父親だって不安に思うはずだ。今はともかく、あっちが入籍した後まで直接やり取りを続けるのは良くない」
「……確かに」
龍之介が考えていたのは、寧花の今後のことだった。離婚後に参っているのは知っていた。だから、少しでも助けになる存在を作ってほしかった。
今回、偶然妹の朱音が近くに住んでいたから紹介し、彼女が一人で悩まないようにした。
母親を精神的に支えることは子どもを守ることに繋がる。全ては陽色のため。
こういった配慮が謙太には出来ない。それどころか、言われて初めて気付いたくらいだ。
「色々ありがとな、リュウ」
「別に。勝手にやったことだ」
礼を言われ、龍之介は照れ臭そうに顔を逸らした。その頬に手を当て、無理やり顔を自分の方へと向けさせる。謙太は鈍いが、龍之介がまた思い悩んでいることだけは分かった。
「──で、さっき、オレがいなくなる前提で話しただろ」
「そんなことは」
「誤魔化すなよ。酔って口が滑ったのか?」
「……」
正面から向き合っているにも関わらず、龍之介は頑なに目を合わせようとしない。以前の謙太なら聞き逃していた程度の言葉だが、今は違う。
『もしおまえがいなくなっても』
確かに龍之介はそう言った。
「好きだって言ったよな?」
「……」
「おまえも好きだって言ってくれたよな?」
「……ああ」
詰め寄られ、目を逸らしたまま龍之介は小さく応えた。
「それなのに、まだオレがどっか行くと思ってんの?」
「……」
無言の肯定。
龍之介は謙太を切り捨てることを諦めてはいなかった。取り返しがつかなくなる前に手放す気でいた。
「なんでだよ。おまえ、オレがいなきゃ眠れないだろ。一人じゃ嫌だってあれほど」
確かにそうだった。
謙太が龍之介の部屋に転がり込んできてからは、寂しさを自覚したせいで一緒でないと眠れなくなった。
でも、解決する方法を見つけてしまった。
「最初からコレに頼っておけば良かったんだよな」
そう言いながら龍之介は謙太の手を払い除けて立ち上がり、リビングの片隅に置かれていた紙袋を持ってきた。
「この前風邪ひいたとき市販薬で眠れたんだ。まあ、夢見は良くなかったけどな。だから、病院でちゃんとした薬を処方してもらった」
紙袋の中身は睡眠薬だった。
「おまえに頼らなくてもこれで眠れる」
「……え?」
「おまえも次が見つかるまで飲めばいい。いつでもここから出て行けるように」
差し出された紙袋を一旦受け取り、中身を確認する。錠剤のシートがたくさん入っている。まだ使われた形跡はない。
「次ってなんだよ」
「俺と居ても未来がないだろ」
普段なら適当に誤魔化していたところだが、今日の龍之介は酔っているせいか素直に心の内を吐き出している。言わなくても良い事まで。
「おまえがいないと陽色の情報が入らなくなる。俺は無関係な他人だからな。それもあって、おまえと縁を切りたくなかった。これからは朱音から写真とか送ってもらえるから、もういい」
「いま、なんて?」
とんでもないことをサラリと言われた気がして、謙太はすぐに聞き返した。
「だから、寧花さんにも立場ってもんがあるだろ? ただでさえも向こうの親からの心証が良くないんだ。いつまでも元ダンナのおまえと連絡取り合ってたらマズいだろ」
「あ、ああ」
「それに、彼氏……陽色の父親だって不安に思うはずだ。今はともかく、あっちが入籍した後まで直接やり取りを続けるのは良くない」
「……確かに」
龍之介が考えていたのは、寧花の今後のことだった。離婚後に参っているのは知っていた。だから、少しでも助けになる存在を作ってほしかった。
今回、偶然妹の朱音が近くに住んでいたから紹介し、彼女が一人で悩まないようにした。
母親を精神的に支えることは子どもを守ることに繋がる。全ては陽色のため。
こういった配慮が謙太には出来ない。それどころか、言われて初めて気付いたくらいだ。
「色々ありがとな、リュウ」
「別に。勝手にやったことだ」
礼を言われ、龍之介は照れ臭そうに顔を逸らした。その頬に手を当て、無理やり顔を自分の方へと向けさせる。謙太は鈍いが、龍之介がまた思い悩んでいることだけは分かった。
「──で、さっき、オレがいなくなる前提で話しただろ」
「そんなことは」
「誤魔化すなよ。酔って口が滑ったのか?」
「……」
正面から向き合っているにも関わらず、龍之介は頑なに目を合わせようとしない。以前の謙太なら聞き逃していた程度の言葉だが、今は違う。
『もしおまえがいなくなっても』
確かに龍之介はそう言った。
「好きだって言ったよな?」
「……」
「おまえも好きだって言ってくれたよな?」
「……ああ」
詰め寄られ、目を逸らしたまま龍之介は小さく応えた。
「それなのに、まだオレがどっか行くと思ってんの?」
「……」
無言の肯定。
龍之介は謙太を切り捨てることを諦めてはいなかった。取り返しがつかなくなる前に手放す気でいた。
「なんでだよ。おまえ、オレがいなきゃ眠れないだろ。一人じゃ嫌だってあれほど」
確かにそうだった。
謙太が龍之介の部屋に転がり込んできてからは、寂しさを自覚したせいで一緒でないと眠れなくなった。
でも、解決する方法を見つけてしまった。
「最初からコレに頼っておけば良かったんだよな」
そう言いながら龍之介は謙太の手を払い除けて立ち上がり、リビングの片隅に置かれていた紙袋を持ってきた。
「この前風邪ひいたとき市販薬で眠れたんだ。まあ、夢見は良くなかったけどな。だから、病院でちゃんとした薬を処方してもらった」
紙袋の中身は睡眠薬だった。
「おまえに頼らなくてもこれで眠れる」
「……え?」
「おまえも次が見つかるまで飲めばいい。いつでもここから出て行けるように」
差し出された紙袋を一旦受け取り、中身を確認する。錠剤のシートがたくさん入っている。まだ使われた形跡はない。
「次ってなんだよ」
「俺と居ても未来がないだろ」
普段なら適当に誤魔化していたところだが、今日の龍之介は酔っているせいか素直に心の内を吐き出している。言わなくても良い事まで。
「おまえがいないと陽色の情報が入らなくなる。俺は無関係な他人だからな。それもあって、おまえと縁を切りたくなかった。これからは朱音から写真とか送ってもらえるから、もういい」
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