【完結】君を繋ぎとめるためのただひとつの方法

みやこ嬢

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追加エピソード

第34話:一緒に

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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*


「……すまん、俺めんどくさいヤツだよな」

 晩酌の片付けをしながら、龍之介りゅうのすけがぽつりと呟いた。先ほどまでと違い、その表情に悲壮感はない。だが、勝手に思い詰めて謙太けんたを傷付けてしまったことを悔いていた。

「いや、オレが聞かなきゃあそこまで言うつもりもなかったんだろ?」

 元は酔った拍子に洩らした龍之介のひと言を切っ掛けにそういった話に発展した。謙太が気付かずにいたらそんな話を二人ですることはなかった。

「じゃあどうやって別れるつもりだったんだ?」
「おまえに睡眠薬飲ませて別々に寝るとこから始めようと思って。俺がいなくても眠れるようになりゃ少しは落ち着くかなー、と」
「え、なにそれ」

 テーブルを拭いていた謙太の手が止まった。キッチンの流しでグラスを洗う龍之介を茫然と見上げる。龍之介はその視線に気付いていない。

「おまえは一度寝ちまえば朝まで起きないだろ? 弱い薬だから後に引かないらしいし……」

 睡眠薬にも強さがある。龍之介が処方してもらったのは一番効きの弱い睡眠導入剤で、効果は二、三時間ほど。謙太の場合は寝入る時だけ助けがあればいいので、この薬で事足りる。

「薬に頼るのは最終手段だけど、一緒に寝るのをやめるにはこれくらいしないと」

 一人で朝まで寝られたという経験を積ませて、それを体や頭に思い込ませる。そうすることで認識が変わり、いずれは薬がなくても一人で眠れるようになるのでは、と龍之介は考えていた。

「オレに内緒で薬飲ませるって、どうするつもりだったんだよ」
「ビタミン剤だって言って飲ませる」
「はあ~~?」

 処方薬の他人への流用は良くない。それ以前に、どういう薬か知らない相手に飲ませること自体がマズい。知らないうちに実行されなくて良かった、と謙太は胸を撫で下ろした。

 片付けを終えた龍之介がリビングに戻ると、手を引っ張られてソファーの上に転がされた。その上に謙太がのし掛かる。

「そこまでして一緒に寝たくなかった?」

 謙太が険しい顔をしていることにようやく気付き、龍之介は目を逸らした。

「これ以上一緒にいたらヤバいと思って」
「なにが?」
「……だから、俺も勃つようになっちまったから、その、……」
「へ?」

 それを聞いて、謙太は龍之介の真っ赤な顔と股間を交互に見た。今はもちろん何の反応もしていない。

「リュウ、勃起不全ED治った!?」
「ED言うな!」

 過去のトラウマのせいで稀に朝勃ちする以外は全く反応を示さなかったのだが、先日の一件以来勃つようになった。謙太が気持ち良さそうにしている姿を見て興奮した。
 それを認めたくなくて、慌てて対策をしようとした矢先にバレてしまった。

「……くそ、AVとかエロ本とか見ても駄目だったのに、よりによっておまえ相手に……」
「リュウがAV観てる姿とか想像できねえ笑笑」
「やかましい!」

 笑い転げる謙太を押し退けて身体を起こすが、すぐに引き戻される。

「それって別に悪いことじゃないよな? オレもリュウで興奮するし、何なら今だって興奮してるし」
「え、今? なんで???」

 太腿に硬い何かが当てられている。それが大きくなった謙太のものだと分かり、龍之介は青褪めた。

「今までオレが一方的に触られるだけだったけど、これからは一緒に気持ち良くなれるんじゃね?」
「はぁ???」

 やっぱり内緒で睡眠薬を飲ませておくべきだった、と悔やむ龍之介に口付けながら謙太は上機嫌で服の隙間から手を差し込む。しかし、その手はすぐに阻まれた。

「……やっぱイヤ?」
「そ、そうじゃなくて、リビングここはちょっと……こんなとこでしたら、昼間おまえがいない時に思い出しちまうだろ」

 その言葉に謙太は誤射し掛けるも何とか堪え、寝室へと急いだ。
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